「やることが明確になった」ビーコル3シーズン目の高島が思うウィスマンのバスケ、そして新チームへの手応えとは。
開幕を目前に控えた横浜ビー・コルセアーズ#2高島一貴に、今季からチームを指揮するウィスマンHCのこと、オフに参戦した3×3のこと、熟成が進むチームのことなどを聞いた。
ヘッドコーチがトーマス・ウィスマンに新たに変わり、練習のスタイルも一変した今オフのビーコル。このことを語る高島の言葉からは、10月6日の開幕戦に向けて、かなり充実した準備がおこなわれていることが分かる。
「トム(トーマス・ウィスマンHC)の練習は、ほぼ休みがない状態で続いて、その中で練習試合もおこなっています。トムの新しいバスケットもいろいろと入って来ているので、こなさないといけないことが多くて正直キツいです。頭も体もかなり使うので疲労困憊な状態ですね。今が一番、疲れがピークにある時ですが、開幕にはいい感じに戻ってくると思います」
高島は、昨シーズン終了後に3人制バスケットボールのトップリーグ「3×3.EXE PREMIER」に参戦する「BEEFMAN.EXE」でプレーし、よりアグレッシブな高島一貴を披露してその存在感を大きく示した。
「オフに参加した3X3で、プレーの質が上がったと思っています。ビーコルでの今シーズンはそれを活かして、昨シーズンとは違ったプレースタイルをお見せ出来ると思っています」
3X3で得た成果をビーコルに持ち帰ってプレーする今季の高島。昨シーズン当初のインタビューでは、オフェンスでのアグレッシブ宣言をしていたが、今シーズンはさらにアグレッシブに行くと意気込む。このことはビーコルが持つ課題脱却のためでもある。
「これまでのチームは、タク(#1川村卓也)にオフェンスを依存していた部分が多くありました。やはり、どうしてもタクに厳しいマークが来てしまう。その時に点数が取れず負けてしまうケースがありました。タクだけでなく全員で点数を取っていかないといけない。ひとりひとりがその意識を持ち、タク頼み、外国籍選手頼みではなくて、他の選手が積極的に点数を取っていくということが重要です」
「その中で自分も、昨シーズン以上のアグレッシブさでリングに攻めたいと思っています。これは、昨シーズンも言っていたことなんですが、やはりどうしても自分に求められる役割の中ではディフェンスとリバウンドの部分が強くあったので、なかなか実現出来ませんでした。そこを今シーズンは変えていきたい。少しでも多く点数を取っていきたいです」
ウィスマンがヘッドコーチになったチームの変化についてはこう感じている。
「ヘッドコーチがトムになってから、やることが明確になりました。今までは、ただがむしゃらにやっていただけだったのが、ひとつひとつ意味のあることになっています」
これまで選手たちは、やりたいバスケのテーマと方向性は見えていたが、それを具現化出来なかったのだろう。ビーコルにやって来た名将ウィスマンはそれを形にしている。高島は続ける。
「今までも、走るバスケットというのを目標にやってはきましたが、形があまり見えてこなかった。(トムがヘッドコーチになって)それが形になるようになって、選手全員が走るバスケットと激しいディフェンスを徹底出来るようになってきています」
「トムが求めたことを選手が遂行出来るように、常にコーチとコミュニケーションを取っています。こうすることで、これまで以上にトムが試合中に要求することを正確に表現出来るようになってきています」
「ヘッドコーチの指示にしっかりと従ってプレーをすることが、チーム全体に浸透してきているので、チームのバスケットへの意識が高まり、今までディフェンスのローテーションなどで、なあなあになっていた部分が凄く細かく徹底されるようになりました。チームとして、競ったゲームの中でも闘えるようになっていくと思います」
ウィスマンの求めるバスケット、練習方法についてはこう語る。
「プレーひとつひとつが本当に細かくなっています。ピックアンドロールのディフェンスやオフェンスの形などを凄く丁寧に教えてくれています」
「本当はそれらがマストで当たり前だったんですけど、今までの自分たちは徹底出来なかった。トムが来て、それらをしっかりと遂行出来るように、毎日毎日同じことを繰り返して、選手に浸透させる練習をしてくれています」
「やはり、何度も何度もやることが大事で、言われたことだけだと頭に入ってこない。体で覚えていくことは良い方法だと思っています」
ウィスマンは、ほとんどゼロの状態から、スクラップアンドビルドのような形でこのチームを再生している。そのため初期段階でおこなわれた川俣町でのプレシーズンゲーム福島戦、アーリーカップでの千葉戦と川崎戦では、まとまりに欠く場面も多く見られた。
しかし、その後の稚内でおこなわれた2試合のプレシーズンゲームでは、GAME2で新チームになってからの初勝利を挙げ、試合内容も大きく改善された。随所に期待と可能性を感じるプレーが続出したことは、進化への熟成が確実に進み、形になってきていることを明確に示した。開幕に向けて、さらなるハードワークをこなし続けている新生ビーコル。その期待は高まるばかりだが、優勝出来るチームになるためには、それ相当の時間を要するのも確かだ。
「時間はもちろん、かかると思います。今シーズンはメンバーも大きく変わり、外国籍選手も変わりました。お互いの良いプレー、プレースタイルが、福島の合宿やプレシーズンゲーム、アーリーカップの時点ではまだ分からず、全然浸透していませんでした。まだチームとして出来上がっていない状態だったので、ああいう試合になることは自分たちも分かっていました。全ては開幕に向けて、チームの精度を上げることだけを目標にやっています。今やっている練習試合でも形になって来ていますから、そこはトムを信じてやっていくだけです」
高島の言葉は力強く、大きな手応えを感じずにはいられなかった。ウィスマンのバスケは確実にチームに浸透して成果をあげてきているようだ。高島に今季への意気込みを聞くと覚悟が感じられる言葉が帰ってきた。それは同時に、これまで悔しさを共に味わってきたビーコルブースターへのメッセージになった。
「2シーズン連続で残留プレーオフになってしまいビーコルブースターの皆さんに悔しい思いをさせてしまっています。今シーズンは、何としてでも勝って皆さんを喜ばせたい。口では何とでも言えます。しっかりと結果で出して、皆さんに証明したいです」
今季の目標を聞くと高島は、少し間をおいてから、こう力強く言った。
「優勝争いの出来るチームになることが目標です」
海賊たちの“キング”高島一貴の2018−19シーズンの闘いがもうすぐ開幕する。
【インタビュー・写真・記事/おおかめともき】
高島一貴 Twitter
https://twitter.com/kazutaka091
インスタグラム
https://www.instagram.com/kingkazutaka2/?hl=ja