2年前の熊本震災を経験した高島が4月14日の試合に込めた想いとは。
府民共済SUPERアリーナでおこなわれた大阪戦GAME1の試合後に高島一貴に話を聞いた。
試合がおこなわれた4月14日は熊本地震発生から丸2年を迎えた日だった。試合前には黙祷がおこなわれ、その中には神妙な面持ちの高島一貴の姿もあった。
高島は震災を熊本ヴォルターズ時代に経験している。それだけにこの日に掛ける想いは強く、試合前には自身のツイッターでその想いを伝えていた。
「熊本の地震から2年が経って、僕もその年に熊本にお世話になりました。1年しかプレーしていなかったんですけど、沢山の人に支えられて、今こうやってバスケットボールが当たり前に出来ているということは、本当に幸せなことです」
コートでのプレーからはその気持ちが伝わってきた。バスケが変わらず普通に出来る喜び。高島はその喜びをコートでしっかりと表現していた。ビーコルはこの試合で大阪の厳しいディフェンスにあい、なかなかインサイドに入り込めず得点に苦しんだ。
「僕たちもイニシアチブを取れるインサイドで攻めていこうとしたんですけど、上手くインサイドで得点することが出来なかったので、リズムがなかなか掴めませんでした」
チームが12点のビハインドで迎えた後半3Q。インサイドのオフェンスに苦しむ中で高島はアウトサイドからシュートを狙った。7分44秒に細谷将司が出したフェイントからのパスを受け取るとアウトサイドから2Pシュートを沈めた。
さらに6分53秒にペイントエリア外からのジャンプショットで2Pシュートを沈めた高島は5分23秒、川村卓也からのパスを受け取ると柔らかいタッチで3Pシュートを沈めた。3Q途中の2分間で続けた3得点。ビハインドを6点差にまで詰めてチームに反撃の流れをもたらした。
この時間帯の高島のプレーは特に気持ちが入っていた。100%の成功率で決めた3本のシュートには、熊本への想いと願いが込められていた。
「僕が違うチームに行っても、熊本で応援してくだっている方たちもいるので、今日はバスケットを楽しみながら、熊本の人たちに元気を与えられるようなプレーをしようと、本当に気持ちを入れてプレーしました」
この日、チームは21点差で敗戦する悔しさを味わったが、翌日の試合ではやり返してみせ劇的な逆転勝利を収めた。残り7試合となり、B1に生き残るためには勝つことだけが求められる。
「ここから全てを勝たなくてはならないと思っています。それだけのプレーというものを選手はコートで表現しなければならない」
常にブースターとのコミュニケーションを大切にする高島は、ここからの激闘をブースターと共に闘う覚悟を示した。
「ブースターの皆さんもB1残留プレーオフ、入替戦には行きたくないという気持ちを持って応援してくださっています。僕たちはそれに応えていかなくてはならないんです」
高島一貴は、ビーコルブースターのために、熊本で頑張りながら応援してくれている人たちのために残り7試合で死力を尽くす覚悟だ。
【写真・インタビュー・記事/おおかめともき】