B-ROSE14番目のメンバーMikotoが修了式「B-ROSEの仲間にしてくれて本当にありがとう」


MikotoとB-ROSEが共に過ごし、輝いた“今しかない”5ヶ月間。その出会いは必然だった。

5月19日、横浜ビー・コルセアーズが開催したブースター(ファン)感謝イベント「B.LEAGUE 2018-19シーズン 横浜ビー・コルセアーズ 帰港式」内で、長期治療を必要とするこどもの復学支援プロジェクト「TEAMMATES(チームメイツ)」事業でチアリーダーズB-ROSEに入団していたMikotoこと佐々木美琴さんの修了式がおこなわれた。

美琴さんは、幼いころから何度も手術を受けて入退院を繰り返し、長期療養を必要としているまだ7歳の女の子。そんな美琴さんが、特定非営利活動法人Being ALIVE Japanが提供している復学支援プロジェクト「TEAMMATES(チームメイツ)」の援助を受けて昨年12月にB-ROSE14番目のメンバー「Mikoto」として入団。12月22日A東京戦GAME1で初めてB-ROSEのユニフォームを着てお披露目された。

Mikotoは12月22日横浜国際プールでのA東京戦GAME1でB-ROSEとしてデビュー。ユニフォーム姿を初めて披露した


Mikotoは、チアリーディングの経験こそなかったが、ダンスが大好き。B-ROSEと一緒にミーティングと練習をかさねて1月23日ホーム川崎戦からB-ROSEとダンスパフォーマンスを披露。小さな体から目一杯のエネルギーを発してビーコルの試合を盛り上げていった。

横浜国際プールでの今季最後の試合だった3月31日川崎戦で修了式をおこなう予定だったが、3月中旬に体調が悪化したために入院。それでもMikotoは、手術と治療を頑張り抜き、5月19日の帰港式で、B-ROSE、選手、チームスタッフ、大勢のビーコルブースターの前で、修了式を迎えることが出来た。

修了式ではB-ROSEと一緒に、ビーコルが今季を締めくくる帰港式を渾身のダンスパフォーマンスで盛り上げた。そして、最後には用意したスピーチを頑張って読み上げた。

「B-ROSEのMikotoです。Mikotoは1歳のころから何回も入院と手術をしています。そのせいで疲れやすいので、沢山運動をするのが難しかったりするけれど、B-ROSEに入ってダンスをしたり、大きな声で応援して、とても楽しかったです」

「綾子先生とB-ROSEの練習で、いつも笑顔で、選手に勝ってもらえるように、ニコニコして応援することが大事と教えてもらいました」

「3月に病気が悪くなって、また手術をしました。寂しかった時、B-ROSEとの写真を見たり、ビーコルのみんなが持ってきてくれた沢山のグッズ、ブースターの皆さんが書いてくれた応援のお手紙を見て、勇気をもらって頑張ろうと思いました」

「病院のお部屋でお腹が痛い時には、心の中で『がんばれー!』って応援していました」

「B-ROSEの仲間にしてくれて、本当にありがとう。とてもうれしかったです。ビーコルに強いチームになって欲しいから、Mikotoはこれからも試合を観に行って応援します。その時は声をかけてくれたらうれしいです。ビーコル大好きです」

修了式でスピーチするMikoto


スピーチを終えたとき、会場全体からあたたかい拍手が沸き起こり、Mikotoをやさしく包んでいた。B-ROSEでの活動は当初3ヶ月が予定されていたが、最終的には5ヶ月になった。MikotoとB-ROSEが過ごしたこの5ヶ月間は、お互いにとって得難い、濃密な時間になっていた。

B-ROSEの植村綾子ディレクターはMikotoと過ごした5ヶ月間をこう振り返る。

Mikotoとの出会いは必然でした」

MikotoとB-ROSEディレクター植村綾子さん


「彼女の練習に取り組む姿勢、メンバーを見る強い眼差し、試合会場で力を発揮するパワーに、私たちは励まされました。彼女にはとても感謝しています。Mikotoのお陰で、苦しかったシーズンを乗り越えられたんですから」

「Mikotoには、チアリーダーはダンスを上手に踊ることだけではなく、たくさんの人と心と心を通わせることが大事。チアスピリットや、B-ROSEとして大事にしていることを、メンバー全員で伝えていきました。私たちも初心に返る思いでした」

「彼女と過ごす時間をディレクターとして責任を持ってやり遂げたいと思っていたので、小学1年生(当時)の女の子としてではなく、B-ROSEのMikotoとして、しっかりと向き合いました。Mikotoは、細くて小さな女の子です。なのに、驚くほど目に力があって、笑顔にも光がありました。彼女の内面の強さ、美しさが、その目と笑顔に表れ出ていたんです」

Mikotoを迎えたB-ROSEは練習に加えてミーティングも繰り返しながらパフォーマンスを作り上げた【写真提供:©B-ROSE】


「Mikotoと過ごした時間は、とても輝いていました。今シーズン掲げたB-ROSEのスローガンのひとつに『今しかないこの時に咲き誇る!』というのがあるんですけど、これがMikotoそのものであり、MikotoとB-ROSEの出会いそのものだったと思います」

B-ROSEが掲げた今季のスローガンのひとつ『今しかないこの時に咲き誇る!』は、Mikotoとの出会いのためにあったような言葉だった【写真提供:©横浜ビー・コルセアーズ/T.Osawa】


『今しかないこの時に咲き誇る!』これは、MikotoとB-ROSEがまだ出会う前、シーズン当初に掲げたスローガンだった。彼女はまさにこれを体現していたのだ。Mikotoとの出会いは、まさに必然だったのだろう。植村ディレクターは「苦しい今シーズン、そして、今シーズンのB-ROSEだからこそ、Mikotoに出会えたんだと思っています」と運命ともいえるお互いの出会いを表現する。Mikotoの存在は、B-ROSEに多大な影響を与えた。植村ディレクターは続ける。

「3月に彼女の病気が悪化した時に、「今」「この時」という言葉を突き付けられました。いつものようにビーコルを応援すること、パフォーマンスをブースターに届けることが如何に特別な「今」「この時」であるかを思い知らされたんです。笑顔でコートに立てることの素晴らしさ、人にパワーを届けることの責任、周りへの感謝の気持ち、あきらめない前向きな気持ち、チアリーダーの根本の部分を私たちは改めてMikotoに教えてもらいました。苦しいシーズン、彼女がB-ROSEの航路を照らしてくれたんです。私にとって、一生忘れられない立派なチアリーダー。これからも、Mikotoは誰かのチアリーダーで在り続け、そして、ビーコルを応援し続けてくれると思います。B-ROSEのOGとして!」

帰港式で魅せたパフォーマンスが、MikotoとB-ROSEの「とても輝いていた」時間を締めくくるラストダンスになった。MikotoもB-ROSEも互いに過ごしてきた5ヶ月間を愛おしむように踊っているように見えた。

Mikotoの頑張りは、B-ROSE、選手、チームに大きなパワーを与えた。お互いの得難い時間は“修了”したが、Mikotoとの出会いから生まれたスピリットはB-ROSE、選手、チーム、それぞれに息づいていく。

【取材・記事・写真/おおかめともき・一部写真提供/©横浜ビー・コルセアーズ/©B-ROSE】

 

MikotoのB-ROSEの入団はBeing ALIVE Japanが企画開発するTEAMMATES事業を通じて実現し、B.LEAGUE HopeのSRパートナーである日本財団の助成事業です。

・特定非営利活動法人Being ALIVE Japan
https://www.beingalivejapan.org

・TEAMMATES – Being ALIVE Japan
https://www.beingalivejapan.org/teammatesprogram

 


Written by geki_ookame