進化が続く海賊のポイントガード田渡 凌に聞く。


チームは前から比べたらポジティブになっている。成長しているのを実感する。

今季ホーム初連勝した島根戦GAME2後に、ルーキーイヤーを闘う田渡 凌にインタビューした。

田渡兄弟の三男であり、シーズン当初、アメリカ帰りのゴールデンルーキーとして鮮烈な海賊デビューを飾ったことは記憶に新しい。ただ、ここ数戦では先発ではなく途中出場も多くなっていた。しかし、田渡本人は「やることは一緒。とにかくクリエイトすること」と意に介さず全く気にしていなかった。

横浜ビー・コルセアーズ#21田渡 凌

 

まずは、今季ホーム初連勝を振り返ってもらった。

「いまは、何よりも勝つことが一番大事です。これまではチームでいいバスケが出来ていても、勝てないことが多かった。でも、それがようやく勝利に繋がって、これからチームとして、上にあがっていくためにも良い連勝でした」

チームにまとまりが出てきた。実際にその中でプレーする田渡はどう感じているだろうか。

「ひとり、ひとりの仕事が確立されてきました。チームのみんなも、ひとり、ひとりが出たらこれをしようというのが分かってきて、前に比べたら役割が明確になってきました」

「ただ、勝てないときは、それが崩れてしまう。今日もオフェンスリバウンドを多く取られていますが、そういう部分でも崩れてしまうことが多い。今日の試合を勝ったとはいえ、反省点も多い。このスタッツで、何故勝てたんだろうと思うほど、リバウンドを取られていますから(トータルリバウンド47)」

ビーコルは今後、三遠、川崎、新潟と強豪との闘いが続く。ホーム連勝後のアウェイ三遠戦は試金石となる2試合だ。田渡は身を引き締めこう語った。

「これから相手が強くなってくると、これでは勝てない。もっと突き詰めていかないといけないと思っています」

アドバイザーであるトーマス・ウィスマンの影響はどうだろうか。田渡はこういう。

「トムが来てから、自分たちのバスケが明確になりました。それが少しずつ自分たちにフィットして来ている。それ以上に、トムはディフェンスを教えるのが、非常に上手い。もともと、それで日本に来たという話も聞いています」

「その中で、ひとり、ひとりが『ディフェンスから』というのを強く意識してプレー出来ています。それと、外国籍選手3人も含めて、練習からやらないと厳しく言われるので、みんながひとつの方向、ゴールに向かっていけているのではないかと思ってます」

チームの雰囲気はどうだろうか。

「勝っているときはチームの雰囲気はいい。これが継続出来ればと思います。最近は負けていても、理由が分かる負けになって来ていると思います。シーズン当初は、内容が悪くて負けてしまっていた。今は自分たちのやることをやって、相手に上回れてしまうという負け方が多い。前から比べたらポジティブになっています。チームが成長しているのを実感します」

そして、自信も芽生えてきた。

「トムもよく言うんですけど、『今のチームは80点ぐらいは確実に取れている。こういったゲーム展開が出来るということは、どこのチームとやっても闘えるところまで来ているんだから、もっとディフェンスを頑張ろう』と」

「今日の前半は、凄くいいディフェンスが出来たんですけど、後半で沢山取られてしまっているので、課題は多いです。40分間をやり切るというのが自分たちの課題だと思っています」

「最近は出だしもいい。こういったことを継続出来れば、もっといいチームになるのではないかと思っています」

田渡自身はどうだろうか。

「出た時にはアグレッシブにいこうと、いつも心掛けています。昨日は最初の方でポンポンとテンポよく点を取って、そこから自分のリズムに乗れました。ただ、いまは自分がどうこうというよりは、チームの流れ。将司さん(同じPGである細谷将司)が最初に出ていって、自分が出たら、もっといい流れにして、流れを継続出来るようにというのを意識してやっています」

「僕個人としては、コンディショニングは上がって来ているので、もっと試合で活躍して、それがチームの勝利に繋がればと思っています」

細谷と共にダブルガードとしてコートの立つことも多くなってきた。

「僕たちは二人でよく話し合うんですけど、二人にはチームで一番練習している自信がある。その自信で、相手にこの流れを絶対に渡さない。流れが悪いときは二人で引き寄せる。責任感を持って試合に臨んでいます」

同じPGである細谷将司をコートに立つ田渡 凌

 

次節アウェイ豊橋市総合体育館で闘う三遠ネオフェニックス戦は、昨年11月以来となる田渡兄弟対決の再戦だ。弟である田渡、そしてチームはあれからさらに成長進化している。

「僕ひとりでバスケをやるわけではないですけどね(笑)。チームとしても、自分自身としても、成長した部分をしっかりと出すことが出来れば、勝てる相手だと思っています」

40分間を闘い切ること。三遠もいいチームなので、ディフェンスでも対応してくると思いますが、試合の中でもアジャスト出来る。強いチームと闘っても自分たちのやることが出来る。強いチームとして成長した横浜ビー・コルセアーズを見せ付けることが出来たらと思っています」

最後に、B-COR MAGAZINEを読んでくれているビーコルブースターへ、三遠戦への意気込みとメッセージを送ってくれた。

「今季は、まだ3連勝出来ていません。アウェイでは一戦目が凄く大事なので、一戦目の1Qから入りを大切にして、まずは3連勝出来るように、チーム一丸となって頑張ります」

「豊橋まで来てくださる方もいると思うので、その人たちのためにも頑張るので、また応援をよろしくお願いします!」

島根戦後、賞を受賞したハシーム・サビート・マンカがインタビューを受けたが、これまでなら、専属通訳を買って出ていた田渡だが、このときはそれがなかった。「アザース」「あざーす」の軽快なやりとりを楽しみにした人も多いだろう。このことを聞くと田渡は、茶目っ気たっぷりにおどけて言った。「もういいかなって(笑)」

ここからの激闘、田渡は自身よりも、先発であろうが、途中出場であろうが、チームの勝利のために、ただアグレッシブに敵陣深く切り込んでいく。

写真撮影で最近お気に入りの表情をしてもらったら、こんな表情をくれた。ストイックな田渡はいつも茶目っ気たっぷりのチャレンジャーだ。

【写真・インタビュー・記事/おおかめともき】

 


Written by geki_ookame