川村、マクドナルド、山田を欠いたなかで出来たディフェンシブなチームバスケは収穫。
横浜ビー・コルセアーズ 72-79 新潟アルビレックスBB(2月4日・シティホールプラザアオーレ長岡)
19-22|18-18|18-18|17-21
前日チームバスケで逃げ切り勝利を果たしたビーコルは、翌日のGAME2で富山、滋賀に続くアウェイでの連勝を狙ったが、僅差を追いかける接戦も実らず惜敗した。中地区5位と6位の直接対決は1勝1敗となり、5位とのゲーム差「4」を縮めることは出来なかった。
悔しい幕切れだった。尺野HC、選手たち、チームスタッフ、そして横浜から駆けつけたビーコルブースターが一様に悔しさを浮かべた。4Q終盤に3点差にまで肉薄するも、勝負どころでのシュートが決まらず、残り5秒でファウルゲームを仕掛けたが、その執念は実らなかった。
この試合で、前日28得点を挙げチームを大きく牽引した川村卓也と山田謙治が、コーチライセンス取得のために欠場。ウィリアム・マクドナルドは、GAME1に続いて出場出来なかった。
エースを欠いたチームは、全員バスケで一丸となって挑み、満田丈太郎が12得点、ジェフリー・パーマー15得点で川村の穴を埋めてみせた。川村、山田、マクドナルドを欠き9人になっても、ディフェンスを中心にしてゲームを作った。アルビレックスと互角に闘えたことは敗戦の中での収穫であり、光明といえる。
この試合も横浜から沢山のビーコルブースターが駆けつけブーストした。そのブーストはアルビレックス側から聞いても敵地に轟き、選手と最後まで闘い抜いた。誇らしいブーストだった。
アルビレックスは前日の反省を潰し修正してきた。特に#54ダバンテ・ガードナーには、序盤から得点を許し合計31得点を奪われ、さらにアルビレックスはここぞで3Pシュートを決めた。
ビーコルは終盤でファウルトラブルの選手が多くなったが、ディフェンスを重視したチームバスケでなんとか乗り切った。それだけに勝負どころでのシュートを外したのが痛かった。
ここまでスターティング5が続いていた川村が欠場したことを受けて佐藤託矢を起用。佐藤は久々のスタートとなった。尺野将太HCはディフェンシブな布陣を引いた。
1Q、前日1Qでわずか2得点に抑えることに成功した#54ダバンテ・ガードナーが2Pシュートで先制。満田丈太郎が2Pシュートでやり返すが、またガードナーに2Pシュートを許してしまう。それでもサビートがダンクを沈めて同点。
ここから満田、高島が2Pシュートで得点するが、アルビレックスも#31城宝匡史らが得点をかさね、しばらくは一進一退の攻防が続く。
しかし、6分47秒で佐藤のファウルからガードナーがフリースロー2本を決めてアルビレックスが逆転すると、追う展開となる。ビーコルは4分46秒に佐藤が2Pシュートでバスケットカウント(フリースローは失敗9)。
2分21秒に竹田がタフなパスワークを制して3Pシュート、1分52秒に細谷将司がレイアップで2Pシュート、1分26秒には満田が2Pシュートを沈め一時は逆転した。満田は川村の穴をしっかりと埋めてみせる躍動を魅せた。
しかし、1分5秒で細谷がファウルを取られてしまいガードナーがフリースロー1本を決めて同点にされると残り30秒で#0遥 天翼に2Pシュートを許してしまい再びビハインドとなってしまった。修正を施していたガードナーには1Qで12得点を許してしまった。1Qは19-22。ビハインドは3点。
2Q、出だしで竹田とサビートが2Pシュートで得点。
6分22秒でパーマーが25-23からバスケットカウントを含む2Pシュート(バスケットカウントのフリースローは失敗)を続けて沈めてビーコルが逆転したが、5分40秒に#34ラモント・ハミルトンに続けて2Pシュートを許し、アルビレックスが再逆転する。
それでも竹田 謙、サビート、田渡 凌、細谷将司が得点をかさねて、ディフェンスではサビートが3つのブロックショットでアルビレックスのショットを阻止。僅差3点のビハインドは死守し、後半の巻き返しに望みを託した。2Qは18-18のイーブン。トータル37-40で3点ビハインド。
アルビレックスは日本人陣勢の得点が#34池田雄一の5点が最多と伸びないなかで、ハミルトン9得点、ダバンテ・ガードナーが前半だけで19得点を入れて起点となった。ガードナーの得点はある程度覚悟していただけに、日本人勢を12得点に抑えたビーコルのディフェンスは機能したといえる。
3Q、ビーコルは勝ち越しこそならなかったが、3点ビハインドはキープ。サビートを起点として満田、細谷、竹田、パーマーが得点。
終了間際25秒で佐藤が2Pシュート沈め1点差に迫ったが、残り3秒で#0遥 天翼に2Pシュートを沈められ、再び3点ビハインドとなった。3Qは2Qと同じく18-18のイーブン。トータルスコア55-58で、ビハインドは3のまま。
4Q、出だしでハミルトンと#7五十嵐 圭に得点を許してしまいビハインドが8点に広がってしまう。エース川村らを欠いた9人の海賊たちは、出場時間も伸びタフネスを要求されたが、それでも7分52秒にパーマーが3点のバスケットカウントを決めるなどして、必死の猛追を続けて食らいつき、じわじわと点差を詰めた。4Qでの両チームの攻防は熾烈極めた。
残り54秒で田渡 凌が2Pシュートを沈め3点差にまで肉薄すると、勝負どころがやってくる。70-73での残り26秒、サビートがダンクを狙ったが、サビートはこれを外してしまい痛恨の失敗。サビートのダンク失敗は珍しい。Bリーグ最長身を誇るタンザニアの英雄は自身の失敗に落胆し、自らを責めた。
20秒に田渡がファウルを取られ、ガードナーがフリースロー2本を決めて5点ビハインドに。70-75となった残り11秒、サビートが2Pシュートを沈めて再び3点差にまで肉薄。これで今度こそ、流れがくるかと思われたが、残り9秒で#3畠山俊樹にフリースロー2本を決められ5点差。ビーコルベンチは、残り9秒でタイムアウトを掛け、2つの策を選択する。
タイムアウト明け直後に、満田のスローインを受けたパーマーが3Pシュートを狙ったが、勝負どころでのシュートはまたしてもリングに弾かれてしまう。
さらに満田が五十嵐に対するファウルで、捨て身のファウルゲームに打って出たが、五十嵐にフリースロー2本を決められてしまい7点差。
それでも直後の残り1秒で、細谷が執念で狙った3Pシュートは無情にもはずれ、万事休すとなった。
4Qは17-21。ファイナルスコアは72-79。僅差の接戦の末、7点差での敗戦となり、長岡で闘った第18節は1勝1敗となった。ビーコルは5位6位の直接対決で4ゲーム差を縮めることを狙ったが、善戦むなしく4ゲーム差のままとなった。
ファイナルスタッツは、ハシーム・サビート・マンカが16得点、9リバウンド、ブロックショット4。ジェフリー・パーマーが15得点。満田丈太郎が12得点。ベテラン竹田 謙が8得点を挙げて川村がいないなかで奮起。細谷も7得点を挙げた。
前日24得点に抑えたダバンテ・ガードナーには、トータルで31得点を入れられ、やり返された格好だが、僅差のビハインドで勝負が掛かる4Qでは、ファウルトラブルをかかえながらも、わずか2得点に押さえ込んだ。このことは賞賛に値する。
尺野将太HCは、試合後の会見で開口一番、深い溜息とともに「今日は悔しいです!」と口にし、若き闘将は、その悔しさを露わにした。
「今日は川村、山田両選手がいない。昨日に続いてウィル(ウィリアム・マクドナルド)が出れないなかで、チームのなかに、川村選手がいないからとか、ウィルが出れないからっていう雰囲気は一切ありませんでした」
「終わったあとも、彼らがいたら、なんとかなったんじゃないかという雰囲気も一切ありませんでした。今日いるメンバーで出来ることで勝負して、勝ちきれなかった。悔しい想いを選手全員が感じています。僕は選手たちを誇りに思いますし、だからこそ、今日のメンバーで勝ちきれなかったことをいま、凄く悔しいと思っています」
エース川村卓也を欠いたなかで尺野将太HCは、オフェンスではなく、ディフェンス面を重視してこの試合に臨んだ。
「昨日、川村選手が28得点で、オフェンスで活躍してくれましたが、では(川村選手のいない)今日は何をしないといけないかと考えたときに、まずはディフェンスでした」
「相手は80点を取りたい。自分たちが川村、山田、ウィルがいないなかで、変わらず出来ることはディフェンスでした。ディフェンスを昨日よりもさらに重視して、得点を抑えようとしました」
実際にそれは結果に表れた。前日アルビレックスは81得点だったが、ディフェンスを重視したこの日は、80点以下の79得点に抑えることが出来た。
「ファウルトラブルもあり、マンツーマンが出来る時間が少なくなってしまったんですけど、それでもゾーンでしっかりと相手のオフェンスに時間を掛けさせて、難しいシュートを打たせることが出来ていた。自分たちがやるべきことはしっかり出来ていたと思います」
31得点でやりかえされたガードナー選手に対しては、勝負どころの4Qで2得点に抑えたことをポジティブに考える。
「ガードナー選手は、もともと得点力ある選手で、ウチがファウルトラブルになってしまったということもありますが、後半で抑えたことは、前向きな、ポジティブなこと。ディフェンスに関して、選手はしっかりやることをやってくれました」
あとは川村がいない中で、どうやって得点するかだった。
「今日はしっかりとペイントにアタックしようと考え、1番、2番、3番のガード陣のドライブを起点にして、オフェンスを作りました。ペイントでの得点が、38点と40点でほぼ新潟さんとおなじぐらいの点数が取れているので、今日やろうとしたことは、この数字に表れているかなと思います」
悔やまれるのは、3Pシュートに確率だ。アルビレックスはここぞで3Pシュートを決めたが、その確率は19%と高くないが、ビーコルはそれを15.8と下回ってしまったことが敗因に繋がった。
「それだけに3Pシュートの確率は悔やまれます。いいシュートセレクションは作れていただけに、(勝負どころで)決めきるところ。そこを来週までの課題にして、ここを乗り換えていきます」
次節は、ホーム横浜国際プールに戻り、西地区5位の島根スサノオマジックを迎えて2試合を闘う。千葉戦と名古屋D戦でのショックは癒え、ポジティブな成果が出たこの長岡での激闘。GAME1で逃げ切り勝利を挙げながら、GAME2を僅差のビハインドを守りながらも落としてしまい今季3度目のアウェイ連勝は果たせなかった。しかし、エース川村卓也を欠いたなかで、やるべき自分たちのバスケをしっかりと遂行し、全員バスケで4Qまでを僅差で闘えたことを前向きにとらえよう。
チームが、川村と山田が不在になることを試合直前に発表したのは、戦術的なものがあったのだろう。出れなかった川村と山田は後ろ髪を引かれ、いたたまれない気持ちだったはずだ。それでも二人はチームメイトを信じてチームを離れたと思う。
川村は、前日GAME1の試合後インタビューで「チームは一歩成長出来た」と語り、こうも言っていた。
「誰かが掛けたときに、チームとして、まとまろうという姿勢が40分間出ていた。みんなでカバーして我慢出来た。(選手の欠場を)補える力が、いまの僕らには出来つつあると思う」
これは、試合直前のコンディション不良で出場出来なかったマクドナルドと、3Qでのアクシデントで一時ゲームを離脱したサビートのことを語った言葉だったが、翌日自身が不在になることが含まれていたかは定かではない。しかし、9人となったGAME2で、40分間をひるむことなく、終始僅差で競い合うことが出来たことは、エースのこの言葉をしっかりと証明してみせたことは確かだ。海賊たちは、ショックの中から立ち直り、長岡で自信を取り戻した。
置かれた状況は厳しい。しかし、チームは着実に成長し、成果を挙げることが出来ている。次節ホームでの島根スサノオマジック戦で、今度はホームでの猛ブーストで選手たちをあと押しして欲しい。そして久々のホームでの勝利、そして今季初めてのホーム連勝を掴もうではないか。
【写真・記事/おおかめともき】