ビーコル勝てない…2度目のトンネル険し7連敗。福岡2連戦の初戦を落とす。


4Q終盤で2点リードも0-10のランを喫し7点差敗戦。本格合流した特別指定選手のルーキー中村太地が挙げた3連続シュート、3Pシュート3本14得点は敗戦の中での収穫と希望!

2018-19シーズン第10節・GAME1(11月17日 横浜国際プール)
横浜ビーコルセアーズ 71-78 ライジングゼファー福岡
14-13|17-20|20-19|20-26

中地区6位の横浜ビー・コルセアーズは、11月17日ホーム横浜国際プールで、西地区6位のライジングゼファー福岡との2連戦GAME1を闘い7点差で敗れた。ビーコルはこれで7連敗(3勝13敗)。5位三遠とのゲーム差はさらに広がり「3」となった。

福岡戦GAME1を7点差で落とした横浜ビーコルセアーズ


ウィスマンビーコルが勝てない。懸案のディフェンス難は、オフェンスにも影を落とし、チームの歯車が狂い始めた。出口を閉ざす霧はさらに濃く険しくなってきた。

成績が拮抗している6位同士の対戦は最終盤までもつれ、接戦となった。ビーコルは4Q2分に、アマンゼ・エゲケゼの2Pシュートで2点のリードを奪ったが、ここから0-10のランを喫してしまい一気に引き離された。1分を切ってファウルゲームを繰り返す執念を見せたが、リードを取り戻すことはならなかった。

試合後エース川村卓也は顔を上げられず、トーマス・ウィスマンHCは試合後の会見で嘆いたが、名将は今季2度目となる「自らの責任」と語り、自身を責めた。シーズンの闘いの中でチームを成長させていくことは覚悟している。だが、今は流れを変える勝利が欲しい。GAME2で今度こその勝利を決める。

7連敗となった直後、エース川村卓也はしばらく顔を上げることが出来なかった


敗戦の中で、これからの希望となる存在が現れた。法政大学のリーグ戦を終えてチームに本格合流した特別指定選手の中村太地が大きなインパクトを残す躍動を魅せた。中村は、3Q終盤に投入されて3Pシュートを決めると、ここから4Q序盤にかけて鮮やかな3連続シュートを決めた。10分32秒のプレータイムで、チーム2番手となる14得点を挙げてみせ、チームの反撃に大きな流れをもたらした。ウィスマンHCも試合後「今日一番のプラス」と大きく評価。福岡のボブ・ナッシュHCも自ら中村の話を切り出してこの活躍を称賛した。苦しむチームにとっては、ようやく本格合流した若い中村がカンフル剤になりそうだ。

10分32秒のプレータイムで、3Pシュートではチーム最多3本、得点ではチーム2番手となる14点をを挙げた特別指定選手#6中村太地


この試合でウィスマンHCは、久々に川村、エゲケゼ、マックレア、田渡、モリスのオフェンシブなスターティング5を起用。しかし、1Qは8分10秒に福岡の加納が3Pシュートを入れるまで得点がなく、重たい立ち上がりとなった。

久々に川村、エゲケゼ、マックレア、田渡、モリスのオフェンシブな布陣となった福岡戦GAME1のスターティング5


福岡はゴール下で執拗なディフェンスを仕掛け、ビーコルはインサイドのシュートに苦しみ得点が停滞。その間、福岡に得点を許しビハインドが広がった。ビーコルが入れた最初の得点は7分21秒にマックレアが入れたフリースローによる1点だったが、以降モリス、マックレア、田渡、エゲケゼの2Pシュートで追撃開始。

1Qでアウトサイドから2Pシュートを沈める#21田渡 凌


1分46秒に細谷が沈めた3Pシュートで逆転に成功する。1分を切ってピットマンの2Pシュートでひっくり返されたが、残り16秒で細谷がレイアップでやり返して再逆転。1Qは両チームともにロースコアの14-13となり、ビーコルが1点をリードした。

1Q終了間際、一時は逆転のレイアップを決める#0細谷将司


2Q、開始早々に川村卓也が3点バスケットカウントを決めると、小原 翼も3点バスケットカウントを決めて続いた。ここからクロスゲームとなりスコアが行き来する。ビーコルのディフェンスはマンツーマンとゾーンを織り交ぜながらのチェンジングディフェンスだったが、城宝匡史に3本の3Pシュートを許すなどしてこのクォーターは20点を奪われた。2Qは17-20。トータルスコアは31-33でビーコルが2点のビハインドを背負った。

2Q開始早々に川村が3点バスケットカウントを決める

川村の直後、今度は小原が3点バスケットカウントを決めた


3Qも接戦になった。ビーコルは、開始早々にエゲケゼがインサイドからファストブレイクで2Pシュートを沈めると、マックレアが3連続シュートを沈めて得点したが、一方で失点もかさんだ。

3Q9分でレイアップを沈める#12ジャボン・マックレア。マックレアはこの時間帯でレイアップ、ダンク、セカンドチャンスでの2Pと3連続でシュートを沈めた


流れを変えたいウィスマンHCは、2分に特別指定選手の中村太地を投入。さらには川村に代えてハンター・コートも投入した。

3Q残り2分、流れを変えたいウィスマンHCは、特別指定選手の中村太地と19歳のハンター・コートを投入


ハンターは、ターンオーバーを許したものの、アグレッシブなディフェンスとアシストでこの起用に応えた。

3Q終盤で果敢なドリブルを見せる#10ハンター・コート


圧巻だったのが、この試合からチームに本格合流していた中村太地だ。1分に津山からファウルを奪いフリースロー1本を入れると、ハンターのアシストで3Pシュートを沈め、終了間際2秒にはセカンドチャンスから2Pシュートを沈めた。3Qは20-19で、トータルスコアは51-52。若き海賊の躍動でチームは1点差に詰め寄り、最終クォーターに突入した。

4Q、中村の躍動はこれで終わりではなかった。開始早々9分50秒に2本目の3Pシュートを沈めて、スコアを逆転させてみせる。直後、ビーコルは小林大祐にアウトサイドから2Pシュートを許して同点にされるが、中村がまた津山からファウルを奪い今度はフリースロー2本を確実に決めて再び逆転させた。

4Q開始早々、一時は逆転となった3Pシュートを沈めた#6中村太地


若手の躍動はチームに火をつけた。ここから川村、田渡が連続して3Pシュートを沈め、田渡はこのあとも2Pシュートを続けて沈めた。福岡はピットマンの連続シュートなどでじわじわと追い上げ、3分59秒にピットマンの2Pシュートで同点。

4Qで3Pシュートを沈める#1川村卓也


2分57秒には田渡が2Pシュートでやり返して勝ち越しを奪ったが、直後にここまで12得点のマックレアがファウルアウト。このフリースローをローソンが2本とも入れて再び同点にされた。

4Qで2Pシュートを沈める#21田渡 凌


何としても勝ちたいビーコルは、2分4秒にエゲケゼがアウトサイドから2Pシュートを沈めて2点を勝ち越し。これで勝利への流れが生まれたかと思われたが、ここからディフェンスが大失速してしまう。城宝とピットマンの二人に0-10のランを喫してしまい残り28秒でビハインド8点を背負う苦しい展開に。

4Q 2分4秒、エゲケゼが2Pシュートを沈めてビーコルが逆転。沸き立つ横浜国際プールのビーコルブースター。これで勝利への流れが来るかと思われたが…


ウィスマンHCは、ファウルゲームを繰り返す執念をみせた。残り15秒に中村がこの日3本目となる3Pシュートを沈めて5点差。この直後、城宝にファウルを与えてファウルゲームに持ち込むが、フリースローを2本とも決められて7点差。残り8秒、中村が4本目の3Pシュートを狙ったが弾かれ、田渡も3Pシュートを打ったがこれも弾かれてしまい万事休す。試合終了のブザーが無情にも鳴り響き、ビーコルは7連敗となった。

4Q終了間際に、中村、田渡が続けて3Pシュートを打ったが共に弾かれてしまい痛恨の7連敗が決まった


ビーコルのスコアリーダーは、16得点(5アシスト)を挙げた川村卓也。2番手は、14得点を挙げた特別指定選手の中村太地だった。中村は3Q終盤から出場した10分32秒のプレータイムで14得点を挙げてみせ、3Pシュートではチーム最多となる3本を沈めた。中村が残したこの大きなインパクトは、苦しい状況が続く中での希望であり、敗戦の中での大きな収穫となった。中村は、今後のチーム巻き返しの鍵になりそうだ。

試合後、トーマス・ウィスマンHCは落胆を滲ませながらもこう語っている。

「今日の負けもそうだが、言い訳の出来ないような負けが続いている。自分たちで自滅を起こしてしまっている。今日の試合も、4Qの2分半で同点という良い状況になりながら、そこから自分たちがシュートを決め切ることが出来ず、相手はシュートをしっかりと決めてきた。ディフェンスでも相手をストップさせることが出来ずに得点を許してしまった。大事な最終的局面でプレーを遂行することが出来ないということが目立っている」

「ポジェッションゲームでは、相手よりもシュートを多く打って勝てている。オフェンスリバウンドでも15対7で我々が勝っている。それにもかかわらず、相手に54.5%のシュート成功率を許してしまった。毎回、どのチームと対戦しても、相手チームの平均シュート成功率よりも、さらに高い成功率でシュートを決められてしまっている。自分たちを見つめ直し、自分たちが次をどう動いていくのかを考えないといけない。ここから前進していくために、自分たちの中にある何かを見つけなけばならない。それをしっかりと探していく」

「4Qの残り2分で我々が2点をリードした時、ここから福岡に0-10のランを決められ、この試合を負けてしまった。大事な時間帯でシュートを決めることが出来ず、大事な時間帯でディフェンスが相手を止めることが出来ない。自分たちの責任でこの試合を落とし、自分たちで崩壊してしまっている。私自身も、この負けは私の責任だと思っている。このチームが成長するために私に何が出来るのか。その答えをしっかりと探していきたい」

横浜ビーコルセアーズ トーマス・ウィスマンHC


「今日、ひとつ明るいことは、中村太地選手がしっかりとステップアップしてくれたことだ。法政大学のリーグ戦が終わるまで、ずっと待ち続けていた。先週末から練習にもしっかりと参加してくれて、今日の試合で起用した。彼はこのチームにプラスになると思っているし、大きく期待している」

「中村選手には、今週しっかりとチャンスを与えようと考えていた。彼が才能のある良い選手だということは分かっていた。3Qの終わりで彼を投入して、コートでしっかりと結果を残して戻ってきた。このことは、今日の試合で一番プラスだったことだ」

「ハンター・コート選手も、中村選手と同じ時間帯で投入したが、19歳の彼も有望な若い選手だ。若い選手というのは、間違いをするのが当然で、今日はターンオーバーが目立ったが、あれも彼の経験になると思って起用している」

「その反面、我々がしっかりと見なければならない数字は、これ以外のターンオーバーが19あるということだ。ベテラン選手がこの19本のターンオーバーをしてしまっている。ここをしっかりと見直していかなければならない」

さらに指揮官は、ファウルとディフェンスで苦戦するジャボン・マックレアと、ここに来て得点に伸び悩むアマンゼ・エゲケゼのことについても語った。

「本来なら外国籍選手はチームを助けてくれる存在だが、その助けを今は見ることが出来ない。その状況を彼らに再認識させて、しっかりと機能出来るようにしていく」

試合後に会見するトーマス・ウィスマンHC


出口が霞んで来た中で、この危機をどう打破するか。成績が拮抗する福岡とのGAME2で、いま持てる力を全てぶつけるしかない。ウィスマンビーコル、踏ん張りどころだ。

【取材・写真・記事/おおかめともき】

【BOX SCORE / PLAY BY PLAY】11.17 [SAT] 横浜ビー・コルセアーズvsライジングゼファー福岡
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3129&TAB=P

 


Written by geki_ookame