あぁビーコル、ラスト1分の悪夢で11連敗。翌日に秋田が勝って3季連続の残留PO出場が決定。


39分間のリードも、残り1分の攻防で富山に逆転を許す。

2018-19シーズン第35節・GAME2(4月13日横浜文化体育館)
横浜ビー・コルセアーズ 72-75 富山グラウジーズ
22-9|19-15|15-24|16-27

【BOX SCORE / PLAY BY PLAY 4.13 [SAT] 横浜ビー・コルセアーズ vs 富山グラウジーズ】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3499&TAB=B

【ダイジェスト映像】
https://basketball.mb.softbank.jp/videos/4684

最大19点差のリードも4Q最終盤での逆転負けを喫した横浜ビー・コルセアーズ。これで11連敗。翌日の試合で秋田が勝利したために3季連続のB1残留プレーオフ出場が決定した


横浜ビー・コルセアーズは4月13日(土)、ホーム横浜文化体育館でレギュラーシーズンのホーム最終戦となる富山グラウジーズとの2連戦GAME2を闘った。今シーズンのホーム最終戦、B1残留プレーオフ回避へあとがなくなったビーコルは、前日のGAME1
とは打って変わった強いエナジーで挑み、修正したディフェンスも機能して1Qでは富山の得点をわずか9得点に抑えることに成功。オフェンスでも快調に得点を伸ばして最大で19得点を奪った。しかし、後半に入ってから目立ち始めたミスから富山の追撃を許し、4Q残り33秒で阿部に3Pを決めらるなどして3点差での逆転負けを喫した。

ビーコルは、3月17日の北海道戦GAME2での勝利しで、B1残留プレーオフ回避となるワイルドカード8位(当時)の秋田を「1」ゲーム差に捕まえ続けていたが、以降の試合で負け続けて11連敗。不名誉なB1チーム最多連敗記録(リーグ最多は21連敗)を更新してしまった。

翌日の試合で秋田が北海道に勝利して今節を連勝。これで秋田が17勝41敗、ビーコルは14勝44敗となり、仮に次節で秋田が栃木に連敗し、ビーコルが新潟に連勝しても勝敗勝率で秋田を上回ることが出来ないため、ビーコルの3季連続でのB1残留プレーオフ出場が決定した。

ホーム最終戦を飾れなかったばかりでなく、B1残留PO回避をかけた大事な2連戦を2つとも落とし、厳しい表情を浮かべるエース川村卓也


B1残留プレーオフ1回戦は、4月26日(金)27日(土)ビーコルのホーム「トッケイセキュリティ平塚総合体育館」で、レバンガ北海道を相手にしておこなわれる。

勝った富山は、チャンピオンシップ出場圏内2位までのゲーム差「1」を保ち、チャンピオンシップ出場へ望みを繋いだ。

B1残留プレーオフ回避へあとがなくなったトーマス・ウィスマンHCは、スターティング5を変更。前日のGAME1で11得点を挙げていた特別指定選手(法政大学)の中村太地を3月24日栃木戦GAME2以来となる先発で起用。また昨季まで富山でプレーした橋本尚明を2試合ぶりに先発起用してきた。

1Qでビーコルはコストナーの3Pシュートで幸先よく先制すると中村とスティーブンソンの2Pシュートでリードを伸ばす。修正したディフェンスも機能して、7分で許したライオンズの2Pシュート以降、約4分20秒間にわたって富山を無得点に封じ、その間、川村、スティーブンソンのシュートで6点ランを決めて富山を一気に突き放した。

以降も中村の3Pシュート、川村の2Pシュート、スティーブンソンのダンクなどで10点ランを決めて快調に得点。1Qを22-9とし、13点のリードを奪ってゲームの主導権を握った。

2Qでもビーコルは、コストナー、スティーブンソン、川村、湊谷が快調にシュートを決めて得点をかさねていった。スティーブンソンはこの日もリバウンドで奮闘して得点に繋げた。終盤でスミスに連続シュートを許すが寄せ付けずリードを17点に伸ばして前半を折り返した。

しかし、3Qでミスが目立ち始め、ターンオーバーからの失点が増えたことで富山に反撃を許し、リードが徐々に少なくなっていく。

オフェンスではコストナー、橋本の3Pシュート、スティーブンソンのダンクなどで得点したが3Qは15得点と思うように伸びなかった。

残り1秒で阿部に2Pシュートでブザービーターを決められて56-48。リードはひと桁8点になった。

4Qでも富山の追撃は活発。スミス、ライオンズの得点で差を詰めてくる。7分では遂に1点差にまで肉薄された。以降、1点差、同点といった展開が続いたが、スティーブンソンのシュートなどで僅差ながらもリードを守った。

3分と1分で田渡と湊谷が2Pシュートを決めてリードを6点から5点に伸ばすが、残り1分でスミスに3点バスケットカウント、同56秒で許したライオンズの2Pシュートで再び同点に追いつかれる。

残り44秒で川村がアウトサイドからミドルシュートを沈めてリードを2点差にしたが、同17秒で阿部に3Pシュートを入れられ、富山が1点を逆転。

この直後でウィスマンHCがかけたタイムアウト明けで、ビーコルはパス回しから外にいた湊谷に繋ぐ。湊谷はゴール下に切り込んでシュートを打ったが外してしまい田渡が阿部にファウル仕掛けてファウルゲームに。阿部はそのフリースローを2本とも決めて3点差になった。

ここで、ウィスマンHCは再びタイムアウトをかけて、川村が3Pシュートで同点を狙ったがこれも決まらず、無情のタイムアウト。ビーコルは最大19点あったリードを守れず、悔しくも厳しい逆転負けを喫し、11連敗となった。

チームのスコアリーダーは、チーム唯一の20点台25得点(5ダンク)を挙げたアーサー・スティーブンソン。リバウンドではこの試合でも奮闘をみせて19リバウンド。ダブルダブルはこれで8試合連続となった。

2番手は15得点(3Pシュート1/6本)を挙げた川村卓也。3番手はブランドン・コストナーの12得点(3Pシュート2/6本)だった。

5本のダンクを含むチーム最多25得点19リバウンドで8試合連続のダブルダブルをマークした#33アーサー・スティーブンソン


勝った富山グラウジーズのドナルド・ベックHCはこの試合をこう振り返っている。

「前半は、横浜が相当な気持ちを入れて向かってきた。我々も対策が出来ておらず、困難な状況もあった。それをカムバックさせるために、全てのことを持って、しっかりとやっていこうとハーフタイムで話した。チャンピオンシップ出場のためには残り試合で勝ちが必要になる。我々の選手は後半でハードにプレーした。チームとしてもまとまっていた。そこは褒めてあげたいと思う」

「阿部選手が、3Pシュートを決めて、あれで流れが我々に来てチームが乗った。あの瞬間でチームにエナジーが出た。あれがこの試合のターニングポイントだと思う」

「横浜のディフェンスはとても良かった。我々の前半での3Pシュートは0/8本。オープンショットを決め切ることが出来なかった場面もあった。両チーム共に勝つべき試合だったと思う。4Qで我々が少しラッキーだっただけだ」

富山グラウジーズ ドナルド・ベックHC「両チーム共に勝つべき試合だった。4Qで我々が少しラッキーだっただけ」


敗れたトーマス・ウィスマンHCは、神妙な面持ちで会見場に現れた。いつも通り静かな口調で話し始めた指揮官だったが、次第にその口調は強くなり、怒りすら感じられた。これはこれまでになかったことだ。

「言い訳は出来ない。本当に我々の責任だと思っている。自分たちがやらなくてはならないことを徹底出来なかった」

「前半は素晴らしいディフェンスが出来た。それが後半で全く継続出来なかった。後半だけで51点取られてしまった。(勝負どころで)大事な時間帯のディフェンスで相手を止めることが出来ず、ディフェンスで徹底しなければならないところが徹底出来なかった。(4Q最終盤で)3Pシューター(阿部)を外でオープンにさせて、入れられてしまう。これは本当に自分たちの責任でしかない。落とすべき試合ではなかった」

敗戦後の会見で沈痛な表情を浮かべる横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHC「本当に自分たちの責任でしかない。落とすべき試合ではなかった」


「重要なことは、(リードして迎えた)4Qで相手の外国籍選手が19得点、我々の外国籍選手が4得点(スティーブンソン4得点、コストナー0得点)だったことだ。このチームには試合の締め方、勝ち方が備わっていない。ここまでの数試合では、2点、3点などの僅差で負けてしまっている試合が続いている。オーバータイムに持ち込める試合もあった。勝ち切ることが出来ない。これは本当に課題だと思っている」

「必要な(勝負どころの)時間帯で、必要なディフェンスでのストップというものがあると思う。それが出来ない。自分たちが勝つためのプレーが出来ていない。これは実に悔しいところだ」

「私は45年間、コーチをやってきているが、このチームのディフェンス能力は、私がコーチをしてきたチームの中で最も低いものだ」

キャプテンのひとり、湊谷安玲久司朱はこの敗戦を悔しさを滲ませながらこのように振り返っている。

「昨日とは違って、試合の入りからチームにエナジーが出た。19点の差をつけて、いい形で進んでいたが、富山も力があるので、昨日とは逆の展開になった。勝ち切ることが出来ないのが、僕らの弱いところ。キャプテンである僕の責任」

横浜ビー・コルセアーズ#5湊谷安玲久司朱


またエース川村卓也は、無念の表情を浮かべてこう話している。

「(レギュラーシーズン最後の)ホームのコートでビーコルブースターのみんなに笑顔で帰って欲しかった。そういう想いが、今日のゲームでは強かった。そうするための良いエナジーが出たのが前半だったが、後半で勝ち方の知らないチームの弱さが露呈してしまった」

「相手が良いバスケットをしたのは事実ですが、前半で自分たちがやっていた良かった部分というのを、自分たちは忘れてしまい、相手のペースに合わせてしまった。コートの中で相手の流れを切ることが出来なかったのは、長い時間コートに立っていた僕の責任。非常に難しいゲームだったが、相手の方が試合巧者だった」

「39分間良くても、最後の1分間で相手に1点でも多く取られてしまったら負け。受け入れがたい負けだが、ポジティブに捉えれば、成長を感じられた試合」

横浜ビー・コルセアーズ#1川村卓也


3季連続のB1残留プレーオフ出場が決まってしまった。最大19点差のリードを奪っても勝てなかった。2Qと3Qにあったこの大量リードが慢心を生んだのか、意識を守りに入らせたのかどうかは分からない。1分を切った勝負どころの攻防で富山の阿部はここぞで逆転3Pシュートを決め、土壇場で追う展開となったビーコルは湊谷と川村がシュートを打ったが決められなかった。これが明暗を分けた。

最後もビーコルはドタバタだった。阿部に与えたフリースローを2本とも決められ3点差にされたあとのタイムアウト明けで、川村が3Pシュートで同点を狙ったが外れ、そのリバウンドを阿部が取った。再びファウルゲームに出るものと思われたが、スティーブンソンと田渡がファウルを仕掛けにいくが阿部にかわされてしまい、そのままタイムアップになった。この時のプレーに意思統一のなさ、迷いを感じてしまったのは否めない。

敗戦後のベンチでは、選手がうなだれ、チームスタッフ、そしてビーコルブースターが“悔しい”という言葉では言い表せないほどの無念さに支配された。

レギュラーシーズンの残り2試合、そして出てはならなかった残留プレーオフをビーコルはどう闘うのか。エース川村は「自分たちの良いところを、もう一度考え直すことが必要。自分たちの強みを理解して、次の試合に照準をあわせれば、きっと良い試合が出来る」と唇をかみながらも前を向いた。

残留プレーオフ回避のチャンスを掴んでから、泥沼の11連敗。次節は今季最終節となるアウェーでの新潟2連戦。今は勝利だけが欲しい。

【記事・取材・写真/おおかめともき】

 

 


Written by geki_ookame