4Q残り8秒にターンオーバーから逆転許す。川村のキャリア通算7,000得点の偉業達成を勝利で飾れず
横浜ビー・コルセアーズ 79-80 三遠ネオフェニックス(2月18日・豊橋市総合体育館)
20-19|25-17|19-21|15-23
前日のGAME1で最大24点差を猛追し4Qに5点差にまで肉薄するも初戦を落とした横浜ビー・コルセアーズは、同じく豊橋市総合体育館で三遠ネオフェニックスとGAME2を闘い。4Q残り8秒まで終始リードを守りながら、4Q残り8秒でターンオーバーから得点を許し痛恨の逆転負けを喫した。
ショックの大きい4Q土壇場での逆転負けだ。豊橋は手痛い連敗になってしまった。4Q残り8秒に#44スコット・モリソンにダンクを決められ、終始守り続けたリードを手放してしまったビーコルは、直後にタイムアウトを掛け、細谷将司が3Pシュートで再逆転を狙ったが、ボールはリングに弾かれてしまった。
4Q開始早々に、川村卓也がキャリア通算7,000得点を達成した。しかしエースの偉業を、またしても勝利で飾ることが出来なかった。
プレータイムがひと桁台の選手が4人も出てしまったのも大きく影響した。ハシーム・サビート・マンカが3分31秒、満田丈太郎が4分20秒、田渡 凌が4分35秒、山田謙治が2分40秒。また高島一貴も13分29秒にとどまり、加えて蒲谷正之がプレー出来なかった。
これら選手はファウルトラブルではなく、コンディショニングによるものだと思われるが、川村卓也がフルタイム40分間、ベテラン竹田 謙が22分をプレーすることになり、それ以外を何とかタイムシェアでしのいだが、大事なまとめの4Q終盤で選手を交代させる策を打てなかった。
オンザコートは同じ1-2-1-2だったが、尺野将太HCはスターティング5を変更して来た。高島一貴が久々に先発から外れ、代わって佐藤託矢が先発。外国籍選手にはジェフリー・パーマーが起用された。
ビーコルは前日のディフェンスを修正し、ダブルチームを駆使したことが上手く機能した。オフェンスも細かいパスワークからシュートが決まり、快調に得点をかさねた。
1Q開始早々、細谷将司が連続して2Pシュートを沈めると、6分43秒と6分9秒に川村卓也が連続して2Pシュートを沈めるなどして得点を伸ばし20-19。1点のリードを奪い1Qを終える。
この日、川村卓也は快調だった。2Q、8分34秒と7分42秒に3Pシュート。7分22秒には3点のバスケットカウントも決めこの2Qだけで14得点を挙げる奮闘を魅せた。
また川村は、流れを失いかけると率先して、チームメイトを鼓舞した。そのなり振り構わない必死懸命な姿は、この試合の勝利に掛けるエースの氣魄のあらわれだった。
川村の想いと氣魄はチームに伝わる。ビーコルは、ネオフェニックスにフリースローなどで得点されれば、すぐさま得点して突き放し、リードを広げていった。2Qは25-17でリード。トータルスコア45ー36。リードを9点とした。
3Q、9分22秒にジェフリー・パーマーがアウトサイドから2Pシュートを沈めると、細谷将司が7分57秒に4点のバスケットカウントを決める。
前半だけで20得点を挙げた川村には、マークが執拗になりタフショットが増えたが、それでも川村はファウルを奪い、ここぞでフリースローを沈めてみせた。
ネオフェニックスが徐々に追い上げてきたが、残り38秒、ノーマークだった高島一貴に川村が絶妙なタイミングでパスを出し、高島はインサイドから2Pシュートを沈めた。このままこの流れを維持して最終クォーターに入れるかと思われた矢先、残り1秒で#15鈴木達也にディフェンスのわずかな隙をかいくぐられてしまい2Pシュートでブザービーターを決められてしまう。3Qは19-21でネオフェニックスがリード。トータルスコア64-57、リードは7点に縮まった。
川村卓也は、このGAME2前、自身の記録キャリア通算7,000得点達成まであと24得点としていたが、3Qまでに21得点を挙げ、4Qでの偉業達成は目前だった。
4Q、開始早々9分51秒にアウトサイドから2Pを沈め、自身の記録に王手。
そして9分51秒、川村のドライブから、細谷にパス、細谷はスリーポイントライン外にいた川村にパスを出し、川村は見事な3Pシュートを沈めた。偉業達成が3Pシュートだったのも川村らしい。
ネオフェニックスがじわじわと追い上げてくるなか、8分6秒マクドナルド、6分36秒にパーマーがそれぞれインサイドから2Pシュート。5分32秒に川村がインサイドからレイアップで2Pシュート。4分40秒では竹田 謙がインサイドから2Pシュートを沈める。
しかし、ここから得点が停滞する。この間にディフェンスではターンオーバーとリバウンドを奪われ#32ウェンデル・ホワイトに2Pシュートを2本、#73田渡修人に3Pシュートを決められリードは3点になってしまう。
残り1分40秒に#32ウェンデル・ホワイトのアンスポーツマンファウルを巡って長い中断がおこる。この間、フェニックスコールが轟くベンチ前で川村が率先して円陣を組みチームにひとつにした。
パーマーにはフリースロー2本が与えられたが成功は1本のみ。これがこの試合でビーコルが入れた最後の得点となった。
残り38秒、#2ロバート・ドジャーのシュートを防ぎにいったパーマーがファウルを取られてしまいドジャーはフリースロー2本を決めて、差はついに1点。
ビーコルはたまらずタイムアウトを掛ける。タイムアウト明け、川村のスローインからパーマー、そして再び川村へ。川村はドライブからの2Pシュートをアウトサイドから打ったが、これが外れてしまいディフェンスリバウンドになってしまう。
ボールは#5川嶋勇人に渡り、川嶋はドライブでレイアップするかに見せかけ、ノーマークだった#44モリソンにノールックパスを出し、モリソンはダンクを沈めた。この試合で終始リードを死守し続けたビーコルが、土壇場8秒で1点の逆転を許した無情の瞬間だった。
尺野HCは、すかさずタイムアウトを掛け、残り7.9秒のラストチャンスに掛けた。川村のスローインからパーマーにボールが渡り再び川村へ。川村は3Pを狙おうとしたが細谷にパスすることを選択。細谷はドライブから再逆転を掛けて3Pシュートを打ったが無情にもリングに弾かれてしまい、あまりにショックの大きい逆転負けとなってしまった。
敗戦が決まった直後、川村はひとりベンチに座り込み、サビートが迎えにいくまでしばらく立つことが出来なかった。チームの列に入ったあとも、ゴール下に顔をうずめ、サビートが声を掛けていた。
エースは40分間を死力を尽くし、精魂尽き果てていた。それだけ、この試合が勝ちたかった。勝たねばならなかった。それが痛いほど伝わってきた。
チームのスコアリーダーは、両チームを通じてひとり40分間フルで出場し、28得点(3Pシュート 3/5 成功率60%)を挙げた川村卓也。川村は4アシストも記録している。
川村に続いたのは15得点(3Pシュート 2/5 成功率40%)を挙げた細谷将司。
またプレータイムが短くなったサビートに代わって奮闘したジェフリー・パーマーは、14得点を挙げ、7アシストを記録した。
期待されたハシーム・サビート・マンカは、プレータイムが3分31秒にとどまり、わずか3得点に終わったのが悔やまれる。
チームのターンオーバーはビーコルが16。ネオフェニックスが13。この差が勝敗を分けた。
これで、ビーコルはホーム島根戦での連勝後にアウェイで連敗。5位新潟との差は再び4ゲーム差。4位三遠との差は6ゲーム差と広がってしまった。
また絶対回避しなければならない勝率下位4チームに課されるB1残留プレーオフの順位でビーコルは、現在ワイルドカードの12チーム中10位。9位の滋賀とはゲーム差1。残留プレーオフのデッドラインである8位は現在大阪であり、その差は2ゲームとなっている。
この敗戦後、B-COR MAGAZINEの取材に応じた尺野将太HCの総括は言葉少なだった。開口一番で深いため息をついたあと、声を絞り出すようにしてこう語った。
「昨日の試合から、選手たちは頑張ってくれました。何試合も1点差でゲームを落としているのは、HCである僕の力不足だと思っています。選手には、これからさらなるレベルアップを求めますが、自分が今日のようなゲームを勝ち切れるよう、しっかりとやっていかないといけない」
尺野HCは選手をかばい自らを責めたが、5選手の短いプレータイムと蒲谷が出場出来ないことから、難しいタイムシェアを強いられ、策は限られたはずだ。
終盤、疲れの見えていた川村と竹田らを何故代えなかったのかという声も多いだろう。しかし、出来なかった。ここで無理して使えば壊れてしまい3月の激闘で使えなくなると判断したのではないか。
Bリーグは代表戦があるために2週間ブレイクする。このブレイクで選手たちは、コンディションを立て直すことが出来る。
次節ビーコルは、3月3日と4日にホーム横浜国際プールに強豪川崎ブレイブサンダースを迎えて2試合を闘う。残留プレーオフが見え隠れする苦しい状況で、非常にタフな試合が予想されるが、この2週間でチームをどう立て直し、どう乗り越えるか。海賊たちの底力が試されている。
【写真・記事/おおかめともき】