細谷が残り1秒で打った魂のショット決まらず。マクドナルド20得点で完全復活!
横浜ビー・コルセアーズ 80-81 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(1月27日・横浜国際プール)
21-17|17-15|17-28|25-21
敗戦を告げるブザーが鳴り響いたとき、海賊の小さなガッツマンは、悔しさのあまり、その場に崩れ込んだ。
激闘の末の80-81。あと1点、あと1点だった。残り1秒で細谷将司が逆転のブザービーターを狙った3Pシュートは無情にもリングをかすめた。
悔しさ込み上げる惜敗だが、前を向いていい。攻守の要であるハシーム・サビート・マンカを欠いた中で、チームは善戦した。終盤にホームを揺らしたあの海賊たちが魅せた怒涛のオフェンスはGAME2に繋がる。
そして、2試合の出場停止から復帰して以来、調子を落としていたウィリアム・マクドナルドが20得点を挙げて完全復活した。前節千葉戦で欠場した佐藤託矢は3Q途中で出場し存在感を示した。サビートが戻ってくるGAME2で海賊はやり返す。
1Q、ビーコルはマクドナルドの内外の2Pシュート、細谷の3Pシュートで流れを掴むと、出だしからオフェンスで優位に立つ。
さらには満田丈太郎が、3点のバスケットカウントを決め、マクドナルド、細谷も得点をかさね、4分21秒には川村卓也が沈めたアウトサイドからの2Pシュートなどで海賊たちは勢いに乗った。
1Q残り1秒で、名古屋D#8張本天傑がブザービーターの2Pシュートを決めたが、1Qは21-17で、ビーコルが4点のリードで最初のクォーターを終えた。
オンザコート2の2Qでもマクドナルドが内外から2Pシュートを量産する一方で、ビーコルは速いパス回しで打ったシュートでミスが続いた。その間に名古屋Dに追撃され5分31秒#34クレイグ・ブラッキンズに3Pシュートを決められ逆転を許す。
ビーコルのゾーンを織りまぜたディフェンスは上手く機能し、しばらく両チームの得点が停滞する時間帯が続いた。
ディフェンスでリズムを取り戻したビーコルは、3分14秒で川村卓也がアウトサイドから2Pシュートを沈めて追いつくと、2分8秒にマクドナルドが外から2Pシュートを沈めて逆転に成功。細谷とパーマーがフリースローで得点をかさね、残り18秒には高島一貴がアウトサイドから2Pシュートを沈めて、2Qは17−15。我慢のバスケでリードを奪い返した。トータルスコア38−32。6点のリードを持って前半を終えた。
マクドナルドが久々に躍動し、前半だけで14得点。細谷も9得点でオフェンスの起点となった。
リードをキープし、引き離したい後半。ビーコルはハーフタイムで修正してきたドルフィンズに立て続けに得点を許してしまい同点に追いつかれると、張本のフリースローで逆転を許してしまう。
ドルフィンズはディフェンスにも修正を施した。執拗なダブルチームが増え、シュートが難しくなった。7分9秒に満田が2Pシュートを沈めるまで得点が停滞したが、満田の得点以降、高島とパーマーの3Pシュート、満田の2Pシュートなどで得点をかさねた。
6分56秒、川村に代わって前節千葉戦で2試合とも欠場した佐藤託矢が復帰。しかし出場時間は4分26秒にとどまった。
3分43秒にパーマーが3Pシュートを沈めて同点に追いつくと、ここからクロスゲームになった。3Q終盤に#9安藤周人とブラッキンズに3Pシュートを決められ失点がかさんでしまい3Qは17−28。トータル55−60で、5点のビハインドとなった。
4Qの出だし9分で、ビーコルはマクドナルド、竹田 謙、細谷の2Pシュートが続く。ドルフィンズも#24ジャスティン・バーレルらがシュートを決めて、一進一退の攻防となった
約9分に細谷がオフェンスファウルで倒れるアクシデント。細谷は懸命のディフェンスで体を張った。オフェンスではドフィンズのタフなディフェンスに果敢に切り込むとタフショットを沈めて一時は逆転に成功する。
しかし、直後にバーレルに2Pシュートを決められ再びドルフィンズが逆転。以降も得点を許し6点のビハインドになったが、マクドナルドが2Pシュートを沈めて4点差。
4分になると、川村が鮮やかなタッチでシュートとフリースローを続けて沈める。4分16秒にレイアップを沈めると、2分46秒に3Pシュート、さらに1分25秒でも3Pシュートを沈め、ホームのビーコルブースターをエースの妙技で酔わせた。
さらに川村は、残り56秒にフリースロー2本もしっかりと沈め2点差。しかし、ブラッキンズに2Pシュートを決められ、また4点差になった。
この時間帯の川村は神がかっているといっていいほどにショットが冴え渡った。極めつけは、残り30秒で沈めたセカンドチャンスでの3Pシュートだ。これでビーコルはついに1点差にまで肉薄した。
4Q終盤のビーコルオフェンスは実にスリリングだった。残り30秒を切った最後のタイムアウト明け直後、細谷がディフェンスリバウンドでボールを奪うと、そこからドライブしてパーマーにパス。ペイントエリアに入ったパーマーは、細谷にパスフェイク。細谷は逆転のブザービーターを掛けて渾身のショットを放ったが、その全身全霊を込めた魂のボールは、無情にもリングをかすめ、細谷は落胆と悔しさのあまりに、その場に崩れ込んだ。
結果、4Qは25−21でリードを奪い返し、3つのクォーターでリードしたものの、ファイナルスコア80-81でビーコルが名古屋ダイヤモンドドルフィンズとのGAME1を惜敗で落とした。
チームのスタッツリーダーは、ウィリアム・マクドナルドの20得点。川村卓也が3本の3Pシュートを含む17得点。細谷将司が13得点、ジェフリー・パーマーが12得点を挙げた。
試合後の会見で尺野将太HCはこの惜敗をこう振り返っている。
「先週のジェッツさんとの試合で、ディフェンスが崩壊してしまうぐらいのやられ方をしてしまったので、今週はディフェンスに集中して練習をしてきました」
「(千葉戦のGAME2は)チームとしてバラバラになる危機もあった負け方だったので、チームとして力を出したかった。それをオフェンスではなく、ディフェンスで出すのがバスケットだと思っているので、ディフェンスをテーマにして、チームとしてのまとまりを、今回の試合で出せれたらと思っていました」
「チームのディフェンスのルールをひとつずつ確認して明確にしました。頭では分かっていると思うので、ルール通りしっかりと体が動くように、ディフェンスを練習して今日の試合に臨みました。1Qと2Qは、それが上手く機能しました。平均で80点取れるドルフィンズさんを前半32点に抑えることが出来たのは練習してきた成果。チームとしての力を出せた成果だと思います」
そして、翌日のGAME2に向けて前を見据えた。
「オフェンスとしては、60点台だったのが、80点取れるようになってきていますし、もっといいオフェンスが出来ると思っています。明日はハシーム(サビート)選手が戻ってくるので、オフェンスでは得点出来る。明日、ディフェンスに集中して、しっかりと勝利を掴めるように、頑張りたいと思います」
細谷が打った渾身の1ショットは、惜しくも外れはしたが、チームにとっては価値ある1ショットだ。尺野HCは、あれはデザインされたものではなく、コートの選手たちがプレーの流れのなかで、細谷を選んだものだったと明かしている。
「展開としてJP(ジェフリー・パーマー)がボールを取ったあとに、そのままプッシュするという形はいいと思います。細谷が最後に打ったことは、シュートが入った入らないではなくて、細谷が打ったというところにチームとしての価値がある。狙いとして正解だったと思います。こちらが意図してデザインしたものではなかったのですが、チームとして細谷が打ったというのは良かったと僕は評価します」
チームの命運を分けるショットを細谷が打ったということに価値がある。あの1ショットはチームに細谷将司という新たなオフェンスの選択肢をもたらした。
そして、マクドナルドが20得点を挙げて完全復活。GAME2では好調のサビートが戻ってくる。17得点を挙げた川村と、細谷が打ったあの最後のショットは翌日のGAME2に繋がる。海賊たちは、この悔しさをGAME2にぶつけ、逆襲のバスケで勝利を掴む。
【写真・記事/おおかめともき】