連日の観衆5千人超えのビーコル、必死の追い上げも実らず栃木に11点差連敗。


ターンオーバーとシュート本数で栃木を上回るも、前日に続いてシュート確率の差が響く。ホームズが遂にデビュー!堅実プレーで14得点と存在感。

2018-19シーズン第29節・GAME2(3月24日横浜国際プール)
横浜ビー・コルセアーズ 79-90 栃木ブレックス
15-25|22-22|21-23|21-20

BOX SCORE / PLAY BY PLAY 3.24 [SUN] 横浜ビー・コルセアーズ vs 栃木ブレックス】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3416&TAB=B

【ダイジェスト映像】

https://basketball.mb.softbank.jp/videos/4485

横浜ビー・コルセアーズは3月24日、ホーム横浜国際プールに初めて栃木ブレックスを迎えた2連戦でGAME2を闘い、最後までリードを奪うことは出来なかったが、2Qで22-22の互角、4Qでは連続10得点を挙げ、終盤で9点差に迫る必死の追い上げをみせたが届かず11点差で敗戦。今節を連敗で終えた。

気になるB1残留プレーオフ回避争いでは、回避の指標となるワイルドカードの順位で9位のビーコルが出場圏外にいる8位秋田を「1」ゲーム差で追っていたが、秋田も千葉に連敗したために順位とゲーム差は変わらずそのままとなった。

また。ビーコルを追う10位滋賀が前日で琉球に勝利してビーコルとのゲーム差を「2」に縮めていたが、この日は負けて、ゲーム差は変わらずとなっている。

前日続いて横浜国際プールには沢山の観客が来場。立ち見客も多く出て、入場者数は前日を上回る5050人を記録。前日に更新したB1アリーナ最多入場者とB1チーム最多入場者の記録を翌日すぐに塗り替えた。その数字が奇しくも「5050」。「ゴーゴー」というところも「ゴーゴービーコル」と応援するビーコルらしい。

今節のホームゲームでは合計1万人が来場。これまで5000人以上の来場がなかった横浜ビー・コルセアーズにとっては、これもクラブ史上初めての記録となった。

ビーコルは惜しくも勝利を逃したが、強豪を相手に終始接戦を演じ、必死の追い上げを見せた4Qでは地鳴りのような声援が轟き、横浜国際プールを揺らした。

横浜国際プールには前日を上回る5050人の観客が訪れ、2階席には立ち見も出た。前日に更新したばかりの最多入場者数記録をまた塗り替えた。今季の最多入場者数の更新はこれで3度目


また、栃木からは前日以上のブレックスブースターが駆けつけ、黄色いメガホンを叩きながらの大ブーストが敵地のアリーナで鳴り響いた。

昨シーズンと今シーズンで横浜国際プールでおこなわれたビーコル主催試合で、相手ブースターの声援がここまで大きくなったことはなかった。ブレックスブースターもビーコルブースターと共にこの最高の雰囲気を作り上げた。

栃木からは前日以上のブレックスブースターが駆けつけ、最高の雰囲気となったアリーナをビーコルブースターと共に作り上げた


4Qでビーコルが追い上げた時には、スタンドでも白熱したブースト合戦が繰り広げられた。栃木ブレックスの安齋竜三HCはベンチでこう感じていたという「追い上げられた時にあったあの会場の一体感は印象的でした。ブレックスアリーナ以外でああいった感じになることはなかったので、敵ながら凄いなと思いました。これはちょっと持っていかれるのではとベンチで感じていました。そういうことを感じられるアリーナが増えることは、本当に素晴らしいことだと思います。今日の横浜と栃木のブースターの皆さんの一体感は、本当に素晴らしかったです」

試合は接戦となり、スタンドもブレックスブースターとビーコルブースターが白熱したブースト合戦を繰り広げた


この試合で、ビーコルのトーマス・ウィスマンHCは、スターティング5を大幅に変更してきた。ここまで6試合先発が続いていた橋本尚明ではなく特別指定選手の中村太地を今季2度目の先発起用。

また外国籍選手では、前日に17得点23リバウンドと大活躍していた好調アーサー・スティーブンソンをベンチ入りメンバーから外し、代わって来日以来ベンチ入り登録から外れていた新外国籍選手ジョナサン・ホームズを先発で起用した。

今季2度目の先発起用となった横浜ビー・コルセアーズ#6特別指定選手・中村太地


このことについてウィスマンHCは「中村選手を先発で使ったのは、(6試合続けて先発起用してきた)橋本選手がここ数戦で早い段階からファウルトラブルになることが多く、(前日のGAME1と北海道戦GAME1)で得点を取れていなかったということもあったし、中村選手の成長と育成も考えた。彼が今回の先発で何かを掴んで欲しいという思いもあった」

「ホームズ選手の先発起用に関しては、我々が今日の試合を含めて22日間で11試合をこなさなければならないタフスケジュールになっていることがある。これは単純計算すると2日に1回試合をしているようなものだ。この11試合をコストナー選手とスティーブンソン選手の二人でやっていくのは難しい。ホームズ選手は日本に来てから既に1ヶ月が経っているが、まだひとつも試合に出れていない。彼もフラストレーションが溜まっていたし、来週水曜日のアウェー三河戦も見据えた。三河戦ではスティーブンソン選手が絶対に必要になってくる。彼を休ませるためにもホームズ選手を先発で使った。我々には3人の外国籍選手がいる。彼ら3人でしっかりとローテーションを組んでいきたいと思っている」

来日から1ヶ月、遂にベンチ入り登録され、先発起用された横浜ビー・コルセアーズ今季最後の新外国籍選手#12ジョナサン・ホームズ。1Q8分50秒でチームの先制点となる2Pシュートで来日初得点を挙げた


これがデビュー戦となったジョナサン・ホームズは、
3Pシュート1/2本、フリースロー3/5本を含む14得点5リバウンドを挙げて、その存在感を示した。一方で日本のレフェリーの判定に苦しみ4Q4分でファウルアウトする場面もあった。

ホームズは試合後「準備は出来ていた。(今日の出場で)自分がこのリーグで闘うことが出来ることが分かった」と話し、掴んだ手応えを語っている。

ウィスマンHCはホームズのデビュー戦を「今日、ホームズ選手は良いプレーが出来ていた。だが、やはり日本に来た外国籍選手が持つ課題、日本のレフェリーに慣れることがまだ出来ていない。今日はいい経験になったと思う。次の試合から、彼の力をもっと発揮してくれるだろう」と一定の評価をしている。

1Q、ロシターにいきなり3点バスケットカウントを許し、栃木に5点の先行を許したビーコルは、8分にホームズがアウトサイドから2Pシュートを沈めて来日初得点。さらには、コストナーが2Pシュートと3Pシュートを続けて得点した。

6分には川村がレイアップ、さらには中村が自身のスティールからファストブレイクを決めて1点差としたが、前日よりも強度を上げてきた栃木ディフェンスに苦しみ、ターンオーバーとリバウンドから奪ったシュートが決まらず得点が伸びない。その間、ネイミックにダンク、比江島に2Pシュートを許すなどして栃木を逃し、1Qは15-25。10点のビハインドを背負うスタートとなった。

1Qでレイアップを決める横浜ビー・コルセアーズ#1エース川村卓也


2Qでビーコルは、ホームズが開始早々に3点バスケットカウントを決めると湊谷が3Pシュート、7分にはホームズがアウトサイドから2Pシュートを沈めた。6分と5分には田渡が2Pシュート、コストナーが2Pシュートでバスケットカウント(フリースローは失敗)、4分以降でモリスと川村が2Pシュートを決めて、ひと桁のビハインドを守ったが、残り28秒で竹内にフリースロー1本を決められて2Qを終了。ビハインドは1Qと同じ10点となった。ビーコルはこのクォーターで22得点を入れて22-22。得点では栃木と互角だった。

2Qで3Pシュートを沈める横浜ビー・コルセアーズ#5湊谷安玲久司朱


後半に入った3Q開始早々でロシターに2Pシュート、遠藤に3Pシュートを許してビハインドが拡大。ビーコルは川村の3Pシュート、ホームズがフリースロー2本を確実に仕留めた2得点、コストナーの3点バスケットカウント、ホームズのアウトサイドからの2Pシュートで追撃。3分でコストナーが1本を決めたフリースローで、その差を10点に戻した。直後、ロシターに2Pシュート、フリースロー1本を決められたが、2分でホームズが3Pシュートを沈めて点差は再び10点差に。しかし、竹内と山崎に内外から2Pシュートを決められ再び点差が開く。残り32秒で川村が3Pシュートを沈めて11点差としたが、残り13秒で比江島が決めたフリースロー1本で58-70。12点差で最終クォーターに突入した。

シュートを沈める横浜ビー・コルセアーズ#34ブランドン・コストナー。写真は2Qで沈めた3Pシュート


4Qでもビーコルはコストナー、川村、田渡、竹田のシュートなどで必死の追い上げをみせ、ロシター、比江島、ネイミックの得点で逃げる栃木を射程圏内に捉え続ける。2分、川村がネイミックのファウルから得たフリースロー2本を確実に仕留めたのを皮切りにビーコルは、栃木がみせた隙きを逃さず、怒涛の反撃に出た。田渡がターンオーバーから3Pシュートと2Pシュートを連発すると、川村がやはりターンオーバーからファストブレイクを決める。残り55秒では安齋HCがテクニカルファウルを取られ、これで得たフリースロー1本を川村が仕留めて10-0のラン。一気呵成の連続得点で5050人超満員に膨れ上がったスタンドからは凄まじいほどの声援が沸き起こった。

4Qで決めた怒涛の10点ランの中で、レイアップを決める横浜ビー・コルセアーズ#21田渡 凌


これで、ビーコルは残り55秒で9点差としたが、長島にフリースロー2本、ロシターにイージーなファストブレイクからワンハンドダンクを決められてしまい残り32秒で13点差。25秒でコストナーがフリースロー2本を沈めて11点差としたが、時間が足りず、そのままタイムアップとなった。

ビーコルは栃木との今節を連敗。一方の栃木は2連勝でチャンピオンシップ進出を決めた。

ビーコルのスコアリーダーは共に22得点を挙げた川村卓也(2アシスト1ブロックショット)とブランドン・コストナーとなった。川村卓也は3Pシュート3/4本と、古巣チームの前で大きな躍動をみせた。

コストナーはベンチ入り登録を外れたスティーブンソンに代わってリバウンドでも奮闘。13本のリバウンドをマークして、36得点を挙げた1月16日アウェー三遠戦以来のダブルダブルをマークしている。

2番手はこれがホームデビュー戦、来日初先発となったジョナサン・ホームズ。14得点5リバウンドで存在感を示し、上々のデビューを飾った。

3番手は9得点6アシストをマークした田渡 凌、4番手は5得点を挙げた帰化選手エドワード・モリスとなった。

コストナーと共にチーム最多の22得点を挙げた川村卓也。古巣ブレックスを相手に躍動をみせた


勝った栃木ブレックスの安齋竜三HCは、ビーコルと闘った印象をこう話している。

「前にウチでやっていた川村選手や竹田選手、(ブレックスの下部チームだったTGI D-RISEにいた)細谷選手の良さは、僕らも十分に分かっていたつもりでした。今日の試合では、川村選手がそこ(我々の想定)を超えて来ましたし、外国籍選手のビッグラインアップも凄くアタックしてきました」

安齋HCは、トーマス・ウィスマンHCが栃木で指揮官を務めていた時に選手としてブレックスでプレー。JBLだった2009-10シーズンではウィスマンHCのもとでチームの初優勝に貢献している。今節、恩師と初めて対戦したことについて、こう話している。

「僕のコーチの基礎部分はトム(トーマス・ウィスマンHC)から学んだことも一杯あります。そういう意味では2回勝って、恩返しが出来たかなと思っています。またこれからも教えて頂きたいと思っています」

栃木ブレックス 安齋竜三HC。かつてブレックスでプレーした安齋HCはトーマス・ウィスマンの教え子でもある


敗れた横浜ビー・コルセアーズもトーマス・ウィスマンHCは、この敗戦をこのように振り返っている。

「今日の試合も昨日と同じで、勝つチャンスは作れたと思っている。今日も、相手よりもシュート本数が多く、ターンオーバーでも勝っている。リバウンドでは負けたが、その他では互角といえるスタッツだった。我々が出来ることはやったと思う。しかし、今日もシュート確率で差が出た。今日も我々が30%台(38.8%)で栃木は50%台(59%)。これがゲームの決め手となった」

「昨日も言ったが、我々が38.8%しかシュートが決まらないということは、栃木のディフェンスがそれだけ良いものだということの証明になった。そして、栃木が59%でシュートを決めてくるということは、我々のディフェンスにまだまだ改善点が残っているということだ」

「このことで目立ったのが、ロシター選手とネイミック選手。彼ら二人にシュートを合わせて19/23本。非常に高確率で決められてしまった。ボールコンテインが出来ず、オープンなシュートも打たれてしまい、イージーダンクもあった。ロシター選手はさらにタフなシュートも決めて来た印象がある。全体を通してイージーシュートを打たれ過ぎた」

「我々は、栃木と比べてまだ同等のチームではない。それでも、自分たちが勝つチャンスを作れたということは大事なことだ。ここからの残り11試合で、今の自分たちが残留争いをする下4つのチームではないんだということをしっかりと証明していくしかない」

横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHC


「我々のディフェンスは、だいぶ良くなってはきている。今日、相手に19本のターンオーバーをさせていることからも分かるように、ディフェンスは良くなっている。栃木相手にしっかりとディフェンスをやったが、(ショットクロック)24秒間際でシュートを決められてしまったシーンが多くあった。ディフェンスの継続力が重要になってくる。(ショットクロックの)24秒間でディフェンスを継続していくこと、1試合を通してディフェンスを継続していくことが課題だ」

「チームのコンディションは良くなって来ている。良くなってこないと残留争いの穴から抜け出すことは出来ない。シーズン序盤から比べたら、チームのコンディションは上がってきている。ここからの残り11試合で簡単な相手はない。自分たちが持てる力を全てを使って、この争いから抜け出さないといけない。チームのコンディションをしっかりと調整していきたい」

会見では沈着冷静。時にはジョークも交えるウィスマンHCだが、試合中では何ふり構わない闘将ぶりを見せる


古巣栃木との今季最初で最後の2連戦を終えて、ブレックスを2度の優勝に導いた名将は、前日ではなかった古巣への想いを語った。

「栃木のヘッドコーチをやっていたことで、今回の試合には特別な思いがあった。古巣に勝ちたい思いという思いは強かった」

「昨日も言ったが、遠藤選手をはじめとして、私が育てた選手が成長してくれたことに誇りを感じている。栃木のこの先の健闘を祈っている。だが、我々とやる時はあまり頑張って欲しくはなかったな(笑)」

「栃木ベンチの深さは本当に恐いものがある。今のロスターに加えて、まだ田臥勇太選手とジェフ・ギブス選手がいるのだから、彼らはチャンピオンシップに挑戦出来るチームだと思うし、このリーグの中でもトップ2に入るチームだと思っている」

自身が優勝チームへと押し上げたブレックスに連敗。試合中に悔しさを覗かせたウィスマンHC


期待された栃木からのジャイアント・キリングはならなかった。GAME2で、指揮官はチーム躍進を支える戦力のひとりアーサー・スティーブンソンを敢えてこの試合から外した。代わって起用されたジョナサン・ホームズはデビュー戦となったこの試合で存在感を示したものの、チームは慣れないホームズとの連携が乱れ、もったいない失点に繋がってしまった場面もあった。ホームズは、4Qでファウルトラブルになった日本のレフェリーへの慣れは彼がこのリーグでやってい上での大きな課題だが、チーム連携はコストナーとスティーブンソンがそうであったように時間が解決してくれる。ここでホームズが得た貴重な経験は、ここから始まる最後の過酷日程に向けてプラスになる。ウィスマンHCが言ったように3人いる外国籍選手でローテーションを組むことは、ここから必須になるからだ。

今節では幸い、いよいよ射程圏に掴んだワイルドカード8位の秋田も千葉に連敗して付き合ってくれた。B1残留プレーオフ回避を争うライバルとのゲーム差「1」は守られた。ビーコルはここから、22日間で11試合をこなさなければならない。中二日、4月には中1日が2試合もある過酷なスケジュールだ。ビーコルはここから、22日間で11試合をこなさなければならない。中二日、4月には中1日が2試合もある過酷なスケジュールだ。ビーコルは何としても、この状況で勝っていかなければならない。

名将はこのことを見据えて今を闘っている。まずは中2日後の水曜日におこなわれるアウェー三河戦で、温存したアーサー・スティーブンソンの爆発に期待しよう。悲願の残留プレーオフ回避をかけてビーコルは、残り11試合の決戦に突入する。

【記事・取材・写真/おおかめともき】

 

 


Written by geki_ookame