5年間の海賊生活 背番号”25″竹田 謙がホームのファンの前で引退セレモニー


惜別ケンさん 笑顔のホーム引退セレモニー

横浜ビー・コルセアーズは5月1日、ホーム横浜武道館でおこなわれたホーム最終節対新潟アルビレックスBB戦GAME2後に今季限りでの現役引退を発表している竹田 謙の引退セレモニーをおこなった。

ホームのファンの前で惜別。花束を受け取り幸せそうな笑顔を浮かべる竹田 謙。プロ生活20年Bリーグ最年長42歳の竹田の引退セレモニーには涙はなく笑顔が溢れた【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


42歳でシューティングガードの竹田 謙は神奈川県川崎市出身。國學院久我山高校卒業後に青山学院大学へ進学。東京海上入社後に同社のバスケットボール部に入部。2002年にホーム引退試合の対戦相手新潟アルビレックスBBに入団してプロキャリアをスタートさせた。新潟では3シーズンプレーし、その後、福岡レッドファルコンズ(ライジングゼファーフクオカの前身クラブ)を経て、2008年にはリンク栃木ブレックス(宇都宮ブレックスの前身チーム)に入団。以来6シーズンにわたってプレー。2009-2010シーズンにはブレックスの初優勝に貢献した。2014年に一度目の現役引退。ブレックスのフロントスタッフとして働き、2015年の女子バスケットボールクラブ・デンソーアイリスのコーチ就任を経て、Bリーグ初年度の2016年に現役復帰、横浜ビー・コルセアーズに入団した。ビーコル2シーズン目の2017-2018シーズンにはキャリア通算3,000得点を達成。
今季はビーコル5年目のシーズンになっている。

2018年3月にはホームでキャリア通算3,000得点を達成させた【写真提供©おおかめともき】


今季はBリーグ最年長選手としてプレー。ここまで50試合に出場して先発は7回。57得点を挙げ、3Pシュートは8/26本。29リバウンド、15スティール、アシストでは背番号と同じ25本を記録している。

引退セレモニーでは、ファンから寄せられたメッセージが書き込まれた記念のフラッグが贈呈された【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


ホームラストゲームでの相手は、奇しくもプロとしてのキャリアをスタートさせた新潟だった。これも何かの縁だろう。ビーコルで5年、プロ生活20年の現役生活はあと1試合で終わる。

ホームでのラストシューティングでは一発でボールをリングに沈めた【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


ホームでおこなわれた
引退セレモニーで竹田に涙はなかった。6年間在籍したブレックスが開催した引退セレモニーとはまた違った趣向でおこなわれたセレモニーでは、ビーコルらしい家族的な雰囲気を作り上げて背番号25の引退を惜しんだ。20年間にわたる竹田の偉大な歴史を彷彿とさせる壮大なファンファーレが鳴り響く中で竹田は登場。ファン、秋山皓太、山田謙治AGM兼ACからのスピーチを受けると山田AGM兼ACから花束が贈られた。ファンが寄せたメッセージが無数に書き込まれたフラッグをチアリーダーズB-ROSEから贈られた時には感無量の表情になった。ホーム最後のシューティングでは一発でボールをリングに沈めてファンを喜ばせるとお揃いの引退記念Tシャツを着たチームメイトから胴上げされて3度宙に舞い、幸せそうな笑顔を弾けさせた。

チームメイトからの胴上げでは3度宙に舞い、笑顔が溢れた【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


竹田は挨拶で「ビーコルに来てあっという間の5年間だった。当時37歳でよく取ってくれた。皆さんに本当に良くしていただいて、ますますバスケットが好きになった。ビーコルでプレーしたことを誇りに思う」と語り、これまでに支えてくれた人たちに感謝を伝えた。

引退のスピーチを終え、万感の表情を浮かべる竹田 謙【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


セレモニーの最後では
コートを一周、竹田は何度も手を振り、ホームのファンに別れを告げた。

引退セレモニーを終えた竹田は「なかなかこんな幸せを感じることはない。本当に沢山の人たちに支えられて、42歳までプレーすることができた。そういった実感が(セレモニーで)湧いた。うれしい気持ち」としみじみと話してくれた。

竹田は、詰めかけたホームのファンに何度も手を振って別れを告げ、横浜武道館にはビーコルファン・ブースターから贈られた惜別の拍手が鳴り止まずに響いた【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


セレモニーのスピーチで竹田も言っていたが、竹田は宇都宮での引退セレモニーにこんな話をしてくれていた。「あの時、あまりに暗い表情だったから、これからインタビューを受ける時は努めて笑顔にする。だから、暗い表情だったら言って」と。その時の竹田の表情が
茶目っ気を出した笑顔、つまり、僕らが知っている”ケンさん”らしい表情だったから「それの表情で良いんですよ」と答えた。竹田は半信半疑だったが、以降のインタビューではいい表情をみせてくれていたし、ホームでの引退セレモニーでは本当に自然で、幸せそうな笑顔を浮かべていたことがうれしかった。

【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


プロ選手の引退セレモニーには涙がつきものだが、こんな形があってもいいと思う。一度引退した”漢”がバスケットボールの魅力を再認識して現役復帰。最後のチームとして入団したビーコルで力の限りに貢献し続けた。
5年間にわたる海賊生活。それを締めくくる、実に竹田らしい素晴らしい”笑顔”の引退式だった。

引退セレモニー後のロッカールームでカイルHC、チームメイト、チームスタッフと記念の写真に収まった【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


ホームラストゲームで竹田は先発で起用され、17分42秒にわたる全力プレーをみせた。2本の2Pシュートを決めてアシストは2本、スティールも1本決めた。特に勝負どころの4Qでは、相手に流れがいきかけた中盤5分で投入されて4分33秒をプレー。ディフェンスで奮闘して勝利に貢献した。

ホームでの引退試合では、たとえ先発しても最小限のプレーで、すぐに交代するのが普通だと思う。だが、竹田 謙は違う。パトリック・アウダに続くチームの重要なシックスマンとしての貢献だ。見事に流れを繋いだそのディフェンスは、とても42歳とは思えない。

ホームラストゲームでは先発で出場。前半で2本の2Pシュートを決める活躍をみせてファンを熱くさせた。その躍動はとても42歳には見えない【写真提供©B-CORSAIRS/T.OOkame】


竹田が奮闘する姿に勇気をもらう人は多いはずだ。5月5日水曜日のアウェーアルバルク東京戦が竹田のラストゲームになる。インタビューで次節A東京戦のことを聞くと穏やかな表情が一変した。

「(次のA東京戦)全員で勝利を掴むだけ!強い気持ちを持って、最後の集大成を全力で挑み闘う」

竹田 謙はまだ闘う。いや闘える。水曜日、ラストゲームを終えた竹田に聞いてみようと思う。「実は、また現役復帰するんじゃないの?」と。


【記事/おおかめともき・写真提供/©B-CORSAIRS/T.OOkame/©おおかめともき/動画提供©B-CORSAIRS】

⬇竹田 謙 試合と引退セレモニー後のインタビュー


Written by geki_ookame