治療手術のために苦渋の帰国を決断したジェイソン・ウォッシュバーンに聞く。
10月14日立川でのアルバルク東京戦で、左足首に包帯を巻き、松葉杖を付いた痛々しいジェイソン・ウォッシュバーンの姿があった。その姿を観たビーコルブースターは驚き、自分のことのように心配した。翌15日のGAME2、そして10月21日と22日のホームアリーナ横浜国際プール開幕節では、松葉杖をつきながらもチームに帯同し、ベンチで大声を出してチームメイトをサポートして鼓舞。彼もまた共に闘っていた。
そのGAME2終了後、ウォッシュバーン自身から突然の帰国報告がビーコルブースターに告げられ、ウォッシュバーンは、アリーナを一周して最愛のブースターたちとの別れを惜しみ、多くのビーコルブースターが心を打たれ、涙した。
この直後にウォッシュバーンに話を聞くことが出来た。とても気さくな笑顔で、率直な今の気持ちを答えてくれた。
「これが本当に起きては欲しくなかった。何を変えてでも起きないで欲しかった。そう望んでいたのですが、起きてしまったことは仕方ありません。チームが前を向いて、次のステップに進んでいくということが必要だと思っています」
「左足のアキレス腱の辺りに治療が必要になりました。悩みましたが、アメリカに帰国して治療に専念することを決断したんです」
この決断は、ウォッシュバーン自身にとっても、チームにとっても苦渋の決断だった。
「何がベストかを考えた時に、チームと僕の意見が合意しました。チームが許可してくれたことをありがたく思っています」
昨シーズンも負傷からチームを離れざる負えない無念があった。それでも終盤に復帰し、B1残留を掛けた闘いでは、怪我で離脱していた時間を取り返すかのように鬼神のプレーでチームに貢献した。シーズン終了後から、今季の開幕まで癒やす時間は十分にあったとはいえない。
「去年と違って、今年の怪我は痛みの中でプレー出来る状態じゃなくなっています。去年のように、だましだましプレー出来ない怪我になってしまいました。去るという決断は本当に悔しいことなんですけど、今のこの状態でコートに立ったとしても、チームのプラスになれるかどうか分かりません。チームのプラスになれないことは、自分を苦しめることにもなりますから、今はアスリートとして、治療に専念したいと思っています」
ウォッシュバーンにとって、心に残っているGAMEがある。
「ずっとここまでプレーしてきて、自分の中で印象に残っているプレーは、やはり秋田戦(5月14日B1残留プレーオフ1回戦対秋田ノーザンハピネッツGAME3)で、TK(川村卓也)が、ブザービーターを決めたシーンが一番脳裏に焼き付いています」
「あの時、自分たちが下4つにいるべきチームではなかったと思っていますし、あそこまで行ってしまったということもあるんですけど、最後の最後まで諦めず、ずっと闘い続けた結果があのTKの3Pシュートだと思っています。あのシュートは本当に次元の違うプレーでした」
自身のプレーではなく、チームメイト川村卓也のプレーだというのも、チームを想うウォッシュバーンらしい。ジェイソン・ウォッシュバーンらしいといえば、やはりダンクシュートだ。あの力強いダンクシュートには勇気とガッツを沢山もらった。ダンクを決めているときは、何かメッセージを込めたりするものだろうか?愚問かもしれないが、思い切って聞くと、ウォッシュバーンは大笑いしながら、こう答えてくれた。
「NO! I just like DUNK!(笑)DUNK is FUN!!ただ、ダンクが好きなんですよ(笑)ダンクするのが楽しいんです。自分がどういうふうに楽しんで、どういうふうにしたら巧くダンクが出来るのかっていうことを考えているんです。ダンクを決めるとチームにもエネルギーが加わりますしね。毎日練習でもチームメイトから全部ダンクしろよ(笑)みたいなことも言われてきたので、ダンクするというのは自分にとっても、楽しいことですし、チームにとっても良いことなんですよ」
ダンクの話をしているときのウォッシュバーン選手は、とても楽しそうだった。本当に根っからのバスケマンだ。そして、彼にとってビーコルはどんな存在か聞いた。
「ビーコルは、本当に自分にとって、家族みたいな存在になってきています。フロントオフィスからチームのマネージャーまで全員がひとつになって家族のような雰囲気を作れたと思います。負けるときも一緒に負けて、勝つときはみんなで一緒に勝って喜びを分かち合えるチームなんです」
「そして、そこにはビーコルブースターの皆さんも、いつも傍にいてくれました。アウェーの試合でも多くの方々がいつも駆けつけてくれて、本当に他のチームにないぐらいに沢山来てくださったので、あの応援は本当にチームの助けになって来ました」
最後に、最愛のビーコルブースターに向けてメッセージを語ってくれた。
「まず、最初にありがとうということを言わせてください。本当に僕と、妻のことも温かく受け入れてくれてありがとうございますと言いたいです。僕が抜けてもこのチームはまだ続くので、今以上に応援していって欲しいですし、僕がこのチームの一員だったことを忘れないで欲しいです。僕はこれからもビーコルのことをずっと応援していくので、ビーコルブースターの皆さまと一緒にビーコルを応援していきたいと思います」
「怪我の前よりも、もっと力強いジェイソン・ウォッシュバーンを見せれるように、治療に専念して行きたいと思っています」
以下はインタビュー後に交わしたやり取りだ。
あなたの“42”は、これからも僕たちと共にあります。
「THANK YOU!THANK YOU!VERY MUCH!」
早く怪我が治って、横浜に戻ってくるのをビーコルブースターのみんなが願い待っています。
「I HOPE SO!THANK YOU!!」
そう言いながら、ジェイソン・ウォッシュバーンは優しい微笑みを浮かべて、自ら握手をしてくれた。英雄の温かい感触だった。その笑顔に、彼は必ずビーコルブースターのもとに帰ってくると確信した。ビーコルで、もっとも海賊らしい、JWASHの帰還をみんなで祈り、その日を待とう。
心の底からありがとう!ビーコルの英雄 #42 ジェイソン・ウォッシュバーン!また逢えるその日まで。
【写真・記事/おおかめともき/秋田戦写真のみ写真提供:©B.LEAGUE】