8点差敗戦も終始食らいつく善戦みせる 秋山が1ヶ月ぶりに復帰 ベクトンが1000得点達成
2020-21シーズン第35節GAME1(4月24日千葉ポートアリーナ)
千葉ジェッツ 91-83 横浜ビー・コルセアーズ
23-16|19-16|20-25|29-26
【BOX SCORE / PLAY BY PLAY 4.24 [SAT] 千葉ジェッツ vs 横浜ビー・コルセアーズ】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=6416&TAB=B
横浜ビー・コルセアーズは4月24日、アウェー千葉ポートアリーナで千葉ジェッツと2連戦のGAME1を闘った。ビーコルは、先制から一進一退のスタートを切ったが、以降で追いかける展開になった。パトリック・アウダを起点に10点差以内を維持しながら追撃。3Qで4点差にしたが、4Qで離され8点差で2連戦の初戦を落とした。ここまで16勝38敗。
~秋山皓太が1ヶ月ぶり復帰~
怪我で離脱していた秋山皓太が3月24日のホーム川崎戦以来1ヶ月ぶりの復帰を果たした。この試合でベンチ入り登録されていた秋山は1Qの4分に森川に代わってコートに立ち、待望の復帰。7分33秒のプレータイムで、3Qの残り1分切った43秒には復帰後の初得点となる3Pシュートを決めた。復帰初戦のスタッツは3Pシュート1/2本で3得点だった。
〜レジナルド・ベクトンがB1個人通算1000得点達成〜
B1個人通算1000得点達成まであと「9」にしていたレジナルド・ベクトンが3Qでこの記録を達成させた。記録達成は3Q 5分に決めたセカンドチャンスでの2Pシュートだった。オフェンスリバウンドを取ったベクトンはすかさずレイアップに持ち込み、1度目は外したが、2度目を粘って押し込み2Pシュートにした。ベクトンは記録達成前に「達成出来ればうれしいが、自分の記録はあまり気にしていない。常にチームが勝つことにだけフォーカスしている」としていただけに、この1000得点は節目の通過点といえる。
ビーコルはTIPOFF直後にボールを奪ったカーターがレイアップを決めて先制。以降で両チーム互いにリードを許さず互角の展開になった。4分には秋山がコートに立って復帰。ビーコルはカーターと森川のシュートで得点したが一方でファウルがかさんだ。千葉はこれで得たフリースローで得点し、4分以降からリードして主導権を握った。追いかける展開になったビーコルはモリスとカーターが得点。残り1分にはストックマン・ジュニアが3Pシュートを決め、7点差で最初のクォーターを終えた。
2Q、ビーコルは8分にカーターの2Pシュートで4点差にしたが、以降の失点から千葉に離され、二桁差になった。6分で竹田が3Pシュート。4分にはアウダがダンクを決めるなどして追いかけた。ディフェンスでは前節で用いたフルコートディフェンスを駆使しながら立て直しを図り、1分を切ってからアウダが2Pシュートを決めて10点差で前半を折り返した。
追いかけるビーコルは3Qでベクトンが決めた3本の2Pシュートなどで反撃。10点以内の点差を維持した。4分でアウダがインサイドに切り込んだ2Pシュートでひと桁差にすると須藤が3Pシュートを決めて4点差にまで詰めた。3分では富樫に3Pシュートを続けて決められ、再び引き離されたが、カーターの2Pシュート、アウダのフリースロー2点で再び差を詰め、残り43秒には秋山が復帰初得点となる3Pシュートを決めてその差5点。流れを持ったまま最後のクォーターに突入した。
4Q、一気にリードを奪いたいビーコルだったが立ち上がりでシュートが決まらず得点が停滞。千葉に再び離された。7分でベクトンが3点バスケットカウントを決めて8点差。ここからフルコートディフェンスを敷いて立て直し、ベクトンが2Pシュートを押し込んだ。しかし、6分で許したフリースローでの3失点から千葉に流れが傾き、富樫に3Pシュートを決められて11点差にされる。9点差の5分、ここまで14得点を入れていたベクトンがファウルアウト、ここから徐々に点差が開いた。それでもビーコルは懸命な追い上げをみせ、アウダ、カーター、森川、チェンバースがシュートを決めて最後まで食らいついたが、富樫と原に決められた3Pシュートなどで突き放され、8点差で敗れた。
ビーコルの二桁得点は3人。パトリック・アウダが25得点を挙げてチーム最多(5リバウンド)。ロバート・カーターが3Pシュート2/10本を含む15得点(8リバウンド・5アシスト・2スティール)。レジナルド・ベクトンが14得点(7リバウンド・2アシスト)を挙げている。
【カイル・ミリングHC試合後会見コメント】
「前節の試合で価値のある勝利を挙げることができて、自信がついた後で迎えた試合だった。千葉もリーグトップのチーム。タフな試合になることは分かっていた。前半の立ち上がりがあまり良くなく集中力が欠けていた部分もあったが、1試合を通してのパフォーマンスは悪くなかった。後半は前半の立ち上がりよりはパフォーマンスが良くなり、ワイドオープンからのショットも多く打てていた中で、なかなか決めきれなかった部分もあった。明日はシュートの成功率を上げられるようにしたい。今日のミスを活かして、最初からミスのないように集中してプレーできるようにしていく」
◇ ◇ ◇
カイル・ミリングHCも会見の中で言っていたが、前節でチャンピオンシップ争い真っ只中の強豪A東京から挙げたビーコルにとっての“歴史的勝利”は、チームに大きな自信を与えていた。
この勝利では、後半に用いたゾーンプレスが主な勝因になっていた。強豪を戸惑わせ、苦戦させたこの戦術を2位の千葉に対して使うかどうか注目していたが、A東京戦ほどの多用はなかったものの、2Qの途中と8点差にした4Q 7分で使い、ディフェンスのいいアクセントになっていた。ビーコルはひとつのオプションを手にしたといっていいだろう。
ビーコルは10点差以内のビハインドを維持しながら、3Qでは2ポゼッション4点差にまで詰める善戦をみせたが、千葉はここぞでエース富樫が3Pシュートを続けて決めて突き放し、リードを最後まで許さなかった。ここまで36勝を挙げ、東地区で2位の成績を収めている千葉の強さの所以だろう。
千葉はゲームコントロールが実に上手い。序盤で主導権を奪い、点差が縮まるとその都度でギアを上げて引き離す。それもエースがここぞで決める3Pシュートなのだから、チームに与える推進力は大きくなる。
最後まで食らいついたビーコルも、キャプテンの生原秀将を欠きながらも前回対戦以上の善戦をみせたし、チームの進化が分かる闘いをみせてくれた。
オフェンスの起点となったのは、チーム最多の25得点を挙げたパトリック・アウダだ。先発こそカーターに譲っているが、そのシックスマンぶりはチームに多大なエナジーをもたらしている。
チェコ代表の31歳は、普段は実にもの静かで、目が合うと必ず挨拶をしてくれるジェントルマンだ。普段のアウダは話し好きで、その口調はとても穏やかでやさしい。A東京戦の勝利のことを聞いた時も「あの時、みんなが最後まで諦めずに闘った。このチームでひとつになって闘い勝てたことが本当にうれしい」としみじみと話してくれた。
アウダはコートに立つとファイターに変貌する。勝利にこだわり、“最後まで諦めない”姿勢がそうさせるのだろう。3Qの終盤では、ディフェンスリバウンドを取りにいって背中から落ち、身体をコートに叩きつける場面があった。だが、アウダは立ち上がり、チームのためにプレーを続けた。本当にフィジカルが強靭な選手だと思うし、その献身さには胸を打たれる。あの勝利への貪欲なまでの執念こそ、いまのビーコルに必要なものだ。
チームにはBリーグになってからのクラブ最多勝利数「18」を超える19勝がかかる。ここまで16勝。この目標を達成させるには、残り5試合であと3つの白星が必要だ。アウダもそのことは分かっている。チームの目標のために、“もの静かなファイター”は、これまで以上の闘いをみせてくれるだろう。
明日のGAME2が千葉との最終戦。カイルHCと積み上げ、進化させてきたビーコルがどこまで闘えるか。A東京戦以上の闘いをみせる可能性は十分にある。
【記事/おおかめともき・写真提供/©B.LEAGUE・動画提供/©B-CORSAIRS】
⬇対A東京戦初勝利を振り返って#1パトリック・アウダ