復活の川村卓也が22得点!サビート18得点12リバウンドでダブルダブル!満田がここぞのブロックと3Pシュート!
B1残留プレーオフ2回戦(5月19日 片柳アリーナ)
横浜ビー・コルセアーズ 79-76 富山グラウジーズ
21-12|20-22|17-26|21-16
5月19日、蒲田にある片柳アリーナを中立会場とした「B.LEAGUE B1 残留プレーオフ 2回戦 2017-18 」がおこなわれ横浜ビー・コルセアーズと富山グラウジーズが対戦。激しい大接戦の末、ビーコルが79-76でグラウジーズを敗り、悲願のB1残留を決めた。
B1残留プレーオフ2回戦は、昨年と同じ5月19日に同じ対戦相手が激突した因縁対決。雌雄を決する運命の大一番でコートで選手たちが死力を尽くし、スタンドではブースターが怒濤のブースト合戦を繰り広げた中で、ビッグプレーが続出。最後の最後まで勝敗の行方が分からない好ゲームとなった。
両チームのエース、川村卓也と宇都直輝がB1残留を賭けて気持ちとプライドをぶつけ、川村が22得点、宇都が16得点13アシストを挙げた。
ビーコルにとっては、今季の集大成ともいえる勝利となった。スターティング5でビーコルは、これまでの富山戦で大きく機能していたハシーム・サビート・マンカを起用。サビートはその起用に応える大活躍を魅せた。
1Qの序盤約2分間で両チームは得点がなく重たい立ち上がりとなった。グラウジーズは、アグレッシブなディフェンスをビーコルに仕掛けたが、立て続けにファウルを取られ、この2分間だけでチームファウルが5つになってしまう。
これで2本のフリースローを得た川村卓也が確実に沈めて2点。これを皮切りにスコアが動き始める。
直後にグラウジーズのエース宇都直輝がビーコルディフェンスを突破して2Pを入れると、今度はビーコルのエース川村卓也が3Pでやり返す。
川村の3Pは、宇都のパスミスによるターンオーバーからだった。川村は試合後にこう振り返っている。
「前半で宇都にターンオーバーをさせるチームプレーが出来た」
これでリズムを崩した宇都は、以降でパスとシュートでミスが多くなってしまう。
グラウジーズはチャップマンの3Pで同点にしたが、ここからシュートが決まらず得点がストップ。
ビーコルは6分32秒にチャップマンのファウルから得たフリースローを2本とも決めたサビートの2点から、川村レイアップ、サビート2P(インサイド)、川村2P(アウトサイド)、サビート2P(アウトサイド)、マクドナルド2P(インサイド)、竹田のフリースロー2本で14-0のランを成功させて一気に14点のリードを奪う。
グラウジーズは残り1分36秒から上江田の2P、ピットマンの2P、上江田の3Pで反撃。
残り15秒にマクドナルドがインサイドから2Pを沈め、1Qは21-12。ビーコルが9点のリードを奪い、ゲームの主導権を握った。
2Q、流れを得たビーコルは、9分43秒に田渡 凌がアウトサイドから沈めた2Pを皮切りに、川村のフリースロー2本、パーマーの3点バスケットカウントで得点。
6分6秒、サビートがビッグプレーで魅せる。田渡のスローインから見事なアリウープダンクを決め、NBAドラフト1巡目2位の高さと技を2887人の観客に見せつけた。得意のグラウジーズ戦で大きく躍動したサビートは、さらに5分22秒、今度はレフトハンドで2Pを沈めた。
4分11秒には細谷将司が3Pを沈め、細谷はさらに2分38秒にレイアップを決めた。
1分57秒、ウィラードのリバウンドからのボールを受け取り一気にドライブした宇都が、ビーコルディフェンスを突破してレイアップを打ったが、これを満田丈太郎が渾身のブロックショットで阻止。さらに満田は、川村からリバウンドボールを受け取るとそのままドライブしてファウルを奪い、フリースロー2本を確実に沈めてみせた。
グラウジーズは、これで流れを失いかけたが、残り1分35秒にピットマンが沈めたインサイドからの2P、ウィラードのアウトサイドからの2P、上江田の3Pなどで連続得点して流れを作り、後半戦での反撃に繋げた。2Qは、20-22でグラウジーズがクォーターでのリードを奪い返した。トータルスコアは41-34でビーコルのリードは7点となった。
ビーコルは2Qの終盤1分51秒から3Qの6分2秒まで得点が停滞。グラウジーズはこの間に、宇都のレイアップ、ウィラードのインサイドからの2Pと3P、フリースロー2本で17-0のランを決め、同点から勝ち越しに成功する。
しかし直後の6分2秒に川村の3Pでビーコルが再逆転すると、ここから激しい一進一退の攻防となりスコアが行き来した。
ビーコルはサビートのダンクと川村のインサイドからの2P、川村のアウトサイドからの2P、竹田 謙の3P、田渡の連続2Pで得点をかさねた。
グラウジーズは、この3Qだけで18得点を挙げたサム・ウィラードと6アシストの宇都が猛追の起点となり、残り4秒で宇都のアシストからウィラードが沈めたダンクで逆転して最終クォーターに突入した。3Qは17-26でグラウジーズがリード。トータルスコア58-60でビーコルが2点のビハインドを背負った。
前半で苦しんだ宇都は、3Qで徐々に調子を取り戻し、レイアップ2本、さらには6本のアシストで得点に繋げた。
4Q、らしさを取り戻した宇都がインサイドから連続2P、大塚裕土のアウトサイドからの2P、宇都のインサイドからの2P、ウィラードの3点バスケットカウント、水戸健史の2Pでリードを広げる。
ビーコルは開始から約6分間での得点が、パーマーのインサイドからの2P、竹田のレイアップの4点のみに留まるが、4分に満田が沈めた3Pから猛追が始まった。
3分27秒に細谷がレイアップを決めると2分44秒に川村がインサイドから2P。2分19秒にはサビートがこの試合3本目のダンクを沈めた。
1分46秒に満田が、宇都のファウルから得た2本フリースローを確実に沈めて、ビーコルが73-73の同点に追いつく。
1分30秒、宇都がパスミスから許したターンオーバーをサビートがスティール。これを川村が倒れながらに中に入れてオフェンスに繋げる。
1分10秒、川村がグラウジーズディフェンスに切り込み、外にいてノーマークだったジェフリー・パーマーに絶妙なノールックパスを出す。
パーマーはこれを見事沈めて勝ち越しの3Pシュート。76-73でビーコルが遂に3点のリードを奪い返し、スタンドの7割を埋め尽くしたビーコルブースターは狂喜乱舞。スタンド中にB-CLAPが咲き乱れた。
勝利への氣魄を一気に剥き出しにしたビーコルの選手たちを、アリーナ中に轟くビーコルブースターの力強い「ゴーゴービーコル!」のコールがあと押しする。
残り46秒、大塚が外した3Pでのリバウンド争いでサビートがファウルを奪う。サビートはプレッシャーの中で1本目を外したが2本目を沈めて4点差。
ビーコルの悲願B1残留にプレッシャーが立ちはだかる。ウィラードが外した3Pを細谷がディフェンスリバウンドしてドライブ。しかしミスからターンオーバーを許してしまう。グラウジーズは宇都が3Pを打ったが外れ、ウィラードがオフェンスリバウンド。これを止めにいった満田がファウルを取られ、グラウジーズにフリースロー2本が与えられた。
ここで、川村がコートの中央でビーコルブースターにブースターディフェンスを促す。声と足踏み、そして激しく叩かれるB-CLAP。ブースターディフェンスは怒濤の大音量となり、その光景はまさにビーコルブースターも共に闘っていることをあらわした。
ウィラードは、この異様ともいえる雰囲気の中でフリースローを1本外してビーコルのリードは3点。
残り23秒、パーマーが取られたファウルでピットマンがフリースローを2本とも入れてグラウジーズが1点差にまで詰め寄った。ここで、グラウジーズはタイムアウトを掛けてファウルゲームに持ち込む。
残り16秒、2本のフリースローを得た川村が2本とも確実に沈めて差は3点。
あとがないグラウジーズは再びタイムアウト。ビーコルは高島一貴を投入してディフェンスを固める。
グラウジーズは、2度目のファウルゲームを実行せず3P狙いを選択。残り12秒、高島が懸命のディフェンスでプレッシャーを掛け、大塚が打った3Pシュートを外させた。
これを拾った宇都が3Pシュートを打ったがこれも外れ、ボールがラインの外に出てビーコルボールに。残り2秒で3点差、ビーコルは勝利を確信したが、グラウジーズは最後のタイムアウトを掛けた。
ここでビーコルは殊勲のディフェンスで3Pを阻止した高島に代えて細谷を再投入。
パーマーのスローインでボールが満田に渡りこれを宇都が奪いに行ったが、ルーズボールになったところでタイムアップ。川村が勝利の雄叫びを上げ、ビーコルブースターの歓喜が爆発した。富山グラウジーズに1年越しのリベンジを果たした横浜ビー・コルセアーズが、悲願のB1残留を成し遂げた瞬間だった。
敗れたグラウジーズは、5月27日(日)横浜アリーナでおこなわれるB1・B2入替戦で熊本ヴォルターズと対戦し、B1残留に最後の望みをかける。
ファイナルスコアは79-76。4Qは21-16でビーコルがリードを奪い返した。
この試合の両チーム通じてのスコアリーダーは26得点を挙げたグラウジーズのサム・ウィラード。さらにウィラードは14得点でダブルダブルを記録した。
グラウジーズ宇都直輝は前半で苦しんだが、後半に調子を戻し、16得点13アシストで奮闘した。宇都は試合後の会見で「勝てたゲームを落としてしまった。自分の責任」と語っている。
ビーコルのスコアリーダーは、今季最後の試合となった残留プレーオフ2回戦で完全復活したエース川村卓也の22得点。川村は38分30秒に渡って奮闘し、今季最大のキャプテンシーでチームをB1残留へと導いた。
ハシーム・サビート・マンカがアリウープダンク1本を含む3本のダンクで18得点12リバウンドでダブルダブルの大活躍。川村と共にオフェンスの起点となった。グラウジーズは命運掛けたB1残留プレーオフでもサビートを止めることが出来なかった。
4Q終盤での勝負どころで見事な3Pシュートを沈めたジェフリー・パーマーは8得点4アシスト。
ディフェンスで宇都のリズムを狂わせた満田丈太郎は7得点3アシスト。2Qで、宇都のシュートを阻止した1ブロックショットが光った。
ここぞの3Pシュートが光ったベテラン竹田 謙は7得点。
ポイントガードの細谷将司は7得点6アシスト。もう一人のポイントガード田渡 凌は6得点だった。
試合後の会見で尺野将太HCはこう振り返り、ビーコルブースターに感謝の気持ちを伝えている。
「プレーだけでなく、気持ちでも、今シーズンの全てがこもった良いゲームになりました」
「富山さんの良いプレーも沢山出ましたが、それを上回るウチの良いプレー、気持ちの入ったプレーが最後の3点差に繋がりました。本当にチームで勝ち取った勝利です」
「ビーコルブースターの皆さんが、本当にシーズンを通して、ホームでもアウェイでも多くのビーコルブースターさんたちが駆けつけてチームをあと押ししてくれました。なかなか勝利で応えられなかったのが心苦しいんですけど、本当にいつも支えてくれて、心からありがとうございましたと言いたいです」
ビーコルの長きに渡った2017-18シーズンの航海が終わった。最終成績は中地区で最下位の6位。全体で16位となった。2年連続でB1残留プレーオフを争ってのB1残留だが、昨季は入替戦での残留。今季は2回戦で、昨季の2回戦で惨敗したグラウジーズから勝って残留を決めたのは大きい。
シーズン前に掲げた優勝という目標は果たせなかったが、シーズン序盤でいきなり湊谷安玲久司朱とジェイソン・ウォッシュバーンをアキレス腱の怪我で失ったのをはじめ、以降で降りかかった数々の苦難困難をチームで乗り越えてきた。
トーマス・ウィスマンをアドバイザーに迎えたシーズン中盤以降でタレント揃いの海賊でありながらもチームバスケを推し進め、ビーコルは闘えるチームへと進化した。
残留を決めたあとのロッカールームで、選手たちはB1残留を果たした充実感と安堵の表情を浮かべていた。ただ、選手たちはビーコルブースターに対して、2年連続で残留プレーオフにしてしまった申し訳ない気持ちがある。
ビーコルは、今季の闘いで得たことを来季に活かし、強くなることで、最後まで共に闘ってくれたビーコルブースターに恩返しをする。
海賊たちは、5月27日に帰港式をおこない、期待の2018-19シーズンまでしばしの休息に入る。
【取材・記事・写真/おおかめともき】