第33節 vs宇都宮ブレックス 宇都宮 77−71 横浜


宇都宮との今季最終戦を6点差で落とす 惜別のブレックスアリーナで竹田が先発 森川が1000得点達成

2020-21シーズン第33節(4月14日ブレックスアリーナ宇都宮)
宇都宮ブレックス 77-71 横浜ビー・コルセアーズ
17-17|26-10|20-22|14-22

【BOX SCORE / PLAY BY PLAY 4.14 [WED] 宇都宮ブレックス vs 横浜ビー・コルセアーズ】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=6385&TAB=B

横浜ビー・コルセアーズは4月14日、ブレックスアリーナ宇都宮で同じ東地区1位の宇都宮ブレックスとの水曜日ゲーム1試合を闘い、6点差で敗れた。ここまで15勝35敗。ブレックスは優勝へのマジックを「4」とした。

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~“偉大なシックスマン”竹田 謙が6シーズンプレーしたブレックスアリーナで引退セレモニー~

試合後、今季限りでの現役引退を発表している竹田 謙の引退セレモニーがおこなわれた。竹田は過去に引退を1度経験。ビーコル入団前の2008年から2014年までの6シーズンにわたり、ブレックスでプレーしていた。2009-10シーズンには同チームの初優勝に貢献し、引退後の1年間ではフロントスタッフも経験した。

試合後にブレックスがおこなった竹田 謙の引退セレモニー【写真提供:©B.LEAGUE】


ブレックスが用意した「KEN TAKEDA BREX 2008-2014」と題されたセレモニーは、竹田の在籍時、一度目の引退となった2013-14シーズンのオープニング映像から始まり、竹田は当時の背番号「15」でコールされて登場。当時チームメイトだった安齋竜三HCと田臥勇太が惜別のスピーチを竹田に送った。

かつての僚友・田臥勇太から花束を受け取る竹田 謙【写真提供:©B.LEAGUE】


安齋HCは「前回、ブレックスで引退した時にはこういったセレモニーはなく、ひっそりとした引退だったが、タケさんがブレックスに残した功績は大きく、これからは若い選手たちが引き継いでいく」田臥は「タケさんへの引退スピーチは2度目だが、仕事人として、相手の裏をかくプレーやチームのためにプレーする姿は流石だなと思いながら今日もみていた。ブレックス時代にそういった選手とプレー出来たことを嬉しく思う」と話した。

かつてのチームメイト安齋竜三HCと田臥勇太と記念の写真の収まる横浜ビー・コルセアーズ#25竹田 謙。セレモニーの登場ではブレックス時代の背番号「15」でコールされた【写真提供:©B.LEAGUE】


田臥から花束を受けた竹田は感無量の表情を浮かべながら「平日の夜、シーズン終盤の大事な時期、しかも2回目の引退にもかかわらず、申し訳ない気持ちだが、多くの人たちから引退を祝っていただいて本当に幸せ」と挨拶。セレモニーの最後には慣れ親しんだブレックスアリーナ宇都宮のコートを一周。自身最長の6シーズンをプレーしたブレックスのファンからの惜別の拍手を浴び、竹田は両拳を突き上げながらコートをあとにした。

セレモニー後のコート1周でブレックスファンに別れを告げる竹田 謙【写真提供:©B.LEAGUE】

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竹田は今後、5月1日(土)横浜武道館での対新潟GAME2がホームでのラストゲームとなり、5月5日のアウェーA東京戦が現役最後の試合になる予定。5月1日のホーム戦では試合後に引退セレモニーがおこなわれる。

竹田には、このあと5月1日横浜武道館でおこなわれる対新潟GAME2でのホームラストゲームが待つ。試合後には引退セレモニーがおこなわれる【写真提供:©B.LEAGUE】


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〜森川正明がB1個人通算1000得点を達成〜

この試合で、自身のB1個人通算1000得点まであと「15」にしていた森川正明が、4Q開始早々に決めたフローターシュートでこの記録を達成させた。試合前に「1000得点達成は通過点」としていた森川は、今季三河からビーコルに移籍。三河時代はプレータイムに苦しんだが、ビーコルに移籍した今季は、ここまで50試合に出場(内先発は46試合)。499得点を挙げて3Pシュートは83/196本(昨季は112得点で3Pシュートは19/31本)と大きな飛躍をみせている中での記録達成となった。

この試合でB1個人通算1000得点を達成した横浜ビー・コルセアーズ #9森川正明【写真提供:©B.LEAGUE】


ビーコルは今季限りで現役を引退する竹田が先発。試合は先制した宇都宮が主導権を握った。追いかけるビーコルは6分でチェンバースが3Pシュートを決めて追撃。残り2分では森川が3Pシュートを沈めて1点差にした。その後の失点で再び点差が開いたが、残り1分で森川が入れたフリースロー2本で2点差にすると残り1分を切ってからオフェンスリバウンドで粘った得点で追いつき、17-17の同点で1Qを終えた。

自身最後のブレックスアリーナでの試合で先発起用された横浜ビー・コルセアーズ#25竹田 謙【写真提供:©B.LEAGUE】


2Q開始早々にギブスが決めた3点バスケットカウントで宇都宮が勝ち越し。以降でベクトンが2Pシュートを決めたが徐々に点差が開き、6分では10点差に離された。ビーコルは、ベクトンがフリースロー2本を確実に仕留め、さらには2Pシュートも決める反撃を見せたが、その都度得点を入れてくる宇都宮から流れを奪えない。中盤以降でディフェンスを1-3-1に変更して立て直しを図ったが、このクォーターで26点を失い、オフェンスでは10得点と伸びず16点差で前半を折り返した。

横浜ビー・コルセアーズ#7レジナルド・ベクトン【写真提供:©B.LEAGUE】


ビーコルは、3Qに入っても宇都宮の勢いを止められず、点差が開いたが6分から反撃に転じた。生原が2Pシュートを決め、さらに中盤5分では森川が4点バスケットカウント、アウダが3点バスケットカウントとダンクを決めた9点ランでその差をひと桁9点にまで詰め、残り2分では須藤のフリースロー1本で8点差にした。ビーコルは、このクォーターで11点を入れたアウダを起点にして反撃に転じ、
3Qを22−20として宇都宮を上回り、13点差で最終クォーターを迎えた。

3Qだけで11得点を入れて反撃の起点となった横浜ビー・コルセアーズ#1パトリック・アウダ【写真提供:©B.LEAGUE】


4Q開始早々に森川正明がフローターシュートを決めて自身の記録、B1個人通算1000得点を達成。さらに森川は7分に2Pシュートを決めて見せ場を作った。同34秒で生原がファウルアウトしたが、3Qから勢いを持つアウダが2Pシュート、5分には森井が2Pシュートを決め、さらにはチェンバースの3Pシュート、森川のレイアップ、ベクトンの2Pシュートで7点ランを決めて宇都宮に食らいつき、残り2分ではこの流れを維持したベクトンの2Pシュートでひと桁9点差にまで追い上げた。以降で再び二桁差にされたが、残り1分での宇都宮のテクニカルファウルから流れを引き寄せ、終了間際にカーターが決めた3Pシュートなどで計5点を入れてこのクォーターも22−14と宇都宮を上回ったが、2Qでの26失点とロースコアが響き、6点差での敗戦となった。

横浜ビー・コルセアーズ#4ロバート・カーター【写真提供:©B.LEAGUE】


ビーコルの二桁得点は4人。1000得点を達成した森川正明が3Pシュート3/3本を含む19得点(2アシスト)。レジナルド・ベクトンが15得点(7リバウンド)。パトリック・アウダが14得点(5リバウンド・3アシスト)。ロバート・カーターが3Pシュート1/4本を含む10得点12リバウンドでダブルダブルをマークした(3アシスト・2スティール)

【カイル・ミリングHC試合後会見コメント】

「(宇都宮とは)今シーズン4回目の対戦。お互いに徹底的にスカウティングしてよく分かった上での対戦だった。今日の試合までに合計12Q分を闘い、その内6Qではほぼ同点だったし、そして今日の1Qも同点だった。2Qはミスやイージーバスケットで一気に離されてしまったが、3Q、4Qで立て直すことはできた」


◇ ◇ ◇

リーグのトップを走るブレックスに勝てなかった。このことを誰よりも悔しく思ったのは、先発で起用され、この日大きな注目を浴びた竹田 謙だろう。2度目の現役引退を発表している竹田はこの試合が、かつて6シーズンにわたってプレーしたブレックスアリーナでのラストゲームだった。竹田は試合前のインタビューで「宇都宮には5年間勝てていない。最後のチャンスで、勝って終わりたい」と強い意気込みを話していたし、前回対戦の前にも同じことを話し、5年間プレーしているビーコルが古巣ブレックスに勝利することを渇望していた。

今季、宇都宮にはここまでの3試合で決して完敗したわけではない。今季最初の対戦だった前回のアウェー戦では、戦力が100%でない中で、首位宇都宮を苦戦させる善戦をみせて敵地で爪痕を残していた。この時のディフェンスは、以降でカイル・ミリングHCが何度も引き合いに出していたように、チームの自信となり、ディフェンスの好例となっていた。

これまでの対戦、特に前回対戦の2試合ではチェンジングディフェンスを用いて宇都宮を困惑させ、特に、2-3ゾーンに1-3-1ゾーンを織り交ぜたディフェンスは効果的で首位を苦戦させていた。

指揮官は試合前に「あのディフェンスが40分間にわたって出来れば勝機はある」と話し、選手たちも同じことを口にしていた。

4回目の対戦で、そのチェンジングディフェンスは少ないように見られたが、これはスカウティングを徹底させた宇都宮のオフェンスに押され、やりたい形が出来なかったのではないかと思う。

後半に入ってからは、3Q終盤と4Q序盤で用いた2−3ゾーンでのチェンジングディフェンスが徐々に機能を見せ始め、4Qでは宇都宮を14得点に封じた。オフェンスでは3Q、4Q共に22得点を入れて、後半ではクォーターの得点で宇都宮を上回った。それだけにカイルHCが「ミスやイージーバスケットで一気に離されてしまった」と語った2Qの26失点と10得点に終わったロースコアが悔やまれる。

ビーコルは宇都宮から勝利は出来なかったが、果敢に挑み続けた結果としてディフェンスの形を作った。このスタイルを変える必要はない。ここまでのビーコルの失点数は78.3点であり、これはB1全20クラブ中、千葉とA東京に次ぐ8位の成績だ。

ビーコルに柱といえるスタイルができたことは、カイル・ミリングHCのもとで積み上げてきた成果といえる。今季の残り試合は、現時点であと「9」。カイル・ミリングHC、そして竹田 謙と闘える日々も残り少なくなってきた。貴重なこの期間で海賊たちが、自分たちのバスケットボールをどこまで確立できるのか。大きく期待したい。

次節ビーコルはホームでの2連戦。中2日後の4月17日(土)18日(日)にトッケイセキュリティ平塚総合体育館でおこなわれる今季最後の平塚シリーズで、ここまで1勝1敗のSR渋谷と今季の同カード勝ち越しを目指して闘う。

竹田の次節は、ホーム平塚でのSR渋谷2連戦。チームの同カード今季勝ち越しがかかる この2試合で平塚のビーコルファンに最後の勇姿を魅せる【写真提供:©B.LEAGUE】


【記事/おおかめともき・写真提供/©B.LEAGUE】


Written by geki_ookame