ビーコル、名古屋D戦GAME2でドルフィンズを終盤に追い詰めるも惜敗。


前日の敗戦を払拭する一進一退の攻防!今季最多8連敗も、川村を欠いた中で出来た接戦は自信。

横浜ビー・コルセアーズ 71-73 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(3月18日・愛知県体育館)
19-19|10-18|20-24|22-12

横浜ビー・コルセアーズは、3214人を集めた愛知県体育館で名古屋ダイヤモンドドルフィンズとGAME2を闘い、終盤の猛追で2点差にまで追い詰めたが惜敗。名古屋での2試合で勝利出来ず、今季最多となる8連敗を喫した。

奇しくも、前回名古屋Dをホームに迎えたGAME1と同じ幕切れになってしまった。あの時は細谷将司、今回はジェフリー・パーマーが大きな悔しさを味わった。

2点ビハインドで迎えた土壇場4Q残り1秒。ジェフリー・パーマーが逆転勝利を狙った3Pシュートがリングに弾かれてしまい、パーマーはその場で崩れ、悔しさと無念を露わにした。

2点差、ジェフリー・パーマーがラスト1秒の逆転ブザービーターを掛けて打った3Pシュートが外れ、名古屋DとのGAME2を惜敗した横浜ビー・コルセアーズ

 

前日のGAME1で12月以来となる60点台62得点のロースコアで敗戦したビーコルは、前日とは打って変わった覇気を見せカムバックした。

試合前のシューティングから、海賊は覇気に溢れていた。選手たちは活発に声が出ていたし、サポートするチームスタッフも大声を出して鼓舞した。

この名古屋での2試合、今回も横浜からビーコルブースターが沢山駆けつけた。彼らのためにも何としても勝ちたい、勝つんだという気持ちが強く感じられ、チーム全員が同じ方向を向いていた。

海賊たちは精彩を欠いた前日を払拭する奮闘をみせた

 

スターティング5は、前日と同じ細谷、高島、満田、佐藤、マクドナルドの布陣。両チームは1Qから点の取り合いとなった。

前日の反省を受け、修正したオフェンスとディフェンスが功を奏し、序盤から一進一退の攻防になった。その中で躍動する選手たちは、自分たちのバスケを取り戻していた。

ミスもあったが気持ちで押してカバーした。4Q終盤での怒濤の猛追は、最大17点あったビハインドを一時は1点差にまで詰め寄らせた。ドルフィンズは恐怖を感じたはずだ。

1Qの前半はウィリアム・マクドナルドがオフェンスの起点となり、3分以降はハシーム・サビート・マンカが起点となって得点を重ね、アグレッシブに行ったディフェンスも相手に得点を伸ばさせず、1Qは19-19のイーブンで終えた。

1Q 9分20秒、インサイドから2Pシュートを沈めるウィリアム・マクドナルド

 

2Qでも田渡 凌とサビートが得点して一進一退のクロスゲームは続いた。7分8秒に柏木真介にバスケットカウントを決められたが、直後の6分54秒にサビートがバスケットカウント(フリースローは外す)を奪い返し強い執念をみせた。さらにサビートは4分8秒にもバスケットカウントを奪い、フリースローも沈め3点を決めた。

しかし、サビートと田渡が得点したものの名古屋Dのディフェンスは前日同様に厳しく、ビーコルの得点がわずか10得点と伸びない。一方で、3Pシュートを中心に決めてくる名古屋Dに18得点を奪わてしまった。2Qは10-18。トータルスコア29-37、8点のビハインドを背負い前半を折り返した。

2Q 9分52秒、一時は逆転となるレイアップを沈める田渡 凌

2Q 6分54秒、ハシーム・サビート・マンカがバスケットカウントを奪う2Pシュートを沈める

2Q 4分8秒、一時は逆転となった3点のバスケットカウントを沈めるハシーム・サビート・マンカ。サビートのバスカンはこのクォーター2本目

 

この日のサビートはインサイドワークが冴え渡った。相手ディフェンスを果敢に突破して、2Qに続いて3Qにも連続バスケットカウントを決めてオフェンスの起点となった。

勢いに乗ったサビートは3Q 8分43秒にも3点のバスケットカウント。さらに8分43分にもこの試合4本目となるバスケットカウントを決めた

 

さらにサビートは6分9秒に高島のアシストでスピード感溢れるアリウープダンクを沈め、チームに流れをもたらした。

3Q 6分9秒、高島一貴のアシストでサビートがアリウープダンクを沈めた

3Q 6分9秒、高島一貴のアシストでサビートがアリウープダンクを沈めた

 

サビートは5分33秒にも連続してダンクを沈め、3Qで9得点を挙げ名古屋Dを圧倒した。

サビートはさらに5分33秒にもダンクを沈めた

3Q終了間際51秒と残り1秒に田渡 凌とジェフリー・パーマーが2Pシュートを沈め、チームはこのクォーターで20得点を入れた。

しかし、張本天傑の2本の3Pシュート、中東泰斗、ジャスティン・バーレルらの2Pシュートなどで24失点を許し、3Qは20-24。トータルスコア49-61、ビハインドは12点に広がってしまう。

4Q開始早々9分38秒にアウトサイドから2Pシュートを沈める田渡 凌

3Q残り1秒に2Pシュートを沈めるジェフリー・パーマー

 

4Q、田渡、サビート、マクドナルド、竹田がフィールドゴールとフリースローで得点し怒濤の猛追を仕掛ける。

4Q 5分55秒に名古屋Dのディフェンスをかわしたインサイドワークで2Pシュートを沈めたウィリアム・マクドナルド

 

ディフェンスも機能した。名古屋Dの得点を一定時間で停滞させることにも成功。最終クォーターを12失点に抑えた。これが4Q終盤の猛追を生む。

4Qでビーコルはアグレッシブなディフェンスで名古屋Dの得点を一定時間抑えることに成功する

 

このクォーターで田渡 凌が6得点を入れて躍動。9分38秒にアウトサイドから2Pシュートを沈めると、7分45秒にはレイアップで相手ディフェンスを切り裂き2Pシュートを沈めた。

4Q 9分38秒にアウトサイドから2Pシュートを沈める田渡 凌

田渡はさらに7分45秒に今度は相手ディフェンスを切り裂くレイアップで2Pシュートを沈めた

 

しかし、4Q 8分で、両チームで最多、ダンク3本を含む21得点を挙げたハシーム・サビート・マンカがファウルアウト。

4Qで無念のファウルアウトになり、ベンチ横で戦況を見つめるハシーム・サビート・マンカ

 

それでも、3分7秒にマクドナルドがフリースロー2本を確実に沈めて食らいつき、遂には1点差にまで肉薄した。

4Q 3分7秒にマクドナルドがフリースロー2本を確実に沈めて1点差に詰め寄る

 

しかしファウルからのフリースローと、シュートミスからのリバウンドを許し、失点してしまいビハインドがまた開いてしまい6点差になる。

それでも海賊たちは怯まず、1分半に竹田がアウトサイドから2P、残り47秒に田渡がレイアップで切り込んだバスケットカウントで2点差にして再び名古屋Dを追い詰める。

4Q 1分33秒にアウトサイドから2Pシュートを沈めるベテラン竹田 謙。竹田はこの試合で4得点を挙げ、キャリア通算3,000得点まであと3とした

 

ビーコルは残り5秒でタイムアウトを取り、最後のワンプレーに掛けた。

2点差となった4Q残り5秒で最後のタイムアウトを掛けたビーコルベンチ

最後のワンプレーが決まった。ラスト5秒のワンプレーに全てを掛けた

 

タイムアウト明け、スローインした満田がマクドナルドにロングパス。マクドナルドはパーマーにボールを託した。

タイムアウト明け、満田のスローインからボールはマクドナルドにロングパス。マクドナルドはパーマーに全てを託したボールを送る

 

土壇場4Q残り1秒、パーマーは逆転勝利を狙って3Pシュートを打ったが、無情にもリングに弾かれてしまい万事休す。試合終了を告げるブザーが鳴り響いた。4Qは22-12でビーコルがリード。ファイルスコアは71-73、2点差での惜敗となった。

2点差の残り1秒で、逆転のブザービーターを狙った3Pシュートを打つジェフリー・パーマー

しかし、選手、ブースター、チームの勝利の願いが込められたボールは、無情にもリングに弾かれてしまい、パーマーはその場に崩れた。

久々の二桁14得点を挙げ、奮闘した田渡 凌も悔しさを露わにした。勝ちたい気持ちがそれだけ強かった

うなだれるパーマーにチームメイトが駆け寄る。その中には前回名古屋D戦GAME1で同じ悔しさを味わった細谷将司の姿もあった

 

ビーコルはこれで今季最多となる8連敗。一方の名古屋Dは連敗からの連勝となった。6位ビーコルと5位富山とのゲーム差は7のまま。4位新潟とは9ゲーム差に広がった。

下位4チームに課されるB1残留プレーオフの指標となるワイルドカード12チーム中で、ビーコルは依然10位のままだが、9位滋賀とのゲーム差は2に広がり、残留プレーオフ回避のデッドラインである8位大阪とのゲーム差は、大阪が前日に続いて京都に敗れたために4のままになっている。

横浜から駆けつけ声援したビーコルブースターに感謝を込め挨拶する選手たち。尺野将太HCは惜敗も奮闘したこの試合を拍手で讃えた

 

ビーコルのスコアリーダーは、バスケットカウント4本、ダンク3本を沈め、両チーム最多となる21得点を挙げたハシーム・サビート・マンカ。

両チーム最多となる21得点を挙げたハシーム・サビート・マンカ

 

ウィリアム・マクドナルドが14得点。また田渡 凌が久々の二桁得点となる14得点を挙げた。

14得点を挙げたウィリアム・マクドナルド

久々の二桁得点となる14得点を挙げた田渡 凌。

 

ジェフリー・パーマーは8得点。蒲谷正之は7分40秒のプレータイム。山田謙治は19秒間プレーして、久々にベンチ入りメンバー全員が出場した。

7分40秒のプレータイムで貢献した蒲谷正之

 

キャリア通算3,000得点まであと7としていた竹田 謙は4得点を挙げて、自身の偉業まであと3に迫った。次節ホーム横浜国際プールでの達成が濃厚になった。

竹田 謙は4得点を挙げて、キャリア通算3,000得点まであと3とした

 

尺野将太HCは試合後、一言、一言を絞り出すようにしてこう総括している。

「昨日のゲームで、ドルフィンズさんの良いところを出させてしまい、今日はそのディフェンスを修正して、相手に良いオフェンスをさせないようにチャレンジしたゲームでした。1Qと2Qでのディフェンスで失点を20点以下に抑えることが出来、昨日を乗り越えようと選手たちは努力してくれました」

「ただオフェンスの部分で、昨日と同様になかなか点数が伸びなかった。相手のディフェンスが良かった部分もありますし、ウチが攻め手を見付けられない状況が続いたなかで、闘う相手がレフェリーになってしまったり、フラストレーションをコートの上で表現してしまって、自分たちで苦しい時間帯を作ってしまった」

試合後に会見する尺野将太HC

「4Qのディフェンスとオフェンス、2日間続けたゲームで体力的にも厳しいなかでも、ウチにはあの4Qのディフェンスとオフェンスが出来る。いま11勝33敗に沈んでいるチームですが、力がまだまだあるということが今日分かりましたし、プレーヤーはそれを証明してくれました」

「競ったゲームで勝ち切れない試合が多いですが、それはHCである僕の力不足。それしかないと思っています。選手たちは本当に最後まで、自分たちのプライドを見せて闘ってくれました」

ゲーム中のベンチで選手に指示を送る尺野将太HC

「選手たちは、その日の練習、その日のゲームに全力を傾けてくれています。選手たちは、勝ちたい、とにかく何をしてもいいから勝ちたいという気持ちを持っています。今日もビーコルブースターが横浜から沢山来てくれて、あのブースター前で勝たなければいけないという責任感を選手たちは持っている。それが厳しい状況でも闘えるモチベーションになっています」

パーマーが最後に狙った3Pシュートについてはこう語る。

「インサイドの二人(サビートとマクドナルド)が今日のゲームを支配して、プレーを作ってくれて、ガード陣がしっかりとハッスルしてくれた。その積み重ねでの最後の(パーマーの)1ショットでした」

尺野は試合後、無念を滲ませるパーマーを抱き寄せ健闘を讃えた

 

名古屋ダイヤモンドドルフィンズの梶山信吾HCは、今季4試合を闘ったビーコルの率先な印象を失礼な言い方になってしまいますがと前置きした上でこう語っている。

「横浜さんは(今季の)最初のほうに比べると、ディフェンスが本当に良くなっているのが印象的です。僕もスカウティングで何試合か観ましたが、ディフェンスがよくなったところと、オフェンスも早い展開でやろうという意識も見えています」

「今回は川村選手が2戦ともいませんでしたが、それでもチームで闘おうとする意識が見えていました。それだけに、何でこんな状況になっているのかが分かりません。これからカムバック出来る力を持っていると思います。あとはどれだけチームケミストリーを出して、ステップアップしていくかだと思います」

名古屋ダイヤモンドドルフィンズ梶山信吾HC

 

敵将も、ビーコルの進化成長を認めた。僅差のビハインドでの4Qラスト数秒でワンプレーに掛けるも、外してしまい試合終了といった敗戦は今季何度かあった。奇しくも名古屋D戦では2度。しかし、今回は川村卓也を欠いたなかでだった。エース川村が不在でも、前日の反省を翌日にすぐ修正して、ここまで相手を苦しめ闘えたことは、チームにまたひとつ自信を与えたはずだ。

依然苦しい状況が続くが、チームは少しづつだが、確実に進化していることが証明された今回の惜敗。強くなるために、勝てるために、今はその過程を信じるしかない。

ビーコルは次節、ホーム横浜国際プールに戻り、同じ中地区3位のシーホース三河と対戦する。

【写真・記事/おおかめともき】

 


Written by geki_ookame