結束力が強くなれば、必ず勝てる。このチームで1勝でも多く勝ちたい。
今季、三河から海賊入りした期待のポイントガード#46生原秀将(いくはらしゅうすけ)に話を聞いた。まずは、自己紹介をお願いした。
「生原秀将です。ニックネームはシュウでお願いします。年齢は25歳、ポジションはポイントガード、身長180cm、体重80キロ、血液型は0型、出身は徳島です。最終学歴は筑波大学で、好きな食べ物は刺し身。特にたこ、鯛の刺し身が好きです。魚は好きですね。徳島の魚はハンパなく美味くて最高です。徳島の魚で一番美味いのは、鯛か、はまちですね。徳島の魚は、マジでヤバいですよ(笑)」
自己紹介から発展していった大好きな故郷の魚の話で目を輝かした生原。常に自然体のナイガイだ。生原は、徳島市富田中学校、徳島市立高校を経て、筑波大学に進学。小原 翼、かつてビーコルでもプレーした現名古屋の満田丈太郎とは同大学の同期になる。大学在学中に栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)に特別指定選手として加入。ブレックス在籍2シーズン目にプロ契約を結んだ。翌2018-19シーズンにはシーホース三河に移籍し、今季から横浜ビー・コルセアーズに移籍した。
生原に自身の持ち味を聞くと、こんな答えが返ってきた。
「バスケットボール選手としての得意なプレーは特にはないんです。そこが僕の欠点でもあるけど、逆にいえばメリットでもあると思っています。気持ちでプレーするタイプですね。技術的なところではなくて、気持ちの部分を大事にしながらやっています」
プレシーズンゲーム、アーリーカップでの生原は、この言葉通り、なりふり構わない必死さをコートの上でみせていた。『得意なプレーがないのがメリット』とは、具体的にどういったことなのだろうか。
「ひとつのプレーに偏らないことです。得意なプレーがある選手だったら、ここぞで、そのプレーが出来る。それはメリットかもしれません。でも、僕にはそれがない。ここぞでやる武器が僕にはないんです。自分の中ではイヤなことなんですけど、逆に考えたら、相手は僕が何をしてくるか分からない。これは武器になるし、得意なプレーがないことのメリットですよね」
それはオールラウンダーってこと?
「ん~、どうだろ?分かんないですけど、それなりには、いろんなプレーが出来るほうだとは思っています。大学や、ブレックス(宇都宮ブレックス)でプレーした時もポイントガードだけではなくて、2番(シューティングガード)で出たりもしていました。これも自分の中では、メリットなのかなと思っています」筑波大学時代には、特別指定選手として、トーマス・ウィスマンHCが指揮をしていた当時の栃木ブレックスでいきなり地区優勝。チャンピオンシップにも出場してBリーグ初代王者になるという大きな経験をした。
「あの時は、ああ、勝っちゃったって感じでした。もちろん、うれしかったです。他のチームメイトと比べたら、僕は特別指定選手だったので在籍した期間が少なかったんですけど、可愛がってもらいましたし、みんなと優勝が出来てうれしかったです」
ブレックス時代の1シーズン目は、同じポイントガードに田臥勇太もいて、ポジション争いが厳しく、なかなか出場機会に恵まれなかった。この年、特別指定選手時代の生原の出場はレギュラーシーズンで11試合、チャンピオンシップではプレータイムが1分44秒と短かったが、2Pシュート1本を決めている。
「チャンピオンシップ優勝を決めた時、僕はベンチでした。チームにはポイントガードが沢山いましたから。でも、いい経験が出来たと思っています」日本人NBAプレーヤーのパイオニア田臥勇太とは2シーズンを共にした。優勝経験に加えて、田臥とプレーした経験も、生原にとって得難いものだったという。
「僕は、大学でずっとキャプテンをやっていたので、キャプテンシーはあるほうだと思っていたんです。けど、プロになってみたら、学生の時と声掛けが変わっていた。そこを田臥さんに教えていただきました。他にも、練習の強度が落ちた時にどうやったら良い練習に持っていけるかといったことも教わりました。プレーもそうですけど、プロ選手としてのあり方をブレックスでの2シーズンで学ばせていただきました。これは、僕の財産だと思っています」
持っているキャプテンシーをビーコルでどう活かす?
「凌くん(田渡 凌)がキャプテンなので、僕は凌くんをサポートしていきたいです。凌くんも、ひとりでやり切れないところが出てくるだろうし、そこを補って、フォローしていきたいです」ブレックス以来、久々にトーマス・ウィスマンHCのもとで闘う。
「ブレックスの時も、トムからはディフェンスに対して凄く求められました。オフェンスの部分で求められることもありましたけど、基本的にはディフェンス。ディフェンスのことを口酸っぱく言われていたので、トムが何を求めているのかは、ある程度は理解しているつもりです。何も知らないコーチよりも、ある程度分かっているコーチのほうがやりやすいというのはあるかもしれません」
ビーコルの指揮官になったウィスマンHCからは、何を求められていると思う?
「トムには、リーダーシップの部分と、オフェンスでは得点を取ること。あとは僕が25歳と若いので、ディフェンスでの激しいプレーを求めていると思います」
ビーコルは、ディフェンスにこだわるチームになっている。選手として、どう取り組んでいく?
「ディフェンスのチームにならないといけません。もっと、もっとディフェンスへの意識を強く持たないといけない。例えば、ディフェンスの練習で、オフェンスが必要になる場面が出てくると、オフェンスに意識がいってしまう。ディフェンスに集中して、注意を払ってやっていないと、オフェンスのほうに意識がいってしまうんです。もちろん、オフェンスも大事なんですけど、このディフェンスとオフェンスのバランスが重要になってくるんです。トムが意図している意識と僕らの理解と意識がズレていたらダメなんです。そこを徹底させていきたいです」
昨季は、三河でプレーし、ブレックス時代にはなかった先発が46試合と飛躍的に増えた。
「いい経験になったとは思っています。ただ、先発に関しては、スタートかスタートでないかは、僕の中であまり意識していないんです。ブレックス時代でも、先発でなくても20分ぐらいプレータイムをもらっていました。三河ではそれが、スタートになったというだけなんです」
今季のビーコルは、チーム内競争を煽る方針を立てている。ポイントガードには田渡 凌、ハンター・コートがいる。ポジション争いについてどう考えている?
「(ポジションを奪う気持ちは)なくはないですけど、基本的にはポジションを取ってやるぞっていう意識よりは、どうやったらチームが勝てるか、どうやったら良いオフェンスやディフェンスが出来るかってところに意識を集中させています。凌くんやハンターとマッチアップしていたら、止めたいとか、点を取りにいきたいとは思いますけど、ポジション争いで二人に負けたくないといったところにはフォーカスしていません。それをしたほうが良いのかもしれないけど、僕の中ではないですね。どうしたらチームが勝てるか?それだけです」地区優勝とチャンピオンシップ優勝を経験した生原が、ビーコルに来たことは心強く、大きなケミストリーをもたらしてくれるだろう。ズバリ、このチームが勝つために何が必要?
「チームで闘うことだと思います。巧い選手がいるチームが勝つのかっていえば、そうではありません。強いチームというのは、組織力がしっかりとしています。強い組織力を持ったチームが絶対に勝つ。僕はそう思っています。例えば、オフェンスやディフェンスでミスが起きたとします。そこで、ふてくされたり、下を向いたりする選手がいたらチームの雰囲気は悪くなりますし、次のオフェンス、ディフェンスに影響してきます。そこをチームとして、きちんと補えるようにしていかないといけないと思います」
「このチームは、とても仲が良いです。全員が分け隔てなくしゃべれていますし、意見も交わせています。普段から、オンコートだけでなく、オフコートでもしっかりとコミュニケーションが取れるチームです。これは凄い大事なことなんです。これから、さらに良い関係になって、さらに結束が強くなってくれば、必ず良い順位にいけると思っています。僕の大学時代も含めた経験では、選手同士の関係が良く、結束が強くなった時に勝ってきているイメージがあるんです」
ここで話題を変えよう。休日はどう過ごしている?
「家が近い凌くんや、可愛がってくれている全さん(牧全)と一緒にご飯にいったりしています。あとは、大学での共通の友だちがいるので、同期の小原(小原 翼)と一緒に遊んだりしていますね」
「買い物にもいきますね。服が好きなんですよ。WTAPSっていうブランドがあるんですけど、これが凄いお気に入りです。最近は、銀座に面白いお店を見つけました。WTAPSは渋谷にあるんですけど、渋谷は家から遠いんです。銀座には他の用事でよくいくので、良いお店を見つけたと思っています。ザギンといっても、高くはないですからね(笑)」
マイブームは?
「マイブームかぁ。なんだろう?全さんや凌くんと飲み屋を探しにいったりしていることかなぁ。横浜駅のほうにいって、いろいろ探求しています」
飲むのは何が好き?
「ワインが好きですね。赤が好きです。肉にあいますからね。でも、飲み過ぎると地獄を見るので2杯ぐらいでやめるようにしています。お酒はたしなむ程度で楽しんでいますね」昨季おこなわれたBリーグモテ男No.1決定戦では6位だった。イケメンの自覚はある?
「ははは(笑)。ないですよ。だって、あれ、僕が6位なんだったら、牧全が何故入っていないんですか?どう考えても、僕の中でのイケメン度では、全さんがダントツです。全さんが1位か2位になっていないとおかしいですよ。全さんが、一番かっこいいです。そう思いません?全さんは、僕が学生の時から、この人マジかっけぇー!って思っていた選手なんです。実際に会ってしゃべってみても、めちゃくちゃ良い人なんですよ。内と外の隔たりがなくて、完璧なんです。僕が過去に出会った人の中で、一番カッコいいですね」
得た情報では、日焼けサロンによくいっているとか?
「いってないですよ!それ、どこの情報ですか!?日サロはですね。ブレックス時代に先輩がよくいっていたので、その時に初めていったんですけど…、ああ、ブレックスの時はいってたかな(笑)。でも、今は全くいっていません。今は日サロにいかなくても焼けるところにいっているんです。それは海なんですけど、天然のビーチで焼いてますね。あとは、コンビニにいく時に無駄にタンクトップ着ていってます(笑)」
ずっと背番号が“46”。これには意味がある?
「ないです。嘘です(笑)。話すと長くなるんですけど、“46”は、僕が小6の時に亡くなったおばあちゃんの命日なんです。高校までは背番号が4から18までなんですけど(高校では過去1~3の背番号が禁止されていた)、大学で背番号を決める時に、僕は11番がカッコよくて、それを付けたかったんですけど、先輩が11番を付けていたので、空いていなかったんです。で、何番にしようと考えた時に、僕が一番辛かったおばあちゃんの命日にしたらと思ったんです。誰もつけていない番号だし、僕だけの番号といった感じもあるし、それで“46”にしたんです。いい話でしょ(笑)」
因みに記者がこの日履いていたスリッパの番号が“46”だった。
「ヤバいですね。それ(笑)」チームの状況はどう?
「いい方法にいっているという手応えをみんなが感じているのは事実だと思います。これをずっと続けていきたいですね」
生原秀将自身は?
「このチームに来た最初の頃は、一歩引いて見ていたんですけど、凌くんと僕が声を出して引っ張っていかないといけないので、もっと積極的に、意味のある会話、コミュニケーションをしていかないといけないと思っています」
このチームで、生原秀将をどう表現していきたい?
「とにかく、勝ちたいですよね。このことが一番です。このチームに満足していますし、良いチームメイト、良い先輩方、良いスタッフ、フロントの人たちとも距離が近くて、仲が良いチームです。僕の中でお気に入りのチームになっています。このいい雰囲気を継続するためには、やっぱりチームが勝たないといけない。僕たち選手がしっかりとやって勝っていかないといけません」プレシーズンゲームやアーリーカップでは、切れのある鋭いノールックパスを連発し、アーリーカップ川崎戦での3Qでは超ロングシュートでのブザービーターを決めて、会場のファンの度肝を抜いた。コンディションもどんどん上がってきている?
「横浜のバスケットボールに慣れてきているので、自分がどこでシュートを打つべきなのか、どこでパスを出すべきなのかが、少しずつ分かって来ているので、シュートも打てるようになって来ています」ビーコル初年度、どんなシーズンにしたい?
「このチームで、1勝でも多く勝っていきたいです」
生原秀将から、共に闘うビーコルファンへメッセージ
「まだ、僕がどういったプレーをするか分からない人も沢山いると思います。とりあえず、会場に足を運んで頂いて、僕のプレーを見て欲しいです。そんなに華やかなプレーが出来るわけではないですけど、何か伝えられるものはあると思っています。自分のことはよく分からないので、皆さんに会場で見て頂いて、僕の良いところを見付けてもらえたらうれしいです。今シーズンの応援をよろしくお願いします!」生原秀将は、これまでのビーコルになかったものを持っているような気がする。生原のバスケットボールをホームの会場で応援し、そして、あのなりふり構わない必死なプレーをぜひ生で見て欲しい。生原のホーム開幕は、10月11日(金)12日(土)横浜文化体育館での対秋田2連戦。10月19日(土)20日(日)の対島根2連戦は横浜国際プールでの開幕だ。
ホーム開幕節秋田戦のチケット詳細、試合情報は、以下のリンクから確認出来る。
横浜ビー・コルセアーズ【観戦ガイド】2019-20シーズン・ホーム開幕戦 秋田ノーザンハピネッツ戦【10月11日&12日】
https://b-corsairs.com/news/game_20191011_2019012/
【取材・記事・写真/おおかめともき】