「自分の成績は二の次。とにかくチームが勝つことだけ」献身的なイズムを持つ陽気なナイスガイの素顔とは。
開幕戦前日の10月5日にビーコルは、ジャボン・マックレアの獲得を発表した。ジャボンはニューヨーク生まれの25歳(11月5日で26歳になる)。NCAAニューヨーク州立大学バッファロー校を経て、ドイツ、フランス、プエルトリコ、イスラエルのプロリーグを渡り歩いてきた。
Bリーグでのデビュー戦は、開幕節第2戦となった富山グラウジーズとのアウェーGAME2での先発出場。ただ、この出場はまだ時期尚早だった。
この試合でジャボンは10得点。二桁得点こそ挙げたが、チームに合流してまだ2、3週間だったこともあって、ゲーム序盤はチームプレーにフィット出来ず精彩を欠いた。この理由を指揮官であるトーマス・ウィスマンHCは、アマンゼ・エゲケゼとチャールズ・ガルシア(10月26日に契約解除)が体調を崩したために、実戦準備がまだ完全ではなかったジャボンの起用を強行せざるを得なかったと明かしているが、その後のアウェー京都2連戦とホーム富山戦ではベンチ入り登録から外れてしまう。
しかし、第4節滋賀2連戦GAME1で先発するとここから先発出場が続き、徐々に調子を上げていった。試合に出れない間の気持ちを聞くと、ジャボンはこう答えた。
「自分がプレーしていないことで、特にがっかりしたりすることはありません。僕はチームプレーヤーなんですよ。辛かったのは、僕が試合に出ていない時にチームが勝てなかったことなんです。勝っていれば、僕が出ていても出ていなくても良いんですけど、勝てなかった時間が一番辛かったですね。」
この時期チームは開幕から5連敗。ジャボンが先発復帰した滋賀戦GAME1で今季の初勝利をようやく挙げて連敗をストップさせた。
「あの試合は、とても闘い抜いた試合でした。僕はリバウンドで貢献出来たと思います」
ティップオフ前のスターティング5紹介でジャボンは、ノリノリでコートに駆け出し、横浜国際プールのビーコルブースターにアピールしていた。
「何試合か出れていなかったので、自分の中でやっと、このチームを助けるチャンスが来たと思いました。チームも勝って、僕もしっかりと自分の仕事が出来たと思います」
この試合でジャボンが挙げたスタッツは9得点だったものの7本のリバウンドで初勝利に貢献。翌日、チームが劇的な逆転勝利で今季の初連勝を決めたGAME2では19得点7リバウンドをマーク。この2日後におこなわれた10月24日第5節ホーム新潟戦では、初の20点台となる24得点(6リバウンド)をマーク。
10月27日アウェーSR渋谷2連戦のGAME1、チームは激しい接戦を制して勝利。ジャボンもこのチームの3勝目に、身体を張って大きく貢献した。
「タフな試合でした。本当にフィジカルな試合で、相手選手の多くが身長が高く、ゴール下が本当に重要でした。1Qで相手がリードを奪って、それでも僕たちがゲームプラン通りにプレーしていって、最後に勝利することが出来た。これからも続けていきたいことです」
この試合でジャボンは、最長の35分12秒にわたってコートに立ち、自身よりも高さがある元NBAプレーヤーのロバート・サクレらが仕掛けて来た激しいディフェンスに勇猛果敢なインサイドアタックで挑み、25得点をマーク。さらにはリバウンドも11本奪って初めてのダブルダブルも記録している。
「前節の新潟戦で負けていたので、あの試合は本当に勝ちたかったんです。エナジーを全開でやったことが、あのスタッツに繋がったと思います」
その後の新潟2連戦では、前日の練習で足のコンディションを悪くしてベンチ入り登録を外れたが、復帰した三遠戦ではオフェンスで躍動して、来日後最多、初の30点台となる32得点を挙げた。
滋賀戦GAME1後では自身の仕上がり具合をこう語っていた。
「65~70%ぐらいの出来でしょうか。これからしっかりとやって100%のコンディションに戻せれるように努力していきます」
この言葉に偽りはなかった。その後、タイトな試合スケジュールの合間をぬっておこなわれた決して潤沢とはいえない練習期間で、どんどんと調子を上げていった。その理由をこう語る。
「スキルトレーナーのフェスさん(フェス・アービン)とコンディションを上げるために毎日練習をしているお陰です。でも、僕は特に得点や数字にはこだわりがないんですよ。チームが勝つこと、これだけが最優先なんです」
ジャボンに、自身のアピールポイント尋ねると少し考えてからこう答えた。
「一言で言い表すのが難しい質問です。というのは、僕はいろんなことが出来る選手です。アタックしなければいけない時にはアタックします。リバウンドを取って欲しいと言われればリバウンドを取る。スティールして欲しいと言われればスティールします。プレーでは、とにかくチームの勝ちにこだわっています」
「チームが勝つために、何が最優先されるのかということを常に考えてプレーしているので、そういったところを楽しみに観て欲しいですね」
チームの勝利だけにこだわるジャボンは、このチームでやるべき役割をよく理解している。それが、いま彼が抱えているもうひとつの課題だという。
「僕が馴染まないといけないと考えたのは、日本のバスケットボールです。日本のバスケットボールは本当に独特で、他の国でやってきたバスケとはまた違いますが、試合はとてもフィジカルです。僕自身フィジカルな選手だと思っているので、このことは僕にとって有利です。チームはここから勝っていかなければなりません。このチームは得点を取れる選手が揃っています。僕が彼らをどれだけ活かしていけれるかというのも、僕が持っている課題です」
質問を変えて、プライベートのことを聞いた。初めてのジャパニーズ・ライフはどうだろうか。
「日本は初めてです。東京にも行きました。(生まれ育った)ニューヨークみたいですね。この前はビンテージのシューズ屋さんに行って、新しいYEEZYを見て回りました。楽しんでます」
どうやら、スニーカーマニアで、沢山の貴重なお宝をコレクションしているようだ。ジャボンはニヤリと笑ってこう続けた。
「そうなんです!でも、ついこの前に集めたシューズを全部捨てたんですよ。もう一度最初からコレクションし直すんです(笑)」
なんと、これまで集めた貴重なコレクションを全て手放して、もう一度集め直すというのだ。
「日本でプレーするのは、初めてですからね。僕にとっての新しいスタート。再起動なんですよ」
では、日本食はどうだろう。
「これまでも日本食は好きだったので、やはり本場は美味しいですね。アメリカでもお米や麺、アジア料理も食べていましたから、馴染みがあるんです」
特にお気に入りの日本食は?
「麺、ラーメンですね!!あとは揚げたチキンや、チャーハンが好きなんだけど、これって日本食なの?」
少なくともチャーハンは中華料理だが、どうやらジャボンにとっては日本食も中華料理も全てアジア料理になるのだろう。まぁ日本のチャーハンもローカライズされて今や日本食かもしれない。
「チームメイトといろいろ食べ歩いています。この前いった焼き肉も美味しかったです。自分で焼いて食べるんですよ!とても楽しかったです」
話を戻そう。ジャボンにとって、ビーコルはどんなチームだろうか。
「いいチームです。みんな、とてもいい人たちばかりでオープンです。僕のことも迎え入れてくれました。みんなといろんなジョークを言い合ってます。僕にとっても、いいシーズンになりますね」
そしてジャボンは、ビーコルブースターにメッセージを送ってくれた。
「ビーコルブースターの皆さん、いつも応援ありがとうございます。皆さんは本当に素晴らしいです。厳しい時であっても、皆さんが応援してくれているのは、僕たちにとってスペシャルなことです。皆さんがいなければ、試合は出来ません。本当に自分たちの力になっています。感謝しています。皆さんを喜ばせるために出来る限りのことをします。ビーコルブースターの皆さんを愛しています!
初めてインタビューしたジャボン・マックレアはとても気さくで陽気、なおかつ真面目なナイスガイだった。彼の持つイズムは、常にチームが勝つことだけに集中すること。チームの勝利だけが最優先で、自身の成績は二の次。これだけでもビーコルは、素晴らしい選手を獲得したといえる。
インタビュー後にジャボンを撮影した時、「最近、僕のお気に入りのポーズがあるんです」と自ら切り出し、このポートレイトに収まった。
「これ、ジャボンポーズっていうんですよ(笑)」
ジャボンをアリーナで見つけたり、彼が活躍したり、シュートを決めた時には、是非このポーズをしてみて欲しい。彼をハッピーにさせて、さらなる力を与えてくれるはずだ。
【インタビュー・写真・記事/おおかめともき】
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