富山にリベンジならずで満員のビーコルブースターため息。ディフェンスの修正急務。
2018-19シーズン第3節(10月17日 横浜文化体育館)
横浜ビー・コルセアーズ 84-88 富山グラウジーズ
16-26|18-11|29-29|21-22
横浜ビー・コルセアーズは、10月17日横浜文化体育館で今季のホーム開幕戦をおこない、平日水曜日にもかかわらず満員御礼となる3,288人が来場した。試合は、開幕節を闘った富山グラウジーズとの再戦となったが4点差で敗戦。ビーコルの開幕から続く連敗はこれで「5」となった。
またしても惜敗。ホーム開幕戦の横浜文化体育館に駆けつけた3千人以上のビーコルブースターがため息をついた。惜敗は、前節アウェー京都戦から続いて3試合目。ビーコルは、スターティング5で今季初めてオンザコート3とポイントガード2人の布陣を引き、1Qの出だしで8-0のランを決めて好スタートを切ったが、1Q中盤で逆転を許してしまい以降は点の奪い合いになった。
3Q終盤でビーコルは、アマンゼ・エゲケゼの3Pシュートと田渡 凌の2Pシュートで2度逆転したが、この試合で24得点13リバウンドを許したレオ・ライオンズにインサイドから2Pシュートを許してしまい再びビハインド。以降の猛追で肉薄したが、再びリードを奪うことなく敗戦した。
富山にはダブルダブルを、ライオンズの他にもジョシュア・スミス(19得点14リバウンド)と宇都直輝(13得点12アシスト)にもやられている。ビーコルの開幕戦からここまで5試合の総失点数はリーグ最多の454。一方で総得点数404はリーグ6位で中地区2位なだけにディフェンスの修正が急務になっている。
この試合で、特別指定選手#6中村太地が今季の公式戦で初めて帯同したが、ベンチ入り登録はされなかった。また新加入#12ジャボン・マックレアはこの京都の2試合に続いてベンチ入り登録を外れた。
ウィスマンHCはまたスターティング5を変更してきた。川村卓也を先発から外し、アマンゼ・エゲケゼ、チャールズ・ガルシアの外国籍選手、帰化選手エドワード・モリスを同時起用する実質オンザコート3。加えて、細谷将司、田渡 凌の二人のポイントガードも同時起用して、今季初めてオンザコート3+2ガードの布陣を引いた。その理由をウィスマンHCはこう語っている。
「今日ビッグラインナップと2ガードにしたのは、最初ディフェンスから入っていこうという意図だった。1Qの出だしでいいスタートが切れたが、継続出来なかった。今日の試合でビッグラインナップを使い過ぎたせいで、ファウルが多くなってしまった。ビッグラインナップは効果的な面もあるが、ファウルトラブルにも陥りやすい。そこのローテーションを私のほうでしっかりと考えていかないといけない。ビッグラインナップをもう少し短くする。長い時間ではなく、切り札的な形で使っていくことが、私たちのチームの強みになると思う」
「今日、TK(川村卓也)をベンチスタートさせたのは、彼がディフェンスをしたあとにオフェンスで何かを与えられるようにしたかったからだ」
1Qでビーコルは、エゲケゼの2Pシュートで先制すると、細谷のレイアップ、モリスのフリースロー、細谷の3Pシュートで8-0のランを決め、最高のスタートを切った。
しかし、スミスとライオンズにインサイドでの得点を許してしまう。5分28秒にエゲケゼがダンクを沈めた直後、ゾーンディフェンスに出来たスペースを突かれ大塚裕土に3Pシュートを許した。3分2秒、エゲケゼのファウルから得たフリースローをライオンズが2本とも決めて富山が勝ち越し。以降も失点がかさなってしまい1Qは16-26。10点のビハインドとなった。
2Qでビーコルは、富山の得点を11に抑えることに成功し、オフェンスにも流れが生まれた。8分9秒と7分22秒に田渡 凌が続けて2Pシュート。田渡は6分32秒にも2Pシュートを決めて躍動した。
5分と4分の時間帯には3Pシュートで畳み掛けた。5分39秒に川村卓也が3Pシュートを沈めると、湊谷安玲久司朱が4分56秒と同2秒に続けて3Pシュートを沈めて一時は同点としたが、宇都とスミスに得点を許し富山を逃した。2Qはビーコルリードの18-11。トータルスコアは34-37となり、ビハインドを3点にまで詰めた。
3Q開始早々にエゲケゼが2Pシュートを沈めて1点差にまで肉薄。以降ライオンズ、スミスに2Pシュート、船生に3Pシュートを許したが、田渡の2Pシュート2本、川村の2Pシュートなどで反撃。このクォーターは激しい点の奪い合いになった。
ビーコルは、ガルシアが5分4秒と4分49秒に入れた連続2Pシュート。4分12秒にエゲケゼが沈めた3Pシュートなどで加点。エゲケゼはさらに2分の時間帯にフリースロー2本。2分27秒に2Pシュートも沈めて2点差にまで肉薄。
2分1秒、ベテラン竹田 謙が外から2Pシュートを沈めて同点。直後スミスにインサイドから2Pシュートを決められ勝ち越しを許したが、すぐさまエゲケゼが3Pシュートでやり返してビーコルが逆転。
1分10秒、船生に3点バスケットカウントを許してしまい同点にされたが、残り53秒で田渡が2Pシュートを沈めてリードを奪い返した。
しかし、インサイドのディフェンスで踏ん張れない。ライオンズと山田に2Pシュートを許してしまいリードを守れなかった。3Qは29-29と互角。トータルスコアは84-88でビハインドは4のまま。
4Q、ビーコルは開始早々に続けて失点したが、7分44秒にガルシアが2Pシュートを沈めるとまた点の奪い合いになった。
7分3秒、細谷が高島のオフェンスリバウンドから3Pシュートを沈めて2点差にすると、スミスが2Pシュート。6分14秒、高島が執念でボールを押し込んだ2Pシュートでビーコルが再び2点差に迫った。
5分47秒、ガルシアがファウルアウトとなりライオンズがフリースロー2本を決めたが、同38秒にエゲケゼが3Pシュートを沈めて1点差。しかし、宇都直輝に続けざまにディフェンスリバウンドからドライブを許しビハインドが5点に広がってしまう。
ビーコルはたまらずタイムアウト。ウィスマンHCは高島に代えて湊谷を投入。ここで不運が起きた。宇都のディフェンスを突破してシュートを狙った湊谷が、ブロックしてきたスミスと接触して転倒。湊谷は立ち上がることが出来ず、右拳でコートを叩いて悔しさをあらわにした。湊谷はチームメイトに担がれて退場。右足を痛めた模様で状態が心配される。
ビーコルは、水戸のアンスポーツマンライクファウルで得たフリースローを細谷が2本とも決め、さらには湊谷に代わって入った田渡がレイアップを決めて、再び1点差にまで詰めた。
しかし直後のディフェンスで突破を許しスミスが宇都のアシストからダンク。さらにはライオンズにもインサイドから2Pシュートを入れられて5点差。
2分7秒に富山から移籍した橋本尚明がインサイドから2Pシュート。田渡がアウトサイドから2Pシュートを沈める。
残り14秒にはやはり富山から移籍の小原 翼が3Pシュートを沈めて執念を見せたが、宇都、スミスらのシュートを止めることが出来ず、4点差で惜敗した。
ビーコルはこれで開幕から5連敗。チームのスコアリーダーは、23得点(6リバウンド)を挙げたアマンゼ・エゲケゼ。以降は、田渡 凌18得点(4アシスト)。細谷将司10得点(3アシスト)。ここまで二桁得点だった川村卓也は4アシストも、ひと桁8得点と伸びなかった。
試合後ウィスマンHCはこう総括している。
「0勝5敗でいい気分ではない。ここ5試合を通算して、リーグで一番失点している。ただ失点が多いだけでなく、高確率でシュートを決められていることを大きく懸念している。選手たちはハッスルして努力してくれたが、スタッツを見れば、シュート確率56.7%でやられている。やはりディフェンスの修正が課題だ」
「私がいつも言っていることにポジョンゲームがある。相手よりも多くシュートの本数を打てるかどうかを選手たちには言っているが、これはターンオーバーが少なく、オフェンスリバウンドが多くなることによって、相手よりもシュートが多く打てるようになるのだが、今日のスタッツでは、ウチのほうがターンオーバーが少なく、オフェンスリバウンドも多く取れて、シュートを相手よりも10本以上多く打っている。ただ、フリースローでは相手のほうが多くもらっている。シュート成功率ではウチが46.5%、相手が56.7%。シュートは多く打ったが成功率が上がっていない。これでは今日のような僅差の試合を勝つことは出来ない」
「フリースローにも問題がある。自分たちが、アグレッシブにアタックしていないというのが数字に表れた。インサイドにアタックしないで、外のシュートに落ち着いてしまっている。その外のシュートも高確率で決まっていない」
「ウチのゾーンディフェンスの強みは、ローポストにボールを入れられないこと。本来であれば5番のところをフロントにして、後ろからヘッドがくるシチュエーションを作りたいのだが、常にフロントが出来ていなかったためにボールが中に入ってしまった」
「ライオンズ選手とスミス選手に高確率でシュートを決められている。今の自分たちのディフェンスでは、マンツーマンで彼らを守ることが出来ない。この判断からゾーンディフェンスを使ったのだが、そのゾーンもルールが守れず、フロントをしないといけない時にフロントが出来ていなかった。その意識を芽生えさせていかないといけない」
「インサイドの得点ではウチが34点で富山が48点。その差は歴然で、ウチがインサイドのディフェンスを出来るようにならない限り、マンツーマンディフェンスは出来ないと思っている」
また細谷将司キャプテンはこう振り返っている。
「後半のディフェンスだと思います。1Qの出だしは良かったのですが、そのあとに0-10のランを許してしまったことと、後半だけで51点取られているところが、今日の敗因です」
「オフェンスで80点以上は取れると思っていたので、ディフェンスを頑張ろうと試合前に話をしていました。相手を11点に抑えた2Qでは良いディフェンスが出来たのですが、やはり後半のディフェンス。リバウンドで9点差で負けていますし、セカンドチャンスも多く取られてしまいました」
「特にインサイドのディフェンスです。スミス選手に72%、ライオンズ選手に90%インサイドを決められてしまい(総得点の)半分以上を取られています。宇都選手のアタックにも僕らガード陣がプレッシャーを掛けられなかったことから、その隙きをやられてしまいました」
「開幕して5試合連続で相手センターのフィールドゴールパーセンテージが80%以上でした。このパーセンテージを下げないといけません。相手にシュートを簡単に決められてしまうと、こちらもリズムを作れない。結局ハーフコートオフェンスを展開しないといけない。インサイドのディフェンスをチームでどう守っていくかが今の課題です」
「ディフェンスは、全員が連携しないと上手くいきません。その連携が、まだまだ僕らには足りていない。それを今日のゲームでも感じました」
次節は中2日、今度は横浜国際プールでの開幕戦で滋賀レイクスターズと2試合と闘う。今回も準備期間は短い。細谷はこう意気込んだ。
「このチームが勝つためには、やはりディフェンスです。ディフェンスをやらないと勝てません。ディフェンスをしっかりとやる。滋賀は外国籍選手も良く、日本人選手も良い。スカウティングをしっかりとやって、何を守るのかをチーム全員で共有する。しっかりと守った上で、全員で走っていく。チームで自分たちのスタイルをもう一度作り上げていく。短い準備期間ですけど、しっかりとコミュニケーションを取って、ヘッドコーチのいうことを信じてやっていきます」
「5連敗という現実を突きつけられていますが、ひとつ勝てば、流れが変わると思っています。チームメイトを信じて、ブースターの皆さんを信じて、とにかく勝つこと。土曜日の試合を勝つことだけを目標にしてやっていきます」
次節、横浜国際プール開幕戦で今度こその初勝利を挙げる。
【写真・記事/おおかめともき】