ビーコル、2位京都に互角の闘いを演じるも惜敗でアウェイ連勝を逃す。


海賊、崖っぷち。B1プレーオフ出場回避へ首の皮一枚残す。

横浜ビー・コルセアーズ 76-80 京都ハンナリーズ(4月22日ハンナリーズアリーナ)
19-26|17-20|25-11|15-23

横浜ビー・コルセアーズは、アウェイ ハンナリーズアリーナで京都ハンナリーズとGAME2を闘い激戦の末に4点差で敗れ、第29節を1勝1敗。京都での連勝、大阪戦GAME2からの3連勝を逃した。

素晴らしい試合だった。B1残留プレーオフ出場回避を目指す中地区6位のビーコルが、西地区2位で既に初のチャンピオンシップ出場を決めている強敵ハンナリーズと互角に闘った。敗戦は悔しく、突き付けられた状況も厳しいが、チームは確実に進化成長を続けている。胸を張っていい敗戦だ。

前日GAME1で外国籍選手3人を起点としたインサイド陣が大きく機能し、7点差で勝利したビーコルは、この日も勝利へのエナジーを剥き出しにして京都にぶつかって行った。

序盤はビハインドも、3Q中盤に14-0のランでビーコルが一気に逆転。4Qでリードが目まぐるしく変わる一進一退になったが、残り1分45秒で2Pシュートを決めたハンナリーズがそのまま逃げ切って勝利した。

激しい接戦の末に京都とのGAME2を落とした横浜ビー・コルセアーズ。連勝はならなかった。

 

スターティング5は前日と同じ、細谷、川村、満田、佐藤、マクドナルドの布陣。1Qの出だし、ビーコルはウィリアム・マクドナルドと佐藤託矢の2P、満田丈太郎の2Pと3Pシュートでのバスケットカウント、さらには高島一貴の外からの2Pなどで得点をかさねた。

一方で3P狙いの京都に、チームディフェンスを破られ、永吉、岡田、内海に3Pを許すなどして26点を失ったが、残り2秒で川村卓也が3Pを沈めて流れを生んだ。1Qは19-26。7点差のビハインドスタート。

1Q 8分54秒にアウトサイドからの2Pシュートを沈めるウィリアム・マクドナルド

1Q5分にアウトサイドから2Pシュートを沈める満田丈太郎

1Q3分33秒にアウトサイドから2Pシュートを沈める高島一貴

 

2Q、1Qの終了間際で3Pを決めた川村が一気呵成に得点する。9分45秒に3P、7分27秒にアウトサイドから2P、6分23秒にはフリースロー2本を確実に沈め、5分31秒には3P、さらには3分37秒にもインサイドから2Pシュートを沈めてこのクォーター計12点を入れて肉薄。

2Q 7分27秒、アウトサイドから2Pシュートを沈める川村卓也

2Q 3分37秒、インサイドから2Pシュートを沈めた川村卓也

 

一方でビーコルは、外したショットも多く、オンザコート2の2Qでジェフリー・パーマーが5得点を入れたものの、前日23得点のハシーム・サビート・マンカが思うように得点出来ず、このクォーターでのチームの得点数は17点に留まってしまった。2Qは17-20。トータルスコア36-46で、ビハインドが10点に広がった。

2Q残り50秒、レイアップで2Pシュートを決めるジェフリー・パーマー

 

前半でディフェンスを破られたビーコルは後半で修正し、3Qの出だしから約4分間に渡って京都の得点を封じることに成功。その間に川村が3P、細谷将司が3Pと2Pを沈めてビハインドを3点にまで詰めた。

3Q出だし9分22秒、アウトサイドから2Pシュートを沈める川村卓也

3Q 7分34秒に3Pシュートを沈める細谷将司

3Q 3分54秒、細谷将司が3Pシュートを沈め、ビーコルが逆転

細谷の3Pの直後2分54秒の川村卓也が3Pシュートを沈め流れを生む

さらに6分から1分の時間帯でビーコルは、このクォーターで大きく躍動した細谷を起点にした怒濤のオフェンスで一気に畳み掛ける。サビートのフリースロー1本を皮切りに、細谷が連続3P。この細谷が3分34秒に沈めた2本目の3Pでビーコルが遂に逆転する。

さらに川村の3P、佐藤がフリースロー2本、1分35秒に川村が2Pを沈めて14-0のラン。ビーコルが逆転から9点のリード奪い京都を突き放した。残り50秒にサビートがインサイドから2Pを沈めてようやくフィールドゴールでの得点。

3Q 1分35秒に2Pシュートを沈める川村卓也

2Q残り50秒に2Pシュートを沈めるハシーム・サビート・マンカ。前日5ダンク、23得点だったサビートがようやく決めたフィールドゴールだった

 

ハンナリーズは、14-0のランを決められた以降の約1分間で3Pと3点のバスケットカウントなどで9点を入れて食らいついたが、終了間際2秒で細谷が2Pをアウトサイドから沈めて突き放し、ビーコルが大きなうねりを持って最終クォーターに突入した。3Qは25-11。トータルスコア61-57でビーコル4点のリードに変わった。

3Q終了間際2秒に細谷将司がアウトサイドから2Pシュートを沈め京都を突き放す

 

しかし4Qの開始早々、スミスに2P、内海に3Pを許し京都が逆転。しかしビーコルはマクドナルドの2P、細谷の3P、高島の2Pで得点をかさねる。

4Q 2分47秒、駆けつけたビーコルブースターのあと押しを受けてアウトサイドから2Pシュートを沈める高島一貴

 

残留プレーオフ回避が掛かるビーコルと、ホーム最終戦を何としても勝ちたいハンナリーズの強い気持ちがぶつかり両チーム一歩も引かない。逆転、同点、勝ち越しを繰り返す激しいクロスゲームが繰り広げられ、3042人で埋め尽くされたハンナリーズブースターとビーコルブースターのブーストはますます激しいものになった。

2分8秒、川村の絶妙なアシストからジェフリー・パーマーがインサイドから2Pを沈めてビーコルが逆転。しかし直後の1分45秒、スミスをマークしていたサビートが突破されてしまい2Pを決められ京都が再逆転。スミスの幅がサビートの高さを上回る形となりサビートは無念となった。

4Q 2分8秒、ジェフリー・パーマーの2Pシュートでビーコルが逆転

 

1分28秒、パーマーが自身の外した3Pシュートをオフェンスリバウンドすると細谷にボールが渡り、コート際の川村にボールが出されたが、ダブルチームにあった川村はファンブルしてしまい京都ボールになってしまう。さらにはディフェンスが突破され、残り1分で伊藤にペネトレイトでレイアップを決められ3点差となり、ビーコルベンチはタイムアウトを掛ける。

タイムアウト後の同50秒で川村のパスを受けた細谷が3Pで同点を狙ったが無情にも外れてしまう。残り32秒でマブンカのマークに入っていたパーマーをヘルプにいったサビートがファウルを取られ2本のフリースローを与えてしまう。マブンカはフリースロー1本を決めて4点差。

残り16秒で速いパス回しから細谷がシュートフェイクして川村にパス。受け取った川村は3Pを狙ったがゴールに弾かれてしまった。ファウルゲームに持ち込むことも考えられた展開だったが、そのままタイムアップとなった。

残り16秒で川村にシュートフェイクでパスを出す細谷将司

細谷のパスを受け取った川村は体制を崩しながら3Pシュートを打ったが、無情にも弾かれてしまった

 

京都ハンナリーズが今季のホーム最終戦を勝利した歓喜の中で、ビーコルの選手たちは無念さを滲ませながら胸を張り、駆けつけたビーコルブースターに深々と頭を下げて感謝を伝えた。

共に闘ったビーコルブースターは惜しみない拍手で健闘を讃え、去りゆく選手たちには、アリーナ全体からハンナリーズブースターの「ゴー!ゴー!ビーコル」のコールが送られた。

その後、ビーコルブースターは声を枯らすほどの大きな声で「ゴー!キョート!ハンナリーズ!」と返し、心動かされるエールの交換となった。

ビーコルは第29節を1勝1敗。これで17勝38敗となり、中地区争いで5位富山が敗れたために、5位とのゲーム差は「5」のまま。

気になるB1残留プレーオフ出場回避の状況だが、大阪がアウェイで北海道に勝利し、富山がアウェイで名古屋に敗れたためにビーコルは首の皮一枚で残った。次節のホーム名古屋戦GAME1でビーコルが敗れた場合に無条件でビーコルのB1残留プレーオフ出場が決定する。

チームのスコアリーダーは22得点を挙げた川村卓也。川村はさらに8つのアシストでも奮闘した。細谷将司が川村に続く16得点、4アシストをマーク。ジェフリー・パーマーが11得点。ウィリアム・マクドナルドが8得点だった。

22得点、8アシスト、プレータイム37分43秒で奮闘した川村卓也。

 

前日に5ダンクで23得点、ブロックショット2だったハシーム・サビート・マンカは、インサイドに苦しみわずか4得点と前日と打って変わって精彩を欠いてしまった。サビートは悔しさと無念のあまりにタイムアップ早々にコートを後にした。

試合後の会見で尺野将太HCは、対象チームの勝敗を気にしたのちに席に付き、無念さを滲ませた。

「体育館の気温がかなり熱いなかで、選手たちは2日間に渡って本当によくプレーしてくれました。またトレーナー陣がしっかりと選手のコンディションを回復させてくれたお陰で、2日続けて最後までしっかりとプレー出来ました」

「西地区34勝の京都さん相手にこういったゲームが出来た。本当に選手たちを誇りに思います」

「ただ、相手のシューター陣に今日多く決められてしまって、ウチのインサイドの得点が伸びなかったこと、昨日と違うゲーム展開になったところで、最後の最後に京都さんの粘り強さにウチがやられてしまった。上位との差が少し出てしまいました」

西地区2位の京都ハンナリーズに1勝1敗で大きく善戦したビーコル。次節で負けるとB1残留プレーオフ出場が決まる厳しく苦しい状況だが、熾烈なサバイバルゲームを闘う中で、チームは大きな進化成長を続けている。

「自分たちが残留プレーオフに出るチームとは違うんだということを証明出来たと思っています。しかし自分たちに必要なのは勝利。残りの5試合で、自分たちのバスケット、ウチのこのメンバーで出来る良いバスケットをやることだけに集中していきます」

試合後、無念を滲ませ会見に応じる尺野将太HC

 

前日に5ダンク、23得点入れ、ビーコル勝利の原動力のひとりだったハシーム・サビート・マンカは、この日わずかに4得点に沈んだ。昨日の会見で京都ハンナリーズ浜口 炎HCは「走れる選手で、トランジションに付いていけなかった」と語っていたが、何か秘策があったのだろうか。

「特に秘策はなかったですが、マッチアップを少し楽にさせました。サビート選手が出ている時間帯の多くをジョッシュ(#34ジョシュア・スミス)にマッチアップさせて、マクドナルド選手の時は動けるプレーが出来るマーカス(#5マーカス・ダブ)に。こういったことを今日はやろうとしたぐらいです」

「それと昨日はサビート選手にイージーなダンクを決められたりしたので、ピックアンドロールの守り方を少し変えました」

また浜口HCは、今季唯一の2試合を闘ったビーコルの印象をこう語っている。

「タレントも揃ってしっかりとしていますし、大きい選手から動ける選手まで揃っています。ポイントガードの細谷選手、スコアの取れる川村選手、加えてベンチにはプレータイムがそんなに長くはないですが、非常にいいベテランが3人(蒲谷、山田、竹田)控えています。昨日と今日で、こういったゲームになったところを見ても、非常に力のあるチームだと感じています」

試合後に会見に応じる京都ハンナリーズ浜口 炎HC

 

初のチャンピオンシップを控えた敵将も、大きな進化成長を遂げた今のビーコルの強さを認めてい

る。次節はホーム横浜文化体育館で今季のホーム最終節を名古屋ダイヤモンドドルフィンズと闘う。GAME1で負ければ、即B1残留プレーオフ出場が決定する崖っぷちの状況だが、今の自分たちのバスケをただ信じて、ホームのビーコルブースターと共に死力を尽くす。

【写真・記事/おおかめともき】



Written by geki_ookame