ビーコル 2019-20シーズンパートナー訪問『産業能率大学』


スポーツマーケティング・リサーチの授業にビーコルが参加

横浜ビー・コルセアーズのトップパートナー産業能率大学。ビーコルとは、パートナーの枠にとどまらない様々な取り組みをおこなっている。今回、自由が丘キャンパスでの経営学部・マーケティング学科でおこなわれているスポーツマーケティング・リサーチの授業を取材し、その取り組みのひとつを追った。

今回取材で訪れた産業能率大学 自由が丘キャンパス

「スポーツマーケティング・リサーチ」の授業にビーコルも参加

産業能率大学は、経営と情報マネジメントを学ぶ私立大学であり、自由が丘、湘南、代官山に3つのキャンパスを持っている。スポーツビジネスに特化したコースもあり、その中の授業「スポーツマーケティング・リサーチ」では、ビーコルも参加しておこなわれている。

取材で訪れた自由が丘キャンパスは、おしゃれな街で知られる東急東横線自由が丘駅に近く、キャンパスも開放的で、産能大生の活気に溢れていた。

取材をした日は、産能大生たちがビーコルに様々な企画、アイディアをプレゼンテーションする日で、ビーコルからは植田哲也代表取締役らが参加し、8つのグループに分かれた産能大生からのプレゼンを受けた。「学生の方たちに、ビーコルがいま持っている課題を考えていただき、アイディアをプレゼンテーションしていただくということを、このスポーツマーケティング・リサーチの授業でやっていただいています。今日、プレゼンをしていただいて、耳が痛いことから、我々が思いつかなかったようなことまで、様々なアイディアを沢山出していただきました」(植田代表取締役)

講義を担当する経営学部の木村 剛教授は、この授業について、こう説明する。「ビーコルさんとは、bjリーグ時代からお付き合いをさせていただいています。本学では、これまで湘南ベルマーレさん、横浜DeNAベイスターズさんとコラボイベントをおこなってきました。ビーコルさんとインターンシップなどでお付き合いをさせて頂くようになってから、スポーツを使った新しい教育プログラムをつくってみようということになり、プロバスケットボールを題材とした授業を開発しました。それが『スポーツマーケティング・リサーチ』です。ビーコルさんには、一歩踏み込んだ参加の仕方でご協力をいただき、学生たちは、プロのバスケットボールチームから、実際に課題をいただき、それに応えることで、非常に濃い内容の授業が出来ています」(木村教授)

産業能率大学 経営学部の木村 剛教授

優秀なアイディアはプロの会場で実際に使われる

学生からは、プロが思いつかないような斬新なアイディアが沢山出てくる。その中から、実現可能なものを絞り込んで、さらに膨らませ、チーム側にプレゼンをして評価してもらう。普通であれば、ここで終わり。机上のシミュレーションだけで終わるところだろう。しかし、ビーコルが参加するこの授業は違う。「いいアイディアには、実際に採用させていただいています」(植田代表取締役)。そう、優秀なアイディアは、試合会場で実際に使われるのだ。このことは、このスポーツマーケティング・リサーチの授業の価値を大きなものにしている。

スポーツマーケティング・リサーチの授業から生まれたアイデアのひとつ『オリジナル荷物置きシート』

 

「ビーコルさんには、学生たちが、現実のビジネスにかかわれる貴重な機会をいただいています。本学でも、PBL(課題解決型学習 Project Based Learning)が盛んにおこなわれています。いろんな企画を立てて、企業の方たちに評価を頂くのですが、通常であれば、そこで終わってしまいます。このビーコルさんとのスポーツマーケティング・リサーチの大きな特色は、優秀なアイディアは実現されるということなんです。机上で優秀なアイディアだったとしても、実際に会場で使ってみたら、お客さんにウケなかったということはよくあることです。どんなに優秀なアイディアでも実際にやってみないと正しい評価は出来ません。加えて、チームの方からは、もっとこうしたほうがいいといったフィードバックをいただくことで、学生たちは、実際にやってから出た修正点も深く追求することが出来ます。ただ企画を出して『いいアイディアでした』だけでは、意味がありません。実際にやってみることが大事。それをビーコルさんが、実現させてくれているんです」(木村教授)

柔軟さを持つビーコルだからこそ可能にしたタイアップ授業

だが、プロチームにアイディアを使ってもらうことは、なかなか難しいことではないだろうか。「確かに、学生のアイディアをプロチームに実現してもらうことは、いろいろとハードルが高いといった現実があります。ビーコルさんは、それを受け入れて、試合会場で使ってくれています。学生にとっても、良いアイディアを出せば、実際に使ってくれるんだと励みになり、アイディア出しへの熱量も上がってきます。これは、とてもありがたいことです」(木村教授)

このことをビーコルの植田は「我々は、プロ野球とJリーグから見れば、後発です。そういった意味では、柔軟度が高く、自由度も比較的あります。このことが大きいと思います」と説明する。これは、ビーコルならではのことだろう。

スポーツマーケティング・リサーチの授業で、横浜ビー・コルセアーズ植田哲也代表取締役らにプレゼンテーションをする産能大生たち

課題は『平日開催試合での集客策』

今回のプレゼンテーションでビーコルが出していた課題は『平日開催試合での集客策』だった。「ビーコルさんへのプレゼンは、今回で、もう5、6回目になりますが、だんだんコツが分かってきています。いただくテーマは毎回変わりますが、課題の幅を私のほうで決めるようにしています。今回でいえば『平日開催試合での集客』なんですけど、アイディアの幅をある程度絞ってあげると、学生たちも企画を考える上で、より具体的な内容を出しやすくなるんです」(木村教授)

この日のプレゼンで出されたアイディアの中には、グッズや、会場で販売するアルコール類のカップに関するものもあったが、原価、売り上げなどもしっかりと考えられていたのが印象的だった。「実現可能なアイディアでないと意味がありませんから、出来そうなものを取捨選択して、さらに落とし込んでいくように指導しています。今の学生は、非常に勘がよくて、斬新ではあっても、無謀なアイディアはあまり出してこないんです。現実的なビジネスを感じられるんだと思います」(木村教授)

ビーコルが産能大の授業にかかわることで生まれるシナジー

では、ビーコルにとってのメリットは何だろうか。「学生の皆さんが見せてくれたプレゼンテーションには、ハッとするような意見や、アイディアが沢山ありました。それらは、我々では思いつかない柔軟で新鮮なものばかりでした。プロの現場では、頭が固くなってしまって、アイディアが浮かんでも、難しいなと思ったりすることもあるんですが、学生の皆さんから意見をもらって、改めて、シンプルに考えてみたら、出来るものもあるなといった発見もありました。出来ないことを言い訳にしてしまうのではなく、出来るためにどうするかなんです。そういったことを気づかせてくれるのは、我々にとって非常に大きなメリットになります」(植田代表取締役)

スポーツマーケティング・リサーチでのプレゼンテーションを終えて、学生たちに感想を話す横浜ビー・コルセアーズ植田哲也代表取締役

ビーコルのホームゲームで「産業能率大学スペシャルゲーム」を開催

ビーコルと産業能率大学のコラボレーションでは、この他にも、同大学の学生サービスセンター主催でおこなわれる冠試合「産業能率大学スペシャルゲーム」が、ビーコルのホームゲームで毎シーズン開催されている。今季は、11月17日横浜国際プールでの対川崎ブレイブサンダースGAME2でおこなわれた。産能大生も多数参加し、会場入口で“産業能率大学”のロゴが入ったオリジナルB-CLAPを配ったり、選手によるサイン入りボールの投げ込み、産能大ダンスサークル「大山舞人(ダイヤマイト)」のダンスパフォーマンス、選手サイン入りグッズが当たる抽選会などで、熱戦を盛り上げ、4千人を超える来場者が訪れた。

11月17日横浜国際プールでの対川崎ブレイブサンダースGAME2で、学生サービスセンター主催での「産業能率大学スペシャルゲーム」が開催された。会場入口では産能大生たちが、同大学のロゴが入ったオリジナルB-CLAPを配布していた

ハーフタイムには、産能大ダンスサークル「大山舞人(ダイヤマイト)」のダンスパフォーマンスもおこなわれた

12月14日A東京戦GAME1では「スポーツマーケティング・リサーチ」履修生が企画立案したイベントを開催

また『スポーツマーケティング・リサーチ』のクラスでも、12月14日横浜国際プールでおこなわれたA東京戦GAME1で、履修生たちが企画立案したイベントを開催した。田渡凌の等身大パネルと写真撮影が出来るフォトセッションパネル、応援メッセージカードに記入してくれた人へのビーコル特製ステッカーの配布とオリジナル荷物置きシートのプレゼントに加えて、試合中のコートスイーパ―や会場運営などもおこなっている。これに加えて、当日会場に来場した観客約300名にアンケートを実施し、授業でチームから出された課題『平日開催試合の集客につながる企画』のための集計もおこなって授業で分析。今後の企画に役立てるという試みもおこなわれた。

12月14日のA東京戦GAME1ではスポーツマーケティング・リサーチの履修生たちが企画立案したイベントを開催。写真はそのうちのひとつビーコルファンが選手に応援メッセージを記入出来るブース。記入した人にはビーコル特製ステッカーとオリジナル荷物置きシートがプレゼントされた

 

ビーコルと産業能率大学のこれから

最後に、お互いのコラボレーションにおけるこれからの展望を木村教授と植田代表取締役に聞いた。

「産業能率大学では、スポーツという題材をマネジメントとして学ぶことで、社会人に必要な能力を高めていこうとしています。ビーコルのインターンシップに参加している学生にはバスケットボール好きが多いですし、インターンシップをやると、半分以上がビーコルファンになってくれます。産業能率大学は、横浜ビー・コルセアーズをサポートしていますが、マーケティング学科でいえば、Bリーグのビーコルとのかかわりを通じて、プロスポーツの試合を、自分のアイディアで変えることが出来るかもしれないといった面白さもあります。そういった授業は、なかなかないと思います。これから、大学生になるビーコルファンの方々には、ぜひ産業能率大学に入っていただけたら、うれしいです」(木村教授)

「いま出来ているこの形は非常にいいと思っています。学生の皆さんが卒業して、ビーコルにスタッフとして入ってくれるようになれば、うれしいですね」(植田代表取締役)

ビーコルは、他にも通信講座、社会人講座の『夜活』などにも参加している。「ビーコルさんと、次の取り組みを増やしていきたいと思っています。産能大のリソースと、ビーコルさんのリソースが上手く絡み合った、また別のものが出来たらと考えています。そこで、また何か新しいものが生まれたらいいですよね」と、木村教授は産能大とビーコルのこれからに期待を寄せる。これからの展開では、さらにもう一歩踏み込んだコラボレーションが考えられているそうだ。「ビーコルのスポンサーさんを巻き込んだコラボレーションが出来ないかと考えているんです」(木村教授)。

ビーコルとのコラボレーションでは、スポーツマーケティング・リサーチの授業だけに留まらず「次の取り組みを増やしていきたい」と話してくれた木村教授


意義深さを感じずにはいられなかった横浜ビー・コルセアーズと産業能率大学のコラボレーション。これから、まだまだ充実していきそうだ。

【取材・写真・記事/おおかめともき】

・産業能率大学|視点をつくる、提言する
https://www.sanno.ac.jp


Written by geki_ookame