ビーコル連敗脱出!GAME2で福岡を12点差で下す!


懸案のマンツーマンDFが大きく機能!むき出しにした勝利への執念とエナジーが相手を上回る!湊谷が怪我から復帰して得点!

2018-19シーズン第10節・GAME2(11月18日 横浜国際プール)
横浜ビーコルセアーズ 85-73 ライジングゼファー福岡
29-13|19-16|22-17|15-27

中地区6位の横浜ビー・コルセアーズは、11月18日ホーム横浜国際プールで、西地区6位のライジングゼファー福岡との2連戦GAME2を闘い12点差で勝利した。ビーコルの連敗は7でストップ。4勝13敗となり、5位三遠も勝利したためにゲーム差は「3」のまま。

福岡戦GAME2を12点差で勝利し連敗を7で止めた横浜ビー・コルセアーズ


ウィスマンビーコルが、今季2度目の苦しい連敗から脱出した。久々にウィスマンHC、選手、チーム、そしてビーコルブースターに勝利が戻った。

勝利した直後、ある選手はチームメイトに「やられたらやり返す!」と強い口調で言っていた。前日のGAME1で喫した敗戦で7連敗となったトーマス・ウィスマンHCは試合前、選手たちにメンタルについて説いていた。それが効いたのだろう。海賊たちは勝利への執念とエナジーをむき出しにして、福岡にぶつかった。

今回の7連敗では、マンツーマンディフェンスの不備からゾーンディフェンスを多用したことが悪影響を与えていたが、苦しい局面を迎えた指揮官は、この試合のほとんどでマンツーマンを使った。選手たちは、それをアグレッシブに遂行。1Qで福岡の得点を13に抑えて相手の出鼻をくじき、3Qまで10点台に抑えてみせた。若手選手を投入した4Qこそ、相手の猛追を許してしまい27点を失ったが、今回快勝した一番の要因は懸案だったマンツーマンディフェンスが機能したこと。キャプテン細谷はその要因を「エナジーに尽きる」と語ったが、チームは今後の闘いに向けて、失いかけていたマンツーマンディフェンスへの自信とプライドを取り戻した。

2Qで3Pシュートを沈め、勝利への執念をむき出しにする横浜ビー・コルセアーズ#0細谷将司


この試合で、10月17日富山で負った右ハムストリングス肉離れの怪我で離脱していたキャプテン湊谷安玲久司朱が11試合ぶりに復帰。試合の要所で起用され4分36秒をプレー。2Qでは2Pシュートを決めている。得点こそ2点に終わったが、まずまずの復帰第1戦だったといえる。

この試合で11試合ぶりに怪我から復帰した#5湊谷安玲久司朱。2Qで2Pシュートを決めた


この試合でウィスマンHCは、ベンチ入りメンバーとスターティング5を大幅に変更してきた。11試合ぶりに怪我から復帰した湊谷安玲久司朱を橋本尚明に代えてベンチ入り登録。外国籍選手では、ディフェンス強化からプリンス・イベを得点が伸び悩むアマンゼ・エゲケゼに代えてベンチ入りさせた。スターティング5も40歳の大ベテラン竹田 謙とイベを入れて、細谷、川村、イベ、マックレア、竹田のディフェンシブな布陣を敷いた。ウィスマンHCはこの起用について「プリンス選手は高さもあり、ブロックショット能力もあるディフェンスが出来る。竹田選手は、日本人の中で最もディフェンスを理解している選手。これがハマって、最初の1Qを13点に抑えることが出来た」

何としても勝って連敗を止めるべくウィスマンHCはスターティング5で今季初めての布陣を敷いた。40歳の竹田 謙を入れ、ディフェンシブなプリンス・イベとオフェンシブなジャボン・マックレアを同時起用。これが出だしから見事にハマった


1Q、ビーコルはマックレアがオフェンスリバウンドから2Pシュートを沈めると、イベと竹田がインサイドから2Pシュートを沈めて、鮮やかな3連続シュートを決める。連敗ストップで起用された二人が立ち上がりでいきなり結果を出し、ビーコルは上々のスタートを切った。

1Q開始早々、両チーム最初の得点となる2Pシュートを沈めるジャボン・マックレア

1Q開始早々にマックレア、イベに続いて2Pシュートを沈める40歳の大ベテラン竹田 謙


ディフェンスでは、試合開始からアグレッシブなマンツーマンディフェンスを展開。イベを投入したことで、ディフェンス力が強度を増し、福岡の得点を開始から5分まで、わずか2点に抑えることに成功する。オフェンスでも、細谷が3Pシュートを2本決めるなどして快調に得点をかさね計29得点を入れた。1Qは29-13で、ビーコルが16点と大きくリードし、試合の主導権を握った。

2Qでもマンツーマンディフェンスは機能して優位に試合を運ぶ。開始早々に田渡が3Pシュート、8分には復帰した湊谷安玲久司朱がインサイドから2Pシュートを沈めて、復帰後初めてとなるシュートを決めた。

2Q 8分で復帰後初シュートとなる2Pシュートを沈める湊谷安玲久司朱


4分から1分にかけては、細谷が3連続3Pシュートを決めて、チームの勢いを加速させた。2Qは19-16で、ビーコルがこのクォーターもリードを奪い、トータルスコアは48-29。大量19点のリードを持って後半に突入する。

2Qで3連続3Pシュートを沈める細谷将司。写真は3本目


3Q、8分に川村が細谷のアシストで3Pシュートを沈めると細谷が速いドライブから一気にレイアップ。

3Q 8分、速いドライブから一気にレイアップを決める細谷将司


5分、マックレアが連続シュート。ターンオーバーからのファストブレイクで2Pシュートを沈めると、直後にオフェンスリバウンドからセカンドチャンスを押し込んだ。

3Qでセカンドチャンスを押し込むジャボン・マックレア


さらにマックレアは3分に力強いダンクを決めて、得意のわっしょいポーズ。ビーコルブースターを熱くさせた。

3Qでダンクを決めるジャボン・マックレア

ダンク後、得意のわっしょいポーズも飛び出した


残り50秒で、高島一貴がアウトサイドから2Pシュートを沈め、終了間際10秒には田渡が2Pシュートを沈めて得点を70点にした。

ディフェンスは後半入っても強度が衰えず、マンツーマンディフェンスは、福岡の得点を17点に抑え込んだ。3Qは22-17でビーコルがリード。トータルスコアは70-46。リードはさらに増えて20点台24点になった。

3Qでアウトサイドから2Pシュートを沈めた高島一貴


4Qは、開始から8分まで両チーム共に得点が止まったが、7分にモリスが連続2Pシュートを沈めてスコアが動く。ビーコルは、高島がアウトサイドから沈めた2Pシュートでリードを大量26点としたが、ここからドタバタしてしまう。

4Qでアウトサイドから2Pシュートを沈める高島一貴


ウィスマンHCは小原、中村、ハンターの若手選手を続けて投入したがミスが相次ぎ、ここから0-12のランを許してしまう。「終盤で若い選手を起用したことで崩れてしまったが、彼らにもプレータイムを与え、経験を積ませないといけない」試合後に指揮官はこう語ったが、福岡の猛追に火を付けてしまうことになった。

ウィスマンHCは4Qで若手選手に経験を積ませるべく次々投入した。写真は3分に投入されたハンター・コート


これで、2分22秒の段階で16点差となったが、福岡のボブ・ナッシュHCは、ここから執拗なファウルゲームを敢行する執念を見せ、ビーコルにプレッシャーを掛けた。

ファウルゲーム最初の標的はフリースローに難があるプリンス・イベだった。しかしイベは1本を入れてみせ、チームメイトとビーコルブースターから大きな歓声を受けた

イベのフリースロー成功で沸き立つビーコルベンチとビーコルブースター


繰り返すファウルゲームと、意地と意地がぶつかった両チームHCのタイムアウトは異様な雰囲気を生んだが、残り1秒でゴールデンルーキー中村太地がアウトサイドから2Pシュートを沈めてトドメを刺した。

4Q最終盤1秒、外に出来たスペースから2Pシュートを沈める中村太地。ゴールデンルーキーが決めたこのショットが食い下がる福岡にトドメを刺した

中村は前日のGAME1で自身初の二桁得点14点をマークしてインパクトを残していたが、この日はここまで無得点だった。それが最後の最後、ラスト1秒で試合にケリをつけるショットを決めるとは!?またしても、大きなインパクトを残した中村太地。ただでは済まさない「持っている」ヤング海賊が歓喜に沸くアリーナで誕生した


4Qは15-27。ビーコルは最終クォーターでリードを初めて奪われたが、3Qまでの貯金が効いてファイナルスコアを85-73としてビーコルが12点差で福岡を下し、連敗を「7」でストップさせた。

チームのスコアリーダーは、5本の3Pシュートで23得点(3アシスト)を挙げた細谷将司。2番手は、20得点15リバウンドでダブルダブルをマークしたジャボン・マックレア。

ダブルダブルをマークしMR.B-COR賞を受賞したジャボン・マックレア。受賞式で得意のジャボンポーズを決めた


川村卓也は3Pシュート2本で10得点(6アシスト、6リバウンド)だった。今回の7連敗でチームのエースとして悩み抜いた川村は、前日の試合後なかなか顔を上げられず、落胆の色を隠せないでいた。この7連敗がいかに苦しかったか。ようやくトンネルから脱出した時、ビーコルブースターに見せた屈託のない笑顔がこのことを物語っていた。

連敗をようやく止めた勝利でエース川村卓也はビーコルブースターに屈託のない笑顔を見せた。エースがこの7連敗でどれだけ苦しみ、悩み抜いたか。この笑顔からそのことが伺い知れる


11月4日新潟戦GAME2以来のベンチ入り出場となったプリンス・イベは7得点も、ウィスマンHCの起用に応えた。2ブロックショットなどでディフェンス面で大きく貢献。6つのディフェンスリバウンドを含む7リバウンドも光った。

試合後、会見場に現れたトーマス・ウィスマンHCは終始笑顔が絶えず、時折ジョークも交えながらこう振り返っている。

「久々の勝利で素直にうれしい。試合の終わり方が良くなかったが、ロッカールームに戻ってから選手たちに『勝ちは勝ちだから、まずこの勝ちを楽しもう』と話した。あのドタバタでこの勝利の感覚が少し鈍り、勝利を祝う気分が半分になってしまったが、我々にとって、いま必要なのは勝つことだ。その勝ちを取れたことが一番大きい」

勝利後の会見で久々に笑顔を見せた横浜ビー・コルセアーズ トーマス・ウィスマンHC。会見ではジョークも飛び出した


「ディフェンスをステップアップ出来た。前半で、非常に良いディフェンスが出来て、3Qまで相手をしっかりと抑える状況が作れた。最後の4Qで失点が増え、ターンオーバーを8つ奪われたことは改善点。これはしっかりと修正していく。このチームはまだまだ伸びしろがあるということだ」

「オフェンスリバウンドが20本だったことが、今日の勝ちに大きく繋がった。オフェンスリバウンドを20本取れば、それだけシュートチャンスが増え、高確率でシュートを決めることが出来る」

「今日は我々が走っていく試合をしていた。しっかりと走る試合運びをしていったことで、フルコートでついてこれないピットマン選手の疲労を蓄積させ、4Qで失速させた。これは今日のゲームプランだったが、選手たちはこれに沿ってやってくれた」

「ひとつ懸念されるのは、4Q、28点リードの状況で0-12のランを許したことだ。昨日も4Q残り2分で2点リードから0-10のランを許して負けたが、安定しない部分がまだまだ多い。安定性が出るようにしっかりとやっていく」

「3Qまで非常に良いディフェンスが出来た。4Qで27点を取られたが、クォーターごとに選手たちに言っていたことは、『リードが何点であっても、0-0だと思え、リードがあることを忘れて、このクォーターをしっかりと勝ち切ろう』ということだった。最後の4Qではこのメッセージが届かなかったのかもしれない。それ以外は上出来だった」

タイムアウトで選手たちに檄を飛ばすウィスマンHC


湊谷安玲久司朱の復帰についてはこのように語っている。

「湊谷選手は、もう一人のベテランでシューター。今はシューターが欠けているから、彼は我々にとって必要な存在。彼の復帰は大きいし、リーダーシップにも期待している」

「今週末、可能性を見ることが出来た中村太地選手と19歳のハンター・コート選手の成長に必要なのが、湊谷選手のような経験を持った選手だと思っている。若い選手は湊谷選手のプレーから学べるところが多いと思う」

会見の最後、4Q終盤で福岡のボブ・ナッシュHCが仕掛けて来た執拗なファウルゲームを受けて立ったことについて自ら切り出し、自虐的なジョークを交えながらこう語り、笑った。

「あの4Qの最後は、年寄りのアメリカンコーチがじゃれ合ったと思って欲しい(笑)。あの点差でお互い最後のシュートを打つべきではないし、タイムアウトを取るべきではないが、年を取った二人が楽しむ結果になってしまった。しかし、個人的なことを持ち込んだわけではないんだ。そこは理解して欲しい(笑)」

次節ビーコルは、金曜日からのホーム2連戦で西地区1位の強豪琉球ゴールデンキングスと激突する。

【取材・写真・記事/おおかめともき】

【BOX SCORE / PLAY BY PLAY】11.18 [SUN] 横浜ビー・コルセアーズvsライジングゼファー福岡
https://www.bleague.jp/game_detail/?ScheduleKey=3130&TAB=P

 


Written by geki_ookame