横浜ビー・コルセアーズ小原翼が現役を引退


15年間のバスケ人生にピリオド ファンに愛された翼の新たなる旅立ち

横浜ビー・コルセアーズは6月16日、小原 翼の今季限りでの現役引退を発表した。6月30日まではチームのイベントなどに参加する。

また同日夜にオンライン形式で引退会見をおこない「15年間のバスケットボールキャリアを支えてくれた全ての人たちに感謝したい。これからの人生まだまだ長い。ぜひ見守って欲しい」と挨拶した。

引退会見で挨拶する小原 翼【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


神奈川県横浜市生まれでパワーフォワードの小原は、横浜高校、筑波大学を経て、2016-17シーズンに富山グラウジーズに入団。同チームで2シーズンプレーした。

富山グラウジーズ時代の小原【写真提供:©B.LEAGUE】


2018-19シーズンに地元のクラブチーム横浜ビー・コルセアーズに移籍。以来今シーズンまで3シーズンにわたってプレーした。恵まれた体格と強靭なフィジカルを武器に日本人ビッグマンとして活躍。ビーコル移籍後は、イベント参加や地域貢献活動も積極的におこなった。

横浜ビー・コルセアーズ移籍初年度2018-19シーズンでの小原【写真提供©B-CORSAIRS/T.Osawa】


プロ5シーズンで166試合(先発43試合)に出場して計147得点、187リバウンド。今季は27試合に出場して35得点、24リバウンド。3Pシュートはアテンプトも含めて自身最多となる4/8本をマークしていた。

横浜ビー・コルセアーズで2年目、2019-20シーズンでの小原【写真提供©B-CORSAIRS/T.Osawa】


小原はチームを通じて以下のようにコメントしている。

「今シーズンをもってプロバスケットボール選手を引退します。新たな人生に向けて出発します。プロキャリアとしては、5シーズン戦いきることができました。地元・横浜で現役最後を迎えたいと考えており、このような決断に至りました。横浜での3シーズン、関わってくださったみなさま、本当にお世話になりました。色々な経験をこの横浜でさせていただき、プロ選手としてどのように社会に貢献できるかを考えさせられました。このような経験は今後の人生で、必ず力になると感じています。

また、プロキャリアを始めるきっかけを作ってくださった富山グラウジーズのみなさまにもこの場を借りて感謝の気持ちをお伝えさせてください。本当にありがとうございました。富山でプロを始めていなければ、プロ選手になれていなかったですし、バスケをプレーする楽しさを再び感じることができなかったと思います。今でも富山に在籍していた時に戦った記憶はどれも鮮明に覚えています。

バスケに関わってちょうど15年間、多くの方に支えられ、指導していただきました。自分一人の力ではプロ選手になることはできなかったと思います。今まで応援してくださったみなさま、サポートしてくださったみなさま、本当にありがとうございました。これからプレーはしませんが、別の形で頑張っていきます。引き続き応援よろしくお願い致します」

また植田哲也代表取締役兼ゼネラルマネージャーは、小原の引退についてチームを通じて以下のようにコメントしている。

「『苦(9)しんでも苦(9)しんでもはい(81)あがる』背番号81に込めた想いを胸に、どんな時でも自分にフォーカスし、前向きにチャレンジしようとする姿勢と『マッスル翼』の異名通り、フィジカルを活かしたプレーで、ファンや地域のみなさま、こどもたちを魅了し、クラブに多大なる貢献をしてくれたことに心より感謝申し上げます。

早すぎる引退は誠に遺憾ではありますが、次のステージでも、関わる方の喜びを最優先に考え、行動する『他喜力』を十二分に発揮し、活躍されることを祈念致します」

横浜ビー・コルセアーズ3年目となる今季2020-2021シーズンでの小原【写真提供©B-CORSAIRS/T.Osawa】


◇ ◇ ◇

ファンに愛された背番号81がユニフォームを脱ぐ決断をした。小原はこう話してくれた「全てをやり切り、完全燃焼した現役引退。この引退を“おめでとう”と祝福して欲しい」と。その表情は充実感に溢れ、すっきりとしたものだった。

引退会見は「久々に味わった」緊張感だったと笑う。「現役生活が終わってみたらすっきりした。いまは新たな人生に旅立つといった気持ち」。

今シーズン最初から最後まで小原を見続けてきた。常に全力で、時にはもがき苦しみもした。シーズン前に「今シーズンはオフェンスに力を入れる。3Pシュートを決めていきたい」と目標を立て、日々黙々とただひたすらにリングに打ち続けていた姿を思い出す。その練習は嘘をつかず、キャリア最多となる4/8本を決めてみせた。シーズン中盤以降でディフェンスに特化したために数字は伸びなかったが、最後まで打ち続けていれば、さらなるスタッツを残していただろう。

小原は時に豪快なダンクも決めてファンを熱くさせた。2018-19シーズン平塚【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


引退を決めたのはシーズンが終わってからという。だが今シーズンは「引退に片足を突っ込んだ状態だった」と常に”引退”を意識しながら戦ってきた。

小原は今年で26歳。まだまだ出来るだろうし、早すぎる引退でもあると思う。だが「地元のチームで引退したかったし、今、この年齢だからこそ出来る引退。次のステージが楽しみなんです」と希望に満ちた笑顔をみせる。

「若い時にこんなにも素晴らしい経験を沢山出来た。“引退”は寂しい、悲しいものかもしれないけど、そう考えると前に進めない。“まだ若い”ということは、今の僕にとって優位なことじゃないですか」

今季の最終戦、勝利したアウェーでのA東京戦が現役最後の試合になった。奇しくもA東京は小原がデビュー戦で戦った相手だった【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


「引退を祝福して欲しい」と言われた時には正直戸惑った。だがその意味を知って、こういった引退もあるのだと感銘させられた。いつもひょうひょうとしている小原らしい独特な考え方だ。彼の身体だけでない、心の強さを感じにはいられない。

「全てが自分が思うようにいったキャリアではなかったけど、とことん頑張れたし、最後までやり切ることが出来た自分を褒めたい」

翼は新たなる人生へ大きな希望を持って旅立つ。最後に彼に伝えた。現役引退おめでとう、ご苦労さま、ありがとう…。

小原 翼のこれからの未来を心から祈念したい。

【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】

 

【記事/おおかめともき・写真・映像提供/©B-CORSAIRS/T.OSAWA/T.OOkame/©B.LEAGUE】

⬇6/16(水)小原翼選手 - 現役引退会見


Written by geki_ookame