個ではないチームで勝ち切った4Qの攻防
横浜ビー・コルセアーズ 86-81 新潟アルビレックスBB(2月3日・シティホールプラザアオーレ長岡)
26-9|17-21|20-20|23-31
海賊たちが勝った。中地区6位のビーコルはアウェイ シティホールプラザアオーレ長岡で、5位新潟アルビレックスBBとの直接対決GAME1を闘い、終盤4Qでの接戦を制して勝利。連敗を4で止め、中地区5位と6位の直接対決を先勝し、5位との差を3に縮めた。
この2018年最初の1勝は大きい。差を縮めただけではない。ビーコルはチームバスケを取り戻し、自分たちのバスケを取り戻した。千葉戦と名古屋D戦でのショックを断ち切る価値ある一勝。海賊たちは、この勝利をきっかけにして一気浮上を図る。
この日、横浜から沢山のビーコルブースターが長岡に駆けつけてアウェイの地で猛ブースト。選手たちは全身全霊のプレーで応え勝利の歓喜をもたらして魅せた。
スターティング5では、前節GAME2でコンディション不良から後半を出場出来なかった細谷将司と高島一貴が揃って元気な姿をみせた。
しかし一方で、スターティング5だったウィリアム・マクドナルドが試合前にコンディション不良で急遽欠場。尺野将太HCはサビートを代わって出場させた。
1Q、ビーコルは川村卓也の3Pシュートで先制すると、満田丈太郎が2Pシュートで続く。以降、高島一貴と川村の2Pシュート、細谷将司の3Pシュートで快調に得点をかさねた。
また5分51秒と4分58秒には、マクドナルドに代わって急遽スターティング5でコートに立ったハシーム・サビート・マンカが2Pシュート。さらには高島が3分38秒にも2Pシュートを沈める。1分35秒には田渡 凌が2Pシュートを沈め、1分13秒には川村が2Pシュートをレイアップで沈めるなどして出だしの1Qで26得点を奪い主導権を握った。
ビーコルは、ディフェンスでも出だしからアグレッシブに仕掛けた。特に前回対戦で、10月に34得点、12月に42得点を喫していた#54ダバンテ・ガードナーをわずか2点に封印することに成功。得点力の高いアルビレックスのオフェンスをわずか9得点に抑え込んだ。1Qは26−9。17点のリードを奪う。
2Qの出だしで川村、6分55秒に田渡、6分20秒にパーマーが2Pシュート。さらには5分48秒と4分41秒に田渡と川村が2Pシュートを再び沈める。
3分11秒にはハシーム・サビート・マンカが2Pシュート。残り1分31秒では細谷が3Pシュートを沈め、さらに残り26秒でサビートが2Pシュートを沈めた。
一方で、アルビレックスのアウトサイドからの得点が決まり始め、じわじわと追撃され、リードが減っていったが、二桁リードは何とか守り切った。2Qは17−21。トータルスコア43−30、13点のリードで前半を終える。
3Q、このクォーターでも川村のシュートで始まった。出だし9分51秒と9分14秒に続けて2Pシュートを沈める。
7分36秒にはサビートが2Pシュートを沈めると、7分23秒には川村が3Pシュート。追い上げてくるアルビレックスをここぞで交わし、ビーコルが逃げる。
3Qの中盤で満田が躍動。5分20秒と3分35秒に3Pシュートと2Pシュートを沈めると、残り1分44秒で2Pシュートを沈めた。
2分27秒で、ガードナーとサビートが接触。その際、サビートが転倒し、右足を打ったようで、サビートはしばらく痛みから苦悶の表情を浮かべて立ち上がることが出来ず、パーマーが代わってコートイン。サビートは立ち上がるとコートサイドに移された。
マクドナルドの欠場に続けて、サビートまでも。と不安がよぎったが、サビートはオンザコート2の4Qで、パーマーと共にコートに立ち、ここぞでのブロックショットで勝利への執念とガッツをみせた。
3Q残り18秒で田渡 凌がレイアップで2Pシュートを沈め、3Qは20−20で両者ゆずらずのイーブン。トータル63−50で、13点のリードをキープする。
ここまでのビーコルにとっては、魔の4Qといえる最終クォーター。出だしからガードナー、#3畠山俊樹に続けて2Pシュートを許し、リードはひと桁になってしまい嫌なムードが立ち込めたが、海賊たちは前回の反省を受けて「個」ではなく「チーム」で応戦した。
アルビレックスの連続得点の直後にパーマーが3Pシュートを沈めて突き放すと、今度は#34ラモント・ハミルトンに3点のバスケットカウントを許してしまい、アルビレックスが食らいつく。
5分21秒では川村が3Pシュートを沈め、しばらくひと桁、二桁とリードが揺れ動く展開となり、残り51秒に#7五十嵐 圭の3Pシュートで、ついには4点差にまで肉薄される。
しかし同41秒、川村のアシストからガードナーのディフェンスに果敢に切り込んだ佐藤託矢がファウルを奪いフリースロー1本。さらにはサビートがフリースロー1本を決めて窮地を逃れる。これこそ、リードで受け身にならなず「個」を捨てた「チーム」バスケの姿だった。
これでビーコルに勝利の流れをもたらした。残り5秒で川村がフリースロー2本を確実に沈めて8点差に突き放す。残り1秒でハミルトンが3Pシュートを沈めたが、チームバスケを徹底したビーコルが一度も勝ち越しを許さずの逃げ切り勝利を飾り、連敗を4で止めた。
4Qは23−31。ファイナルスコアは86−81で、5点リードでの勝利だった。
マクドナルドを欠くなかで1Qに26点を挙げたビーコルが、最後までアルビレックスBBの勝ち越しを許さず、終盤「個」ではない「チーム」で勝ち切ったのは大きい。
川村卓也が両チーム最多の28得点を挙げ、満田丈太郎が14得点と二桁得点をマーク。ハシーム・サビート・マンカは11得点ながらリバウンドを16もマークしてダブルダブル。川村はアシスト6も記録している。
なお、この試合で新潟アルビレックスBB 五十嵐 圭が個人通算2,000アシスト。同じく新潟の城宝匡史が個人通算1,000回3P成功をそれぞれ達成した。
尺野将太HCは、勝利後の会見でこう語っている。
「先週、悔しい負けを続けてしまって、後半の部分を何とか修正しようということで、今週いい練習が出来ていました。1Qと2Qでディフェンスがしっかりと機能して、特に1Qで、得点力のある新潟さんを9点に抑えることが出来たゲームの入りは、中盤のファウルトラブルであったり、競った場面での自分たちのディフェンスに自信を持てる結果に繋がりました」
「オフェンスで86点を取れましたが、今日はディフェンスでしっかりとチームのやるべきことをやり切った結果が、この勝利に繋がったと思います」
一方で前節三河戦GAME2でダバンテ・ガードナーのブザービーターで劇的な勝利を挙げていた新潟アルビレックスBBの庄司和広HCは悔しさを露わにした。
「1Qが全て。チームで準備してきたことを徹底出来なかったことにつきる。ターンオーバーの数が1Qに8と非常に多かったのは(試合トータルのターンオーバー数は20)、ウチの特徴であるターンオーバーの少なさ、根底の部分が総崩れしてしまった。ペイション(我慢)出来ず、ボールを大切に出来なかった」
ガードナーには24得点を奪われたが、ここまでの対戦で34得点と42得点を喫し、平均得点29.1点の重戦車をここまで抑えることに成功したのは大きい。
尺野HCはこのことを「ガードナーに得意なプレーをさせないように徹底して練習をして来た」と語っている。
特にわずか2点に封じ込めた1Q。マクドナルドが急遽出れなくなったことで、策の修正を余儀なくされたが、代わって入ったハシーム・サビート・マンカが体を張った懸命のマッチアップで挑み、1Qでガードナーをわずか2点に封じ込めたビーコルディフェンスは賞賛に値する。アルビレックスは、これで出鼻をくじかれた格好になった。
ビーコルは、前節名古屋D戦GAME2で、前半をチームプレーで24得点のリードを奪いながら、相手にじわじわと追い上げを許し、後半で受け身になり「個」で闘ってしまったことで4Q終盤の逆転負けを喫していた。
今節は、後半の闘いをどうするかに掛かっていただけに、後半を「チーム」で闘い、勝ち切ったこの勝利は意味深い。
海賊たちは、これを自信にして翌日のGAME2で横浜から駆けつけたビーコルブースターと共に、富山、滋賀に続く今季3度目のアウェイ連勝に挑む。
【写真・記事/おおかめともき】