ビーコル期待のルーキー秋山皓太に聞く。


今季のチーム方針を地で行くルーキー「チームが勝つために日々全力で」

横浜ビー・コルセアーズ#22秋山皓太(SG/SF)


「横浜ビー・コルセアーズの秋山皓太です。シュートとディフェンスが持ち味です。このチームを日本一にするためにきました。僕のルーキーイヤーをビーコルでプレー出来ることをうれしく思っています。ルーキーらしく、がむしゃらに頑張っていきたいと思っています」

いきなりの自己紹介だが、この言葉は秋山がビーコルとプロ契約を結んだ日に聞いた初々しいプロ初インタビューでの言葉だ。期待のルーキー#22秋山皓太は実直な好青年であり、時折みせる爽やかな笑顔が印象的な選手だ。

現在22歳の秋山は、新潟で生まれ、中学時代は、上越教育大学附属中学校、2年途中からは強豪新発田市立本丸中学校でプレー。ここで当時監督を務めていた富樫勇樹(千葉ジェッツ)の父、富樫英樹氏に師事。その後、福岡第一高校を経て、東海大学に進学。昨季は、同大学4年時に特別指定選手として、金沢武士団でプレー。今季、ビーコルとプロ契約を結んだ。

練習やプレシーズンゲーム、アーリーカップで見た秋山皓太は、とても熱い選手と感じた。秋山にこのことを聞くと、真逆の答えが返ってきた。

「実は、あまり感情を表に出さいないほうだと思っているんです。試合の時は、内に秘める、そんな感じではないかと思います。(試合では燃える目をしていた)そうですか。自分では見えないから、分からないですけどね(笑)」

ここまでの練習や対外試合では、ゴール下で自分よりも大きな外国籍選手や、ビッグマンに怯まない強いガッツを見せ、シュートを打っていた。フィジカルへの自信がありそうだ。

「いや。そんなことはないですね。相手ディフェンスにぶつかってシュートを打つっていうのは大学の時ではやっていなかったことなんです。でも、プロではそうはいきませんから、いまコーチから教わって、チャレンジしているところなんです。相手ディフェンスに負けてしまって、フィニッシュにまでいかないと、上で叩かれてしまって、吹き飛ばされたりするので、そこは練習中から意識するようにしています。あとは、負けん気、強い気持ち、これはマストだと思っています」昨季は、金沢武士団で特別指定選手としてプレーした秋山。プロ選手になったことで何か変化はあったのだろうか。

「意識が変わりました。特別指定選手時代の時も、プロとしての意識は持っていたつもりなんですけど、自分の中ではまだ実感が沸かなかったんです。学生の延長というか、まだ分かっていないところが多くあったと思います。ビーコルでプロになってからは、クラブの方々や、コーチ、先輩方に教わったり、リーグの研修を受けているうちに意識も変わって、プロとしての自覚が大きくなってきました」

「学生の時は、バスケットボールが好きでやっていた部分が強かったんですけど、プロになったら、ファンの皆さんであったり、スポンサーの方々、メディアの皆さん、沢山の方々に支えられてプレーをすることが出来ています。皆さんのお陰で、お金がもらえて、大好きなバスケットボールが出来る。これがプロだと思っています。プロになると、責任も生まれてきます。これは学生時代とは全く違うことです」

共に闘うビーコルファンについては、こう感じているようだ。

「まだ、ファンの皆さんにも、そして相手チームにも名前を覚えてもらっていないと思います。ファンの皆さんと接したイベントでは、正直、僕みたいな無名の選手が来て、叩かれるかなと思っていたんです。でも、皆さんがやさしい言葉をかけてくれて、うれしかったです。でも、その半面で、叩かれる言葉がなかった。叱咤がないってことは、僕がまだまだなんだなとも思いました。ビーコルファンはやさしいですけど、僕自身の価値はまだまだ低いなって感じています。でも、相手チームにはまだ知られていないほうがいいかな(笑)」座間でのプレシーズンゲーム京都戦では、ジョルジー・ゴロマンに続くチーム2番手の15得点を挙げて存在感を示してみせた。特に途中から出場した2Qでは、3Pシュート2本を含む10得点を挙げてチームに流れをもたらす活躍をみせている。

「出たら、思い切ってやろうと思っていたんです。オープンショットもあったけど、良いパスももらえました。決まって良かったです」

2度の合宿でおこなわれた猛練習は、若い秋山にとってもかなりキツかったようだ。練習では、アキ・チェンバースらが、かなりのプレシャーを掛けてきたという。京都戦後に話を聞いた時には「アキさんたちが掛けてくるあのプレッシャーに比べたら余裕があった」と話したほどだ。猛練習が如何に厳しいものだったかを伺い知れる言葉だ。いま秋山皓太は、トーマス・ウィスマンHCをはじめとしたコーチ陣の指導のもとで、著しい成長をみせている。

「アシスタントコーチの方々がアドバイスをくれたり、先輩方がもっとこうしたほうが良いと言ってくれています。細かいところを教えてもらっているので、その成果が少しずつ出てきているんだと思います。僕自身の手応えは少しなんですけどね(苦笑)」今ではチームにも、すっかり溶け込んだという。練習や選手イベントでは、先輩たちから『チェン』と呼ばれたりして、チームのアイドル的な存在になっているようだ。コートを離れた素の秋山は、実におっとりとしている。いわゆる癒し系なのかもしれない。

「昔からチームメイトには恵まれてきました。ビーコルの先輩方も本当にやさしくて、凌さん(田渡 凌)や、秀さん(生原秀将)がいつも絡んでくれています。僕自身は、かなりの人見知りで、自分から絡んだり、話し掛けたりするほうではないんです。ビーコルでは、先輩方が、どんどん声を掛けてくれますし、タケさん(竹田 謙)のような歳が離れた先輩も話しかけてくれて、本当に助かっています。僕自身のプレーはまだまだなんですけど、先輩方や、コーチの方々がアドバイスをくれるので、とても充実しています」

「チームの雰囲気は、とても良いです。激しくやる時はハードに、お互いを高め合いながら、やる時はライバルだということを意識しながらやっています」今季のビーコルは、チーム力で闘うことを重んじている。そのため、チームメイトはライバルでもある。加えて、チームは、チーム内競争を煽り、先発を固定せずにコンディションの良い選手を使っていく方針を持っている。

「大学時代がそうでした。1年生であろうが、4年生であろうが関係ありませんでした。スタメンも毎試合、どんどん変わって、競争が煽られていました。高い競争意識があると、普段の練習から良いものが出来上がることを感じていました。プロになったこのチームのコンセプトが大学の時と同じだったことは、僕にとって良いことだと思っています。当然、ルーキーの僕にもチャンスがあるわけですから、日々切磋琢磨していきたいです。練習では、みんなが競争するライバルですが、試合では一致団結して闘っていければ、とても良いチームになると思います」

秋山は、個ではなくチームで勝ちを取りにいくという考えを持っている。これは、今季『BE COURAGEOUS(=ビーカレイジャス)』のスローガンを掲げたチーム方針と合致する。

「僕はチームで負けるのが、本当に嫌なんです。チームで負けると本当に悔しい。僕個人が負けても、チームが勝てば、もうそれで良いんです」

「大学時代にプレータイムをあまりもらえなくて悔しい思いをしました。でも、試合中に、試合に出たいとか、点を取りたいといったエゴは一旦、脇に置かないといけないと思っているんです。自分のエゴを試合に持ち込んではいけない。持ち込んでしまうとチームが上手く回らなくなってしまうと思うんです。練習中は、負けたくないという気持ちは大事ですし、試合に出れないと悔しい気持ちになります。けど、それを試合に持ち込んではいけない。試合に出れなくても、仲間を鼓舞する。仲間が、もしダメならば、自分が出て頑張る。これは忘れないようにしています」秋山を知るある関係者が『彼はコートにいる時とそうでない時とでかなりのギャップがある』と言っていた。京都戦で見たあの負けん気の強さとは裏腹に、普段は実におっとりとしている。負けん気についても、意外なことを話してくれた。

「アスリートとして、どうかとは思うんですけど、個人的には負けず嫌いさが少ないんです。小さい時がそうだったんですけど、徒競走をした時に、負けたら普通、『もう一回!』ってなると思うんですけど、僕にはそれがないんです。負けたら、『ああこの人、凄いんだな』って思うだけなんです(苦笑)。大学時代も、後輩たちが凄く巧かったんですけど、抜かれても、全然気にしなくて『ああ、彼ら巧いんだな』って(苦笑)。でも、その中で、自分の役割であったり、出来ることを考えるんです。だけど、この意識もプロになって変わってきています。アピールすることも大事、合宿でそういったことも感じましたから。まぁ、もう少し、負けん気があったほうが良いんでしょうね(苦笑)」

何度も書くが、試合で見せる秋山の負けん気は相当なものだ。コートの上と、外とでこうも違うとは、まるでクラーク・ケントとスーパーマンのようではないか。そんな秋山に、休日の過ごし方を聞くと照れくさそうにこう答えた。

「趣味がないんですよ(苦笑)。映画をネットのオン・デマンドで観たりはしています。あとは、友達と食事にいっていますね。映画って1本、2時間ぐらいあるじゃないですか。スマホの小さい画面で観てると目が疲れてしまって…(苦笑)。ジャンルは、何でも観ます。アクション系や感動系、あとはサスペンス系も結構好きなのかな?グロテスクなのは好きではないんですけど、「ソウ」っていう映画も好きです。最後にああこうなるんだっていうところが気に入っています。最近「ジグソウ:ソウ・レガシー」も観ました。面白かったですね」

これまでに観た、一番心に残る映画や音楽は何?

「これっていうのを選べないんですよ。だから一番ってなると難しいな。『一番好きな食べ物は何ですか?』って聞かれても答えられないです(苦笑)」

では、ショッピングは好き?

「行けてはないんですけど、服とか買いにいきたいです。実は服に興味がなさ過ぎなんですよ。大学の時なんて、遊びもせず、ほとんど出歩かなかったので、私服なんて数えるほどしか持っていませんでした。これからは、いろんな髪型やファッションに挑戦していきたいです。休日はウィンドウショッピングをするのも良いかもしれませんね」プロ1年目の今季、どんなシーズンにしたい?

「チームとしては、チャンピオンシップに出ること。そして、日本一になりたいです。僕個人としては、与えられた役割をしっかりとこなせられる選手になりたい。チームの約束ごととして、ハードなディフェンスが出来ないといけません。ディフェンスは試合で勝つためには絶対必用なことです。ここはアグレッシブかつハードに、そしてスマートにやっていきたいです。オフェンスでは、外角のショットをしっかりと決め切って、貢献出来るようにしたい。そして、トムHCからこうして欲しいといわれたら、しっかりと形に表せられるようにしていきたいです」

秋山皓太からビーコルファンへメッセージ。

「長いシーズンの中で、良い時もあれば、悪い時もあります。今年は若いチームですから、壁にぶつかることもあるかもしれません。そういった時にファンの方々の応援や声援、時には厳しい叱咤激励が、僕たちにとって凄くプラスになってきます。応援というのは、凄い力を与えてくれます。僕たち選手は、目の前の一戦、一戦に全力をかけて闘っていきます。チームが勝つために日々全力で、自分の全てを出し切って闘っていきます。ぜひ会場に足を運んで欲しいです。そして、熱い応援をよろしくお願いします!」ビーコル期待のルーキー秋山皓太のホーム戦開幕は、10月11日(金)12日(土)横浜文化体育館での対秋田2連戦で迎える。また、10月19日(土)20日(日)におこなわれる対島根2連戦は横浜国際プールでの開幕だ。ホームのコートで躍動する秋山皓太の熱いプレーに注目したい。

ホーム開幕節秋田戦のチケット詳細、試合情報は、以下のリンクから確認出来る。

横浜ビー・コルセアーズ【観戦ガイド】2019-20シーズン・ホーム開幕戦 秋田ノーザンハピネッツ戦【10月11日&12日】
https://b-corsairs.com/news/game_20191011_2019012/

【取材・記事・写真/おおかめともき】


Written by geki_ookame