40分間、死力を尽くした大激闘実らず。対宇都宮戦初勝利まであと一歩
2020-21シーズン第27節GAME2(3月21日ブレックスアリーナ宇都宮)
宇都宮ブレックス 82-76 横浜ビー・コルセアーズ
16-25|22-16|21-18|23-17
【BOX SCORE / PLAY BY PLAY 3.21 [SUN] 宇都宮ブレックス vs 横浜ビー・コルセアーズ】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=6285&TAB=B
横浜ビー・コルセアーズは3月21日、ブレックスアリーナ宇都宮で同じ東地区1位の宇都宮ブレックスとの2連戦GAME2を闘い、40分間にわたる激闘の末に6点差で敗れた。ここまで14勝30敗。
1Q、前日に自己最多得点を挙げた須藤が開始早々に3Pシュートを決めてビーコルが先制。以降でリードチェンジを繰り返す展開になったが、同点の中盤5分で須藤が2本目の3Pシュートを沈めてビーコルがリード。ビーコルは以降でも順調に得点をかさね、終盤でスコアを20点台にした。残り1分を切ってからはケドリック・ストックマン・ジュニアが2Pシュートと3Pシュートを続けてリードを伸ばすと、ディフェンスでは前日からステップアップさせたチェンジングディフェンスが功を奏し、宇都宮の得点を抑えることに成功。1Qを9点リードの25-16とし、幸先の良いスタートを切った。
2Qで宇都宮が反撃。7分で3点差にされたがディフェンスとボックスアウトで踏ん張り続け、6分でアウダが3点バスケットカウント、中盤5分では須藤がこの日3本目の3Pシュートを決めてスコアを30点台に乗せた。残り4分ではビッグラインナップを敷いて1-3-1ゾーンを織り交ぜるチェンジングディフェンスを展開。これで流れを作ったビーコルは、3分と2分にアウダが3点バスケットカウントを続けてスコアを41点にまで伸ばした。しかし、終盤で3Pシュートと2Pシュートを続けた宇都宮がその差を3点にして前半を終えた。
3Qの立ち上がりでビーコルは1点差にされたが、須藤が2Pシュートを入れてリードを守った。この直後のディフェンスで須藤がゴール下の争いで接触。このアクシデントで頭部を打った須藤は交代を余儀なくされ以降で出場できなかった。両チームは以降で一進一退となり、同点となった3分ではベクトンが4ファウルでファウルトラブルになり交代。宇都宮がこのファウルで得たフリースロー2本を入れてリードしたが、ストックマン・ジュニアがインサイドからのショットを決めて同点にした。残り1分でが竹田がフリースロー2本を決めて勝ち越し。ここでビーコルはベクトンをコートに戻して勝負に出た。直後に宇都宮にリードを許したがベクトンが2Pシュートを決めて逆転。しかし、フリースローで3点を失って同点となり、両者互角のまま勝負の4Qに突入した。
4Qでも互いに点を入れ合う一進一退の攻防は続いた。コートエンドに飛び出す選手も多くなり、両チームの競り合いは激しさを増した。8分で森川が3Pシュートを沈めてビーコルが逆転。7分ではアウダが3点バスケットカウントを決めてリードを伸ばしたが、中盤5分で再びリードを許した。残り3分で5点差に離されたビーコルは森川のレイアップで3点差にしたが、ここから失点が続き8点差にまで離される。勝利への執念をみせたビーコルは、ベクトンとアウダが2Pシュートを続けて必死の追い上げをみせて、その差4点と迫ったが、残り24秒でロシターにターンオーバーからレイアップを許してしまい、ビハインドは6点に広がった。タイムアウトで立て直しを図り、3Pシュート攻勢に打って出たが実らず、6点差で涙を飲んだ。
ビーコルの二桁得点は4人。パトリック・アウダが両チームを通じて唯一の20点台となる23得点(3リバウンド)。ロバート・カーターと須藤昂矢が揃って11得点。カーターは7リバウンドも記録し、須藤は前日に記録していた自己最多得点を翌日の試合で早くも更新。3Pシュートでは3/3本を入れて成功率100%。これもここまでの自己最多になった。
前日に復帰したレジナルド・ベクトンは二桁10得点。リバウンドでも11本を取ってダブルダブルをマークしている。
【カイル・ミリングHC試合後会見コメント】
「昨日に引き続き、いい試合ができた。怪我人も多い苦しい状況の中でも、最後まで闘い抜いてくれた選手たちを誇りに思う。須藤選手もシュートが良く入り、とても貢献してくれていた。最後の最後まで接戦でどうなるか分からなかったが、なぜ宇都宮がリーグトップのチームなのか。それを証明するかのように、最後に差が生まれてしまった。次節は水曜に川崎戦があるので、選手はしっかりとリカバリーをして欲しいし、この試合から様々なことを学び、次に活かせられるようにしていきたい」
◇ ◇ ◇
ビーコルが、敵地で大きな爪痕を残した。チームにとって今季一番の激闘だったのではないか。両チームが互いに譲らず、限界ギリギリまで、いや振り切るまでに闘い抜いた大激戦だった。ビーコルは終始互角の闘いをみせ、時には宇都宮を上回った。戦力が100%でない8位のチームが首位チームをとことん苦しめてみせたのだ。
コートに立っていた選手たちは、中2日後に試合があることなど忘れていただろう。選手たちは200%といっていいほどに持てる力を全て出し尽くして闘っていた。
激闘の中では不運なアクシデントもあった。3Qで前日に続いて好調さと前日以上の奮闘をみせていた須藤がゴール下でのディフェンス中に接触。頭部を打ちつけて無念の交代になった。
須藤は前日のGAME1で自己最多となる8得点を挙げていたが、翌日の試合でそれを上回る11得点を入れてプロ初の二桁得点を挙げていた。3Pシュートは成功率100%の3/3本でこれも自己最多。この2連戦前に「強気で打つ」と言っていた通りに“強気”打った結果だった。あのロシターとのゴール下争いも強気にいったプレーだった。大事に至らないことを願うばかりだ。
この日は、須藤に続いてもう1人の若手が躍動をみせた。20歳のポイントガード・ケドリック・ストックマン・ジュニアだ。ゲームの大事な立ち上がりの1Qでは2Pシュートと3Pシュートを続けて決めて存在感を示すと2Qではリーグのスター選手・田臥勇太と堂々と渡り合うマッチアップをみせ、3Qでは一時は同点となった2Pシュートも決めた。この日7得点を挙げ、アシストでは自己最多タイの4アシストを記録。生原秀将の不在で巡ってきたチャンスを逃さず、しっかりと結果を出してみせた。
カイルHCにインタビューすると、ここ最近では「怪我人が多い」と話すことが多くなっている。その裏返しには、若手に台頭してきて欲しいという願いが込められているのではないかと思う。
父と息子ほどの年齢差がある須藤とストックマン・ジュニアの躍動ぶりには闘将も目を細めているのではないか。自信を植え付けるカイルHCの地道な指導法がいま遂に花を咲かせている。
ビーコルは、次節から中2日が続く横浜国際プールでの今季ラスト4ゲームに突入する。まずは24日の水曜日ゲームで同じ神奈川県のライバル川崎ブレイブサンダースを迎えて勝利を目指す。
今季限りで現役を引退する竹田 謙、そして来季はフランスリーグに戻るカイル・ミリングHCとの闘いはあと16試合だ。
【記事/おおかめともき・写真提供/©B.LEAGUE】