GAME1で29得点、GAME2で15得点11アシスト、GAME3でチーム最多7得点で生まれた自信と余裕。
B1残留プレーオフ1回戦を西宮ストークスと闘い、GAME3までもつれた激戦の末に勝利し、ビーコルブースターと共に1回戦を突破したビーコル。
エース川村卓也は、この決戦に入るまで、復調の兆しはみせつつも、川村自身がこれまでにない低迷期と表現したように、もがき苦しむ中で迎えた決戦だった。その詳細は前回のインタビューを見て頂ければと思うが、今回はその後の川村の状況を、残留プレーオフ1回戦を突破した後でおこなわれた会見で川村に聞いた。
この会見で、川村は終始穏やかな口調で丁寧に、今の率直な状況を語ってくれた。
川村は、残留プレーオフ1回戦のGAME1で序盤はシュートタッチを取り戻すことに苦しんだが、徐々にアジャストして行った。3Q以降で内外角からシュートが決まり始め、4Q終了間際で厳しいマークをかわして沈めた3点差に迫る3Pシュートは本来の川村らしいシュートタッチだった。
川村は、この試合で両チーム最多となる29得点(3Pシュート3本)を挙げ、7リバウンド、8アシストを記録したがチームは敗戦し、B1残留へあとがない状態になった。
翌日のGAME2でチームは百点ゲームで大勝。川村も3Pシュート2本を含む15得点を挙げ、6リバウンド、アシストは前日を上回る実に11という高い数字を残し、得られた3本のフリースローも100%で決めた。
そして命運が掛かったGAME3では、チーム最多の7得点で1アシスト。序盤はストークス優勢も、後半でチームが逆転し、流れが一気に来た勝負どころでの2Pシュートをしっかりと沈めた。
1点差での残り5秒でストークスが仕掛けたファウルゲームから得た2本のフリースローでは1本目を沈め、残り数秒で猛追するストークスには大きなプレッシャーとなった。
川村は前日以上のキャプテンシーでチームを牽引して、チームをまとめ上げた。チームは、50分間を焦ることなく集中し、勝利への執念を剥き出しにしたエナジーで必死に食らいついてきたストークスを退け、B1残留プレーオフ1回戦を突破した。
川村は、選手全員が切れることなく我慢しながら自分たちのバスケットが出来た結果だったと振り返ったが、この残留プレーオフ1回戦で、いよいよカムバック出来たのではと問うと、即座にこう答えた。
「まだですね」
前回の時も、同じ答えだったが、今回のトーンは少しニュアンスが和らいでいたと思う。川村は続けた。
「シュートも横にズレている時もありますし、タイミングも、パワーバランスも上手く噛み合っていないことがまだ多々あるので、まだ僕の中では50%ぐらいな戻り方だと思っています」
川村は、22得点を挙げた4月22日の京都戦GAME2以降の4試合で急に調子を落とし、以降の試合で2得点、5得点、7得点とロースコアが続いてしまい、島根戦GAME1では遂に無得点を喫してしまった。川村本人にも原因が分かず、これまでにないどん底の状態になっていた。それだけに、この50%という数字は今の川村にとっては決して低くない大きな数字といえる。
「0から50に上がってこれたと思えば、プラスな部分もあります。シュートが不調でも自分がアグレッシブに行くことで周りのディフェンスを引きつけて、今日の第2戦みたいなアシストに繋げることが出来ればシュートが入らなくても、自分のバスケットボールをもう1回戻すきっかけにもなると思っています」
川村が第2戦で挙げた得点は15得点と前日の29得点と比べると少ないが、それ以上に11のアシストがチームの百点ゲームに繋がった。GAME1で29得点を入れることが出来たことで、川村は、少なからずとも自信と余裕が出来たとも語っていた。
この余裕からチームを牽引するキャプテンシーも発揮出来たのだろう。この大事な残留プレーオフ1回戦では、ビーコルのエース川村卓也を久々に見た思いだった。B1残留確定がかかる2回戦に向けて、本人が思っているよりも、カムバックへのパーセンテージは大きいのかもしれない。
「もちろん、シュートをどんどんどんどん打っていく姿勢というのはキープしながら、しっかりとチームのバスケットに繋がる動きが出来るように、残り1戦で終われるように、そこにもう一回、自分のパフォーマンスを持って来れるように準備したいなと思います」
川村は、この会見で共に闘うビーコルブースターへの感謝を何度も口にしていた。彼らのためにも片柳アリーナでの2回戦で、B1残留を決めるつもりだ。
「本当に今日は素晴らしいアリーナ(ブーストの中で)でゲームをさせてもらえたなと率直に思います。その中で勝てた。勝って、皆さんにいい笑顔になってもらって、帰り道についてもらうっていうことが僕らプロ選手としては一番うれしいことです」
「ビーコルブースターのみんなの笑顔と声援に沢山パワーをもらったので、残り1戦でB1残留を確定出来るように、もう少し僕らのあと押しをして欲しい。みんなに刺激してもらって、背中を押してもらって、しっかりと準備していきます。本当に今日はありがとうございました」
穏やかな口調で語られた言葉からは、川村が得た自信を垣間見ることが出来た。本人曰くまだ50%でも、スタッツが物語るように、少なくともどん底の低迷期は脱したはずだ。片柳アリーナまでの1週間の調整で、我らがビーコルのエースは、ここからどんどん調子を上げていくだろう。2回戦では、川村卓也がさらなる力で、ビーコルをB1残留に導いてくれる。完全復帰への念を送りながら、ゾクゾクしながらその時を待ちたい。
【記事・取材・写真/おおかめともき】
⬇B1残留プレーオフ2回戦は、奇しくも昨季と同じ5月19日、相手も同じ富山グラウジーズと雌雄決する。決戦の地は片柳アリーナ。詳細はチーム公式HPのこのリンクから見ることが出来る。
https://b-corsairs.com/news/game_20180519.html