まだまだこれから!必ず勝って浮上し、チャンピオンシップで田臥勇太との再戦を目指す!
平塚での栃木ブレックス戦GAME2後に激闘を終えたばかりの細谷将司に話しを聞くことが出来た。初めて話をした細谷は想像した以上の好青年で、“マーシー”というニックネームにふさわしい選手だった。
栃木ブレックスの司令塔でありジャパニーズNBAプレーヤーのパイオニアである田臥勇太は細谷の憧れの存在だ。田臥勇太のことを細谷は、目を輝かしながらこう語った。
「本当に夢を与えてくれた選手なんです。僕がバスケットボールを始めたときが、ちょうどNBA(フェニックス・サンズ)に行かれたときだったんです。夜中にフェニックスの試合があって、勇太さんが試合に出たのを観て、ああいつかこういう風になりたいな、いつかこの人と対戦して、いつか越えたいなっていう想いをずうっと持っていたんです」
その夢を細谷は叶えた。大きな夢を持って、血の滲むような努力と切磋琢磨で遂に憧れの選手と同じコートに立ち対戦する夢を実現した。
「今こうして闘えていることが、自分の中では、本当に奇跡のように感じますし、でも想い続けたからこそ、ここに今いるんだというふうに思っているので、だからこそ、勝たなければと思っています。その中での敗戦だったので、まだまだ僕自身の力が足りないなというのを凄く痛感した2日間でもありました」
背番号も同じ“0”である田臥とは去年初めて対戦し、マッチアップは今年が2度目だった。
「毎年毎年、マッチアップ出来る機会があって、本当に夢のようなんですけど、プロでやっている以上は勝負なので、いつも勝つ!という気持ちで、勇太さんに臨んでいます。その中で特別な想いはずうっとあって、マッチアップしている中で凄い勉強になる時間だなというのを感じています」
「昨日のGAME1でもそうですし、今日のGAME2もそうでしたけど、手の使い方だったりとか、パスのタイミング、ピックアンドロールの使い方、味方の活かし方という部分、あ、こうやるんだ、ここで手を出すんだとか、試合の中でマッチアップしながら凄く学ばせてもらった2日間でした」
「その中で、自分で通用した部分もありましたし、まだまだ自分で甘い部分もあったので、負けたことが本当に悔しいんですけど、今シーズンまだチャンピオンシップで、(栃木ブレックスと)また闘えるチャンスはあると思っているので、そこでやり返したいなという想いは強いです。その前にまずチームが勝つことを優先して、自分が今やるべきことをやっていきます。この2試合で学んだことを糧にして、また次戦に繋げていきたいと思っています」
田臥勇太も細谷将司もスモールサイズの選手だ。そのスピード感溢れるバスケは、外国籍のビッグマンをも凌駕する。それだけに、背丈のない子どもたちにとっては、小さい選手でもプロ選手になれるんだということを証明し、大きな憧れとなる。かつて細谷もそうだったように、彼らがバスケを始めるきっかけになることになれば、それは本当に素晴らしいことだと思う。
天皇杯で負った脳しんとうから一時無念の離脱をした細谷だったが、復帰後のアグレッシブさ、エナジー溢れるプレーは凄まじさがある。
「あの脳しんとうはいい意味にとらえています。あの期間は練習も出来ませんでした。
(脳しんとうは)見えない怪我なので、自分では出来ると思っていても、やってはいけないと周りには言われて、それでも出たいとスタッフとぶつかったりもしたんですけど、でもひとつ間を置くというか、自分がバスケットボールが出来ないというところで、ひと呼吸つくことが出来て、また改めて自分自身を見つめ直すことが出来ました。
あのとき、自分の良さは何なのかを見つめ直すきっかけが出来たことが、今のアグレッシブさに繋がっているのかなと思っています」
そして、自分の今の実力、今何をすべきなのか、何が出来るのか、自分自身と向かい合い、切磋琢磨を続ける。
「ディフェンスの部分は良くなっているんですが、もっとオフェンスの部分でチームに貢献したいなという部分があるので、全然これからだと思います」
「自分のなかでも、まだまだ先はあると思って、まだまだ成長する意欲もありますし、このままでは終われないという気持ちもあるので、これからどんどん成長していくと思うので、僕自身も努力を止めずにやっていきたいなと思っています」
チームは3Pシュートでの得点不足、アウトサイドからの攻撃が課題のひとつになっている。細谷の3Pシュートは、チーム浮上の鍵を握っている。
「ここ最近では、ほとんど僕とタクさん(川村卓也)でしか3Pを決めていないので、それを決め続ける力も必要です。僕の技術も含めて、まだまだ成長しなくてはいけないと思っています」
3Pシュートがチーム浮上の鍵を握っていると言っても過言ではないだけに、細谷は希望だ。
「いやいやいや、まだまだですよ(笑)」
謙遜して笑ったが、細谷は本当に謙虚だ。しかし、細谷もこのことを大きく自覚している。その中で、今季入った同じサイズのチームメイト田渡 凌とは、お互いが切磋琢磨出来て、いいケミストリーが生まれていると語る。
「今日も凌(田渡)が、凄くエナジーをみせてくれました。あいつがいることによって、僕も凄く成長出来ている部分もあるので、いい意味で刺激しあって、どんどん二人で成長しあって、コートに出たときには、もっともっとエナジーを出して、もっともっとチームにエナジーを与えられるような関係性にしていきたいです」
苦しい状況が続くが、それでも前を向いてポジティブに、浮上、そして逆襲に向けて、チームの中でもとてもいい関係が築けているという。
「いじられてばっかしですけどね(笑)。本当に個性が強いメンバーが揃った良いチームなんです。僕が、これをカチッとはめられる存在になることが出来れば良いかなと思っています。練習中でも、試合中でも、コミュニケーションを誰よりも取って、声を出していけばいいと思っています。本当にこれからです」
平塚でのGAME1では、これまでの平塚で最多となる大勢の観客が駆けつけ、立ち見まで出た大入り満員となった
「本当にこうやって、会場に多く来てくれていることがうれしいです。負け続けても、声を出していてくれるというのは、本当にうれしいことなので、その声援に応えられるように、とにかく勝ちで!皆さんに応えたいと思っています」
「ビーコルも、トム(トーマス・ウィスマン氏)が来たばかりですし、走るバスケも出来てきています。怪我人も多いなかで、これから、本当にこれからだと思うので、ビーコルブースターの皆さんは本当に嫌な気持ちになっていると思うんですけど、チーム自体も、ミーティングでも全然下を向いていないので、僕たちを信じて、付いて来てくれれば、必ず損はさせないので、必ず勝ってみせるんで、勝っていくんで、ついてきてください」
インタビューの最後で細谷は、熱くこれからの意気込みを語り、ビーコルブースターにメッセージを送ってくれた。細谷だけでない、この熱い気持ちと想いは、選手たち、チームスタッフ全員が想っていることだ。それだけに、与えられた時間をハードな練習についやし、コートに立てば、たとえ満身創痍になろうとも、全身全霊を傾けた全力プレーで相手に勇猛果敢に挑む。まだまだこれからだ。海賊と呼ばれる選手たちは、ビーコルブースターと共に勝利を掴み、勝利の歓喜を共に味わうために闘う。彼らを信じて、さらなる猛ブーストで選手たちをこれでもかと後押しし続けようじゃないか。細谷将司はやってくれる。マーシーのこれからの闘いに大きく期待しよう!
【写真・インタビュー・記事/おおかめともき】