前半、ターンオーバー10を奪う速攻で逆転。一時は強豪を苦しめる。
横浜ビー・コルセアーズ 80-91 川崎ブレイブサンダース(3月4日・横浜国際プール)
20-21|20-16|19-27|21-27
横浜ビー・コルセアーズは、ホーム横浜国際プールで川崎ブレイブサンダースとGAME2を闘い、前半でターンオーバー10を奪うなどして川崎を苦しめた。
スピード感溢れる速攻をみせた2Qで逆転に成功したが、3Q 7分32秒、サビートのシュートミスから奪われたリバウンドを#18鎌田裕也に2Pシュートを決められ川崎が逆転。以降攻守で執念をみせ食らいついたが再逆転はならず敗戦。川崎にはBリーグ以前も含め10連敗となった。
川崎はゲーム中、HCの指示がなくとも、選手たちが決められたチームルールのなかで状況を見極め判断し、戦術を変え実行する。川崎ブレイブサンダースが長い歴史の中で蓄積してきたチームバスケに、まだ歴史が浅い横浜の海賊たちはプライドを持って果敢に挑んだが10度目の挑戦でも勝利を奪うことは出来なかった。
川崎の北 卓也HCは、ビーコルオフェンスの起点となる川村卓也にプレーさせないことを徹底したと試合後に明かしている。GAME1で1失点に沈んだ川村が翌日のGAME2で9点を奪いやり返したことは、エースの意地だった。
オンザコートは、両チームとも前日同様の2−1−1−2。ビーコルは、高島一貴が先発復帰。ビーコルの選手からは、ゲーム前から強い気迫が感じられた。
1Q、ビーコルはディフェンスを修正し、出だしからアグレッシブに川崎のシュートをブロックしターンオーバーを奪う。9分7秒、細谷将司が3Pシュートを沈めて幸先よく先制。
8分40秒には川村卓也がディフェンスをかわしてアウトサイドから2Pシュートを沈め、5分41秒にはハシーム・サビート・マンカがアウトサイドからの2Pシュートで続いた。
6分32秒、#14辻 直人に3Pシュート決められ逆転を許すが、川村卓也がレイアップで2Pシュート、サビートがインサイドから3連続で2Pシュートを沈める。
さらに細谷将司のフェイクシュートを受けたマクドナルドがダンク。マクドナルドはさらに続けてインサイドから2Pシュートを沈めて川崎を猛追する。
3分8秒のサビートは圧巻だった。腕の長さを活かして奪ったスティールから細谷にパスを出すと、細谷はペイントエリア手前から再びサビートにパス。サビートはこれを見事なアリウープダンクで沈めた。
サビートは#22ニック・ファジーカスのシュートをブロックショットで阻止するなどして、これぞハシーム・サビート・マンカというインパクトを川崎に見せつけた。
終了間際3秒にはジェフリー・パーマーが3Pシュートを沈めて反撃の流れを作った。1Qは20−21でビーコル1点のビハインド。
2Q、流れに乗ったビーコルにオフェンスのリズムが生まれ、破竹の速攻をみせる。7分45秒に田渡 凌がインサイドから2Pシュートを沈めると、6分26秒にサビートが2Pシュートを沈めて、ビーコルが遂に逆転に成功。
さらに5分59秒には満田丈太郎がレイアップで2Pシュート。4分57秒、サビートがこの日2本目のダンク。3分34秒に川村がアウトサイドから2Pシュート。3分10秒、満田がレイアップで2Pシュート。1分37秒にはサビートがインサイドから2Pシュートを沈めて得点を伸ばした。
一方で川崎に得点を許していたが、残り37秒でサビートがインサイドから2Pシュートを沈めてリードを守り、前半を終了した。2Qは20−16とリード。トータルスコア40-37で3点のリードを奪った。
サビートは前半終了時点で17得点のハイスコアを挙げた。
後半3Q開始早々の9分18秒、サビートが勢いそのままに3点のバスケットカウント。しかし、8分15秒にファジーカスの2Pシュートでサビートがファウルを取られてしまい3点のバスケットカウントを決められ、これで川崎に追いつかれてしまう。
7分32秒、サビートのシュートミスから奪われたリバウンドを#18鎌田裕也に2Pシュートで決められ川崎が逆転。以降、ミスからスティールを奪われてしまい失点に繋がってしまう。
ビーコルは何とか離されまいと必死に食らいついた。6分51秒に佐藤託矢がアウトサイドから2Pシュート、5分20秒に満田が2Pシュート、4分26秒と2分46秒にマクドナルドが2Pシュートを沈める。
2分18秒に川村卓也が3Pシュート、1分35秒にマクドナルドが2Pシュート、残り53秒で満田がアウトサイドから2Pシュートを沈めた。
終盤の1分でビーコルはディフェンスでも執念をみせ川崎の得点を阻止。ビハインドを何とか5点に保った。3Qは19−27。トータルスコアは59−64。
4Qの出だしで#14辻 直人にこの日4本目の3Pシュートを決められる。さらには辻のシュートフェイクから#00ジョシュ・デービスに2Pシュートを決められビハインドが二桁10点に広がってしまう。
7分と4分47秒に満田と細谷がレイアップで2Pシュート、3分2秒に満田がアウトサイドから2Pシュート、2分7秒にパーマーが2Pシュートで追いすがる一方でミスからの失点もかさみ川崎が逃げる。
1分29秒と1分1秒に満田が3Pシュートとアウトサイドから2Pシュートを沈め、残り26秒でパーマーが3点のバスケットカウントを決め9点差とする執念をみせたが、残り9秒で川村のファウルからフリースロー2本を決められ万事休すとなった。
ビーコルは、川崎との神奈川ダービーで連敗し、これでアウェイ三遠戦から4連敗。5位新潟がA東京に連勝したためゲーム差は6に広がった。
下位4チームにかされるB1残留プレーオフの指標となるワイルドカード12チーム中でビーコルは10位。9位の滋賀とはゲーム差1。残留プレーオフのデッドラインである8位大阪との差は2ゲームとなっている。
チームのスコアリーダーは、20得点を挙げたハシーム・サビート・マンカ。満田丈太郎が3Pシュート1本を含む18得点で続いた。
ジェフリー・パーマーは3Pシュート1本を含む12得点。ウィリアム・マクドナルドは11得点だった。
また川村卓也は徹底したマークを受けながらも3Pシュート1本を含む9得点挙げてエースの意地をみせた。
細谷将司は3Pシュート1本 5得点ながら、5アシストを記録。前日11得点を挙げた佐藤託矢は3点に終わったが6リバウンドで貢献した。蒲谷正之と山田謙治はこの日も出場がなかった。
試合後の会見で尺野将太HCはこう総括している。
「昨日1Qで35失点、そのあとも20点オーバーの失点で105失点したなかで、選手たちには、もう一度ディフェンスでプライドをみせよう、やるべきことをしっかりしようという話をしてこの試合に臨みました」
「今日前半では、それらが出来ました。ディフェンスがしっかりと出来れば、川崎さんとも十分闘えることが、20−21、20−16で前半をリードして終われたということにあらわれたと思います」
「ただ、勝ち切る、試合に勝つということになると、3Qで川崎さんがディフェンスのギアを上げてウチにターンオーバーを誘発させてオフェンスリバウンドを取って、勝つために必要なところを、後半で勉強させられたと思います」
「闘う力があること、最後を勝ち切ること、この二つの差を埋めていく。強いチームに闘える、いい試合をするところから、残りの20試合で強いチームにも勝ち切る。他のチームにしっかりと勝ち切る。そこをもう一度チームとして詰めていかないといけません」
「今日、川崎さんがオフェンスリバウンドが22なのでこの数字を修正しないといけない。オフェンスとディフェンス含めて、残りの試合を勝つために修正していきます」
また川村卓也を徹底的にプレーさせないようにしたと語った川崎の北 卓也HCは、ビーコルと闘い終わっての感想をこう語っている。
「ポイントガードがスピードがあり、ドライブでやられたところがありました。川村選手は抑えられましたが、予想に反して、インサイドでこれだけやられるとは思っていなかった。マクドナルド選手とサビート選手にあそこまでインサイドのスキルがあって、パワーがあるとは思っていませんでした」
前日の大敗でディフェンスを修正したGAME2で前半をリードし、強豪相手に闘えることは示したが、勝利することは出来なかった。残り20試合、残留プレーオフを何としても回避するためには勝てる試合を落とすことは許されない。確実に勝ち切ること。強豪川崎ブレイブサンダースとの連敗で得たものは大きい。これをどう活かすか。この多くのビーコルブースターが嘆き、悔しんだ連敗が転機になることを願いたい。ビーコルは次節、5位新潟とホームで直接対決する。
【写真・記事/おおかめともき】