リバウンドと川村抜きのオフェンスでポジティブな手応えも続くロースコア、得点力に課題。
2018-19シーズン第15節・GAME2(12月23日 横浜国際プール)
横浜ビー・コルセアーズ 68-89 アルバルク東京
17-22|14-24|18-22|19-21
横浜ビー・コルセアーズは、12月23日ホーム横浜国際プールでアルバルク東京との2連戦GAME2をおこない68-89で敗れ今節を連敗した。中地区争いは、5位三遠が富山に連敗しために6位ビーコルとの差は「3」のまま。また東地区争いでの2位千葉と3位A東京のゲーム差は、千葉が秋田に連勝したために変わらず「4」のままとなっている。
前節で大阪から連勝した勢いを持って、昨シーズンのチャンピオンに挑んだ2試合だったが、その壁はやはり分厚く強固なものだった。最下位に沈むビーコルとの差は大きいと言わざるを得ない。それでも、意地は見せた。「昨日試合で、凄く情けない負け方をしていたので、今日はもっと根性を見せて闘おうと選手間で話していた」とチーム3番手となる10得点を挙げた田渡 凌が話すように、横浜の海賊たちは立ち上がりから怒涛とも言える強いエナジーでA東京にぶつかった。A東京とのビハインドは前日のGAME1で32点差、このGAME2で21点差。リバウンドではこの試合でも相手を大きく上回った。
前日の試合中に負った怪我の影響でエース川村卓也は、ベンチ入り登録こそされたものの出場は最後までなかった。チームにとっては、大きな痛手になったはずだが、川村抜きのオフェンスで挙げた得点は前日以上の56点から68点にステップアップ出来た。田渡は「(今後)川村さんが出た時にも、これがもっと出来たら。これに川村さんの得点力が絡んでくれば、もっといい方向に進むと思う」と話すように、チームは大きな手応えを手にした。キャプテン細谷将司は「川村さん以外の得点をどうするかをチームでやっていく」と語っているが、これまで川村頼みだったオフェンスの進むべき形が見えたではないか。
前日に負った怪我の影響でエース川村卓也を出せすことが出来ないビーコルは、代わって細谷将司を起用。細谷、イベ、田渡、竹田、スティーブンソンの布陣を敷き、ツーガードで挑むことになった。
1Q開始早々から、A東京は田中の外角からの2Pシュート、カークの連続ダンクでチャンピオンの強さを見せつけた。しかし、ビーコルは凄まじいほどのエネルギーをぶつけて怒涛のオフェンスをみせる。7分にスティーブンソンが2Pシュートを沈めると40歳ベテラン竹田 謙がアウトサイドから2Pシュート。6分にはスティーブンソンが力強いインサイドアタックをみせてダンクを決めた。5分50秒にはイベが2Pシュートを沈め、5分11秒で田渡がアウトサイドから沈めた2Pシュートで、ビハインドを2点にまで詰めた。
3分にはモリスが2Pシュート。さらには田渡が3点バスケットカウントを決めた。残り1分でスティーブンソンが2本目のダンク。ビーコルは、1Qで8本の2Pシュートとバスケットカウントで得たフリースロー1本で計17得点を入れた。
ビーコルはディフェンスでもアグレッシブさを見せた。しかし一方でファウルが多くなり、A東京は与えられた4本全てを決めて得点に繋げた。
1Qでは、両チームの3Pシュートでの得点はなかった。1Qは17-22だったが、フリースローの得点で差が出た形。ビーコルは、5点のビハインドを背負った。
ビーコルのディフェンスはゾーンとマンツーマンを織り交ぜながらのチェンジングディフェンスだった。ゾーンが多用されたが、これはA東京がゾーンを不得手にしていたことから用いられた策だったという。
2Qでビーコルは、もったいないターンオーバーと奪われたスティールから失点がかさむ。オフェンスでは、8分にスティーブンソンがアウトサイドから2Pシュート。7分と6分にはモリスが2Pシュート、細谷が切り込んでレイアップを決めた。
5分にはスティーブンソンが粘りに粘ったセカンドチャンスを決めて3点バスケットカウント。
3分にはイベがフリースロー1本を決めて大きな歓声を受けた。2分では細谷がアウトサイドから2Pシュートを沈めたが、2Qでの得点は思うように伸びなかった。2Qは14-24。トータルスコアは31-44となり、ビハインドは二桁13点となった。
ビーコルはここまで3Pシュートが1本もなかった(1/3)が、3Qでようやく3Pシュートが決まる。8分で竹田が、2分で中村、1分に細谷がそれぞれ3Pシュートを沈めた。
2Pシュートでは7分にスティーブンソンが決めた3点バスケットカウント、6分の田渡のアウトサイドからの2Pシュート、5分に細谷が決めたレイアップ、2分に湊谷がインサイドから決めた2Pシュートの4本だった。
3Qでは、竹田の3Pシュートからスティーブンソンの3点バスケットカウントまで6-0のランがあった。7分に安藤に許した3Pシュートでこのランは止まったが、A東京にあと一歩の猛追を見せている。13点差の4分38秒、パス回しからフリーになった細谷にボールがわたり3Pシュートを狙ったが細谷はこれを外してしまう。細谷は試合後に「あれが決まっていれば10点差だった」と流れを繋げられなかったことを悔やんでいる。3Qは18-22、トータルスコアは49-68となり、ビハインドは19点に広がった。
4Q開始早々に細谷がアウトサイドから2Pシュート、8分にスティーブンソンがセカンドチャンスを決める。スティーブンソンはさらに7分にもセカンドチャンスを決めてインサイドでの粘りを見せた。
7分には細谷が怒涛のアタックを見せて、体制を崩しながら2Pシュートを沈めてバスケットカウントを奪うと、フリースローも確実に決めて3点を入れた。
5分には、スティーブンソンが相手ディフェンスの間隙を突いてダンク。さらにスティーブンソンは4分、今度はアウトサイドからのジャンプショットで2Pシュートを沈めた。
残り1分で、田渡がレイアップ、残り57秒には特別指定選手の中村太地がこの日2本目の3Pシュートを沈めた。4Qでビーコルはクォーターでの最多19得点を入れたが、ターンオーバーから相手にシュート機会を与え、A東京はこれを高確率で決めた。4Qは19-21。ファイナルスコアは68-89となり21点差をつけられての敗戦となった。
ビーコルは連勝からの2連敗。A東京は2連勝となった。
アルバルク東京のルカ・パヴィチェヴィッチHCは、試合後「横浜は昨日の敗戦で、非常にモチベーション高く、強いエネルギーでプレーしてきた。ディフェンスでもいろいろな形でのチェンジングディフェンスをおこない、我々のオフェンスを止めようという意図が見られた。我々は40分間をハードにプレーすることをチーム全体で心掛けた。相手のディフェンスを見ながら対応して、オフェンスを上げてこの点差に繋げた」と振り返っている。
ビーコルのスコアリーダーは、アーサー・スティーブンソンの22得点(7リバウンド)。スティーブンソンの連続ダブルダブルは「5」ストップ。しかし、22得点を挙げてみせ、今後の試合でオフェンスの起点になることが期待される。ウィスマンHCはスティーブンソンについて「今日はダブルダブルにはならなかったが、7本のオフェンスリバウンドを取ってくれている。彼は来日するまで6ヶ月間プレーしていないブランクのある選手だったが、今はその試合勘を取り戻している最中だ。足も次第に動き始めている。彼には本当に期待しているし、これからもっと良くなっていくと思う。私の中でも注目選手のひとりだ」と語っている。
2番手と3番手は川村卓也が出れない中で奮闘をみせた細谷将司の16得点(6アシスト)と、田渡 凌の10得点。細谷将司は、前日の試合で外角からのシュートが多かったが、この試合ではウィスマンHCの指示から積極的にインサイドにアタックして前日以上の高得点を挙げた。「ドライブでもアシストも出来た。決められなくても最悪ファウルをもらえればと思っていた。フリースローを決める自信はありましたから」
試合後、ウィスマンHCはこう語っている。
「昨日よりは良いパフォーマンスが出来たと思う。選手たちは気持ちのこもったプレーを見せてくれた。A東京は昨シーズンの優勝チームであり、今年当たったチームの中で一番のディフェンス力を持っている。これが優勝した理由だと思う。我々はこれをしっかりと見習わないといけない」
「今日の試合を良い経験として、これから我々がどのようなディフェンスしないといけないのか。今日のようなプレッシャーディフェンスに対して、どうオフェンスを展開していくのか。多くを学べる試合だった。これらをしっかりと活かしてこれからに繋げていきたい」
「今日の試合も含めた4試合で20点を超えたクォーターが20クォーター中で1回しかなく、得点が伸び悩んでいる。我々はこの現実をしっかりと受け止めないといけない。自分たちの得点が50点台、60点台だとこのリーグで闘うのには厳しいということを理解しないといけない。得点を70点台に乗せるためにどうしないといけないのかを模索していかないといけない」
「今日も相手のシュート成功率が56.7%だった。毎試合、どの相手に対してもシュート成功率が常に50%を超えている。ここを抑えていかないと勝つことが出来ない」
「オフェンス面、ディフェンス面でまだ課題が残っている。これらをクリアしない限りは(残留プレーオフが課される)下位4つのチームから抜け出すことは出来ない。ここから抜け出すために、しっかりと修正をして次の試合に挑んでいきたい」
「今日の試合では、ファストブレイクの得点が昨日の25点に続いて24点だった。昨日も言ったがA東京はファストブレイクの得点が良いチームではない。にもかかわらず、この数字を許した。スタッツであと目立つのは、ターンオーバーからの失点だ。昨日の20点に続いて今日が17点。今日の試合では、前半でのターンオーバーが10、後半では4に抑えたが、前半で与えたターンオーバー10は厳しいと言わざるを得ない。後半を4で終われたことは合格点ギリギリのライン。ターンオーバーの数を減らしていくことも重要だ」
「リバウンドだけは今日も良かった。相手のオフェンスリバウンドを3本に抑え、セカンドチャンスポイントを1点に抑えた。相手がオフェンスリバウンドを3本しか取れなかったのは、2Pシュートの成功率が64.4%で、シュートをあまり外していかなったからだとも言えるが、それでも外したシュートは取り切っている。リバウンドだけは出来ていたというイメージがある。これは昨日に引き続いて良い点だった」
「これまで外国籍選手では、ジャボン選手(ジャボン・マックレア)イベ選手(プリンス・イベ)、アーサー選手(アーサー・スティーブンソン)の3人でローテーションを組んでいたが、ジャボン選手が怪我で離脱してから得点が伸び悩んだ。やはり、もう一人得点の取れる外国籍選手が欲しい。得点が出来る選手の不足をどう埋めていくのかが最重要課題だ」
「今日の試合でも痛感したが、我々はまだトップ5チームのレベルではない。現状では下4つのチームからどう抜け出していくのか。下4つには絶対に入らないために、このチームをここからどう成長させていくのかが一番重要になってくる」
「ベンチ選手の得点も課題になっている。今日も前半で4点、後半で8点。トータルで12点しかベンチ選手が取っていない。現状、ベンチ選手の貢献が低い。ここを、何とかしないといけない。前半の4点はエドワード・モリス選手によるもので、日本人の得点、外角のシュートが決まってきていない。川村選手が今日怪我で出れなかったが、次の試合でベンチから出してベンチの得点を彼に託すという手もあるが、本来であれば細谷選手にベンチから出てもらって得点して欲しいと思っている」
「やらないといけないことが沢山ある。だが、まだ30数試合残っている。まだ時間はある。ここから良くなっていくのを約束する。待っていて欲しい」
ビーコルは、これで2018年のホームゲームを終えた。年内は残り3試合。次節は中2日でおこなわれるアウェー戦で新潟アルビレックスBBと1試合を闘う。
【取材・写真・記事/おおかめともき】
【BOX SCORE / PLAY BY PLAY】12.22 [SAT] 横浜ビー・コルセアーズ vs アルバルク東京
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3207&TAB=B