新生ビーコル初陣飾れず。川俣町でのプレシーズンゲームでB2福島と対戦


福島合宿直後の早過ぎた対外試合。熟成不足でウィスマンのトランジションバスケ機能せず。

プレシーズンゲーム『SILK GAME KAWAMATA 2018』(9月2日 川俣町体育館)
横浜ビー・コルセアーズ 59-74 福島ファイヤーボンズ
14-17|20-10|12-25|13-22

9月2日、福島県川俣町にある川俣町体育館で「プレシーズンゲーム『SILK GAME KAWAMATA 2018』」がおこなわれ横浜ビー・コルセアーズが福島ファイヤーボンズと初対戦した。ビーコルのホームアリーナとゲーム演出が完全再現された川俣町体育館に満員御礼となる1,543名が来場し、川俣町で初めておこなわれたBリーグの試合を堪能した。

福島県川俣町でおこなわれた「プレシーズンゲーム『SILK GAME KAWAMATA 2018』横浜ビー・コルセアーズ 対 福島ファイヤーボンズ」

川俣町で初めてBリーグの試合がおこなわれ会場となった川俣町体育館には満員御礼となる1,543名が駆けつけプロバスケットボールの白熱した試合を堪能した


ウィスマン体制になって初めての対外試合で大きく期待されたが初勝利はお預け。B2福島ファイヤーボンズが、B1横浜ビー・コルセアーズを59-74で下し勝利した。

ビーコルのスターティング5は、#0細谷将司、#1川村卓也、#2高島一貴、#8アマンゼ・エゲケゼ、#32エドワード・モリスの布陣。新外国籍選手#36チャールズ・ガルシアはこの試合前日の練習で右足大腿部を痛め欠場した。

ティップオフ直前の両チームのスターティング5


1Q、川村卓也の2Pシュートでビーコルが幸先よく先制すると、エドワード・モリスがオフェンスリバウンドから2Pシュート。さらには川村がタフショットを決めるなどして得点。

1Q開始早々にエース#1川村卓也が2Pシュートを沈めてビーコルが幸先よく先制

1Qに川村に続く2Pシュートを沈める新外国籍選手#32エドワード・モリス


しかし福島もダンク、連続3Pシュートなどで得点して同点から勝ち越し。

1Q、横浜の先制点のあとでダンクを決める#43クリス・ブレディ。これが川俣町の人々にとっての初ダンクとなった


ビーコルは、川村とエゲケゼの外からの2Pシュートで追い上げたが、1Q終盤で福島がフリースロー2本を決めて1Qは14-17。ビーコルが3点のビハインドを背負う。

1Q序盤、タフショットで一時は同点となる2Pシュートを沈める#1川村卓也


ビーコルの新外国籍選手アマンゼ・エゲケゼとエドワード・モリスはリバウンドを果敢に奪ってみせた。特にエゲケゼは腕の長さを活かしてリバウンドを果敢に奪い、大きな可能性を示した。

1Qでシュートを沈めるビーコル新外国籍選手#8アマンゼ・エゲケゼ。腕の長さを活かしリバウンドを多く奪った。シュートフォームは独特

1Qに2Pシュートを沈める#8アマンゼ・エゲケゼ


2Qに入っても、福島の流れが続きビハインドが増えたが、6分の時間帯で広島から新加入した#10ハンター・コートがレイアップを決めて反撃開始。

ビーコル新加入選手#10ハンター・コート


#21田渡 凌は積極的にシュートを狙うも決め切ることが出来ないでいたが、この時間帯で2Pシュートを沈めて波を掴むと5分の時間帯にはオフェンスリバウンドから粘って2Pシュートを沈め1点差に詰め寄った。

2Q中盤に2Pシュートを沈める#21田渡 凌


福島は、4分の時間帯で前ビーコルの#34前田陽介が外から2Pシュートを沈めて逃げるが、キャプテン#5湊谷安玲久司朱が2本の2Pシュートを沈めてビーコルが再び1点差にする。

2Q4分の時間帯で2Pシュートを沈めたビーコルキャプテン#5湊谷安玲久司朱。右は前ビーコルの福島#34前田陽介


2分の時間帯で、ビーコルもうひとりのキャプテン#0細谷将司が3Pシュートを沈めて逆転。

さらにはアマンゼが1分の時間帯で外からの2Pシュートと3Pシュートを沈めて突き放し、2Q終了間際には湊谷が2Pシュートを沈めてリードを広げた。新生ビーコルの可能性を示した2Qは20-10、トータルスコア34-27でビーコルが7点のリードを奪った。

2Q終了間際に福島のディフェンスに競り勝ち2Pシュートを沈める#5湊谷安玲久司朱

2Q終盤に新生ビーコルがその可能性を示すオフェンスでビーコルが逆転。7点のリードを奪う。


3Q、田渡が外から2Pシュートを沈めた直後に福島#30イバン・ラベネルが2Pシュート、前田が外から2Pシュートを入れて、ファイヤーボンズが猛追。

ここからスコアが行き来したが、4分53秒にビーコルベンチがテクニカル・ファウルを取られ流れが福島に行ってしまう。福島はフリースローを確実に決めて好機を逃さず勝ち越しに成功。

3Q開始早々、波に乗った#21田渡 凌が2Pシュートを沈める。しかしビーコルはこの直後から失点を重ね福島の猛追を許してしまう

郷土福島のチームファイヤーボンズの猛追に沸き立つ福島ブースター


ビーコルは、モリスの#2高島一貴のシュートから得たオフェンスリバウンドで沈めた2Pシュート。細谷がフリースロー2本を決めた2点。さらには福島の執拗なダブルチームを交わしたモリスの2Pシュートで、ビハインドを3点差にまで縮め肉迫。

3Qでフリースローを確実に沈めるビーコルキャプテン#0細谷将司

3Q残り2分、福島のダブルチームを交わし2Pシュートを沈めた#32エドワード・モリス


しかし、ここから連携などでミスが目立ち始め福島がこれを逃さず加点。残り19秒に富山から新加入した#7橋本尚明が3Pシュートを沈めて流れが変わるかと思われたが、終了間際に福島#43クリス・ブレディに3点のバスケットカウントを決められ3Qは12-25。トータルスコア46-52で6点のビハインドとなる。

3Q残り19秒にビーコル移籍初得点となる3Pシュートを沈めた#7橋本尚明

横浜からはバスツアーなどでビーコルブースターが大挙して川俣町に集結。ホームアリーナの大声援を川俣町に再現した


4Q、福島が3Pシュートなどで得点。ビーコルは、5分の時間帯に田渡と湊谷が外から2Pシュートを沈めたが、福島の得点を止めることが出来ず、5分の時間帯にはビハインドが遂に二桁11点になってしまう。

4Q7分の時間帯に外からの2Pシュートを沈める#21田渡 凌


4分の時間帯に田渡が2Pシュート。残り3分を過ぎて川村とエゲケゼがフリースローをそれぞれ2本とも決めたが、スティールなどから得点を許し、ビハインドがさらに広がってしまう。

4Q4分の時間帯に2Pシュートを沈める#21田渡 凌


残り1分を切ってエゲケゼがフリースロー2本を決めたが、福島に2Pシュートを決められビハインドは15点。
タイムアップのブザーを待たずして勝敗が決した。4Qは13-22。ファイナルスコアは59-74。ビーコルは後半の大量失点が響き、得点も思うように伸びなかったのが痛かった。

ビーコルのスコアリーダーは15得点を挙げたアマンゼ・エゲケゼ。以降は田渡 凌が10得点、川村卓也と湊谷安玲久司朱が9得点、エドワード・モリスが6得点、細谷将司が5得点だった。

試合後の会見で、横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHCはこの試合をこう振り返っている。

「この時期に試合をするのはまだ早く、チームとして準備が出来ていなかった。新しく加入して来た選手、新しく導入したチームのシステムを選手たちが完璧に理解し切れておらず、遂行出来ていない場面が多かった。チームとしては間違いも多く、あまり良い状態ではなかった」

「このチームが集まっての練習はまだ12回ほどだ。そのため準備が十分ではない試合だった。そのことは分かっていたが、福島さんとこの試合が出来たことは良い経験になった」

「福島さんはB1チームと試合が出来て、B1チームに勝てたという実績が残せた。彼らが我々よりもハッスルして、しっかりと試合を遂行して勝ち切ったが、我々がB2チームに負けたといって恥ずかしいという思いはない。これは福島さんがしっかりと闘って、残した結果だと思っている」

「来週からアーリーカップになるが、アーリーカップはその名の通り「アーリー」で、今の我々にとって試合をするには、まだ早過ぎると思っている。良いチームを作るということは、私の考えを選手たちに落とし込むことが大事。昨シーズンから残っている選手が6人しかおらず、半分は新加入選手で新しいチームになっている。このチームはまだ完成していない。来週のアーリーカップでも、練習で落とし込み切れていないために、まだ完成形は見せられない。こういった早い時期に、まだ十分な準備が出来ないまま試合をするのだから、良い試合になるとは思えない」

「この試合前の5日間、福島県の古殿町でキャンプをやらせてもらったが、非常に良いところだった。とても感謝している」

「5日間エアコンの効いた良い環境の体育館で、一日二部に分けて激しい練習をおこなった。私が激しくプッシュした影響もあって選手たちは、まだ疲労が抜け切れていない中での試合だったと思う。この5日間、福島県と古殿町に助けてもらった。選手たちは福島で良い経験をしたし、この経験はシーズンに活かされる。もし来年も機会を頂けるのなら、また戻って来たいと思っている」

試合後に会見する横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHC


福島ファイヤーボンズの森山知広HCはこの試合をこう振り返り、初対戦となったビーコルの印象をこう語っている。

「2Qにイージーなシュートミス、ターンオーバーが出て横浜さんに走られてしまったが、後半に選手たちがそれらをしっかりと意識して、開始早々に3連続でポイントを取り、流れを渡さなかったところがターニングポイントだったと思う」

「新チームとなって初めての対外試合だったが、良いところと悪いところが、はっきりしたゲームだった。お互い初めてのゲームで、もう少し大味な展開になると思っていたが、選手たちが今シーズンやろうとしていることを発揮してくれた。僕らとしては良いスタートが切れた」

「チームとして5年間活動しているが、まだ試合をしていない川俣町に来れたこと、こういった素晴らしい機会を作って頂いた横浜さんに感謝しながら、今シーズンをいいシーズンにしたい」

「横浜さんは、日本人選手も含めて、ガードからミスマッチになり得る布陣で、B2にはないサイズ感があった。僕らがやったことのないB1の当りの強さ、インテンシティ(強度・激しさ)、サイズ感を経験する試合にしようと準備してきたが、その戸惑いからターンオーバー、オフェンスリバウンドを沢山取られたりする場面がかなりあった。B2にはない大きなサイズと出来たことは、僕らにとって非常に良い経験になった」

試合後に会見する福島ファイヤーボンズ 森山知広HC


横浜ビー・コルセアーズのキャプテン#0細谷将司はこう振り返っている。

「今年初めてのプレシーズンゲームは、福島での合宿で、凄くハードに練習してきた中でのチャレンジだった」

「合宿中にずっとやってきた、僕たちの今シーズンの強みであるトランジションゲーム、速い展開を求めるということを今日の試合のテーマにしていた。前半、2Qの最後のほうに良い形が出来て、後半で一気に失速してしまった。練習で積み重なった疲れはあるが、それは言い訳には出来ない。まだまだ突き詰めないといけないところがある。今日のゲームで凄く良い課題が出た」

「勝ちたいゲームだったが、福島さんのほうが良いゲームをした。僕らも、これからどんどんチーム力を上げていく。今は何も心配はしていない。これからです」

試合後会見に応じる横浜ビー・コルセアーズキャプテン#0細谷将司


また福島ファイヤーボンズのキャプテン#8村上慎也はこう振り返っている。

「新チームとして初めての対外試合で、まだまだチームとしてやるべきことを作っている段階の中でのゲームだった。前半の入りは良かったが、2Qは自分たちが走っていく展開が出来なかった。後半それをしっかりと修正出来たことが勝利に繋がったと思う」

「相手は、インサイドの外国籍選手が一人いなかった。アドバンテージがあったので、インサイドをしっかりと突いて行こうという意識だった。上手く突けたと思う」

試合後に会見に応じる福島ファイヤーボンズキャプテン#8村上慎也


チーム作りの進捗具合が明暗をはっきりと別けた格好だ。ビーコルはウィスマン体制になってチームを作り直している真っ最中だが、まだ熟成しきれていないチームには時期尚早の試合だった。ビーコルは、この試合直前に福島県古殿町でおこなわれた合宿を打ち上げたばかりで、ゲームへの準備が万全ではなく、ウィスマンが目指すトランジションバスケが思うように機能しなかった。

それでも、昨季以上に奪えたリバウンド、速さがさらに増したスピードなど、ここまでの猛練習での成果が多数みられ、新加入の選手たちもそれぞれの持ち味をアピールした。チームが2Q終盤で出来た逆転には、今作り上げているトランジションバスケへのポテンシャルと可能性が見えた。

今回のスコアを見れば大敗だが、現時点ではゲームの結果を気にする段階ではない。名将ウィスマンはこのチームを土台から作り直している最中だ。ここからのさらなる猛練習、アーリーカップ、稚内でのプレシーズンゲームでの対外試合経て、10月6日アウェーでおこなわれる富山との開幕戦に照準をしっかりと合わせ、ウィスマンが目指すトランジションバスケを熟成していく。

【取材・写真・記事/おおかめともき】

 


Written by geki_ookame