満員の平塚で惜敗も海賊奮戦!後半、溢れるエナジーでブレックスを上回る。


後半出来た一丸バスケ、敗戦の中で海賊前進!GAME2でリベンジだ!

横浜ビー・コルセアーズ 70-78 栃木ブレックス(12月10日・トッケイセキュリティ平塚総合体育館)
11-24|17-19|25-19|17-16

今季初の平塚での試合。立ち見まで出た2,678人、平塚開催過去最高となる満員の観衆の中で海賊たちは昨季のチャンピオンチーム栃木ブレックスを相手に奮闘した。後半でひとつに結束し、エナジー溢れる攻守でブレックスに肉薄。勝利へあとわずか及ばなかったが、翌日のGAME2に繋がる、前進を感じさせる惜敗だった。この試合で失いかけていたものをビーコルは取り戻した。

古田悟HCの体調不良で尺野将太ACが代理指揮をとったこのGAME1。6位同士の闘いながら、ブレックスも11月にHCが退任。安齋竜三ACが後任のHCになって以降、ブレックスは盛り返していた。

代理HCを務めた尺野将太AC。昨季以来となったその指揮ぶりは激しかった

 

1Q開始早々、1000回3Pシュート成功達成まであと2にしていた川村卓也が3Qシュートを沈めて幸先よくスタート。ビーコルはゾーンディフェンスを引きブレックスを抑えることに成功。川村に続き、細谷将司が3Pシュート、高島一貴が2Pシュートを沈め10点を奪い10−4とリードした。しかし、ゾーンディフェンスの泣き所であるアウトサイドを狙われて失点。引退から現役復帰したブレックス#24渡邉裕規に3Pシュートを3本決められるなどして逆転を許し、1Qを11−24で終える。

尺野代理HCはこのゾーンディフェンスについてこう語っている。

「HC代理をやることになって、気分を新たにというところもありますし、ブレックスは昨季のチャンピオンチーム、向こうもHCが代わってチームが良くなっていたので、出だしから勝負を仕掛けようと考え、ゾーンを頭から使いました。最初の数分間、上手くいったことからゾーンを引きずってしまいました。渡邉選手、北川選手のシュートが当ってしまって、ゾーンを変えるタイミングを躊躇してしまったのが、1Qの点差になり、結局それが最後の結果に繋がってしまいました」

オンザコート2の2Qで、インサイドの職人ウィリアム・マクドナルドが躍動。4連続して2Pシュートを沈め10得点を奪う。しかし一方で、ディフェンスを立て直すことが出来ず、失点がかさんだことから点差を縮めることが出来ず2Qは17−19。トータル28−43、15点差で前半を終えた。

2Qでブレックスのディフェンスをかわしインサイドからシュートを沈める#45ウィリアム・マクドナルド。

 

ハーフタイムで尺野は、選手たちにこう話をしていたという。

「いつも3Qの出だしでゲームが崩れてしまうことが多かったので、0−0からまたやり直そうと話しました」

後半でビーコルはディフェンスを修正。前半から一転してアグレッシブなマンツーマンを仕掛けブレックスを困惑させ流れを生む。冴え渡るマクドナルドは3Qでも2Pシュートをかさね反撃の起点となった。

そして、海賊のエースが躍動する。7分47秒で川村がインサイドからのレイアップで2Pシュート。そして6分45秒で3Pシュートを沈め自身の偉業1000回3Pシュート成功を達成。ここからビーコルは勢いを強め攻めに攻めまくった。

 

3Q 7分47秒、インサイドからのレイアップで2Pシュートを沈める#1川村卓也

川村卓也は、3Q 6分45秒 キャリア13年目での1000回3Pシュート成功の偉業を達成させた。ここからチームに火が付いた

 

川村の偉業達成で沸き立つ満員の平塚のビーコルブースター。これで海賊たちに火が付いた。満田丈太郎の2Pシュート、ハシーム・サビート・マンカのダンクなどで、3Qは25点を奪う猛攻となった。サビートはここぞのブロックショットでブレックスのシュートを死守して流れを渡さない。ビーコルのエナジーは相手を上回った。3Qは25-16でリード。トータル53−62でビハインドを一桁9点にまで詰めた。

3Q 1分6秒でダンクを沈める#34ハシーム・サビート・マンカ

3Qでブロックショットでブレックスのシュートを阻止するハシーム・サビート・マンカ

 

4Qでもディフェンスが機能し、ブレックスのアウトサイド攻撃の制度が落ちはじめる。ビーコルはスピード感溢れる速攻で怒濤の反撃。4分10秒で川村卓也がインサイドから2Pシュートを沈めて7点差にまで詰めた。しかし、ターンオーバーからの失点も多くなった。それでもこの日のビーコルはエナジーが弱まることなく、最後の最後まで攻めまくった。残り15秒でサビートがダンク。

4Qでダンクを沈めるハシーム・サビート・マンカ。この試合15得点、12リバウンドでこの試合もダブルダブルをマーク

9秒で田渡 凌がインサイドから2Pシュートを沈めたが、試合終了のブザーが鳴った。4Qも17−16とリードしたがあとわずか及ばずファイナルスコアは70−78。8点差での惜敗となった。

4Q残り9秒でレイアップで2Pシュートを沈めた#21田渡 凌

 

ウィリアム・マクドナルドが18得点を上げてチームのスタッツリーダー。ハシーム・サビート・マンカは15得点12リバウンドでこの試合もダブルダブル。田渡 凌は10得点、アシスト5本。満田丈太郎の6得点も光った。そして、1000回3Pシュート成功を達成した川村卓也は13得点を挙げ、あと20に迫っているB1個人通算得点1000得点達成まであと7とした。この記録もGAME2で達成する可能性がある。

ビーコルはこれで5連敗(天皇杯は除く)となったが、後半3Qと4Qでリードした猛攻は翌日のGAME2に繋がる内容だった。このことは試合後に会見した尺野将太代理HCの表情にも現れていた。

「後半は42−35でウチが勝っているゲームが出来たので、悪い流れをそのまま引きずらずに、後半しっかりと立て直すことが出来たと思います」

試合後に会見する尺野将太代理HC

 

胸を張って答えていた尺野代理HC。手応えを感じているように見えた。

「HC代理をやることになって、気分を新たにというところもありました。1Qのゾーンのところがなければ、昨季のチャンピオンチームとも闘える力があるんだということが分かりました。明日は1Qでのところを僕がしっかりとやって、上手く乗り越えていければと思っています」

気になるのはアドバイザーに就任した前ブレックスHCで、ブレックスをB1初代チャンピオンに導いたトーマス・ウィスマン氏とのやり取りだ。尺野代理HCはこう答えてくれた。

「試合中は僕がHCという形で立っていますが、基本的には一緒に話をして、ウィスマンさんと二人でやっている感じです。練習も僕がやる部分があったり、ウィスマンさんに任せるところは任せてたりして、今やっています。ウィスマンさんは経験もキャリアもある力のあるコーチなので、その力を使ったほうがチームのためになると思っています。HCとか、代理とか、アドバイザーとかっていう立場にこだわらずに、チームが良くなること、チームが勝つことだけのために集中して、練習も試合もやりました」

スタッフに垣根はなく、意見を存分に交わせられる状態のようだ。スタッフもまた一丸となって渇望する勝利へと邁進している。尺野は試合中、常に大声を出して指揮を取っていた。選手たちにも負けないほどのエナジーを感じた。

「本当は大人しいんですけどね(苦笑)。でも、選手にも『エネルギーを出してくれ!ハッスルしてプレーしろ!』っていうことを求めているので、僕もそこは出せるものは出していったほうがいいかなと思っていました。座ってゆっくり観ていられたら一番いいんですけど、まだまだベンチからも、僕からも、コートに向けてエネルギーを発していかないと勝つことが難しいので、もうチームが勝つためには、自分の性格関係なくやろうかなと思っています」

後半、川村卓也をはじめとした海賊たちはエナジー溢れるバスケでブレックスを苦しめた。そのエナジーはビーコルが失いかけていたものだったのかもしれない

尺野は、GAME2でのリベンジに燃えている。

「1Qでのゾーンの判断を、明日は僕が上手くやって、ゾーンの強みと、後半出来たマンツーマンの強みを両方活かして、相手の得点78点を60点台に抑えることを目標にしたいです」

「みんなには『相手に絶対にミスが起こる。そこをコミュニケーションをとって、ハッスルして、エナジーを出して、なんとかコートで解決してくれ』ってお願いしています。まずはスタートラインだったエネルギーの部分が、今日の後半でしっかりと出せました。ミスは結構起こっていたんですけど、しっかりとカバー出来ていたので、明日はそれをもっと正確に出来るように修正していけたらと思っています」

試合後に会見する尺野将太代理HC

 

昨季以来の代理HCを務めた尺野AC。会見後に思わず「疲れた」と笑ったが、その表情はハツラツとしていた。苦境の真っ只中に立たされたが、ただ前を向き、前進すること、勝つことだけに集中している。翌日は朝からの練習でGAME1での反省点を徹底的に修正する。「選手たちには、『やるぞ!』って言っています(笑)」尺野代理ACは、チームが失いかけたエナジー、ハツラツとした部分を蘇らせた。前進あるのみ!さぁ、GAME2でリベンジだ!

【記事・写真/おおかめともき】

 


Written by geki_ookame