『横浜が大好きでした』惜別、田渡が広島へ新たなる船出。
6月5日、横浜ビー・コルセアーズは3シーズンにわたってプレーしたポイントガード田渡 凌の退団を発表。また広島ドラゴンフライズは、同選手との契約合意を発表した。田渡は契約が残る6月30日まで、横浜ビー・コルセアーズの選手としてクラブの活動やイベント等に参加する。
田渡は、京北高等学校(現・東洋大学京北高等学校)を卒業後、渡米し、オローニ・カレッジ(短大)、ドミニカン大学カリフォルニア校。2017年に帰国し、横浜ビー・コルセアーズ入り。以来ビーコルで3シーズンに渡ってプレーした。今季はキャプテンに就任して、チームになくてはならない存在になっていた。5月18日に契約が満了し、自由交渉選手リストに公示されていた。
今季は、レギュラーシーズンで41試合に出場して23試合で先発。総得点数285点(平均7得点・シュート成功率35.6%)、3Pシュート成功率27.4%、フリースロー成功率71.4%、89リバウンド、178アシスト、30スティールを記録していた。
また、今季はメディアへの露出も増え、Bリーグ『2019-20 SEASON MIP』を受賞するなどして人気選手になっていた。
田渡は、チームを通じて以下のようにコメントしている。
「3年間期待を裏切ってすみませんでした。自分の力不足でした。それにも関わらず沢山の温かい応援を本当にありがとうございました。できることであれば皆さん一人一人に御礼を言ってまわりたいくらいです。横浜で始めて横浜で終わる、その目標が叶わず残念ですが、アメリカの大学を卒業し帰国したばかりの自分にチャンスを与えてくれた横浜ビー・コルセアーズには感謝しかありません。そして、3年間朝早くから来て自分のリバウンドや身体のトリートメントに付き合ってくれたり、凌ならできる!といつも声を掛けてくれたマネージャー、トレーナーの皆さん、自分を信じてくれたコーチ陣の皆さん、プロとして大切なことは何か教えてくれた偉大なる先輩方、もっとしっかりしなきゃいけないと思わせてくれた後輩たち、本当にありがとうございました。いつの日か、胸を張って横浜でキャリアを始めて良かったと言えるような活躍をして、皆さんに恩返しができるように精進します。日本一のブースターのもとプレーできたことはとても幸せでした。またスポンサーの方々含め横浜ビー・コルセアーズに関わる全ての方々へ、本当にありがとうございました。 横浜が大好きでした」
田渡の「横浜が大好きでした」の言葉が胸を打つ。いつも献身的にチームを引っ張ってきた姿を思い浮かべると惜別としかいえない。父・田渡優は、バスケットボールの名門校京北高等学校(現・東洋大学京北高等学校)の監督であり、兄には埼玉ブロンコス、東京サンレーヴスでプレーしていた田渡敏信とサンロッカーズ渋谷の田渡修人を持つ、まさにバスケ界のサラブレッドだ。アメリカでの武者修行を終えてBリーグでのプレーを決めた田渡が、ビーコルを選んでくれたことに喜びを感じたのは筆者だけではないだろう。
2017−18シーズンの選手発表会見で田渡が紹介された時、会場のマスコミ陣とビーコルブースターのどよめきと歓声は凄いものだった。その時のスピーチで田渡はこんなことを話していた。
「このチームに可能性を感じています。失礼な話なんですけど、去年あまり勝てなかったチームと聞いていて、これまでにそういうチームでプレーをした時に、楽しさを感じたり、自分が成長したなって感じることが多かったので決断しました」
強豪チームではなく、敢えてこれからのチームに入る。この言葉には、このチームを自分が強くするんだといった強い心意気を感じた。
田渡の新天地となる広島ドラゴンフライズは、今季悲願のB1初昇格を果たしたチームだ。田渡は再びこれからのチームへと船出する。ビーコルでの3シーズンにわたる貢献に感謝すると共に、新天地・広島での活躍を祈念したい。
【記事・写真/おおかめともき】
・ 横浜ビー・コルセアーズ|田渡 凌 選手 退団のお知らせ
https://b-corsairs.com/news/team_20200605_1/
・広島ドラゴンフライズ|田渡凌選手契約合意(新規)のお知らせ
https://hiroshimadragonflies.com/news/detail/id=15027