2Q細谷のシュート6本17得点の大躍動実らず。最大22点のリードも連勝ならず痛恨。
2018-19シーズン第6節・GAME2(10月28日 青山学院記念館)
サンロッカーズ渋谷 77-73 横浜ビー・コルセアーズ
17-26|19-25|16-6|25-16
横浜ビー・コルセアーズは、10月28日アウェー青山学院記念館で、サンロッカーズ渋谷と第6節GAME2を闘った。日曜日の試合とあって2,277名の観衆が訪れ、ビーコルブースターも多数駆けつけてチームを後押しした。
ビーコルは、前半で細谷将司の連続シュートなどで15点のリードを奪い主導権を握ったが、後半SR渋谷のディフェンスに苦戦して得点が停滞。追加点を奪えないまま突入した4Q中盤で逆転を許し、リードを守る大事な最終盤で川村、マックレア、モリスの主力3選手がファウルアウトする中で数回にわたるファウルゲームに出たが再逆転はならず悔敗。今季2度目の連勝を逃した。3Qで6点しか奪えなかったのが響いた。ビーコルは3勝7敗となり、三遠と勝敗数で並んだ。得失点差-59対-91でビーコルが上回るためビーコルの中地区5位は変わらず。
前日のGAME1後半で敷いたマンツーマンディフェンスでSR渋谷を苦戦させ接戦をものにしたビーコルは、GAME2でもマンツーマンを継続するかが注目されていたが、相手の裏をかいたトーマス・ウィスマンHCは一転してゾーンディフェンスを要所に敷いて連勝を狙った。しかし今度はマンツーマンでやれてしまい、前日とは真逆の展開となった4Qに手痛い逆転負けを喫して連勝を逃してしまった。土日で同じチームと続けて試合をおこなうBリーグで連勝することの難しさを痛感する悔敗となった。
この試合のスターティング5で、ウィスマンHCはオンザコート3を使わず、高島一貴を起用。川村、高島、エゲケゼ、マックレア、田渡の布陣を敷いた。
1Q、ベンドラメの2PシュートでSR渋谷が先制。以降杉浦にゾーンディフェンスの外を突かれて2本の2Pシュートを許したが、エゲケゼの3Pシュートで最初の得点を入れるとリバウンドからマックレアの2Pシュート、川村の外からの2Pシュートで同点。5分には高島がアウトサイドから2Pシュートを決めて勝ち越しに成功する。
さらには田渡 凌が3Pシュートと2Pシュートを続けて畳み掛けた。4分には川村が3Pシュート。以降も田渡、マックレア、エゲケゼが順調にシュートを決めて得点をかさた。
前日の序盤で失点を重ねたゾーンディフェンスは修正されて機能し、リバウンドから得点を生んだ。また前日で成功率が上がらなかった3Pシュートも1Qで4本、66.7%と精度を上げた。1Qは17-26。ビーコルが9点のリードを奪いゲームの主導権を握った。
2QでウィスマンHCはマックレアを下げて細谷将司を入れた。8分に帰化選手エドワード・モリスが内外から続けて2Pシュートを沈めると、ここから細谷が神がかり的な躍動を魅せる。7分6秒にセカンドチャンスから入れた2Pシュートを皮切りにして6分20秒に3Pシュート、5分46秒にレイアップから3点バスケットカウント、4分57秒と4分3秒に3Pシュート、さらには2分4秒にも3Pシュートを沈めて、このクォーターで3Pシュート4/5本(成功率80%)、2Pシュート2/2本(成功率100%)を入れて、一挙17得点を挙げてSR渋谷を一気に引き離した。2Qは25-19。トータルスコア51-36、15点のリードを持って前半を終えた。
後半、この大量リードで波に乗るかと思われたビーコルだったが、ディフェンスを修正して強度を上げてきたSR渋谷に苦戦。3Qで入れた得点は、高島とマックレアが入れた3本の2Pシュートのみのわずか6得点。思わぬ大失速となってしまった。
ディフェンスは引き続き機能して16失点に抑えたものの、これでリードが5点にまで縮まってしまった。3Qは6-16。トータルスコアは57-52。ビーコルはファウルも多く取られここまで7選手がファウル2つ。4Q開始早々に、エゲケゼが満原のジャンプショットをブロック。そのリバウンドからレイアップを決めた。
しかし、ここからベンドラメに2フリースロー2本と2Pシュートで得点を許し、7分にはサクレのダンクで遂には1点差にまで迫られてしまう。さらには6分58秒、ビーコルはディフェンスをマンツーマンに変更したが、サクレにペイントエリア手前から2Pシュートを入れられSR渋谷が逆転。
最大22得点差をひっくり返され、追う展開となったビーコルはマックレア、細谷らのシュートで得点。しかし、ファウルから広瀬とサクレにフリースローを奪われ、この4本全てを決められる。サクレにはこのクォーター2本目となるダンクも許しビハインドが広がった。
4分にマックレアがファウルアウト。ビーコルは川村のフリースロー2本と3Pシュートで追撃。残り18秒、エゲケゼが3Pシュートを沈めて差を1点にまで詰めた。
残り17秒、川村がサクレにファウルを仕掛けてファウルゲームに持ち込む。川村がはこれでファウルアウトになった。サクレはフリースロー2本を決めて3点差。
残り13秒、ビーコルが掛けたタイムアウト後に、細谷が3Pシュートを打って同点を狙ったがリングに弾かれてしまう。このリバウンド争いでモリスがサクレにファウルを仕掛けて再びファウルゲームに。しかしサクレはこのフリースローも2本とも決めて差は5点に。ビーコルは最後のタイムアウトを掛ける。
タイムアウト後の残り7秒、川村に代わってコートに立った橋本尚明が田渡のスローインからレイアップを決めて3点差にする。
ここでエゲケゼがサクレにファウルを仕掛けて3度目のファウルゲーム。サクレはビーコルブースターの激しいブースターディフェンスの中で1本を外した。
残り5秒で差は4点。残り1秒でエゲケゼが3Pシュートを打ったが弾かれてしまい無念のタイムアップとなった。SR渋谷は、これで連敗が6でストップ。今季2度目の勝利を挙げた。
ビーコルのスコアリーダーは、2Qで6本のシュートを入れて計19得点を挙げた細谷将司。以降は、アマンゼ・エゲケゼ15得点(9リバウンド)、川村卓也10得点(7アシスト)、ジャボン・マックレア10得点(7リバウンド、3アシスト)、田渡 凌9得点と続いた。
細谷は、勝利した滋賀戦GAME1で挙げた22得点以来のハイスコアも実らず、悔しい結果となったが、試合後にこう振り返っている。
「(敗因は)3Qが全てです。3Qに6点しか取れなかったことがこの敗戦に繋がってしまいました。前半では相手を10点台に抑えて、良いディフェンスも出来ていたのですが、後半に入った3Qのオフェンスで6点。ここで相手に勢いを与えてしまい、その流れで4Qに入ってしまいました」
「前半で大量リードして、みんなで気を抜かないで行こうと話していたのですが、どこか気持ちのズレのようなものがあったのかもしれません。チーム全員でもっと声を掛け合って、コミュニケーションを取り、集中して行っていれば、また違った結果になったと思います。起きてしまったことなので、本当に悔しいんですけど、これを経験したのでまたひとつ。シーズンの序盤にこういった経験が出来たことは大きいと思うので、ここからまたステップアップしていきたいと思っています」
また自身のスタッツについてはこうコメントしている。
「シュートが入って、ドライブでバスケットカウントが取れ、レイアップも全部入ったということで、凄く良い感覚が持てて、ゾーンに入ったという感覚がありました。あれで流れが出来たのですが、やはり3Q…。1回ハーフタイムを挟んで、相手も対策をしてきた中で、油断をしてはいけないことを僕自身が(キャプテンとして)まとめないといけない。声を出していかないといけない。これは反省点のひとつです」
トーマス・ウィスマンHCは試合後の会見で悔しさを滲ませ「disappoint」を繰り返した。会見は思っていた以上に長いものとなった。
「今日の試合は、「がっかり(disappoint)」の一言に尽きる。前半は非常に良いバスケットボールが出来ていた。それにもかかわらず、ハーフタイムで喜び過ぎ、自分たちのほうから浮足立ち崩れてしまった。自分たちがリードを取った時点で気が緩んでしまい、簡単に勝てると思い込んでしまったのが敗因に繋がった。1勝8敗の相手が必死に来るということが理解出来ていなかったのだ。勝つべき試合を落としてしまった」
「後半に相手がディフェンスの強度を上げてきた時に、ウチのガードたちがプレッシャーに対応出来なかった。どちらのチームがこの勝利を欲しているか。それは渋谷のほうだった。それが最終的に結果にあらわれ、向こうが勝ったと思っている」
「しかし、シーズンは長い。残念な結果のあとで自分たちがどう対応していくのかが重要だ。立ち上がらないで残念な結果のまま終わるのか、それとも、しっかりと立ち上がって、次に何をしなければならないのか、目的は何なのかをチームでしっかりと考えるのか。それはチームの個性となり色となる。チームの試練だと思っている」
「このチームは、まだ作り直している段階だ。だからこそ、こういった試合というのは必要だと思っている。今日のような試合を学ぶ機会にして、次は間違いのないようにしなければならない」
「このチームはどんどん良くなって来ている。0勝5敗からスタートして、直近5試合では3勝を挙げている。今日の試合も本来なら勝てた試合で負けるに値しない内容だ。チームは良い方向に進んでいる。ここからしっかりと成長させていく」
「強度の持続がこのチームの課題。前半(のリードで)非常に良いハーフタイムとなり、その時に『このハーフで満足するな。1勝だけで満足してはいけない』と話していたが、我々は人間であるから人間性が出てしまった。どこか安心して、満足してしまった部分が選手の中にあったと思う。そこにつけ込まれてしまい、ずるずると引きずられてしまった。これはこのチームが今日学んだことだ」
「非常に波乱な2週間だった。先週は24点ダウンから勝利し、今週は22点アップから負けた。この両方の波乱を経験出来たことは、次から活かせれることだと思っている。しっかりと次に挑みたい」
今回のこの悔しい経験は、チーム成長の糧となることは間違いない。進化成長を進める海賊たちは、次節ホーム横浜国際プールに戻り2連戦。中5日開けて前回やられた新潟とのリベンジに挑む。
【取材・写真・記事/おおかめともき】