ガルシア21得点、川村2試合連続20点台も、開幕節連敗でウィスマンビーコルのスタートダッシュならず。
2018-19シーズン開幕節・GAME2(10月7日 富山市総合体育館)
富山グラウジーズ 101-77 横浜ビー・コルセアーズ
34-12|27-18|23-21|17-26
横浜ビー・コルセアーズは、10月7日アウェー富山市総合体育館で富山グラウジーズと開幕節GAME2を闘い100点ゲームを喫した24点差で大敗した。新生ウィスマンビーコルの船出は連敗スタートとなった。
昨季、B1残留を決めた因縁の相手富山に開幕節でいきなりの手痛いしっぺ返しを食らってしまった。昨シーズン4勝2敗と勝ち越していた富山と、連勝もした験のいいアウェー富山市総合体育館での激突となった2018-19シーズンの開幕節。ビーコルはスタートダッシュを狙ったが、今季ベテラン勢で固めたグラウジーズにこっぴどくやり返されてしまった。
前日の開幕戦で、富山に新加入したジョシュア・スミスひとりに39得点を入れられた12点差で開幕戦を落としていたビーコルだったが、このGAME2での修正が注目されていた。
また開幕戦前日に獲得が発表されGAME1でのベンチ入り登録が見送られていた#12ジャボン・マックレアが、#8アマンゼ・エゲケゼに代わって登録されて初先発。10得点を挙げたが、合流して間もない新戦力は序盤でフィットせず、チーム共にミスが目立つ立ち上がりとなってしまった。
チームディフェンスの課題が露呈した101失点だった。前半だけで31点のビハインドを背負うワンサイドゲームとなり、ディフェンスの崩壊は順調だったオフェンスにも悪影響が及んだ。得点は前日の82得点を下回る77得点に留まり、開幕節へ向けて熟成させてきたはずのチームは、この試合でも自分たちのバスケを発揮することが出来ず、前日以上の大敗を喫してしまった。
この試合でウィスマンHCはスターティング5を大幅に変更。#0細谷将司、#1川村卓也、#12ジャボン・マックレア、#25竹田 謙、#36チャールズ・ガルシアの布陣を敷いた。
1Q、ビーコルはディフェンスを前日に多用したゾーンディフェンスからマンツーマンに変更。しかし開始早々にディフェンスの隙きを突かれてしまう。富山#0ライオンズにミドルシュートを決められ先制を許す。ビーコルは直後、マックレアが外したミドルシュートをガルシアがオフェンスリバウンド。これを#1川村がレイアップで沈めて同点にした。
しかしこれも直後、今度はノーマークの富山#34スミスにセカンドチャンスから2Pシュートを決められ富山がすぐさま勝ち越し。ビーコルはここからシュートミスからオフェンスリバウンドを多く奪われ、修正したはずのディフェンスも淡白になってしまった。富山はこれを逃さず得点に繋げて11-0のランを決めた。
6分14秒にガルシアが自身のオフェンスリバウンドから2Pシュートを沈めてランがストップ。
4分33秒には、新加入マックレアが、ガルシアのアシストからインサイドに切り込みバスケットカウントを奪う2Pシュート。これが来日初得点となった。
以降、高島一貴のレイアップ。川村、湊谷の2Pシュートで追撃したが、シュートミスで奪われたリバウンド、パスミスからのターンオーバー、スティール、ルーズボールからの失点が目立ってしまう。富山の勢いを止められず、1Qだけで大量34失点。出だしのクォーターでいきなり22点のビハインドを背負ってしまう
2Q、ビーコルはゾーンディフェンスに変更したが、出だしから富山#24大塚に3Pシュートと2Pシュートを決められたのをはじめとして、外角を狙われてしまい失点を止めることが出来ない。
9分21秒にマックレアが体を張ったインサイドの粘りで2Pシュート。4分17秒と3分11秒に川村と竹田が連続3点バスケットカウント。竹田のバスケットカウントは、マックレアが宇都のシュートを阻止した好ブロックから得たものだった。
1分の時間帯では、ガルシアが内外から打って連続2Pシュート。終了間際1秒で川村がアウトサイドから2Pシュートを沈め2Qは18得点を入れた。
ビーコルは2Q中盤で、ディフェンスをマンツーマンに戻してオフェンスの流れを作った一方で、失点も続いてしまい立て直しが思うように出来ない。2Qは18-27。トータルスコアは30-61となった。1Qで背負った大量ビハインドと、さらに続いた失点で差はさらに開いてしまい前半を31点のビハインドで折り返した。
3Q、川村、高島らのアグレッシブなディフェンスで流れを作ったが、富山#6船生に3点バスケットカウントと3Pシュートを続けて許す。船生には4分の時間帯にもオフェンスリバウンドから2Pシュートを許した。
このクォーターで高島は、チームに喝を入れるようなアグレッシブさを攻守で見せた。6分12秒には船生の2Pシュートを気迫のブロックショットで阻止して流れを作った。
ビーコルは、3Qの序盤で得点が停滞したが、7分6秒に川村が3Pシュート。6分30秒と5分52秒にガルシアがインサイドから連続して2Pシュート。
5分19秒には田渡がペイントエリアに切り込んで2Pシュート。3分58秒にはガルシアが倒れながらにタフショットを沈めて、フィジカルの強さを見せた。
2分6秒に川村に代わってハンターが入り、ウィスマンHCはこの時間帯から4Qの途中まで、細谷、田渡、ハンターのポイントガード3選手の同時併用を敢行して、ディフェンスをゾーンに変更した。
その中で田渡が、いい動きを見せた。1分32秒に執念を見せたダブルクラッチでのレイアップ、1分14秒にも連続してレイアップを決めた。
残り41秒ではハンターが、田渡のパスからペイントエリアに果敢に切り込んで2Pシュートを沈めて今季初得点とB1初得点をマークした。
3分11秒には、この試合でここまで出番のなかった小原 翼が古巣のコートに立った。小原はコート下でのディフェンスで体を張り、恩返しとばかりに巨漢スミスを苦戦させた。3Qは、21-23。トータルスコアは51-84となり、ビハインドは33点に広がった。
4Q、ポイントガード3人、ゾーンディフェンスは続行された。外角からの3Pシュートを許した一方でオフェンスでの流れも生まれた。8分22秒にハンターがスティールを奪い、フリーになったペイントエリアに突進したガルシアに絶妙パスを送って、ガルシアは右手でダンクを決めた。(8分38秒に細谷が川村と交代。ポイントガード3人はここで解除されている)
7分40秒と5分11秒に、川村が2Pシュート。6分52秒と6分19秒にはモリスが連続して2Pシュート。モリスはさらに3分58秒にも2Pシュートを沈めた。
4分42秒に田渡が3Pシュート。3分16秒に川村がアウトサイドから2Pシュート。2分38秒にガルシアが2Pシュート。2分01秒と1分にはマックレアが連続して2Pシュートを沈め、最終クォーターでビーコルは26得点を入れた。
4Qは、25-17でビーコルがこの試合で初めてリードを奪ったが、1Qでの34失点が大きく響いた。ファイナルスコアは77-101。厳しくも屈辱の100点ゲームを喫してしまい開幕節は2連敗となった。
勝った富山はこれがBリーグ3年目で初めての開幕2連勝。また挙げた101得点はB1でのチーム最多得点記録となった。
ビーコルのスコアリーダーは21得点(8リバウンド・4アシスト)を挙げたチャールズ・ガルシア。
2番手は、前日のGAME1に続けての20点台となる20得点(5アシスト)を挙げた川村卓也。田渡 凌が11得点と続いた。
来日初出場となったジャボン・マックレアは、序盤でこそチームプレーでのフィットに苦しんだが、徐々にペースを上げて10得点5リバウンドを挙げた。
またハンター・コートが、3QにB1初得点をマークしている。
エドワード・モリスは6得点に留まったが、12リバウンドで貢献した。
試合後に会見に応じたトーマス・ウィスマンHCはこの大敗をこう総括している。
「スタッツを見る限り、我々のディフェンスがあるべきところにない。このリーグで闘うためには、まだ不十分なレベルだ。私のチームはディフェンスの強度をあげてやることで有名だが、今のこのチームはまだその段階に達していない。教える私の責任もあるが、このチームには一からディフェンスを教え込むことが最優先だ」
新戦力マックレアは序盤にチームプレーのフィットに苦しんだが、指揮官はこのことをこう話している。この開幕節は、今季富山から移籍してきた橋本尚明が不在。今回喫した連敗の裏には、これに加えてさらに苦しい台所事情があったようだ。
「マックレア選手は合流して2、3週間になるのだが、彼のコンディションは試合への準備がまだ出来ていない状態だった。それにもかかわらず、先週にアマンゼ選手と、マックレア選手の二人が体調を崩してしまった。アマンゼ選手を2試合続けて使うことはコンディション的に難しく、まだ実戦準備が出来ていないマックレア選手を使う決断をした。ただ、これを言い訳にはしたくない」
次節アウェー京都戦を挟んで、ホーム開幕戦で再び富山と再戦する。このことについてウィスマンHCはこう語った。
「我々は、毎試合、1試合1試合をしっかりと闘っていかねばならない。3試合先の試合を考えている余裕はない。今週の反省点をしっかりと活かして、来週の相手にどれだけアジャスト出来るのかが課題だ。富山への再戦、リベンジといったことは考えていない。今は相手にかまっている余裕はない。自分たちが何をしなければいけないのかが最優先。1試合1試合をしっかりと闘っていくことだけだ」
ビーコルとグラウジーズは、共に今季からヘッドコーチが変わり、選手も大幅な入れ替えをおこなった。前回聞いたウィスマンへのインタビューで指揮官はこのことを、即戦力で経験値のあるベテラン勢を集めた富山と、将来性とのびしろの大きい若手を集めたビーコルと語っていたが、今回はその差が歴然と出た形となってしまった。
またウィスマンとグラウジーズの新指揮官ドナルド・ベックHCにも共通するところがある。ウィスマンは栃木をB1初代王者に導いた名将であり、ベックは2011-12シーズンにアルバルク東京の前身であるトヨタ自動車アルバルクを優勝に導いた名将だ。
「富山はいいコーチを招聘した。ベックHCは選手たちの良さをしっかりと活かした起用をした。経験値のある選手たちが多いぶん完成度が高かった。今の我々との差を感じた」
一方のドナルド・ベックHCは、2試合対戦したビーコルのことはまだ評価出来ないというが、ウィスマンにはシンパシーを感じているようだ。
「まだ2試合しか終わっていないので、他のチームのことは分からない。ただ、ウィスマンHCも新しい選手が多く入って、自分と同じ状況なのではないか。これから自分たちも、横浜も、チームとして成長していくと思う」
ビーコルを優勝出来るチームへと押し上げるために来たウィスマンは、スクラップアンドビルドでビーコルを立て直している。今回の富山との2試合はそれがまだスタートしたばかりであり、時間を要する完成形へ道のりは長く険しい。ただ、ひとつひとつのプロセスがこのチームを進化成長させ、チームとして成熟させていくことだけは確かだ。今回の大敗を次にどう活かすか。次節、海賊たちは10月12日(金)と13日(土)アウェーハンナリーズアリーナで、京都ハンナリーズと2試合を闘う。
【写真・記事/おおかめともき】