2Qでサビートがまさかの一発退場。怪我の佐藤に加えて二人のビッグマンを失う
横浜ビー・コルセアーズ 78-114 千葉ジェッツ(1月21日・千葉ポートアリーナ)
31-13|22-22|18-31|25-30
完敗だ。前日の修正を施し、巻き返しを図るべく挑んだ海賊たちだったが、天皇杯連覇を果たした千葉ジェッツに跳ね返されてしまった。ここまで大敗はあったが、三桁100点台の失点はなかった。それだけに114失点のショックは大きい。
前日GAME1で勝利したジェッツは、前日に出た課題をしっかりとつぶし、修正してきたばかりでなく、富樫勇樹を怪我で欠いたピンチも、入れ代わりに西村文男が怪我から復帰して機能。その組織力を見せつけられた。
この大敗でビーコルはまた課題を突きつけられた形だが、今節でディフェンスの要であるビッグマン佐藤が怪我のために出られず、さらにこのGAME2では、2Qでハシーム・サビート・マンカがまさかの一発退場となり、攻守の要である二人のビッグマンを失ったことは大きく響いた。
この日のスターティング5は、前日に続いて川村卓也が起用され、オンザコート1の外国籍選手のスタートにはサビートが起用された。
1Q、ジェッツは出だしからアグレッシブにきた。小野龍猛とマイケル・パーカーに内外からシュートを決められ先制を許すが、川村がアウトサイドから2Pシュートを沈めると、8分にレイアップでバスケットカウントを奪い、フリースローも沈めて勝ち越しに成功。しかし直後にパーカーに2Pシュートを決められ再逆転を許してしまう。
両チームが激しいリバウンド争いになるなかでの5分54秒、サビートがダンクでバスケットを奪いフリースローをしっかりと沈め、3点差にまで肉薄。ビーコルはゾーンディフェンスを敷いたが、速いパス回しで突破されギャビン・エドワーズに2Pシュートを決められジェッツが逃げた。
2分11秒にジェフリー・パーマーの2Pシュート、竹田 謙の3Pシュートで応戦したが、ジェッツのトランジションオフェンスに対応し切れず1Qは13-31。1Qで31点も失ってしまいビハインド18点。出だしのクォーターで早くもゲームの主導権を握られてしまった。
ビーコルは出だしでわずか13得点。ジェッツのディフェンスは前日以上に執拗でタフになっていた。ハードなディフェンスに苦しむビーコルは、ゴール下でのパス回しが思うように出来なくなった。長いパス回しの末に3Pシュートを狙った川村がブロックされてしまう場面もあり、ビーコルが打ったシュートはリングに弾かれてしまった。
オフェンスが分断された形となり、パスワークのミスも目立った。ジェッツのトランジションオフェンスの術中にはまってしまったビーコルは、相手にタフショットを打たされる形となり、リバウンドを多く奪われたことが失点に繋がった。(ジェッツの最終的なリバウンド数は41)
2Q7分40秒にパーマーが3点バスケットカウント。7分15秒にはサビートがダンク、6分41秒にも2Pシュートを沈めてオフェンスにリズムが生まれる。
さらには田渡の3Pシュート、川村、マクドナルド、細谷の2Pシュート(マクドナルドは連続して2本)で食らいつき追撃する。
しかし、予期せぬ事態が起こる。残り1分8秒、小野のシュートフェイクを受け取った伊藤俊亮がシュート体制に入った。それをジャンプして防ぎに入ったサビートが覆いかぶさる形となり両者が転倒。伊藤は頭を打ってしまいしばらく起き上がれなかった。大事には至らなかったが、サビートがこのプレーで、ディスクォリファイングファウルを宣告され、まさかの一発退場となってしまった。
サビートに代わって入ったパーマーがファウルを奪いフリースロー2本を決めたが、サビートが抜けたことは痛く、攻守で大きな戦力ダウンとなってしまった。
2Qは、なんとかオフェンスのリズムを取り戻し22−22のイーブンに持ち込んだ。トータルスコア35−53でビハインドは18点のまま。
サビートが抜けた3Q、ディフェンスは後半に入っても修正出来ず、失点が続いた。オフェンスでは高島一貴が8分8秒に2Pシュート。7分41秒では細谷のシュートをオフェンスリバウンドしたウィリアム・マクドナルドが2Pシュートを沈める。
5分45秒には満田丈太郎が3Pシュート、さらには田渡 凌、川村、高島が2Pシュートで続いた。
残り1分25秒で川村が3Pシュートを沈めて得点したが、ビハインドを縮めるには十分ではなかった。3Qでは、1Qに続いて31点を失い18−31。トータルスコアは53−84となり、ビハインドは31点と大きく広がってしまった
4Q、ワンサイドゲームとなったなかで、パーマー、川村、細谷のシュートなどで必死に抵抗したが、6分25秒石井講祐に3Pシュートを決められ失点はついに100点になってしまった。
三桁の大差もマクドナルドと蒲谷のシュートで必死の執念をみせた。
サビートが抜けたことで、ディフェンスのフォーメーションも変えて挑んだが、ジェッツの3Pシュートは止まらずBリーグになってから最多の114失点。
残り23秒でマクドナルドが2Pシュートを沈めたが、ビハインドはあまりに多く、残り16秒を待たずにして勝敗は決した。
Bリーグ再開節でビーコルは連敗スタート。ジェッツの114得点は、ジェッツのBリーグになってからのチーム最多得点となり、Bリーグでも最多得点となった。一方でビーコルは、Bリーグ1試合最多失点という不名誉な記録を残してしまった。
滋賀での連勝を自信に自分たちのバスケを、1月のブレイクで調整しさらに向上させて挑んだ千葉戦。GAME1の1Qでは機能したが、徐々にペースを上げたジェッツを倒すことは出来ず、ジェッツが前日の修正をしてきたGAME2では屈辱の114失点を喫してしまい、大きな課題が突きつけられた。尺野将太HCは試合後、この大敗をこう振り返っている。
「点数とプレーに表れたように自分たちの力が足りなかった。ジェッツさんが素晴らしいプレーを40分間続けたことに尽きると思います」
「ジェッツさんは天皇杯で優勝した日本一トランジションオフェンスが強いチームです。オフェンスの終わり方が、トランジションディフェンスに大きく影響してくるので、オフェンスをきちんと終われるように、全員で共通理解を持って修正したつもりでしたが、修正したオフェンスをジェッツさんが上回ったことが、そのままブレイクに繋がって、今日の結果に繋がってしまいました」
前日に続いて、佐藤託矢が怪我で欠場したが、その対応はしていたという。加えてサビートが2Qで退場となる誤算もあり非常に難しい展開になった。
「今日も佐藤選手がプレー出来なかったので、いつもと違う、普段プレーしないポジションをやらないといけない選手が出てしまいました。その準備はしてきましたが、2試合目になると相手が対応してきてしまい、ウチがそれ以上のものを出す準備が出来ていなかった」
114失点の屈辱。この苦く悔しい経験が糧となり、ビーコルを強くさせる。来週からは後半戦に突入し、名古屋ダイヤモンドドルフィンズとホーム横浜国際プールで2試合を闘う。尺野HCは、次節に向けた決意をこう語っている。
「今日の大差での敗戦でチームが崩れてしまい、ピンチでもありますが、自分たちのディフェンスをどうしないといけないか、自分たちのルールはどうなっているのか、何をしないといけないのかをもう一回明確にする。来週はチームのやるべきディフェンスに集中して、自分たちのバスケットをもう一度出来るようにしたいと思います」
アウェイ富山と滋賀で今季2度の連勝をしているが、ホームでの連勝はまだない。次節後半戦に突入するホーム名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で、もう一度ビーコルのバスケを取り戻し、今度こそホームで連勝し、ホームのビーコルブースターに歓喜を届ける決意だ。
【写真・記事/おおかめともき】