国プ開幕戦で掴んだ今季初勝利の歓喜!覚悟を持って挑んだ全員バスケ。ディフェンスの改善で成果。
2018-19シーズン第4節・GAME1(10月20日 横浜国際プール)
横浜ビー・コルセアーズ 80-76 滋賀レイクスターズ
18-18|19-21|22-19|21-18
横浜ビー・コルセアーズは、横浜国際プールおこなわれた滋賀レイクスターズとのGAME1を接戦の末に80-76で勝利し、今季の初勝利を挙げた。開幕から続いていた連敗は5で止まった。
横浜国際プールの今季開幕戦で挙げた今季の初勝利に、アリーナ中が歓喜に湧き、弾ける笑顔に包まれた。まさに全員バスケで掴んだ新生ビーコルの2018−19シーズンの初勝利だった。
ビーコルは開幕から白星がなく、ここで負ければ6連敗。さらには前節富山戦で負傷したキャプテン湊谷安玲久司朱が「右ハムストリングス肉離れ」のために離脱。ウィスマンビーコルは覚悟を持ってこの試合に臨んだ。
アウェーでの京都2連戦から接戦を3試合続けて惜敗してきたが、この試合も最後までもつれる激しい接戦となった。オフェンスでは、開幕からここまでで最も速いパス回しでシュートを決めて、レイクスターズディフェンスを翻弄。シーズン当初に思い描いていたウィスマンのトランジションバスケが形になり成果を挙げた。
ウィスマンHCはこの試合でもスターティング5を変更してきた。チャールズ・ガルシアに代えて、開幕直前に加入していたジャボン・マックレアをベンチ入り登録させて開幕節第2戦以来となる先発起用。川村卓也、アマンゼ・エゲケゼ、ジャボン・マックレア、田渡 凌、エドワード・モリスといった布陣で臨んだ。
1Qからビーコルは、速いペースでのオフェンスを展開。出だしは8分の時間帯まで両チーム共に得点がない重苦しい立ち上がりだったが、8分12秒に田渡 凌が決めたレイアップでビーコルが先制。直後に狩野祐介に2Pシュートを許したが、アマンゼ・エゲケゼが3点バスケットカウントを2度決めるなどして、ビーコルはここから12-0のランを成功させて主導権を握った。しかし、中盤以降でインサイドでの失点を許し終盤には同点とされ、1Qを18-18で終えた。
2Qは一進一退の攻防となった。5分45秒、田渡のフェイントから川村がレイアップを決めると、5分7秒にはモリスがシュートフェイクから出したパスを細谷将司が3Pシュートで沈めて得点。ビーコルはシュートフェイクからのパスを多用して内外のシュートを決めて畳み掛けた。
2分47秒にはエゲケゼがこの試合3度目となる3点バスケットカウントを決めた。スコアが行き来する中で、1分27秒に橋本尚明が3Pシュートを沈めてビーコルが勝ち越ししたが、残り1分を切ったところで、荒尾にインサイドから2Pシュート、狩野に3Pシュートを決められ滋賀が逆転。2Qは19-21。トータルスコア37-39、2点ビハインドで前半を終えた。
3QでウィスマンHCは、エゲケゼ、マックレア、モリスのビッグラインナップと細谷将司と田渡 凌のダブルガードを起用。ゾーンディフェンスも駆使して執拗なディフェンスを仕掛け、滋賀の得点を10点台に抑えた。
1分17秒には、橋本に代わって、ここ数戦で出場のなかったハンター・コートを投入してこのクォーターの最後までプレーさせた。ハンターは4Qの頭もそのままコートに立って、持ち前のスピードを活かしたプレーで貢献し存在感を示した。
オフェンスでは滋賀のディフェンスに出来たスペースを逃さなかった。細谷将司が3Pシュートを沈め、マックレアは果敢にインサイドにアタックしてファウルを奪った。このクォーターも追いつき追い越されるシーソーゲームの展開となったが、残り1秒で細谷将司がブザービーターで3Pシュートを決めてビーコルが鮮やかに逆転。大きな流れを掴んで最終クォーターに突入した。3Qは22-19。トータルスコア59-58でビーコルが1点のリードを奪った。
1点をリードしたビーコルは、4Q開始早々からオフェンスで畳み掛け、9分49秒にモリスが2Pシュートを沈めると、エゲケゼが3Pシュートとダンクで流れをさらに大きなものにした。エゲケゼはディフェンスでも活躍。6分に狩野の2Pシュートを渾身のブロックショットで阻止して流れを渡さなかった。
滋賀が猛追を見せる中で、積極的なインサイドアタックを見せたマックレアと、内外から得点したエゲケゼが得点してリードを守ったが、2分22秒にフィッシャーが2Pシュートを決めて滋賀が1点差にまで肉薄。しかし、直後の2分2秒に細谷将司が3Pシュートを沈めてリードを広げた。
食らいつく滋賀はラワルの2Pシュートで2点差としたが、残り58秒、ファウルを奪ったモリスが、勝負どころのフリースロー2本を確実に決めて4点差。さらにはタイムアウト後にマックレアと交代した田渡が残り21秒に6点差に突き放す2Pシュートを沈めてダメを押した。滋賀は残り13秒で二ノ宮が2Pシュートを入れたが反撃はそこまで。タイムアップを待たずしてビーコルの今季初勝利が決まった。
ビーコルのスコアリーダーは、22得点を挙げた細谷将司。3Pシュートは実に6本を決めた。このことについて細谷はこう語っている。
「1本目のシュートが気持ちよく打てたことが大きかった。自分の中でアーチが高く打てたので、それでいい感覚が掴めた。あとは、みんなが良いパスをくれました。それを決めることが出来て良かった」
以降は、アマンゼ・エゲケゼが21得点(5リバウンド)、田渡 凌12得点、初先発のジャボン・マックレアは9得点7リバウンド。川村卓也は5得点にとどまったが、アシスト9で貢献した。
ウィスマンHCは試合後の会見でこう振り返っている。
「やっと勝てた。0勝5敗だったが、もし0勝6敗になっていたら、もう耐え切れなかった。選手たちも頑張ってくれた。0勝6敗にはしないという強い気持ちで挑んでくれた」
「今日の試合ではディフェンスが改善された。しっかりと相手の得点を止めて、シュート成功率も39%に抑えた。これまでの試合では、50%台だったのが、39%に抑えることが出来たことが大きい」
「明日、修正しないといけないのは(今日、22本取られた)オフェンスリバウンドだ。明日しっかりと修正したい」
「いろいろな選手が、今日は絶対に負けないという覚悟を持ってプレーして、活躍してくれた。細谷選手は3Pシュートを6/10で決めてくれたし、エゲケゼ選手は今日もしっかりと成長して、良い数字を残してくれた。彼の成長はまだまだ続いている。川村選手は得点こそ少ないが、9本のアシストでボールをしっかりと回してくれた。12得点を挙げた田渡選手は、我々がリードを4点にした時の大事なレイアップを決め切ってくれた。モリス選手は、必要な時のフリースローを2本確実に決めてくれた。あそこで試合が決まった」
「今日の試合は、ようやく私のディフェンスに近付けたと思っている。1Q、3Q、4Qを20点以内に抑えた。2Qに関しては最後18点だったにもかかわらず、ゾーンでカバーが出来なかったために最後に3Pシュートを決められてしまっての21点だった。私のディフェンスでのゾーンディフェンスは、ゾーンをしっかりとやっていけば、3Pシュートも守れる。ディフェンスで20点以内に抑えることが私の理想だ。これを継続していきたいと思っている」
マックレアを先発起用した理由についてはこう明かしている。
「5番でインサイドの強化をすることが、ここ数戦での課題だった。そこで今日マックレア選手を起用した。まだ彼は完全な状態ではないが、良い仕事をしてくれた。最後のクォーターでオフェンスリバウンドを何本か取られてしまった時に、本来であればマックレア選手を入れて、ディフェンスリバウンドをしっかりと取り切るという場面だったが、オフェンスとディフェンスが止まらなかったために少しラグが発生してしまった」
また3Q終盤と4Q序盤でのハンター・コート投入についてはこう語っている。
「あの時間帯の、二人のガードの動きがあまり良くなかった。そこで若い選手、若いエナジーを入れようという意図だった。また、オープン3で打たれていたのが目立つ状況だったので、しっかりと上に付かせて、オープン3を止める意図もあった」
「ハンター選手の強みは、ボールをプッシュ出来ること。彼はリバウンドを取ったあとに、ボールをしっかりとプッシュ出来る。今日、彼が出た時間帯では、2、3本良いファストブレイクのシチュエーションが出来た」
「私のチームというのは、固定メンバーはいない。選手みんなにチャンスがある。使った時に選手がしっかりと結果を出すというのが、私のチームのやり方だ。それは選手たちにも伝えている。出た時にしっかりとプレーするという指示だが、今日のハンター選手は、自分の出た時間帯でしっかりと良い仕事をしてくれた」
細谷将司キャプテンは、この勝利をこう振り返っている。
「今日の勝因は、やはりディフェンスで相手を70点台に抑えることが出来たこと。これが一番大きいと思います。課題であったディフェンスを改善出来て、相手の得点を3つのクォーターで10点台に抑えることが出来ました」
「あとは、自分たちの持ち味でもあるリバウンド、ディフェンスからの素早い展開、トランジションのバスケットを展開出来たということも、今日良かったと思います」
この日、6本の3Pシュートを決めて22得点を挙げた細谷だが、そのプレーひとつひとつに大きな覚悟が感じられた。このことを聞くと細谷はこう答えている。
「アレクさん(湊谷安玲久司朱)がいない中で、タクさん(川村卓也)とタケさん(竹田 謙)が、試合前に、『このメンバーで勝っていこう。誰がいないとか関係なく、今のこのメンバーで勝つことが大事なんだ。そして強いチームというのは、アップからみんな集中している』とタクさんとタケさんが言ってくれたんです。ベテラン二人がコート以外のところでも、チームを引っ張ってくれたお蔭で、皆がひとつになれました」
「僕自身もキャプテンとして、アレクさんがいない中で、プレーで、コートで、示していかなければならないという強い思いがありました。これはキャプテンになってからも思ってきたことですが、チームが苦しい中で、誰かが思い切ってプレーをしなければならない。僕自身アグレッシブに行こうという気持ちでした」
細谷キャプテンは、連勝を目指す明日のGAME2に向けてこう意気込んだ。
「まだ1勝なので、明日もあります。みんな、もう明日に向けて切り替えています。明日も勝つゲームが出来ると思っています。チーム一丸でやっていけば出来る。期待していてください」
ウィスマンビーコルは、この勝利で大きな自信を得た。成長途上のチームにとって、これは大きな収穫であり大きな推進力となる。海賊たちはGAME2で次なる目標、今季初連勝を目指す。
【取材・写真・記事/おおかめともき】