首位宇都宮に後半互角の闘い演じるも前半のロースコア響く ベクトンが復帰して17得点9リバウンド
2020-21シーズン第27節GAME1(3月20日ブレックスアリーナ宇都宮)
宇都宮ブレックス 77-66 横浜ビー・コルセアーズ
18-13|19-14|21-20|19-19
【BOX SCORE / PLAY BY PLAY 3.20 [SAT] 宇都宮ブレックス vs 横浜ビー・コルセアーズ】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=6284&TAB=B
バイウィークが明けた横浜ビー・コルセアーズは3月20日、ブレックスアリーナ宇都宮で同じ東地区1位の宇都宮ブレックスとの2連戦GAME1を闘い11点差で敗れた。ビーコルは後半で39得点を入れ、4Qでは互角の闘いを演じたが前半でのロースコアが響いた。ここまで14勝29敗。
この試合でレジナルド・ベクトンが怪我から復帰。1Q途中からコートに立ち、25分13秒のプレータイムで17得点を挙げて9リバウンドを記録。チーム反撃の4Qでは自身今季初の3Pシュートも決めた。
一方で生原秀将が左膝の怪我のために欠場。アキ・チェンバースはベンチ入り登録したがプレータイムはなかった。
ビーコルは森井と須藤を先発で起用。先制を許したがカーターの連続2Pシュートで同点から勝ち越しすると以降でリードを伸ばし、主導権を握った。しかし残り3分でリードを許してからは追う展開となり5点差で最初のクォーターを終えた。差を詰めたいビーコルは2Q中盤5分で森川が3Pシュートを決めて3点差としたが、以降でダブルチームを駆使してくる宇都宮ディフェンスに苦戦し、二桁差に離されて前半を終えた。
3Qの立ち上がりで宇都宮を2点に抑えることに成功したビーコルはディフェンスからオフェンスのリズムを作り、アウダ、カーター、須藤(3Pシュート)の8点ランで差を4点にまで詰めたが、残り3分で再び9点差に離された。3Qでビーコルは20得点を入れるオフェンスを見せた。宇都宮は21得点を入れ、11点差で最後のクォーターを迎えた。
4Qで16点差に離されたが、中盤で今季限りの現役引退を発表している竹田 謙が外角から2Pシュートを決めて11点差。4分にはベクトンが今季初めて3Pシュートを沈めて、ひと桁9点差にした。これで流れを掴むと残り3分でアウダがフリースロー2本を決めて7点差にした。しかし、以降でファウルがかさみ、宇都宮はこれで得たフリースロー10本を9本決めて差が広がった。ビーコルはこのクォーターを19-19で互角の闘いを見せたが、最終スコアでは11点差を離された66-77で敗戦した。
ビーコルの二桁得点は3人。ロバート・カーターが20得点を入れて両チームを通じて最多(5リバウンド)。復帰したレジナルド・ベクトンが自身今季初の3Pシュート1/1本を含む17得点を挙げ、リバウンドではチーム最多の9本を記録した。パトリック・アウダが13得点(4リバウンド)を記録している。
【カイル・ミリングHC試合後会見コメント】
「アウェーでリーグトップの勝率を持つチームとの対戦、また怪我人も多い状況からタフな試合になると思っていた。接戦になり、ゲームプランではやりたいことが出来た。ただミスも多く、そのミスから相手に得点を許してしまった。明日はいかにミスを減らすことが出来るかが鍵になってくる。1試合を通しては、いい試合が出来た。最後まで闘ってくれた選手を誇りに思う」
◇ ◇ ◇
この試合の前日にカイル・ミリングHCが来季フランスに戻ることと竹田 謙が今季限りで現役を引退をすることが発表され、ビーコルファンにとっては辛い1日になった。
発表があった日、チームはいつも通りに前日練習をおこない、宇都宮に移動したが、敏感に察していたのか選手とスタッフには言いようのない雰囲気があった。
今日の試合では、その“言いようのない雰囲気”がポジティブな方向に働いていたと思う。「チームはまだまだ成長の余地がある。最後まで突き詰めていきたい」と前日に語っていた竹田は、シックスマンの役割を全うし、終盤の反撃ではここぞで身体を張ったディフェンスで貢献し、オフェンスではアウトサイドからの2Pシュートも決めた。
前日のツイッターには、選手たちの竹田に対する言葉が溢れた。今後チームはフォア・ザ・チームに加えて“フォア・ザ・竹田”にもなっていくはずだ。これで生まれるエナジーに期待したい。
チームは、強豪との対戦が続く。前節では地区首位の琉球と対戦し、バイウィークが明けた最初の2連戦では東地区首位の宇都宮との対戦。リーグ失点数6位のビーコルディフェンスがどこまで通じるのか試金石になっている。琉球戦のGAME2では敵地で善戦を演じたが、今日の試合でも見せ場を多く作った接戦で善戦を見せた。
強豪を相手に善戦を続けていることは、ここまで積み上げてきたことの成果だ。首位ブレックスに真っ向から挑んだビーコルは後半で互角の闘いを演じた。ディフェンスでは2-3ゾーンとマンツーマンを織り交ぜたチェンジングディフェンスを駆使して宇都宮からミスを誘った。それだけに、ゲーム立ち上がりの前半で13得点、14得点だったことが悔やまれる。
チームが武器としている変則ディフェンスは容易に出来るものではなく、現段階では連携ミスも多い。日々、練度を高めるべく練習をかさねているが、現時点では未完の武器だ。それでも、その効果は試合の随所で出て強豪を苦しめている。これを完成させることが出来れば、ビーコルは柱になる武器を手にすることになる。
生原秀将の怪我やアキ・チェンバースが出れないなどチームの戦力は100%ではない。3Qでは竹田 謙を1番に置いたポイントガードなしのビッグラインナップを敷く場面もあったが、完全な状態でないにもかかわらず、善戦を続けていることに胸が熱くなる。
その中で、チャンスを掴もうとしている若手がいる。ここ数戦でシュートタッチが冴え、この試合でも効果的な3Pシュートを2本決めて8得点を入れた23歳の須藤昂矢もその1人。「徐々にシュートが入るようになってきた。肩の力がいい意味で抜けた状態でプレー出来ている。この宇都宮戦も強気でシュートを狙っていく」と話した地元横浜出身のシューティングガードは、琉球2連戦から3試合連続で先発起用されて、今日のプレータイムは自己最長の25分51秒。得点も自己最多を記録して、その存在感を大きく示した。昨季は特別指定選手としてB2西宮でプレー。新型コロナウイルスのためにシーズンが途中打ち切りとなり、待望のBリーグ挑戦はわずか2試合に終わった。今季は地元チームとプロ契約を結び、日本のプロバスケリーグ最高峰のB1で成長を続け、躍動を見せている。残り17試合、須藤昂矢の活躍に期待したい。
チームはカイル・ミリングHCのもとで確実に進化を続けている。ファンに愛される指揮官との航海はあと17試合になった。闘将との残された練習期間でこの進化をさらにどこまで伸ばし、今後の柱となる武器を完成させることが出来るか。強豪との闘いが続く終盤戦での楽しみにしたい。
【記事/おおかめともき・写真提供/©B.LEAGUE】