トムHCがやりたいディフェンスの強度が出来た大阪2連戦。チャンピオンに対して、どういうパフォーマンスが出来るのか。次節は自分の中でのチャレンジ。
12月15日と16日におこなわれた大阪エヴェッサとのホーム2連戦でディフェンスが大きく機能し、今季2度目のホーム2連勝を挙げた横浜ビー・コルセアーズ。次節は昨季のBリーグ覇者アルバルク東京に挑む2連戦だ。その挑戦を前にしたエース川村卓也に話を聞いた。
連勝を決めた時、川村は喜びをチームメイトと共に爆発させ、笑顔が弾けた。
「ブースターさんが、笑顔になれた週末になったことが一番うれしいです」
川村はGAME1でチーム最多の22得点を挙げ、20点台の得点は3試合連続になっていたが、連勝を挙げたGAME2でのパフォーマンスは良くないものだった。
「今日の僕は、ファウルトラブルであったり、ミスでチームに迷惑を掛けてしまいました。でも、これを周りが繋いでくれた。アレク(湊谷安玲久司朱)はじめ、他の選手がいろいろと繋いで、繋いで、チームで勝った白星だと思います。今までと違う形を今日は見せれたと思います」
大阪2連戦は、GAME1が60-59、GAME2が60-58と同じようなロースコアになったが、勝因は2試合続けて機能したディフェンスだった。GAME1は3Q以外で大阪を10点台に抑え、特に勝負どころの4Qではわずか10点に封じ込めた。GAME2では1Q 16-13、2Q 17-16、3Q 16-14、4Q 11-15と全てのクォーターで大阪を10点台に抑え込んだ。オフェンスは共に60点に留まったが、このロースコアをディフェンスで守り切って掴んだ連勝だった。ディフェンスが大きく機能した勝利は今季初めて。ましてや連勝なのだから、その持つ意味合いは大きい。エースもそれを肯定する。
「トムHC(トーマス・ウィスマンHC)が求めているディフェンス強度は、今日のような、ひとつのクォーターで20点以上の失点を許さないという考えがあります。その中で、昨日は3Qだけ20点以上取られましたが、その他のクォーターは10点台に抑えて相手の総合得点はおのずと低くなりました。これが本来、トムHCがやりたいディフェンスの強度だと思いますし、作りたいチームだと思います。これを、今週末、初めて相手の失点を抑えた上で勝ちに繋げることが出来ました。これが本来のトムHCの考えであり、トムHCのやりたいバスケットなのかなと、改めて選手として感じています」
「トムHCの求めているレベルが10なら、ここに近づくために選手は努力しないといけない。今日は、最終的にプリンス(プリンス・イベ)がファウルアウトしてしまいましたけど、プリンスがギブソンをハードに止めてくれたことが、相手にリズムを作らせない大きなポイントになったと思います」
前回のインタビューでは川村が、どんな展開でもビーコルブースターに手を降ってからアリーナをあとにすることを書いた。このことについて川村はこう話す。
「あれは『次こそは皆さんの期待に応えられるように頑張ります』という自分の意思表示なんです」
「勝つことは何よりも楽しいことです。チームとして笑顔になれるところを、きっとブースターさんは楽しみにして毎試合来てくれていると思います。勝った負けたではなく、いつも来てくれているブースターさんに感謝の気持ちを持っています」
「今日は久々に3,000人を超えたアリーナでプレーすることが出来ました。皆さんの期待のあらわれが、この観客数(3,568人)に繋がったと思います。これだけ多くの皆さんが入ってくれたアリーナで今日、結果を出すことが出来たことはチームとしても、とても良いことだと思います。あとはブースターさんが笑顔で帰ってくれること。土曜日、日曜日、どちらの帰り道も『今日は良かったね』と言いながら帰ってくれることが、一番うれしいんです」
「なので、僕が感謝しているというよりは、もちろん感謝している気持ちはあるんですけど、そこに尽きるのではなくて、『次こそは皆さんの期待に応えられるように頑張る』という意思表示でもあるんです」
「ビーコルブースターをはじめ、どのアリーナでも観に来てくれた、自分たちのパフォーマンスに期待してくれた皆さんへの感謝の気持ちは持っているつもりです。なかなか笑顔になれないゲーム後もありますけど、そこでは感情を表す部分ではないと思っています。勝って喜んでいる姿、負けてしょげている姿ではなくて、常に試合が終わったあとというのは、そういう姿勢を見せていきたいなと自分では思っているんです」
川村は琉球戦GAME1から2点、4点、7点と3試合続けてひと桁台の得点が続いたが、川崎戦GAME1で20点、同GAME2で25点、大阪戦GAME1では22得点を挙げて20点台の得点が3試合続いた。大阪戦GAME2ではファウルトラブルに悩まされ後半は無得点。最終的には前半で挙げた12得点のみで終わった。だが、スティールを3本奪ってみせたのはエースたる所以だ。
「自分がやるべきことは出来ていると思っています。今日はファウルトラブルになってしまい与えられたプレータイムが短かったのですが、そうでなければ後半20点台に乗せられたかもしれません。ですが、僕は自分の得点が10点でも20点でも、チームが勝てればそれで良いんです」
「僕が20点取って、チームの勝ちが近づくのであれば、そこを求めてやっていきます。10点で、アシストをもっと増やして欲しいと言われれば、それを表す形があります。最終的な目標というのはチームが相手よりも1点でも多く上回ること。ここに近づくために、自分がどうすることが近道なのかを考えて、いつも取り組んでいます」
「今日のゲームに関しては、僕のシュート確率は良くありませんでした。後半は良くない自分が出てしまったと反省しています」
次節は、昨シーズンのBリーグチャンピオンアルバルク東京との2連戦。川村はこう意気込む。
「昨シーズンのチャンピオン、アルバルク東京に対して、どういうパフォーマンスが出来るかというのは、自分の中でチャレンジだと思っています。ここまでの調子云々よりも、どんな相手でも継続的に自分のプレーが出来るように準備していかないといけないと思っています」
「アルバルク東京と比べたら、僕たちのほうが明らかに結果を出せていません。力のないチームだと思います。でも、そこで僕らが大きくチャレンジすること、リーグのトップに位置しているチームとどれだけのゲームが出来るのか。まずはチャレンジして、自分らがどの立ち位置にいるのかを認識しないといけない。自分たちが弱いことを、もう一度頭においたうえで、強豪チームにトライすることが出来れば、何かいい発見があると思っています。チャレンジあるのみです」
チャレンジャーとして強豪アルバルク東京に挑む川村卓也。海賊たちのエースはどんな闘いを魅せてくれるのだろう。ビーコル2018年最後のホームゲームが、大阪戦以上のビッグゲームになることを大きく期待したい。
【写真・インタビュー・記事/おおかめともき】