ガードナーに39失点、柏木らに3P11本。ハミルトンのアクシデントでプラン狂い完敗。マックレアが来日後最多24得点を挙げて光明。
2018-19シーズン第5節(10月24日 横浜国際プール)
横浜ビー・コルセアーズ 72-88 新潟アルビレックスBB
20-25|12-20|19-18|21-25
連勝中だった横浜ビー・コルセアーズは、10月24日ホーム横浜国際プールで新潟アルビレックスBBと第5節を闘い、ここに来て調子を上げたきたジャボン・マックレアが来日後最多となる24得点を挙げたが及ばず16点差で敗戦。期待された3連勝はならなかった。中地区順位は、6位三遠が川崎に勝利してビーコルと並び2勝6敗となったが得失点差で上回るビーコルが5位。三河は1位富山に勝利して3連勝。4位を守った。
完敗だった。滋賀から連勝して今季初の3連勝を狙ったウィスマンビーコルだったが、ダバンテ・ガードナーにボールを触らせまいとゾーンディフェンスを敷いて徹底的にマークしたはずが39失点。加えて柏木真介をはじめとしたベテラン勢に3Pシュートも多く決められ、滋賀戦で改善されたはずのディフェンスが通用しなかった。
それには理由がある。ラモント・ハミルトンがティップオフをおこなった直後にその場に倒れてベンチに下がり、そのまま試合に出れないアクシデントが起こった。これで用意していたプランが狂ってしまった。ここまで5試合でダブルダブルをマークしていたハミルトンを欠いた新潟はインサイドから外主体のオフェンスに変更し、ビーコルはこれに対応しきれなかった。相手の主力選手欠場は有利には働かず、イレギュラーとなったことで、皮肉にも敗因となってしまった。
この試合で、特別指定選手#6中村太地が今季初めてベンチ入り。4Q最終盤でハンター・コートと共にコートに立ち、ビーコルでのデビュー戦を果たした。
この試合のスターティング5は、前試合と同じ、外国籍二人に帰化選手を加えた実質オンザコート3を用いた川村、田渡、エゲケゼ、マックレア、帰化選手モリスの布陣。
1Q開始早々にガードナーが2Pシュートを入れて新潟が先制。ビーコルは、モリス、エゲケゼ、マックレアのビッグラインナップトリオが2Pシュートですぐさま応戦するが、上江田、柏木に3Pシュートを許してしまう。
6分に田渡が2Pシュート。4分には川村がセカンドチャンスから2Pシュートを沈め1点差に詰め寄ったが、ガードナーの3点バスケットカウント、上江田、五十嵐の3Pシュートなどで得点を許し、ビハインドが増えた。
ビーコルはファウルを奪い、フリースローで得点。残り10秒でマックレアがインサイドから2Pシュートを沈めて20-25。ビハインドを5点にして1Qを終えた。
2Qの出だしで、五十嵐と石井に続けて3Pシュートを許し、4分にはガードナーにも3Pシュートを入れられてしまい、ビハインドが二桁に広がった。
ビーコルはこのクォーターで、川村がアウトサイドから2Pシュート、橋本が速攻で2Pシュート、エゲケゼと高島が3Pシュート、細谷がレイアップを入れて得点したが、2Qでフリースローを1本も奪えず12得点に留まった。2Qは12-20。トータルスコアは32-45となり、13点のビハインドとなった。
新潟の庄司和広HCは、「(横浜が)間違いなくゾーンでくるのが分かっていたので、ゾーン対策は徹底しておこなった。もともとウチはゾーンが得意でずっと練習してきた。(ハミルトンを欠いて)オンザコート1になってしまったことでこの強みが出た」と試合後に明かしている。
オンザコート3対オンザコート1で有利なはずのビーコルだったが、新潟が終始続けたマンツーマンディフェンスに苦戦。庄司HCはこれをこの試合の勝因とし「ゾーンを回避し、マンツーマンで通したこと」と語っている。
ハミルトンの不在は新潟のオフェンスも変更させ、これがビーコルにとって誤算となった。新潟はハミルトンが使えなくなったことでインサイドから外の得点に切り替え、これに戸惑った形となったビーコルディフェンスが、3Pシュートを1Qで4/9、2Qで4/8と前半だけで3Pシュートを8本も多く許す結果を生んでしまった。このことをウィスマンHCは試合後にこう語っている。
「ハミルトン選手がコートに立っていてくれたほうが、こちらとしては分があったと思う。彼がいなくなったことで、ボールの回りが変わってきた。新潟はハミルトンが使えなくなってことで、ベテラン選手がしっかりとボールを回して3Pシュートを入れてきた。当初のゲームプランでは、新潟がここまで3Pシュートを多く打ってくるチームだとは想定していなかった。ハミルトン選手がいなくなったぶん、新潟は外の得点に頼り、そのシュートが多く入った。それで今日は負けた」
3Q、後半で立て直しを図ったディフェンスは、新潟の得点を10点台に抑えた。このディフェンスで流れを作ったビーコルは、1Qで7得点を挙げていたジャボン・マックレアが内外から沈めた3本の2Pシュートとダンクなどで9得点を入れて反撃の起点となった。
残り3分には川村が入れたフリースロー2本で6-0のランを成功させて、ひと桁9点差にまで詰め寄ったが、以降で柏木とガードナーに内外から失点を許し、捉えかけていた新潟を逃してしまった。
3Qは新潟の得点を10点台に抑えてビーコルが初めてクォーターでリード。トータルスコアでは51-63となり、ビハインドをひとつ縮めて12点差とした。
4Q、3Qで踏ん張っていたビーコルディフェンスがガードナーを止めることが出来ず決壊。開始早々から立て続けに得点を許してしまう。それでも好調を見せたマックレアが内外から4本の2Pシュートを決めて反撃。しかし1分34秒、この試合でチーム最多24得点を挙げていたマックレアがファウルアウトしてしまう。
ビーコルは、エゲケゼが2本、川村が3本、それぞれ決めた2Pシュートで得点したが、追いつくまでには至らず4Qを21-25。ファイナルスコア72-88で敗戦となった。
前節滋賀戦から続いた連勝は2でストップ。今季初の3連勝はならなかった。勝った新潟は連敗を2で止めた。
この試合でのビーコルのスコアリーダーは、来日後最多となる24得点(6リバウンド)を挙げたジャボン・マックレア。開幕直前にチームに合流し、当初は準備不足から精彩を欠いていたが、ここに来てどんどん調子を上げて持ち味を発揮してきた。
2番手は18得点(3リバウンド)を挙げた川村卓也。川村は6アシスト、5スティールでも貢献した。
以降は、アマンゼ・エゲケゼが12得点(5リバウンド、2アシスト)で3番手。田渡 凌5得点(4アシスト)、エドワード・モリス4得点(5リバウンド)。
2得点に留まった細谷将司は5アシストで貢献。チームの3Pシュートは、高島一貴とエゲケゼがそれぞれ1本ずつの2/15と新潟が挙げた11/27に比べて極めて少なかった。
試合後これまでで最も落胆した表情を浮かべながら会見場にあらわれたトーマス・ウィスマンHCは、この敗戦をこう振り返っている。
「今日は新潟のバスケットボールに完璧にやられた。向こうはハーフコートバスケットボールが得意なチーム。ウチはそれをさせないために、フルコートでオフェンスをしようと話をしていたが、エナジーが足りず、フルコートでボールをプッシュ出来なかったことから、相手の得意なハーフコートで闘ってしまった。新潟はベテランが揃い、ゲームをコントロールするのが上手い。今日は、自分たちのバスケットボールが全く出来ていなかったために負けてしまった」
「ゾーンディフェンスが3Pシュートを止められなかったのも敗因だ。3Pシュートのスタッツでは、新潟が11本でウチが2本。これだけで27点差ある。我々のゾーンディフェンスは本来であれば、3Pシュートまでカバー出来るはずのゾーンだ。しかしながら、このゾーンディフェンスが完成していない。まだやることは沢山ある。加えて新潟は、ベテランシューターが多くいるチームだけに、しっかりとボールを回してシューターにボールを預け、シュートを決めてきた」
「我々は2試合続けて、3Pシュートを2本(共に2/15で成功率13.3%)しか決められていない。3Pが全く入らない試合が続いているので、どういうタイミングで3Pシュートを打っているのか、どうしてこんなに外れているのかをしっかりと検証して、次の試合ではここを修正する」
「課題としては、やはりディフェンスが出来ていないこと。ここはしっかりと修正していかないといけない。自分たちはリーグで一番失点が多く、特にフィールドゴールでの失点確率が高い。新潟のスタッツを見ても、2Pシュートが73.1%(19/26)、3Pシュートが40.7%(11/27)。2Pよりも3Pを多く打っているのにもかかわらずフィールドゴールの成功率がトータルで56.6%という結果になっている。こういうふうに得点されるチームは私も初めての経験。本当にディフェンス面をしっかりとやらなければならない。このチームがどうやったらディフェンスが出来るようになるのか。その答えをしっかりと探していきたい」
次節は、また中2日でおこなわれる土日の2連戦。今度はアウェー青山学院記念館で現在5連敗中で低迷しているサンロッカーズ渋谷と対戦する。今回の完敗を渋谷戦でどう活かし勝ちに繋げていくか。そして新潟とは、この渋谷2連戦後に同じ横浜国際プール2連戦で再び対戦する。渋谷2連戦で弾みを付け、新潟にやり返したいところだ。
【写真・記事/おおかめともき】