また惜敗、悔しさ募る名古屋D戦全敗。マクドナルドがダブルダブルの活躍。川村、連日のロースコアも、若い田渡と満田が補う。
横浜ビー・コルセアーズ 81-87 名古屋ダイヤモンドドルフィンズ(4月28日横浜文化体育館)
16-12|11-17|19-26|24-15|11-17
横浜ビー・コルセアーズは、ホーム横浜文化体育館で名古屋ダイヤモンドドルフィンズとGAME2を闘い延長戦に持ち込む接戦をみせたが、ミスから好機を落とし連日の惜敗。今季ホーム最終戦を勝利で飾れず、今季の名古屋D戦6試合を全敗した。
またしても惜敗。6度目の挑戦でも名古屋Dに勝つことが出来なかった。そのほとんどが惜敗であり紙一重のものであったが、勝負どころでのミスで落としたのも事実。延長戦にもつれた今回の惜敗は、今季の名古屋D戦、そして今季のビーコルを象徴するものになってしまった。
今季のホーム最終戦とあって横浜文化体育館は3,211人もの観客が訪れ満員に膨れ上がった。ホーム最終戦を何としても勝ちたいビーコル、チャンピオンシップ出場を早く決めたい名古屋Dとが真正面からぶつかった激戦で、ビーコルブースターは猛烈なブーストで選手たちをあと押しした。
スターティング5は、前日の高島一貴に代わって佐藤託矢が先発。細谷、川村、満田、佐藤、マクドナルドの布陣で挑んだ。
1Q、安藤周人の2Pで先制されるが、すぐさまウィリアム・マクドナルドが2Pを沈めてやり返す。8分48秒にジャスティン・バーレルに2Pを入れられリードを奪われたが、マクドナルドがすぐさま2Pを沈めて再び同点にすると直後に満田丈太郎が2Pを沈めてビーコルが勝ち越す。
ビーコルディフェンスは、バーレルの2Pから4分25秒の張本天傑の2Pまで得点を封じることに成功。8−0のランでリードを伸ばす。
以降も波に乗るマクドナルドと満田の2P、終了間際45秒には佐藤託矢がアウトサイドから2Pを沈めて1Qを16−12、4点のリードで終える。
2Q開始早々に高島一貴が2Pを沈めると、田渡 凌が連日に続く躍動をみせる。9分22秒にフリースロー2本を確実に決めると、9分3秒にインサイドから2P、8分34秒にはアウトサイドから2Pを沈めた。
しかし、ビーコルはこれ以降でシュートが入らず、この間、名古屋Dに得点されてしまい11−0のランで同点に追いつかれる。
1分15秒にマクドナルドが2Pを沈めて勝ち越しするが、この直後、張本にフリースローを2本、さらには2Pも入れてしまい2点ビハインドで前半を終える。2Qは11−17。トータルスコア27−29。
3Q、名古屋Dは3Pを中心に反撃。特に中東泰斗に開始から5分までに3Pを3本、2Pを1本入れられてしまい、以降も張本、バーレルらに得点を許す。
ビーコルは、佐藤、川村、竹田、サビートの得点で追撃したが、ビハインドは9点に広がってしまった。
このクォーターで前半に得点出来なかった川村卓也が8分37秒の3Pでようやく得点。川村は6分4秒にも2Pを沈めた。3Qは19−26。トータルスコア46−55。
4Q、ビーコルは若き満田とベテラン竹田 謙が得点の起点となり猛追。7分21秒、竹田が3Pを沈めて同点に追いつく。
ここからマクドナルド、サビート、細谷の3Pなどで得点したが、両チームが激しく点を獲り合うクロスゲームになった。
ビーコルは、3分50秒にサビートが2Pを沈めて勝ち越しすると、3分12秒と2分36秒に田渡が連続2Pを沈めて6点のリードを奪う。
これで確実な流れを手にしたかに見えたが、最後の1分でクレイグ・ブラッキンズに続けて3Pを許してしまい同点にされる。直後、サビートがファウルアウト。もつれにもつれた試合は70−70同点のままオーバータイムの延長戦に突入した。
5分間の延長戦、開始早々に笹山貴哉にインサイドを突破されて2Pを許すと、ターンオーバーをから中東に2Pを入れられ、流れを失いかけたが、すぐさまマクドナルドが3連続で2Pを沈めて同点に追いつく。
直後、ブラッキンズのターンオーバーから得たボールを田渡がドライブしながら細谷に出したが、これが通らず痛恨のパスミス。勝負どころの好機を逸してしまった。
流れを失った形となったビーコルは、ここから立て続けに失点。さらには残り48秒に佐藤託矢がファウルアウト。既にファウルアウトしていたサビートも含め、ディフェンスの要を失ってしまった。
7点差になったビーコルは、前日に続くファウルゲームに持ち込む執念をみせたが、張本にフリースローを2本とも決められてしまい9点差。
直後の残り18秒に竹田が3Pを沈めて6点差。ビーコルはもう一度ファウルゲームの賭けに出たが、これも張本に2本とも沈められてしまい残り12秒で8点差。
残り3秒で田渡が意地をみせて2Pを沈めたが、直後に無情のタイムアップとなった。
ビーコルはこれで京都戦GAME2から3連敗。今季のホーム最終戦を勝利で飾ることは出来なかった。
チャンピオンシップ出場が掛かる名古屋Dは、翌日の試合で新潟が勝ったために、出場決定は次節まで持ち越された。
この試合のビーコルのスコアリーダーは、21得点を挙げたウィリアム・マクドナルド。マクドナルドはリバウンドも15を記録してダブルダブル。延長戦を含む37分25秒にわたる長いプレータイムにもかかわらず、シュートタッチとエナジーは最後まで衰えることはなかった。
2番手は竹田 謙と田渡 凌の12得点。竹田は後半にここぞでの得点。田渡は連日の躍動で調子を取り戻してきた。
ハシーム・サビート・マンカは、ダンク2本を含む11得点。リバウンドは7、ブロックショットは2だった。4Q終了間際にファウルアウトしてしまったことから延長戦でプレー出来なかったのが悔やまれる。
満田丈太郎は9得点を挙げ、マクドナルド、田渡と共に得点の起点となった。
前日にアキレス腱の怪我から復帰した湊谷安玲久司朱は3分5秒のプレータイムで得点なし。
前日のGAME1で2得点に終わった川村卓也は5得点でこの日もロースコアとなり、前日に続いて精彩を欠いた。プレータイムも17分19秒に留まり、勝負どころの4Qでは川村のプレータイムはなかった。代わって好調をみせた満田と田渡が川村の不調を補う形となった。
ベテラン蒲谷正之は、この日もプレータイムがなかった。
試合後、尺野将太HCはこう総括している。
「ホーム最終戦を本当に勝ちたい気持ちがプレーにもあらわれて、ブースターさんのあと押しを受けて、2Qと3Qで背負ったビハインドを4Qで追いつき、逆転し、リード出来たところまでは、プレーもそうですけど、気持ちの入った動きをコートの上で表現出来ました」
「ただ、勝ち切れなかったことが、上のプレーオフにいくチームと残留プレーオフにいくチームの差なのかなと思います」
「延長戦を(サビートの)ファウルトラブルで外国籍選手が(パーマーも捻挫で欠いていることから)ウチは一人しかいない中で、何とか点数を取ったりして工夫をしましたが、差を埋め切れなかった」
「選手たちは努力してくれたので、こちら(ベンチ)で上手く、ファウルだったり、メンバーの交代だったりを途中でコントロール出来ていればと思います」
「延長戦のことは、最初から考えていませんでしたが、最後のところも、選手の気持ちを勝ちに繋げてあげる方法があったと思います。そこを導き出せなかったのは自分の力不足だと思います」
名古屋Dの梶山信吾HCは、4Qで川村がいたらどうなっていたか分からないと試合後に明かしている。4Qで川村を起用しなかったことについて尺野HCはこう語っている。
「コンディションの部分で、ここ最近35、6分ぐらい出ている試合が続いて、本人は出たかったと思いますが、コンディション的かなり厳しい部分があり、限界ギリギリのところでやってくれていました。今日はシュートタッチも良くなかったので、他の選手が良かったところもあり、起用しなかったというより、他の選手が良かったということでした」
「結果的に川村選手のプレータイムを減らすことが出来ましたし、他の選手(満田、田渡)がしっかりとプレーしてくれたのが大きかったと思います」
また、ビーコルから今季の6試合を全勝した名古屋Dの梶山信吾HCは、こう振り返っている。
「今日は精神的にも肉体的にも、かなりタフな殴り合いのような試合でした。怪我人が何人か出てしまいましたが、みんなでカバーして勝ち切ることが出来ました」
ビーコルのディフェンスが前半をはじめとして機能する時間帯が多くあった。それはかなり苦しいものだったと梶山HCは続ける。
「横浜さんのディフェンスが、かなり良く、そこで消極的なミス、ターンオーバーが多くなってしまった。走られて得点されるケースが多くなりました」
「今日ウチは20ターンオーバーでしたが、これは今季初めてのことです。それほど横浜さんのホーム最終戦に掛ける想いが選手に乗り移ったんだと思います。それをプレッシャーに感じてしまった」
ビーコルが掛けたプレッシャーはかなりのものだったようだ。この言葉からもビーコルの進化成長をうかがい知ることが出来る。さらに梶山HCは、4Qに川村がいなかったことが大きかったと語る。
「ああいった勝負どころで決めるのが川村卓也。あそこで川村がいなかったのは、僕らとしては助かりました」
ビーコルと今季6試合を闘って全勝した名古屋Dだが、そのほとんどが僅差での接戦だった。
「最後までシーソーゲームだったということは、どちらが勝っても全くおかしくないことです。たまたま僕らが6勝0敗。もしかしたら0勝6敗だった可能性もあるんです」
トーマス・ウィスマンがベンチ入りして以降、試合を追うごとに急速な進化成長を続けるビーコル。そのことは対戦した全ての相手HCが認めることだ。
B1残留プレーオフを見据えた残り3試合、チームはこの進化をさらに続け強化していく。次節は豊橋での三遠ネオフェニックス戦だ。
【記事・写真/おおかめともき】