ビーコル 2019-20シーズンパートナー訪問『ATSUGI アツギ株式会社』


ストッキング・インナーウェアメーカーが、男子プロバスケチームをサポートすることの意義。

横浜ビー・コルセアーズのオフィシャルスポンサーになって今季で3シーズン目となるATSUGI・アツギ株式会社。ビーコルとは、スポンサーとしてだけではなく、昨年8月に開催された厚木市でのバスケットボールクリニックなども開催して地域貢献活動を共にしているが、ストッキング・インナーウェアメーカーが、男子のプロバスケットボールチームをサポートしていることは非常に興味深い。今回、ATSUGI本社を訪れ、ビーコルのオフィシャルスポンサーになった経緯と意義を追った。

捕鯨ロープからストッキングなどで業界トップブランドに

ATSUGIの本社は、神奈川県厚木市にあると思われがちだが、実は同県海老名市にあり、創業の地も海老名だ。社名“アツギ”の由来が面白い。創業当時、連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーが厚木飛行場に降り立ち、“厚木”の名が世界中に広まった。そこで創業者である堀 禄助(ほり ろくすけ)が「“厚木”の地名のように、世界に知られる会社たれ」との想いから“アツギ”と命名した。

ATSUGIは、もともと捕鯨ロープを作っていた。そのロープの原料がナイロンに移り変わったことがきっかけで、当時アメリカで発明され、流行っていたナイロンシームレスストッキングを国内で初めて発売。その後も日本で初めてパンティストッキングを販売したほか、当時画期的とされ、のちに定番化したサポートストッキングも、ATSUGIが世界に先駆けて発売したものだ。以来、半世紀余にわたってストッキング、タイツ、ソックス、インナーウェアを製造販売するトップブランドとして業界をリードしている。

ATSUGI本社内ショールームに展示された同社の商品群。自社製品に加えて有名ブランドのOEM製品も手掛ける

 

初めて観たビーコルの試合に感動。その時の想いを企画書に詰め込んだ

ATSUGIとビーコルの出会いは、ビーコルがブースを出展していた横浜での情報交換会だった。そこでバスケ愛好者だったATSUGIの役員と意気投合。以降、ビーコルのホームゲーム観戦を経て、オフィシャルスポンサーになることになったのだが、広報や、マーケティング担当部署ではなく、直接インナーウェアの部署が担当することになったそうだ。

その企画書を作ったのが、インナー部企画開発試作グループ・グループリーダーの丸山恭子さん。丸山さんは当時のことをこう振り返る。「私、個人としては、これまでに、スポーツをやることも、観戦もしてこなかったのですが、初めてビーコルさんの試合を横浜国際プールで観させていただいた時に、スポーツで一喜一憂することの素晴らしさや、盛り上がり、エネルギー、そして音、あの興奮に感動してハマってしまったんです」

ATSUGIインナー部企画開発試作グループ・グループリーダー 丸山恭子さん。初めて観たビーコルの熱気に衝撃を受けて以来ファンになったという。今ではジャケットの襟にビーコルバッジをつけるほどのファンに。


インナー部企画開発試作グループの藤原由佳さんの初ビーコル観戦は、ひとりでの観戦だったという。「2018年の3月だったと思うんですけど、丸山からチケットを2枚もらったんです。でも、一緒にいく人が見つからなくて、ひとりでいったんです。席の取り方も分からなかったんですけど、まずB-ROSEのパフォーマンスを目の当たりにして衝撃を受けました。私が
思っていた“チア”とは全く違っていたんです。試合全体でも、あのエンターテインメント性に圧倒されました。この時にビーコルが勝ったんですけど、もの凄く感激しました」(藤原さん)

ATSUGI インナー部企画開発試作グループ 藤原由佳さん


丸山さんが初めてビーコルを観た時の感動が、ビーコルのオフィシャルスポンサーになるきっかけのひとつになった。「ビーコルの試合を観て、スポーツがこんなにも人に活力を与えて、夢も与えてくれるんだということを実感しました。私にとって、それはもう感動で、ぜひかかわりたいという強い気持ちが沸き起こってきて、あの時の感動を企画書の中に詰め込んで、部長の富澤のほうから上層部に提案させていただいたんです」(丸山さん)

地域貢献でビーコルと共鳴

丸山さんのビーコル初体験を一緒に観戦していたというインナー部部長の富澤芳章さんは、バスケ経験者でもある。「丸山の熱い想いは、会社全体も求めていたことだったんだと思います」と当時を振り返った富澤さんは、ビーコルのオフィシャルスポンサーになった理由をこう話す。「ビーコルさんは、バスケットボールだけでなく、地域の皆さんへのバスケットボールクリニックや、アカデミー、スクールも含めてやられていて、こういった地域貢献活動にも惹かれました」(富澤さん)。丸山さんが続ける「地域貢献活動、スポーツをされる皆さんを応援する社会貢献は、弊社の従業員にとっても誇りになることなんです」(丸山さん)

「会社としてひとつにまとまって、地元のチームを応援する。こういったことは、スポンサーでないと出来ないことです。昨シーズンのオフに田渡選手が来社していただいた時には、100名ほどの社員が集まりまして、ウチの会社にこんなにもファンがいるのかと驚きました(笑)」(富澤さん)

ATSUGI インナー部部長 富澤芳章さん

ビーコルのスポンサーを務めることで生まれるシナジー効果

ビーコルのスポンサーを務めることは、商品開発にも大きな収穫があるという。「スポーツ向けの商品を企画していく上で、一歩踏み込んだ本格的な知識とデータが必要だったのですが、ビーコルのオフィシャルスポンサーになったことで、B-ROSEのメンバーの皆さんにATSUGIのスポーツインナーウェア『クリアビューティアクティブ』を着用していただいて、様々な意見や知識をいただくことが出来ています。それら意見や要望をもとにして生まれる商品は、弊社内だけで考えるもの以上です」(富澤さん)

「商品企画に対する、もの作りへの真剣さの部分でも影響を受けています。私たちの商品を使っていただいているB-ROSEの皆さんのパフォーマンスを会場で観させていただいて感じたのは、私たちも真剣に作っていかなければならないということでした。B-ROSEの皆さんからいただいている貴重なご意見を商品開発に反映出来ることは、私たちにとって非常に大きなことですし、蓄積する財産になっています」(丸山さん)

ATSUGIの女性向けスポーツインナーウェア『クリアビューティアクティブ』


ビーコルのオフィシャルスポンサーになったことで、ATSUGIの周知にも繋がる。「少しずつですが、その効果は出ています。試合会場で、何となくでもATSUGIの広告ボードを見て頂いて、お店にいかれた時にATSUGIの文字を見て『あ、どこかで見たことがあるな』ぐらいで良いと思っているんです。その上で、商品を手に取っていただいて、買っていただけたら嬉しいですし、『ああ、ビーコルの』『B-ROSEが着けている』となれば最高ですよね」(富澤さん)

ビーコルと開催する女子中学生向けバスケットボールクリニックでは、スポーツブラへの啓蒙セミナーを実施

収穫は、他にもまだあるという。「ビーコルさんからは、ブラを付け始めた女の子たちに会えるチャンスも頂いています」(丸山さん)

ATSUGIは、地域貢献活動の一貫として、年に2回、バスケットボールクリニックを催している。昨年の8月にも、厚木市にある荻野運動公園体育館で、女子中学生だけに向けたバスケットボールクリニックをビーコルと開催。指導はビーコル選手の田渡 凌、チームトレーナーの水野彰宏、ビーコルアカデミーコーチの飯田都季がおこなった。この時、田渡が「僕が普段やっている練習を教えました。大切な基礎の部分なんだけど、みんなが、なかなかやらない練習を取り入れました」と話すように、その内容は実戦的な練習メニューばかりで本格的なものだった。

そして、このクリニックで印象的だったのは、練習終了後にスポーツインナーウェアについてのレクチャーがあったことだ。「私共は、『クリアビューティアクティブ』という、婦人向けのスポーツインナーウェアのブランドの他に成長期の女の子に向けた『Hijuni ( ハイジュニ )』というブランドでスポーツインナーウェアを提供しているのですが、先日のバスケットボールクリニックや、ビーコルの女子ユースチームにも、成長期の女の子がスポーツをする時にブラを付けることの重要性をお話させていただく機会をビーコルさんからいただいています。ATSUGIでは、売り上げよりも、こういった啓蒙活動のほうを重視しているのですが、スポーツをする子供たちが、ブラの必要性を感じた時にATSUGIの『Hijuni ( ハイジュニ )』を選んでもらえたらうれしいですし、そのきっかけ作りが出来ることは非常にありがたく、有意義なことだと考えているんです」(丸山さん)

昨年8月にビーコルの田渡 凌らを指導者に迎えて開催された女子中学生だけのバスケットボールクリニック

バスケ女子にも使って欲しいATSUGIの『Hijuni ( ハイジュニ )』

この『Hijuni ( ハイジュニ )』商品の中にある、成長期の女の子をターゲットにした“はじめてブラ”には『胸いっぱい、夢いっぱい』というキャッチコピーがあった。「子供たちは、10歳ぐらいから、身体的な成長で胸が膨らんできます。その時期は、ちょうど胸と一緒に夢や希望も膨らんでくる時なんです。彼女たちの夢や希望を私たちの製品で包んであげたい。そういった想いからあのキャッチコピーにしました。この想いは今も変わっていませんし、成長期の女の子たちが、よりスポーツをやりやすい、胸の成長を妨げないようなインナーウェアを提供して、彼女たちの胸と夢、そして心が元気に育っていくような活動をおこなっていきたいと思っています」(丸山さん)

ATSUGIの成長期の女の子に向けたスポーツインナーウェア『Hijuni ( ハイジュニ )』

ATSUGIではバスケ女子に向けたスポーツブラの有効性を伝える啓蒙リーフレットも用意している

田渡 凌も着用する『AddElm(アドエルム)×ATSUGI』

さらにATSUGIでは、『AddElm(アドエルム)×ATSUGI』というアスリート向けの本格的なスポーツインナーも展開しており、田渡 凌も使っているそうだ。

「田渡選手をはじめ、他の選手の皆さんにも試していただいています。選手の皆さんに使っていただけたら、私たちの企画サイドも盛り上がりますし、選手の皆さんからのご意見、フィードバックが増えて、お互いにキャッチボールが出来れば、新しいアイデアが生まれて、より良い商品作りに繋がっていきます。ビーコルさんが持つバスケットボールとチアを通して、ATSUGIの商品が広まり、画期的な商品が生まれれば、とても素敵なことだと思いますし、大きく期待しています」(丸山さん)

田渡 凌も着用しているアスリート向けインナーウェア『AddElm(アドエルム)×ATSUGI』

ビーコルユースチームとビーコルユースサテライトチームにはバスケットボールコートを提供

ATSUGI本社には体育館もあり、そこにあるバスケットボールコートを今シーズンからビーコルユースチームとビーコルユースのサテライトチーム『PlayTime』の練習場として提供している。「普段、社員個人の運動やスポーツに使っているだけの施設なので、それを有効活用していただくことは、弊社としてもありがたいことです。ここで練習した選手がビーコルの選手になって、世界に飛び出していってくれたら。そういった夢も出てきますよね」(富澤さん)

ATSUGI本社内体育館にあるバスケットボールコート。今シーズンからビーコルユースチームとビーコルユースのサテライトチーム『PlayTime』が練習で使用している。

これからのビーコル✕ATSUGI

将来的にはビーコルとのコラボレーションをさらに増やしていきたいそうだ。

「まずは、ATSUGIの商品を知っていただき、試していただいて、私たちの商品を好きになっていただくことが大前提になりますが、例えば、B-ROSEの皆さんが『これはオススメ出来る』といったものが出来れば、B-ROSEとのコラボレーション商品を作らせていただきたいと思っています」(丸山さん)

最後に、ビーコルに期待すること、そしてビーコルとのこれからを丸山さんに聞いた。

「私は、未だに初めてビーコルの試合を観た時に感動したあの会場のエネルギーが忘れられません。あのエネルギーを生んでいるビーコルは凄いと思いますし、いつまでも、パワーの源であり続けて欲しいです。これからもビーコルさんと地域貢献やスポーツをする女の子たちへの啓蒙活動などで、ご一緒させていただきたいですし、私たちもビーコルファンです。ファンの皆さんと一緒にビーコルを応援していきたいと、心から思っています。選手の皆さん、支えるファンの皆さんと一緒になって、私たちも成長していけれたら、うれしいです」(丸山さん)男子プロバスケットボールチームのビーコルとATSUGI、オフィシャルスポンサーの枠を超えておこなわれているこの異業種タッグには大きな可能性が秘められている。これから、両者の間でどんなケミストリーが生まれてくるのだろう。そう考えると楽しみになってくる。

【取材・写真・記事/おおかめともき】

・ATSUGI – ストッキング・タイツ・インナーウェアの【アツギ】
https://www.atsugi.co.jp

・ATSUGI – astigu ( アスティーグ )
https://www.astigu.jp

・ATSUGI – Hijuni ( ハイジュニ )
https://www.atsugi-styleup.jp/shop/pages/hijuni.aspx

・ATSUGI – クリアビューティアクティブ
https://cb-active.com

・ATSUGI – AddElm ×ATSUGI 
https://www.atsugi-styleup.jp/shop/pages/addelm.aspx

 


Written by geki_ookame