ワイルドカードで10位浮上!西地区首位の琉球戦初勝利に続き、西地区2位からも初勝利!巻き返し期するウィスマンビーコルに大きなきっかけと自信。
2018-19シーズン第18節・GAME2(1月6日 横浜国際プール)
横浜ビー・コルセアーズ 73-68 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
27-13|10-15|21-25|15-15|
横浜ビー・コルセアーズは1月6日、ホーム横浜国際プールで名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの2連戦GAME2を闘い、前日に続く激しい接戦を制した73-68で勝利した。
ビーコルはこれが、名古屋D戦の初勝利。中地区6位は変わらず、5位三遠が福岡に勝利したためゲーム差は「4」のままだが、ワイルドカードでは10位に浮上して9位福岡と8勝23敗で並んだ(得失点差で上回る福岡が9位)。残留プレーオフ回避のデッドラインである8位秋田は川崎との今節を連敗。ゲーム差は「3」に縮まった。
コストナーの加入がチームのステップアップを加速させた。今節がシーズン折返し、ビーコルにとってはターニングポイントともいえる週末になった。琉球に続いて、名古屋Dからも初勝利。それも西地区の首位と2位からだ。トーマス・ウィスマンHCは「まだやること、上達の余地は沢山あるが、これをきっかけにしてくれれば、これからこのチームは強くなる」とその手応えを口にした。年末年始で掴んだ2つの金星はウィスマンビーコルにとって巻き返しに向けた大きな自信ときっかけになる。
名古屋Dには昨シーズンから前日のGAME1までずっと惜敗続きだったが、前日同様の激しい接戦となったこの試合でビーコルは粘りに粘って勝利を奪った。年末に獲得したブランドン・コストナーが内外での得点力を発揮してオフェンスの核となり、エース川村卓也と共にオフェンスを牽引した。ウィスマンHCは「コストナー選手が来たことによって、オフェンスでリラックス出来るようになった。オフェンスを任せられる選手が来たことで、ディフェンスに集中出来るようになった」と語る。
そのディフェンスではこの日も先発起用されたディフェンシブなプリンス・イベが持ち前のショットブロック能力を発揮して得点力のある名古屋Dを68点のロースコアに抑えることに大きく貢献した。
インサイドのオフェンスに力があるアーサー・スティーブンソンは、この週末をベンチからサポートすることに終始したが、再び3人の外国籍選手でローテーションを組めることになったウィスマンHCは「イベ選手とスティーブンソン選手の選択は非常に難しい。今日も試合ギリギリまで悩んだ。イベ選手でなければ68点に抑えることは出来なかっただろうし、スティーブンソン選手を使っていたら73得点よりも多く点数を取れていただろう。これからどちらを使うのか、対戦相手に対して、どちらがハマるのかを考えてやっていく」と語る。誉れ高き名将は嬉しくも難しい悩みを抱えることになった。
前日に続いてチームディフェンスが大きく機能した。この試合でもウィスマンHCはゾーンではなく、マンツーマンによるスイッチングディフェンスで名古屋Dオフェンスを苦しめた。「ゾーンディフェンスはまだ修正段階で使える状態ではない。今週末、名古屋Dはバーレル選手を欠き、インサイドで強力な選手がいなかった。そのため3Pシュート中心で来たが、相手の3Pシュート成功率はリーグトップだ。ゾーンで行くよりもマンツーマンでのスイッチディフェンスで守り、3Pシュートに対応出来るようにした。バーレル選手がいたら、また戦況は変わっただろう」この策が功を奏し、名古屋Dの得点を3つのクォーターで15点以下に抑えることに成功した。
1Q、ブランドン・コストナーの3Pシュートでこの試合もビーコルが幸先よく先制。ここから5分までシーソーゲームとなったが、田渡 凌の外角からの2Pシュートで勝ち越しすると、コストナーのフリースロー4本、田渡のインサイドからの2Pシュート、川村のフリースロー2本、コストナーの3Pシュート、田渡のフリースロー2本、細谷の3Pシュートで計27得点を入れて名古屋Dを引き離した。さらには機能したマンツーマンディフェンスと、ゴール下で踏ん張ったイベの活躍で相手の追撃を13得点に留めた。1Qは27-13で、ビーコルが14点のリードを奪いこの試合も主導権を握った。
しかし、2Qでオフェンスがわずか10得点と停滞。2Qでの得点は中村太地の2Pシュート2本、ブランドン・コストナーの2Pシュート2本とフリースロー2本のみ。一方でディフェンスが引き続いて機能をみせた。名古屋Dはカミングス、中東、ブラッキンズ、張本らが内外から得点してきたが、ビーコルはこのクォーターでも名古屋Dの得点をわずか15点に抑えた。
前半で名古屋Dは3Pシュートを9本打ってきたが、ビーコルディフェンスは高い成功率を誇る名古屋Dの3Pシュートを1Qで0/5本、2Qでは1/4本に抑えることに成功する。2Qは10-15で名古屋Dがリード。トータルスコアは37-28となり、ビーコルのリードは7点になった。
3Qでビーコルは、開始早々で入れたイベの2Pシュートとコストナーのバスケットカウント(フリースローは失敗)、7分に川村が沈めた外角からの2Pシュートで得点したが、ここから名古屋Dに0-12のランを喫した猛反撃を受け逆転を許す。
直後に川村が外角の2Pシュート2本、3点バスケットカウントでの3連続シュートでやり返して最逆転。さらにはコストナーがインサイドから連続して2Pシュート、田渡が外角からの3Pシュートを沈めてリードを守った。3Qは21-25でこのクォーターも名古屋Dがリードしたが、トータルスコアでは58-53となり、ビーコルが5点差でリードを堅持する。
4Qは、序盤から残り3分まで一進一退の攻防となった。3分30秒に笹山のレイアップで1点のリードを奪われたビーコルは、コストナーのインサイドからの2Pシュートで1点を逆転。さらには川村がレイアップを決めてリードを3点にした。
ここから両チームは残り17秒まで得点が入らず、緊迫したディフェンス戦に。両チームHCの駆け引きが続く中で時計の針だけが進んだ。1分を切って名古屋Dはファウルゲームを敢行したが、残り17秒でフリースローを得た川村が2本とも確実に仕留めて5点差。
梶山HCは最後のタイムアウトを掛け、ウィスマンHCは川村に代えて高島を投入して守りを固める。
タイムアウト開け直後に笹山が3Pシュートを打ったが外れて、ビーコルの勝利が決まった。ビーコルは名古屋D戦初勝利。3,830人を集めたホームゲームで2019年の初勝利を挙げた。
ビーコルのスコアリーダーは、28得点(9アシスト)を挙げたブランドン・コストナー。2番手は、3試合連続20点台の得点となった川村卓也の24得点。前日に16得点を挙げた田渡 凌は10得点だったが、アシストを9記録してこの勝利に貢献した。
敗れた名古屋Dの梶山信吾HCはこう振り返っている。
「1Qの立ち上がりが悪かった。1Qから行こうと話していたが、なかなかリズムに乗れなかった」
「せっかく追い上げてもディフェンスで踏ん張れず、相手にリズムを渡してしまった。川村選手に勝負どころで打たせてしまったのが敗因のひとつ。最後はどちらが勝ってもおかしくない展開だった」
「ターンオーバーが多くなり、選手たちもフラストレーションが溜まっていたと思う。難しいゲーム展開になったが、それだけ横浜が良かった」
「イージーな2Pシュートでの得点が多くなってしまった。ファウルを意識し過ぎてディフェンスがソフトになってしまった」
昨シーズン名古屋Dはビーコルに6戦全勝したが、昨シーズンと比べたビーコルの印象をこう語っている。
「横浜さんは、まだ勝ち星を挙げれていないが、スカウティングをしていても、非常に苦労をしている中で良いチームになってきたと感じた。コストナー選手が入ったことでオフェンスの核が出来て厚みが出てきたと思う。これまでの対戦では、オフェンスが重いイメージがあったが、それがこの2日間では全くなかった」
「エース川村選手、細谷選手と、タレントはもともと豊富なチーム、生意気な言い方かもしれませんが、あとは昨日と今日のようなディフェンスの強度を上げてオフェンスに入れば、もっと強いチームになるのでは」
「昨シーズン、横浜さんから全勝しましたが、今年は負けてしまった。今の横浜さんは、昨シーズンとは全く違うチームになったと感じました」
勝ったウィスマンHCは、この勝利をこのように振り返っている。この日の指揮官は上機嫌。ぼやき節に加えてジョークも沢山飛び出した。
「今日の試合を振り返って、何よりも良かったことは3Qを15点以下に抑えられたことだ。ずっと課題だったディフェンスが機能したことがこの勝利の一番の要因だ」
「ディフェンスに加えてもうひとつ、相手に3Pシュートを打たれないようにしていこうと話していた。名古屋Dはリーグでもトップの3Pシュート成功率(38.3%)のチームだが、今日に限ってはそれを26.7%に抑えることが出来、昨日はシュート本数を抑えることが出来た。得点力がある名古屋Dを68点に抑えたことが大きな勝因だ」
「ターンオーバーでは、名古屋Dの17本に対して我々が8本。これも勝因だ。今日は相手に連続得点を許したあとでも踏ん張って耐えることが出来、そこから我々が連続得点を繰り返した。粘り勝ったというイメージだ」
「このチームは、本当に私をヒヤヒヤさせてくれるのが上手い。フリースローを決めて欲しいところで決めてくれなかったり、リングに近い簡単なシュートを外してみたり。これらをしっかりと決め切ってくれれば、私ももう少しリラックスして試合を観ることが出来るのだが、そうもいかない。それでも今日、勝つことが出来たことが一番重要だ」
「私は3ヶ月後に70歳になるが、私の心臓はすでに70歳を超えている。どこまで耐えられ、いつまで持つか自信がない(笑)。選手たちが私のストレスを抑えてくれることを願っているよ」
「コストナー選手が入って、川村選手と加えて点を取れる選手が二人になった。昨日と今日、二人が得点で引っ張ってくれた。もう一人、点を取ってくれる選手がいれば、だいぶ楽になるが、オフェンスでは彼ら二人を軸にして、彼らに加えて既存の選手の中からもう一人ステップアップしてくる選手が出て来てくれれば、もう少し簡単に勝てるようになる」
「このチームは、ようやくまとまりつつあると思う。だが、これでやっとスタートラインに立つことが出来ただけだ。まだ何も完成していない。このチームが上達していくために、まだまだやるべきことは沢山ある。我々は順位が下で、毎週当たるチームは全て格上の相手だ。我々より弱い相手はこのリーグにいない。ここからひとつずつしっかりと、我々には借金が多くあるが、ひとつずつ返していき、下から抜けれるよう変わっていきたい」
指揮官は最後にこう言って会見場をあとにした。
「つかの間だが、10日間のブレイクだ」
ここからリーグ戦は、天皇杯でしばらくブレイクとなる。次節は1月16日、アウェーで闘う5位三遠との直接対決だ。
【取材・写真・記事/おおかめともき】
【BOX SCORE / PLAY BY PLAY】1.6 [SUN] 横浜ビー・コルセアーズ vs 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ】
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3252&TAB=B