ビーコル悔し。富山との2連戦初戦で後半一気呵成の肉薄も及ばず10連敗


1Qで34失点も4Qで1点を争う大激闘に持ち込み勝利目前も、最終盤で好機逸す。中村太地が2Qと3Qで爆発的な活躍をみせて反撃の起爆剤に!

2018-19シーズン第35節・GAME1(4月12日横浜文化体育館)
横浜ビー・コルセアーズ 97-99 富山グラウジーズ
19-34|24-24|37-19|17-22

【BOX SCORE / PLAY BY PLAY 4.12 [FRI] 横浜ビー・コルセアーズ vs 富山グラウジーズ】https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3498&TAB=B

【ダイジェスト映像】
https://basketball.mb.softbank.jp/videos/4682

 

横浜ビー・コルセアーズは4月12日(金)、ホーム横浜文化体育館でレギュラーシーズンのホーム最終節となる富山グラウジーズとの2連戦GAME1を闘った。1Qで大量34失点を喫したビーコルは、2Qから反撃開始。3Q中盤で3点バスケットカウントを4連続で決めるなどしてリードを奪った。4Qは残り3秒まで1点を争う激闘となり、ビーコル優勢かと思われた。しかし同点で迎えた最終盤、残り4秒で得たフリースロー1本を外し、さらにはアンスポーツマンライクファウルを取られてしまい2点差で富山との初戦を落とした。ビーコルはチーム最多連敗記録タイとなる10連敗。

この試合で、富山グラウジーズ#11宇都直輝が、個人通算500ディフェンスリバウンドを達成させた。

B1残留プレーオフ回避をかけた富山との大事な2連戦初戦を落とした横浜ビー・コルセアーズ


ビーコルはこれで14勝43敗。B1残留プレーオフ回避争いでは、出場圏外となるワイルドカード9位(14位)の秋田が今節の2連戦を土曜日と日曜日におこなうため、先行してGAME1をおこなったワイルドカード10位(全体15位)ビーコルが敗れたことでゲーム差が「1.5」に広がった。

B1残留プレーオフ回避となる残り1枠、ワイルドカード9位(14位)の座をかけてビーコルは秋田と争っているが、翌日おこなわれる富山とGAME2でビーコル連敗し、秋田が土日で闘う北海道2連戦で連勝した場合。秋田が17勝41敗、ビーコルが14勝44敗となり、仮に最終節で秋田が栃木に連敗、ビーコルがアウェーで新潟に連勝しても勝敗勝率で上回ることが出来ないためにビーコルのB1残留プレーオフ出場が確定する。

ビーコルがGAME2で1勝すれば、望みが繋がる。秋田が今節で連勝しても、最終節で秋田が栃木に連敗し、ビーコルが新潟に連勝すれば17勝43敗で並ぶ。この場合、今季の秋田との直接対決で1勝1敗とし、得失点差で秋田を4つ上回るビーコルがB1残留プレーオフを回避して、B1残留が決定する。

チャンピオンシップ出場の最後の1枠を狙う富山グラウジーズは、出場圏内となるワイルドカード2位にいる京都との差を「0.5」差に縮めた。

1Qでビーコルは開始からいきなり富山に2本続けて3Pシュートを許してしまい追う展開となった。以降も3Pシュートを効果的に入れてくる富山の得点を抑えることが出来ず、出だしのクォーターで34失点を喫し、二桁15点のビハインドを背負ってしまう。オフェンスでは、川村の9得点、スティーブンソンの8得点などで計19得点を入れたが、富山の執拗なディフェンスに苦戦し、得点が思うように伸びなかった。

2Q、1Q終盤からポイントガードとしてコートに立った特別指定選手中村太地が爆発的な活躍をみせる。中盤の5分からアウトサイドからの2Pシュート2本、さらに4分には3Pシュートも決めてチームに流れをもたらした。中村はこの時のことを「単純にシュートが入っているなという感覚だった。ポイントガードはボールを持っている時間が長いので、自分が決めるべきところを決めていかないとチームが上手く回っていかない。あの時間帯はシュートが入ったので、僕が攻める時間帯だと認識していた」と振り返っている。

2Qでシュートを沈める横浜ビー・コルセアーズ#6特別指定選手(法政大学)中村太地


終了間際残り28秒、許したターンオーバーから投じられたロングパスを川村が奪い返すとコストナーに繋いで、湊谷が3Pシュートで決めた。これで流れを確実なものにしたかと思われた矢先、大塚に3Pシュートをブザービーターで決められ2Qは互角の24-24。トータル43-58となり、ビハインドは1Qと同じ15点となった。

2Q終了間際に3Pシュートを沈める湊谷安玲久司朱


3Qでも中村の勢いは衰えず、開始早々にアウトサイドから2Pシュートを沈めると、以降も積極的にシュートを打ち続けスティーブンソンのセカンドチャンスに繋げた。中村は8分にもアグレッシブにインサイドに飛び込んで2Pシュートを決め、反撃の起爆剤となった。

宇都とのマッチアップを交わす中村太地。2Qと3Qで爆発的な躍動をみせて11得点を入れ、チームに流れをもたらした


これで勢いに乗ったビーコルは、7分で橋本がファストブレイクで2Pシュート、6分には湊谷がアウトサイドから2Pシュートを沈めて8点差とした。富山は大塚が3Pシュート、阿部、スミスが2Pシュートを入れて逃げるが、5分でコストナーと橋本が続けて3Pシュート、4分でスティーブンソンが3点バスケットカウントを決めてビーコルが猛追をかけた。

さらには3分と2分にかけて、川村が3点バスケットカウント、さらにはコストナーが3点バスケットカウントを2本続けて9点ランを決める。

このクォーターでビーコルは4連続で3点バスケットカウントを決めて一挙12得点を入れつ猛攻で1点差にまで肉薄する。

残り1分、川村がファストブレイクからレイアップを決めて、遂にビーコルが1点のリードを奪う。終盤で3本のフリースローを得た田渡が2本を決めてリードを3点とし、最終クォーターに突入した。

4Qは開始早々に山田にインサイドから2Pシュートを決められたが、以降、7分まで富山の得点を止めることに成功する。この間、田渡が連続して2Pシュートを沈めてリードを5点に伸ばした。

しかし、山田の3点バスケットカウント、宇都のファストブレイクで富山が6分に1点を逆転。4分には川村のアシストからスティーブンソンが2Pシュートを沈めてビーコルがリードを奪い返した。スティーブンソンは3分でセカンドチャンスから気迫こもったダンクも決めて、チームに勢いをもたらす。以降で、両チームの争いは1点差を争う激しいクロスゲームに発展していった。

ビーコルはこの猛攻の中で、アグレッシブなディフェンスを仕掛けたが同時にファウルもかさみ、フリースローでの失点が増えた。3分、スミスに決められた3点バスケットカウントで富山にリードを許してからはフリースローでの失点が増えて点差が少しずつ開き、追う展開になった。

残り1分を切って川村が3Pシュートを沈めて1点差に肉薄するが、阿部にフリースロー1本を入れられて2点差になった。

終了間際残り4秒で湊谷がフリースロー2本を得た。富山のベックHCはここでタイムアウトをかけて流れを断ち切り、タイムアウトが明けてフリースロー2本を打った湊谷は1本しか決められず、その場でがっくりと肩を落として痛恨。土壇場で得た同点の絶好機を逸してしまった。

4Q終了間際4秒で湊谷安玲久司朱が体を張ってファウルを奪い2本のフリースロー機会を得て同点のチャンスを得る

富山がかけたタイムアウト明けで湊谷は1本目を成功させたものの、2本目を外してしまう


加えて、湊谷が外した2本目のリバウンドを止めにいったモリスのファウルがアンスポーツマンライクファウルなってしまいフリースロー後は富山ボールに。これでフリースロー2本を得た舟生は1本を入れて、残り2秒で2点差。

そのリバウンドを止めにいったモリスがアンスポーツマンライクファウルを取られてしまう。左端では痛恨の表情を浮かべる湊谷が写っている

土壇場4秒で得た同点の絶好機を逸し、座り込む湊谷


ウィスマンHCは湊谷とスティーブンソンを交代させて橋本と小原を投入したが、リードを奪い返すことが出来ないままタイムアップとなった。ビーコルは勝利を目前にして悔しい2点差での敗戦。これで10連敗となり、チーム最多連敗記録タイという不名誉な記録を残してしまった。

エース川村卓也は、敗戦後に無念の表情を浮かべたが、ベンチに戻るとうなだれるチームメイトを勇気付け、鼓舞した。


チームのスコアリーダーは、23得点を挙げたアーサー・スティーブンソン。19リバウンドも記録して7試合連続でのダブルダブルをマークした。

2番手は2/6本の3Pシュートを含む22得点を入れたブランドン・コストナー。川村卓也が3Pシュート2/4本を含む19得点(3アシスト)を挙げて3番手となった。

中村太地が、途中からの出場で3Pシュート1/4本を含む二桁11得点を挙げて4番手。二桁得点は4月3日の三河戦以来、今季4度目となった。2Qと3Qでの爆発的な躍動でチームに流れをもたらした中村は「(1Qの)入りが全て。出だしのディフェンス強度を上げることが出来ていれば」と悔しさを滲ませた。

横浜ビー・コルセアーズ#6特別指定選手 中村太地


トーマス・ウィスマンHCは無念さを滲ませながらもこの敗戦をこのように振り返っている。

「最初の前半が一番の問題と思っている。今日のような勝たないといけない試合、我々のシーズンがかかっている試合で、あの1Qのような出だしは自分たちの責任でしかない。最初からエナジーを出してやっていかないといけないのにもかかわらず、出し切ることが出来なかった。それでも、後半3Qをしっかりと闘い、気持ちを見せて、最後はどちらに転ぶか分からない展開にまで持っていくことが出来たことは、我々に底力があるということだと思う」

「だが、最後に決め切ることが出来なかった。ここ数戦でもあったことだが、あと少しというところまで行って勝ち切ることが出来ない。これで我々は苦しい状況になってしまっている。明日は最初から、後半に見せたエナジーを出してやっていく」

「ひとつ気になるスタッツがある。それはフリースローの数だ。フリースローアテンプトが、富山の42本に対して我々は16本。この数字が目立った。片方のチームが26本も多くフリースローを打つということは、やはり勝つことが難しくなる。どうしてこうなったのかをビデオで確認したい」

敗戦後のベンチで悔しさを滲ませる横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHC


指揮官は、過密日程での準備の難しさ、B1残留プレーオフ回避を争う秋田が土日ゲームで今節を中2日でおこなうのに対し、ビーコルは中1日でおこなわれたことについても触れた。

「昨日の練習は軽めにおこなった。前節から中1日ということもあり、ハードな練習は選手の身体的にも厳しい。怪我人が出てしまっては困るからだ。今日の出だしが悪かったのは、もしかしたら、昨日の練習でやりたい内容が出来なかったからかもしれない」

「今節、我々も土日のゲームだったら、もう少し楽になったと思うし、もう少し良い準備が出来ていたと思う。ここ22日間での試合数は、明日で11試合目となる。この短期間でこれだけの試合数をこなすということは、選手にとっても非常にタフなことだし、練習も思うようなものが出来ない。選手たちの対応力が問われている」

ウィスマンHCは、この試合で細谷、田渡、中村のポイントガード勢の中で最も長いプレータイム(20分17秒)を若い中村太地に与えた。特別指定選手の中村はその起用に応えて2Qと3Qで反撃の起爆剤となったが、この起用について指揮官はこのように話している。

「富山には宇都選手がいたので、サイズの大きいガードが必要だった。1Qではサイズアドバンテージを突かれて、相手のオフェンスが回っていた。そこで中村選手を起用した。彼にはサイズもあるし、ポイントガードの能力もある」

中村に指示を送り出し、コートに送り出したウィスマンHC


ビーコルは、B1残留プレーオフ回避がかかる2連戦の初戦を落としてしまったが、チャンスがなくなったわけではない。指揮官はこう意気込む。

「ここから先、3試合残っている。この3試合全てを勝てば、まだ分からない状況だ。ライバルチームの結果もあるが、まだチャンスは残されている。しっかりとB1残留プレーオフを回避して、B1残留を成し遂げたい」

「まだチャンスは残されている」闘将は残り3試合に全てをかける


「悔しいだけ」
と話した中村太地は、翌日のGAME2での巻き返しを誓った。

「最近勝てていません。僕が勝たせるといったら言い過ぎかもしれませんが、それぐらいの活躍をして、明日のホーム最後の試合を勝って終えたい」

「明日のGAME2で僕が勝たせるぐらいの活躍をして、ホーム最後の試合を勝って終えたい」ビーコルの若き海賊はGAME2での巻き返しに燃える


ビーコルが、今節を連敗し、秋田が連勝した場合に3季連続のB1残留プレーオフ出場が決まってしまうが、1勝さえすれば残留プレーオフ回避のチャンスが生まれる。

危機と好機が背中合わせとなり、もう、あとがなくなった。翌日のGAME2、今季レギュラーシーズンホーム最終戦で勝つだけだ。

【記事・取材・写真/おおかめともき】

 

 

 


Written by geki_ookame