インフルエンザで3選手を欠くなかで山田と蒲谷、二人のベテランがチームの窮地を救う!サビートとパーマーがダブルダブル!
横浜ビー・コルセアーズ 88-50 西宮ストークス(4月7日・トッケイセキュリティ平塚総合体育館)
23-10|32-13|17-15|16-12
横浜ビー・コルセアーズは、ホームトッケイセキュリティ平塚総合体育館で初対戦となる西宮ストークスとGAME1を闘いB1チーム最多得点差記録となる38得点差をつけて圧勝した。
チームの危機で、チーム創設時からプレーする二人のベテラン海賊が躍動して魅せた。B1生き残りを掛けた平塚決戦、細谷、田渡、竹田の3選手がインフルエンザのために欠場。チームは大事な決戦で、いきなり二人のポイントガードを失う非常事態を迎えた。
そのチームの窮地を救ったのが、山田謙治と蒲谷正之の二人のベテランだった。特に山田は残された唯一のポイントガードとして久々のスターティング5としてコートに立ち、前半で3本の3P、2本の2P、シュート成功率100%で11得点を挙げ、チームに勢いをもたらした。
蒲谷正之も久々の出場だったが、大事な後半で7得点を挙げ、キャプテンシーも発揮してチームの勝利に大きく貢献した。
細谷と田渡、二人のポイントガードが抜けた穴は、山田、蒲谷、川村卓也が補った。川村も11得点を挙げてアシスト5。エースとしてチームを鼓舞して牽引したが、試合後「今日は僕じゃない」として、ここぞの躍動でチームを勝利に導いた二人のベテランを讃えた。
この試合が初顔合わせとなる西宮ストークスに対しビーコルは、川村、満田、山田、佐藤、マクドナルドをスターティング5に起用。初対戦とあって出だしが注目されたが、開始早々にハーバート・ヒルにインサイドから2Pを決められ西宮が先制。しかし直後の9分22秒に佐藤託矢が外したシュートをウィリアム・マクドナルドが押し込んでビーコルがすかさず同点にすると、山田謙治が3Pを沈めて勝ち越しした。
西宮は、ヒルと松崎賢人の2Pで追撃するが、ハシーム・サビート・マンカの2P、山田が沈めたフリースロー2本、さらに山田がこのクォーター2本目の3Pを沈めて西宮を突き放す。3分台には満田丈太郎の3P、佐藤がフリースロー2本を確実に沈めた。
2分20秒には川村の技が西宮を翻弄する。3Pを打つと見せかけたフェイクでセオン・エディの裏をかくと、西宮ディフェンスを突破。体制を崩しながらのタフなレイアップから2Pを沈めた。
1分6秒には佐藤託矢が2Pを沈め、残り23秒には川村がフリースロー2本をしっかりと沈めて、1Qで23得点を奪った。
西宮はヒルを起点に追い上げたが、ビーコルのディフェンスが機能し、わずか10点にとどまった。1Qは23-10。ビーコルが13点のリードをつけて最初のクォーターを終えた。
2Q、ビーコルはこのクォーターで15リバウンドを奪うオフェンスで西宮をさらに突き放す。2Q出だしでジェフリー・パーマーが2Pと3Pを連続で沈めると山田謙治がこの日3本目の3Pを沈める。
パーマーが2P、サビートがダンクで続き、6分4秒には高島一貴が3Pを沈めた。さらには川村と満田のレイアップ、マクドナルドの2P、満田の3点バスケットカウント、マクドナルドの2Pなどで順調に得点をかさねた。
さらにここから、満田、川村、パーマーが続けて3点バスケットカウントを決めて西宮を圧倒、3Qで大量32得点を挙げた。特に満田はこのクォーターで3点バスケットカウントを2回決めて躍動した。
ビーコルのチームディフェンスはこのクォーターでも機能し西宮の得点を抑えることに成功する。西宮は残り1秒に巨漢キャメロン・リドリーがブザービーターでのダンクを決め、後半への流れを作った。2Qは32-13。トータルスコア55-23、ビーコルが32点のリードをつけて前半を折り返す。
3Q、リドリーのダンクで流れを掴んだ西宮は開始早々に谷口 淳の連続2Pで反撃。このクォーターは西宮も負けじとリバウンドを奪ったがシュートミスが多く、ビーコルはこのリバウンドから得たショットを確実に仕留めた。
7分2秒にはサビートがセカンドチャンスから破壊力満点のダンクを沈める。また、高島と蒲谷がアウトサイドからシュートを沈めて、追撃する西宮を寄せ付けなかった。3Qは17-15。トータルスコア72-38でリードを大量34点に広げた。
4Qで蒲谷正之がさらなる躍動を魅せた。8分21秒と7分18秒にアウトサイドから2Pを沈め、まさにMr.ビーコル蒲谷正之ここにあり。ここ数戦でプレータイムのなかったベテランが鬱憤を晴らすかのようなショットで改めて存在感を示した。
さらにこの最終クォーターではサビートが魅せた。5分48秒、3分55秒、3分20秒に2Pを続けて沈めると、2分14秒にはこの日3本目のダンクを沈めた。
1分34秒には満田が2Pを沈め、残り12秒で富山から期限付移籍の岡田 優がフリースロー1本を決めたが点差は38点。川村にボールが渡ると、タイムアップを待たずしてビーコルの勝利が決まった。4Qは16−12。ファイナルスコアは88-50。ビーコルはB1チーム最多得点差38を記録した。
これでビーコルは5位富山とのゲーム差をひとつ減らして7ゲーム差。また気になる下位4チームに課せられるB1残留プレーオフ回避の指標、ワイルドカード12チーム中でビーコルは依然10位で、回避のデッドラインである大阪に4ゲーム差は変わらずだが、9位滋賀とのゲーム差をひとつ減らして「3」。11位の西宮との差は「5」に開いた。
チームのスコアリーダーは、ハシーム・サビート・マンカとジェフリー・パーマーの14得点。さらに、サビートが14リバウンド、パーマーが12リバウンドを挙げて2選手がダブルダブルとなった。
2番手は、川村、満田、山田の11得点。川村はアシスト5も光った。
7得点も3人。高島、蒲谷、マクドナルドがそれぞれ記録。佐藤が6得点を挙げた。
ビーコルは全クォーターでリードし、西宮の得点を10点台に抑えた。ここ数戦での得点力と、機能したチームディフェンスが相まった圧勝劇は、とても3人の選手を欠いたチームとは思えないものだった。チームは危機のなかで、また新たな自信を掴み、またひとつ進化成長させた。
尺野将太HCは試合後の会見でこう総括している。
「選手が3人出られない中で、山田と蒲谷の両ベテランが普段プレータイムがない中でも、練習でしっかりとプレーを作って、コンディションを作って、ゲーム感を作って、この緊急事態にもしっかりとプレーしてくれた。それに尽きると思います」
また試合後会見には山田謙治がヒーロー選手として呼ばれ、報道陣に「久しぶり」と声を掛けられて迎えられた。
「ディフェンスの面で各クォーターを15点以下に抑えられたことがまずひとつ。相手どうこうでなく、ここまでディフェンスを意識してきたことが、結果としてこの点差(38点差)になったと思います。ただ、まだオフェンスリバウンドが17本で、リバウンドの部分での課題がチームとしてはまだあるので、そこを明日はしっかりと出来ればと思います」
「(3選手がインフルエンザで欠場になったことは)体調なので、仕方がない部分でもあると思います。自分の経験のなかでも、ポイントガードが三人いて、二人がいないという状況は僕もたぶん初めてだと思います。チームメイトがヘルプしてくれたと思いますし、タク(川村卓也)も慣れない1番で、自分のシュートタッチが上がってこなかったと思います。そういった中で、みんながステップアップしたゲームでした。これで3人が戻ってきた時に、もっともっといいチームになれると思います」
二人のポイントガードが欠場し、唯一のポイントガードとしてスターティング5となった山田謙治。この試合に臨んだモチベーションはどうだったのだろうか。
「今節の2ゲームは何としても勝たないといけないゲームなので、そこにフォーカスして、まずはしっかりとコントロールすることを意識していました。モチベーションは、凄い高いというわけではありませんでした。いつも通り、自分が出た時にやる仕事をやっただけです」
前半で11得点を挙げ、ゲームの主導権を握ることに大きく貢献した山田。久しぶりの先発とは思えないほどにシュートタッチが冴えた。
「とりあえずトム(トーマス・ウィスマン)に打っていけと言われていました。気持ちよく打とうと思って打った一発目が入って、そのあともみんながパスをくれたりして、それをしっかりと決められました。後半になったら急にプレッシャーが来たので、そこはしっかりと決めていかないといけない。今日はたまたま入ったので、明日もこれを継続出来ればいいかなと思います」
実直で生真面目過ぎるベテランポイントガードがチームの窮地を救った。西宮の髙橋哲也HCは、この試合で川村卓也を徹底的にマークしたと語っていたが、翌日のGAME2で西宮はさらなる厳しいディフェンスで挑んでくるだろう。ビーコルは、GAME2も勝たねばならない。西宮のタフディフェンスをどう乗り越えるか。海賊たちの進化が問われるが、さらなる強固な団結とチームバスケでこれに挑み、必ずや西宮から2つ目の勝利をもぎ取る。
【写真・記事/おおかめともき】