ビーコル“歴史的な”A東京戦初勝利!後半で敷いたゾーンプレスが奏功。強豪アルバルクのリズム崩して逆転逃げ切り勝利!
2020-21シーズン第32節(4月21日アリーナ立川立飛)
アルバルク東京 78-82 横浜ビー・コルセアーズ
23-15|20-12|19-29|16-26
【BOX SCORE / PLAY BY PLAY 4.21 [WED] アルバルク東京 vs 横浜ビー・コルセアーズ】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=6368&TAB=B
横浜ビー・コルセアーズは4月21日、アウェーアリーナ立川立飛でアルバルク東京と対戦した。ビーコルは前半で16点差まで離されたが、後半で立て直し、ディフェンスで敷いたフルコートでのゾーンプレスが成功。これでA東京のリズムを崩して逆転。そのまま逃げ切って勝利した。ビーコルは対A東京戦初勝利。クラブにとっての歴史的勝利で連敗を「3」で止めた。ここまで16勝37敗。この試合は4月10日(土)におこなわれる予定だったGAME1の振替試合(GAME2の振替試合は5月5日におこなわれる)。
この試合で、前節に続いて生原秀将と秋山皓太が欠場した。
TIPOFF直後にカーターが2Pシュートを決めてビーコルが先制。すぐさま同点にされるが、森川が3Pシュートを決めてリードを奪い返した。以降ではビーコルがリードを奪えば、A東京が追いつくといった展開が続いた。4分でA東京がリードすると徐々に点差が開きはじめ8点差で最初のクォーターを終えた。
ビーコルは1Q終盤でA東京に外からのオープンショットを入れられ、失点がかさんだが2Qでもこの展開は続いた。オフェンスでは、シュートチャンスを作るものの決め切ることが出来ず、流れを取り戻すことが出来ない。終盤で須藤が3Pシュートを決めたが1Qに続いて2Qも得点が伸びず12得点と停滞。16点差で前半を折り返した。
3Qの中盤でベクトンの3点バスケットカウントとカーターの2Pシュートでオフェンスにリズムが生まれはじめる。ディフェンスではフルコートで仕掛ける2−2−1ゾーンプレスでA東京を翻弄してミスを誘う戦術を展開。これが功を奏し、4分にカーターが3Pシュートとダンクを続けてその差10点。残り3分には須藤が3Pシュートを決めてひと桁7点差にした。ゾーンプレスを継続したビーコルは、森井のスティールからベクトンが2Pシュートを決めて2ポゼッション差5点にまで詰める。残り1分で再び10点差にされたが、須藤の3Pシュートと続けたゾーンプレスでミスを誘発し、この好機をアウダが逃さずダンクで決めて6点差に詰め寄った。このクォーターでビーコルは29得点を入れ、ディフェンスではA東京を19得点に抑えるカムバックでその差6点とし最終クォーターに突入した。
4Q、ビーコルは8分で森川が3Pシュート、7分にはアウダが2Pシュートを決めて1ポゼッション3点差にする。6分にはカーターの3点バスケットカウントで1点差に迫るとカーターがさらに2Pシュートを続けて、遂に逆転に成功する。5分にはアウダが2Pシュートを決めてリードを3点に伸ばした。ビーコルはゾーンプレスを織り交ぜながらA東京のリズムを崩し、4分にはチェンバースが3Pシュート、3分にはベクトンが2Pシュートを決めて6点のリードを奪った。残り1分にはチェンバースが3Pシュートを沈めてリードを8点に伸ばしたが、ここでカーターがファウルアウト。ビーコルはファウルがかさみフリースローでの失点からA東京の追い上げを許してしまう。残り1分を切って3点差。A東京は残り15秒でファウルゲームに打ってでる。これでフリースロー2本を得たチェンバースが1本を決めて4点差とし、そのまま逃げ切って勝利した。
ビーコルの二桁得点は6人。ロバート・カーターが3Pシュート2/6本を含む21得点でチーム最多。レジナルド・ベクトンが13得点。パトリック・アウダとアキ・チェンバースが揃って12得点。森川正明が3Pシュート3/7本を含む11得点。須藤昂矢が3Pシュート2/3本を含む10得点を挙げた。生原に代わって先発したポイントガードの森井健太は無得点ながら、8本のアシストを記録して勝利に貢献した。
【カイル・ミリングHC試合後会見コメント】
「前半のパフォーマンスはとても良かったが、シュートを決め切れなかった展開がとても多かった。ディフェンスは1試合を通してとても良かった。ハーフタイムで選手たちに『パフォーマンスに関しては悪くないので、とにかくシュートを自信を持って打ち続けなさい』と伝えていたのだが、後半からシュートが入り始めた。今日は6人が2桁得点を挙げた。勝利できて、とてもうれしく思っている。今日の森井健太選手のパフォーマンスは、チームに良いディフェンスのエナジーをもたらしてくれた。森井選手の得意なハードなディフェンスやパスが良く活かされたと思う。ここ数ヶ月、なかなかパフォーマンスがあがらず苦しんでいた場面が多かったが、森井選手は、人間性が素晴らしく、彼以上にハードワークをする選手を見たことがないくらい努力を惜しまない選手。毎日努力し続けた結果が、今日コートで体現できていた。とても良かったと思う」
◇ ◇ ◇
まさに痛快バスケ劇だ。チャンピオンシップに向けて負けられないA東京を相手にビーコルは前半で劣勢を喫していたが、後半で奇策に打って出る。起死回生ともいえるゾーンプレスを敷いて、強豪のリズムを崩すとすかさずチャンスメーク。相手のミスを誘発してスティールを連発するとこれで得点をかさねて3Qで29得点、4Qでは26得点を入れて遂に逆転してリードを奪った。A東京はファウルゲームも辞さず、猛追をかさねたが、ビーコルはそれを跳ね除けて見事逃げ切った。
ここまで、強豪たちと接戦を何度も演じながらも勝ち切ることができなかったビーコルだったが、遂に壁を打ち破ってこの歴史的な勝利を掴み取った。
前半は元気がなかったようにも感じられた。だが、これは作戦だったのだろうか。試合後の勝利インタビューでこのことを聞かれたカイル・ミリングHCは明言をさけたが、ここぞで仕掛けたゾーンプレスは、A東京を翻弄させ、持っていたリズムを完全に崩した。後半でビーコルはA東京を3Qで19得点、勝負どころの4Qでは16得点にまで封じてみせた。
カイルHCと積み上げてきたビーコルのディフェンスが遂に大輪の花を咲かせた。それも敵地で、さらにいうならば、生原と秋山を欠く中でだ。カイルHCはこうも続けていた「相手はチャンピオンシップに向けてプレッシャーがあったのだろう。我々には失うものはなかった」と。捨て身の海賊が巨人の足元をすくい見事倒してみせたのだ。
指揮官は、ファンに感謝を伝えることを忘れなかった。インタビュワーが締めにかかったのを自ら制して、自身のトレードマークである「ゴービーコー!ヨキヨキヨキ!カツカツカツ!」のパフォーマンスでビーコルファン・ブースターと喜びを分かち合った。「ビーコルファンはどんな時にも応援し続けてくれる。私の中で最高の存在」と言っていた時のカイルHCの喜びは、マスクごしからも分かるほどだった。
次節もまた中2日。2位千葉ジェッツとの2連戦だ。東京の強豪を倒したビーコルが確かな自信を持って千葉の強豪に挑む週末の2連戦。今度はどんな“痛快バスケ劇”を魅せてくれるのだろう。期待は高まるばかりだ。
【記事/おおかめともき・写真提供/©B.LEAGUE】