昨季に芽生えたリーダーシップ。若返ったチームで「僕らしく、声を出して」。
今季より湊谷安玲久司朱と共にダブルキャプテンを務めることになった横浜ビー・コルセアーズ#0細谷将司に話を聞いた。
細谷は、ビーコルに来て今季で3シーズン目を迎える。今季からヘッドコーチが栃木ブレックスを優勝へ押し上げた名将トーマス・ウィスマンに変わり、チームも一気に様変わりした。海賊が誇る3年目のポイントガードは、今季のチームにどんな手応えを感じているのだろうか。
「一番は若返りを図ったことです。練習でもハードワークをする選手ばかりで、誰一人手を抜きません。チームの勝利に貢献したいという強い気持ちを持った若い選手ばかりです。今季は例年に以上に気持ちの熱いチームになると思います」
「新加入のメンバーたちがどういう人なのかは、だいたい分かりました。一緒にご飯に行ったり、練習中もコミュニケーションを取りながらやっています」
そのルックスから子供から大人まで、幅広い層から『マーシー』と呼ばれる人気者の細谷は10月2日に29歳を迎える。若く見える細谷だが、若いチームになって一気に中堅選手になった。
「これまでと比べて自覚が全然違います。昨シーズンの終盤あたりから、僕自身このチームを引っ張っていかないといけないという気持ちが芽生えていました」
「もちろんそれまでも、昨シーズンはスタートから出させて頂いていたので、そういった気持ちはありましたが、さらに強く思うようになった。今シーズン、チームが若返って、中堅として、ポイントガードとして、リーダーシップを発揮しないといけないというのが、またさらに凄く強くなったんです」
そして、その強い想いと自覚はひとつの形となる。チームは今季より、ダブルキャプテン制度を引いた。細谷は、湊谷と共に務めるもう一人のキャプテンに指名された。
「キャプテンのお話を頂いたときは、選手として、人として、そういうふうに見てもらえている、期待してもらっているのが嬉しかったです。より一層の強い気持ちと自覚が必要だと思っています」
「中学の時にキャプテンをやったことはありますが、キャプテンはそれ以来です。今季、キャプテンを二人でやるのは、毎日の練習で高いモチベーションをずっと維持するということは、やはりそれぞれ人間なので、なかなか難しいことなんです。そういう時に、もう一人のキャプテンが支える。二人で支え合って、チームを高めていこうということなんです」
プロになって初めてのキャプテン。細谷は重責を担うことになる。
「キャプテンになったことを重く捉えてしまうと考え過ぎてしまうので、僕らしく声を出してリーダーシップを発揮していこうと思っています。去年からイメージは出来ています。ベテランのメンバーも経験豊富な選手ばかりです。アレクさん(湊谷安玲久司朱)も経験のある方なので、みんなで力を合わせて良いチームを作っていきます」
チームは、今季からウィスマン新体制になった。新キャプテンはどう感じているのだろうか。
「トムは、アップテンポなバスケットを主体としています。練習もテンポよく進んで、あまり休憩がありません(苦笑)。どんどんどんどんメニューが進んでいくんです。次!また次!と皆がまいってしまうほどの猛練習なんです。トムは練習の時からオフェンスのテンポを意識しています。練習していて、それを凄く感じています」
ディフェンスに集中するヘッドコーチトーマス・ウィスマンは、このチームにチームとして走り、ディフェンスをすることを強く求めている。稚内でのプレシーズンゲームレバンガ北海道戦GAME2でウィスマンビーコルなってようやく初めての勝利を挙げたが、稚内の2試合で見せたオフェンスでのスピード。ディフェンスから流れを作り得点する場面が多く見られた。
「走るのはもちろんなのですが、トムのバスケットはディフェンスを強く意識しています。速攻を出すにはディフェンスで止めないといけないので、ディフェンスをきちんとやることを僕自身も特に意識しながらやっています」
3シーズン目もビーコルで闘うことを選んだ細谷。彼はその理由をこう語った。
「トムのもとで出来ることも、もちろんありますが、僕自身同じチームで3シーズン続けてプレーした経験がありません。いろんなチームを経験してきていますが、ひとつのチームに長くいたことがないんです」
「一番は、地元で出来ることが僕にとって一番の魅力です。地元の人々からの反響も大きくあります。神奈川にいてバスケをすることで恩返しも出来ます。だからこそ、地元の神奈川で勝ちたい。このまま負けたままで、神奈川を去るわけにはいかないんです」
そう語った細谷の瞳には燃えたぎる炎が見えたような気がした。スピード、走る、そしてディフェンス。ウィスマンがチームに要求するものは、細谷将司が持つ、持ち味に合致する。キャプテンとして挑むビーコル3シーズン目にかける意気込みはこうだ。
「もう、勝つことです!それに限ります。とにかく勝って、ビーコルブースターの皆さんに喜んでもらって、試合が終わったあとに勝ってよかったねと満足してもらいたい。来てくれた皆さんみんなが笑顔になって帰っていく。そんな試合をひとつでも多く出来るチームにしていきたいです」
最後に細谷は、ビーコルブースターにメッセージを送ってくれた。
「僕らに付いて来てくれて、本当に感謝しています。今シーズン、チームはガラッと変わりましたが、もう一回僕らのことを信じて付いて来てくれれば、必ずいい思いをさせます。今シーズンも共に闘っていきましょう!」
トーマス・ウィスマンのチームでこそ、細谷の持ち味は遺憾なく発揮されるだろう。ビーコル3シーズン目でダブルキャプテンとして闘う今季、細谷将司はこのチームを全力で引っ張っていく覚悟だ。
【インタビュー・写真・記事/おおかめともき】
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