ビーコル、川崎との神奈川ダービー初戦で大敗。


ディフェンス難の深刻さ増す。影響オフェンスにも飛び火。期待の新戦力アーサー・スティーブンソンがデビュー!インサイドの得点とリバウンドで存在感。

2018-19シーズン第12節・GAME1(12月8日 川崎市とどろきアリーナ)
川崎ブレイブサンダース 94-55 横浜ビー・コルセアーズ
31-12|19-12|33-16|11-15

中地区6位の横浜ビー・コルセアーズは、12月8日アウェー川崎市とどろきアリーナで、同じ中地区2位の川崎ブレイブサンダースと2連戦GAME1を闘い、39点の大差をつけられて神奈川ダービーの初戦を落とした。また5位三遠が滋賀に勝利。そのためゲーム差が「4」に広がった。

横浜と川崎が激突した神奈川ダービー初戦


神奈川ダービー初戦とあって、3798人が来場。横浜と川崎が激突した一戦は、コート上の闘いだけにとどまらず、スタンド席の両チームブースターによるブースト合戦も白熱。神奈川ダービーにふさわしい盛り上がりを見せた。

しかし、ビーコルの試合内容は、散々なものだった。川崎にB1チーム最多得点差記録を献上する39点差を喫して大敗。試合後、トーマス・ウィスマンHCは「川崎のここまでの平均得点が73点だったにもかかわらず、3Qの終わりで既に73点を取られていた。本当にディフェンスが課題だ」と話し、チームはまたしても相手の平均得点を上回る失点を喫してしまい、抱えるディフェンス難はさらに深刻度が増してきた。

ディフェンス難の影響は、オフェンスにまで飛び火してしまっている。この試合で入れた得点はわずか55点。50点台のロースコアは、前節琉球2連戦から数えてこれで3試合連続になった(天皇杯は除く)。

ベンチでの横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHC


この試合で、ハンター・コートとジャボン・マックレアが怪我のために欠場。マックレアに代わって、今節の前日に獲得が発表されていた期待の新戦力アーサー・スティーブンソンが早速ベンチ入り登録され、1Q途中からの出場でBリーグデビューを果たしている。

チームが0-23のランを喫している状況で投入され、Bリーグデビューとなったアーサー・スティーブンソン


来日してまだ1週間だったが、スティーブンソンはインサイドのシュートで存在感を示し、2Pシュート4本で8得点を挙げた。試投14本で成功率は28.6%と低かったものの、まだ慣れていない日本でのデビュー戦で、積極的に打ち続けたことはこれからに繋がるといっていいだろう。またリバウンドではチーム最多となる9リバウンドを挙げた。スティーブンソンは、インサイドの得点、リバウンド、ディフェンスを持ち味に上げており、それを早速コートで示した形だ。

実際、スティーブンソンは試合後に「今日で手応えを掴んだ。自分の中では、まだまだ出来るし、もっと走れると思っている。今日はインサイドのシュートタッチも完璧ではなかった。Bリーグは自分のプレースタイルにあっている。ここからしっかりとアジャストしていく」と話している。

3Qで力強いインサイドアタックから2Pシュートを沈めるアーサー・スティーブンソン


ウィスマンHCは、この試合のスターティング5で、細谷と田渡のツーガードを先発起用。細谷、川村、イベ、田渡、モリスの布陣を敷いた。ここ数戦でシックスマン起用が続いていた細谷の先発についてウィスマンHCは、「向こうのスタートもあまりサイズのないツーガードだった。細谷選手はチームの中で3Pシュートの確率が高い。彼を2番において点を取りにいった」と話しているようにオフェンシブなスターティング5起用だった。

ビーコルのスターティング5。ウィスマンHCは細谷、田渡のツーガードを起用した


この策は、1Q出だしで機能した。ニック・ファジーカスに先制点を許したあとで、細谷、田渡のツーガードコンビが3Pシュートを続けて決めた。しかし、ここからがいけない。ディフェンスが立て続けに破られ、ミスも多発。藤井、篠山、ファジーカスらに内外のシュートを許し、出だしの1Qで0-23のランを喫して主導権を握られてしまう。

1Q出だしで3Pシュートを沈めた細谷将司。手前はこの後に3Pシュートを沈める田渡 凌


流れを変えたいウィスマンHCはモリスに代えて、合流したばかりのスティーブンソンを投入。スティーブンソンは、2分にインサイドから2Pシュートを沈めてランをようやく止めた。

途中出場したスティーブンソンはこのクォーターでのチーム最多となる4得点5リバウンドを挙げて上々のデビューを果たした。

1Qで2Pシュートを沈めるアーサー・スティーブンソン。写真は来日2本目となった残り37秒での2Pシュート


以降、イベがダンク、スティーブンソンがインサイドからシュートを決めたが、奪われた失点は多く、出だしの1Qで12-31。19点ものビハインドを背負ってしまう。

1Q残り1分でダンクを決めるプリンス・イベ


2QでウィスマンHCは、中村、橋本、田渡、モリス、スティーブンソンの布陣に変更。このクォーターも計12得点のロースコアになったが、天皇杯で波を掴みシュートの積極性が戻った橋本尚明が3Pシュート1本を含む4得点を挙げ、湊谷、イベ、田渡、スティーブンソンがそれぞれ2Pシュートを1本ずつ決めた。

強度を上げたディフェンスでは、失点を10点台の19点に抑えた。2Qは12-19でトータルスコアは50-24。得点が少なかったことからビハインドは26点に増えた。

2Qで3Pシュートを沈めた橋本尚明

2Qでアウトサイドから2Pシュートを沈める湊谷安玲久司朱


2Qで立て直せたかに見えたディフェンスだったが、ハーフタイム後の3Qでディフェンスがまた決壊。1Qに続いて10分フル出場したファジーカスに10失点を許すなどして1Qを超える33失点を喫してしまう。

川崎ブレイブサンダース#22ニック・ファジーカス


オフェンスでは、川村と田渡が共に3Pシュート1本を含む7得点。川村は前半、相手ディフェンスに苦戦し、シュートを決め切れないでいたが、このクォーターでようやくアジャスト。打ったシュート3本全てをリングに沈めた。3Qは16-33。トータルスコアは40-83、実に43点もの大差がついてしまった。

3Q、アウトサイドから2Pシュートを沈める川村卓也


横浜から川崎に駆けつけたビーコルブースターは、この大差にも声を枯らしてブーストを続けた。アーサー・スティーブンソンは、これに大きな感銘を覚えたようだ。「負けているのにもかかわらず、沢山の大きな声援が聞こえた。これは大差がついたビハインドゲームでは滅多にないこと。本当にありがたい」

初めて出場した試合でスティーブンソンは大差のビハインドにもかかわらず絶えず力強いブーストを送ってくれたビーコルブースターに大きな感銘を受けた


4Qでファジーカスのプレータイムがなく、川崎は11得点止まり。ビーコルは、高島とモリスの連続レイアップで得点。6分にはイベがフリースロー1本を入れた直後にダンクを決めた。

4Qでレイアップを決める高島一貴

高島に続いてレイアップを決めるエドワード・モリス


以降、中村太地がこのクォーターの起点となり得点。中村は5分に2Pシュートを沈めると直後に3Pシュートも沈めて躍動。さらに2分にも3Pシュートを沈め、明日の試合に繋げた。

4Q5分に3Pシュートを沈める中村太地。中村は4Qで3Pシュート2本を含む8得点でオフェンスの起点となった


4Qは11-15。ファイナルスコア55-94となり、神奈川ダービーの初戦は39点差での大敗となった。ニック・ファジーカスには27得点13リバウンドでのダブルダブルを喫した。

ビーコルはこれで3連敗。一方の川崎は連敗を2で止めた。勝利した川崎は、この39点差でB1チーム最多得点差記録を達成している。


ビーコルのスコアリーダーは、3Pシュート2本(2/2)を含む12得点(3リバウンド3アシスト)を挙げた田渡 凌。二桁得点は琉球戦から続いて2試合連続となった。

チーム最多12得点を挙げた田渡 凌


2番手はこれがデビュー戦となったアーサー・スティーブンソンと、4Qで躍動した特別指定選手の中村太地が挙げた8得点。スティーブンソンの得点は全てインサイドからのもの。またリバウンドでチーム最多となる9リバウンドを記録した。中村は3Pシュートを成功率100%で2本決めている。

来日間もないデビュー戦で2位川崎相手に8得点9リバウンドを挙げたアーサー・スティーブンソン

4Qに8得点を挙げてチーム2番手となった中村太地


川崎の執拗なディフェンスに苦しんだエース川村卓也は、3Qで得点して3Pシュート1本(1/3)を含む7得点(4リバウンド4アシスト)だった。

エース川村は川崎の執拗なディフェンスに苦戦したが3Qでアジャスト。7得点(4リバウンド4アシスト)をマークした


試合後、ウィスマンHCはこのように話している。

「今日の試合に関して、特にコメント出来ることがない。いま現在、ウチのチームは選手の交代などがあり変わって来ている。こういった時期はチームがひとつにまとまりにくい。今はひとつにまとまってプレーすることが出来ていない。B1で闘うためのチームが出来ているとは思えない」

「ジャボン選手が怪我のために今週末を出場することが出来ない。(代わってベンチ入り登録された)アーサー選手は先週末に来たばかりで、チームと合流してまだ1週間だ。そのためにプレーするコンディションが上がってきていない。外国籍選手だけでなく日本人選手も、各個人でやるべきことが出来ていない状況になっている。しっかりと引き出していかないといけない」

「今日は1Qと3Qで点差を大きくつけられた。まずディフェンスをやっていかなければ、どれだけ点を取っても勝つことが出来ない」

横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHC


アーサー・スティーブンソンは、感銘を受けたビーコルブースターへメッセージを送っている。

「明日も僕たちを信じて応援してください。僕たちは明日、また出来ることをしっかりとやっていきます。今は自分探しといった段階ですが、自分探しを進行させながら、今日よりも良い試合をして、明日は勝つ試合を皆さんに見せたい。応援をよろしくお願いします」

「自分探しを進行させながら、今日よりも良い試合をする。明日は勝つ試合を皆さんに見せたい」と試合後、ビーコルブースターにメッセージを送ったアーサー・スティーブンソン


翌日のGAME2、神奈川ダービー第2戦で、横浜の海賊たちはどこまで立て直すことが出来るか。流れを変える勝利が欲しい。

【取材・写真・記事/おおかめともき】

 

【BOX SCORE / PLAY BY PLAY】12.08 [SAT] 川崎ブレイブサンダース vs 横浜ビー・コルセアーズ
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3163&TAB=P

 


Written by geki_ookame